PandoraPartyProject

シナリオ詳細

Dream Eggs.

完了

参加者 : 24 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 ふんふんふん、とひよこがぽてぽて歩いていく。とってもふわふわで、もこもこで、ぬいぐるみみたいな黄色いひよこが。
「なんか……今日は平和ですねー……」
 さわさわと揺れる草花。
 それらで遊ぶ春風。
 ぽかぽか陽気な日差し。
 それらを存分に堪能したひよこ――こと、ブラウ(p3n000090)はほっこり呟いた。彼にとってどんな危険にも脅かされない時間と言うのは素晴らしきことである。他の誰もが感じないような小さな幸せもブラウにとっては大きな幸せ。それもこれも、不幸体質故に――。
 折角こんなに平和なんだもの、お昼寝でもしてしまおうと草原へ転がったブラウ。ほどなくしてすやすやと眠ってしまった彼の近くを、これまた眠たげな瞳をした少年が通りかかる。
 たまにローレットで見かけるクライアント(依頼人)。夢売りとも、夢買いとも呼ばれる者であった。
「おや? これは」
 夢売りはブラウの姿を覚えていたらしい。そぅっと抱き上げてみても熟睡したひよこはぐっすりで、恐らくこのまま連れ去られても気づかないだろう。警戒心の欠片もない寝姿であった。
 しかし夢売りも悪人ではない。善人とまでは言わないが、一応ローレットの情報屋として知っているのだから知人である。うっかり風邪でも引いたら困るからローレットまで運んでやろう、と歩き始めた夢売りは、ふと口端をあげた。

 ――悪人ではないが。善人でもないのである。



「……ええと、それで」
 困惑した『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)に夢売りはにっこりと笑った。
「イースターと呼ばれる夢へ彼を招待したのさ」
 カウンターの上ではブラウが相変わらず熟睡している。その姿は全く変わらないように見えるが、夢売りの持ってきた夢を見ているのだそうだ。本来双方合意でなければ――片方に否定の意思があれば弾かれるものだが、ブラウは特にその夢をはじくことなく受け入れた。それで良いのか。
「それでこの夢なんだけれど、他の者も共有できるんだ。良かったら他のイレギュラーズも、どうだい?」
 詳しいことは行ってからのお楽しみだが、旅人が時折口にする『イースター』という行事に近いことができるのだそうだ。卵へ絵を描いてみたり、卵を転がしてみたり、はたまた隠された卵を探してみたり。あとはちょっとしたごちそうも出るらしい。
「もちろん夢の中だから、食べても実際に太ることは無いよ」
 太ることがないだけで満腹中枢は刺激されるから、夢の中でお腹がポッコリ膨らんだりお腹いっぱいに思う事はあるだろうけれど。
「なるほど、楽しそうなのです! 皆さんに声をかけてみますね」
 危害がないことを確認したユリーカは立ち上がる。この時期、異世界でやるイースターを見よう見まねで楽しんでみようじゃないか!

GMコメント

●すること
 イースターっぽいことをする

●ロケーション
 現実世界のどこで寝ているかなどは気にしないでください。これの為にとった宿の一室とか、大丈夫なら自室とか、夢売りが行けるところで眠ってます。夢売りは皆さんを夢へ案内してそっと去ってると思います。

 雲の上みたいな不思議空間。夢の中です。ぽよんぽよん跳ねます。落ちることはありません。
 所々に兎さんがいたり、卵の装飾がされていたりします。空からは春の日差しが降り注いでいてお昼寝もできそうなくらい暖かいです。

●選択肢1:ご馳走パーティ
 行き先タグ:【食】
 色々なご馳走が並んでいます。ジュースやアルコールも!
 立食式で楽しめ、減ってもいつの間にか元通り。
 食べても現実世界で太ることはありませんが、満腹感は感じられますし、夢の中ではお腹がぽっこりしたりします。
 景色を楽しみながら食べましょう!

●選択肢2:色塗り
 行き先タグ:【絵】
 卵を模したものに色を塗ることができます。
 色も柄も塗料も自由です。色付けに欲しいと思ったものは大体揃っています。夢だし。

●選択肢3:エッグロール
 行き先タグ:【転】
 孫の手みたいな形をしたステッキで卵を転がし、スタート地点からゴール地点まで競争できます。
 雲の上なのであちこちがぽこぽことしていて、卵の形状も相まってなかなか真っすぐにはいかないでしょう。

●選択肢4:エッグハント
 行き先タグ:【探】
 雲の合間などに隠れた卵を探すことができます。
 卵はいずれも普通サイズで、色々な柄などがあるでしょう。

●選択肢5:その他
 不思議な場所を見て回ったり、雲の上で遊んでみたりしたい人はこちら。
 立食パーティの中には持ち運べる軽食(サンドイッチ等)もありますので、持って行っても大丈夫です。

●NPC
 私の所有するNPCはお呼び頂ければ、リプレイに登場する可能性があります。

・夢売り
 眠たげな目をした少年。夢売りとも夢買いとも呼ばれており、どちらでも良いようです。
 夢を商売道具にしています。これまで見たことのある夢は全て覚えているらしいです。
 相手から拒絶されず、自らにその意思がある時、人を夢へ誘うことや、その夢を抜き取ることができます。
 自身が夢を見ることはできませんが、誰かの夢に入り込むことは可能であるようです。今回もNPCとして登場可能です。

●注意事項
 本シナリオはイベントシナリオです。軽めの描写となりますこと、全員の描写をお約束できない事をご了承ください。
 アドリブの可否に関して、プレイングにアドリブ不可と明記がなければアドリブが入るものと思ってください。
 同行者、あるいはグループタグは忘れずにお願い致します。

●ご挨拶
 愁です。今年のイースターすっかり忘れてました。
 夢の世界なので現実には影響しません。何かを持ち帰ることなどはできませんのでご注意を。
 では、いってらっしゃい!

  • Dream Eggs.完了
  • GM名
  • 種別イベント
  • 難易度VERYEASY
  • 冒険終了日時2021年04月22日 22時10分
  • 参加人数24/∞人
  • 相談6日
  • 参加費50RC

参加者 : 24 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(24人)

鳶島 津々流(p3p000141)
かそけき花霞
ヨタカ・アストラルノヴァ(p3p000155)
楔断ちし者
シキ・ナイトアッシュ(p3p000229)
優しき咆哮
サンディ・カルタ(p3p000438)
金庫破り
武器商人(p3p001107)
闇之雲
ナハトラーベ(p3p001615)
黒翼演舞
ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)
願いの星
ベルナルド=ヴァレンティーノ(p3p002941)
アネモネの花束
メイメイ・ルー(p3p004460)
約束の力
アイラ・ディアグレイス(p3p006523)
生命の蝶
マリア・レイシス(p3p006685)
雷光殲姫
イーハトーヴ・アーケイディアン(p3p006934)
キラキラを守って
ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)
私の航海誌
ヴィクトール=エルステッド=アラステア(p3p007791)
懐中時計は動き出す
リュティス・ベルンシュタイン(p3p007926)
黒狼の従者
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
戦輝刃
散々・未散(p3p008200)
魔女の騎士
雨紅(p3p008287)
愛星
耀 澄恋(p3p009412)
六道の底からあなたを想う
モアレ・M・バーガンディ(p3p009418)
ポンコツポート
夜影(p3p009454)
夢みる子猫
キソナ・ホリョン・トワシー(p3p009545)
新たな可能性
饗世 日澄(p3p009571)
紡ぐ者
シャルロッテ・ナックル(p3p009744)
ラド・バウB級闘士

リプレイ


 さあ、目を閉じて。
 それからリラックスして、頭の中を空っぽにして。
 ……そう。眠くなったら抗わずに、引き込まれてしまうといい。

 それじゃあ、良い夢を。



 ふわふわとした雲が、質量を持って足場となっているのは不思議な心地。けれどそれよりも――澄恋には優先すべき事柄があった。決して、旦那様の事ではない。
「おさけです! あるこーるとお友達になってやります!!」
 そう告げて、酒瓶を抱え上げる澄恋。好きで下戸なわけじゃない。私だって酒を楽しみたい。私だってどんちゃん騒ぎが! したい!!
「ぐっぐっ……ングッ」
 カッと目を見開く澄恋。飲んだ酒は――現実と同じく輝く虹色に。
「な、なんれ……なんれ! ゆめれしょ! くそがあ!!」
 虹色を避けて床を、というか雲を澄恋は拳で叩きつける。そんな彼女を意に介した風もなくナハトラーベは食べ物を咀嚼し続けていた。
 これは夢で、周囲にある料理や酒も幻だ。ならばナハトラーベの食べっぷりもこの夢だけかと言われると――彼女をご存じならお分かりだろう。いつも通り、よりハイペースである。
 だってレパートリー豊富だし。
 だって大量にあるし。
 だって体重増えないし。
 覚えているならば絶対夢売りに毎年やってくれと進言しよう、と思いながら彼女は無言で口を動かし続けた。
「エッグロールですか」
 まあ、とシャルロッテは孫の手にも似たステッキを握りしめ目を輝かせた。楽しそうな催し物に参加しない手はない。
 瞬発力もその速度もピカイチな彼女であるが実はこれ、なかなかうまくいかないのである。卵はあっちへこっちへ、行き放題なのだ。
 しかして器用に調整しつつ、程よく他の参加者と差を付けてゴールしたシャルロッテは、イレギュラーズたちを眺めていた夢売りへばっと体を向けて、
「終わりましたわ、夢売り様ーー!!」
 やべースピードで走り出した。引きつった表情の彼へ、満面の笑みを浮かべたシャルロッテは夢売りへ抱擁せんと両手を広げる。そのままの、スピードで。
(これがイースターですか)
 雨紅は物珍しそうにあたりを見回す。
 再起動からもう1年。けれどまだ1年。雨紅にとって知らないことはまだ沢山あるのだろう。
「……と、」
 いけない、と雨紅は立ち止まる。装飾ばかりでなく、隠されている卵も探さなければ。
 小さすぎず大きすぎないそれが収まるような場所を重点的に探した雨紅は、紅色に色づいた卵を見つけてそっと持ち上げる。綺麗なそれは、夢だから持ち帰れはしないけれど。
(目覚めてから、自分で作りましょう)
 この気持ちを夢だけにしてしまうのは、勿体ないから。
 雲に卵に兎。それらを瞳へ映したメイメイは、それから傍らのひよこを映してふにゃりと微笑む。
(ご無事で、良かった)
「ぴよっ」
 そう思っていた矢先にブラウがこける。目を丸くしながらそちらを見ると、彼の近くに縞々の卵が落ちていた。
「エッグハントの……?」
「ですね。折角だから探してみましょうか!」
 はい、とメイメイは微笑んで探し始める。ブラウと見つけた数で勝負だ。
 口ずさむのは魔法のおまじない。唱えたならきっと、見つけられるような気がした。
 シキとサンディは卵を沢山見つけるべく高い場所を中心に探していた。
「お、みっけ」
 サンディが木の上に乗っていた卵を摘まみ上げる。上手くはまる場所へ隠したものだ。
 卵は多く見つけると幸せになれるらしい、とはサンディの言だ。故にこうして探しているのだが、どこか1年前の『絶望の青』を思い出す。
 大切な仲間が廃滅病にかかり、それを治すために黄金の果実を探し回ったのだ。お互いにあんな思いは御免だと思うが。
「すぐに無茶するんだから」
「まーなんとかなってるだろ?」
 何もないわけではないけれど。そうつくから必然と苦笑いにもなってしまう。けれどこの1年、危険な活動でありながら皆が無事だった。それはサンディにとってとても幸せな事。
「シキちゃんは?」
「……さて。私は処刑人なんだ、幸せなんて必要な存在じゃないよ?」
 くすりと笑み混じりに告げるシキ。サンディは小さく肩を竦めてみせる。幸せなんてシンプルなものなのに、と。
(でも、幸せであって欲しい人たちはいるんだよ)
 君たちのことさ、という言葉は心の中だけに。
 アイラとウィズィは互いイメージして塗った卵を隠して、見つけ合いっこ。
「じゃあまずは、私が探す番だね!」
 ウィズィが気合をひとつ。関係のない誰かが見つけてしまう前に見つけなければ!
 そんな彼女は卵を次々と見つけていくのだが、ピンとくる卵ではない。というか毒々しいこの色で正解とか言われたらちょっとショックだ。
 そんなウィズィをわくわくとアイラは眺めていたが、やがて振り返った彼女が手に持っているものを見て「お見事!」と拍手する。
 空から海へ――美しい青のグラデーションはいつかの海洋を思い出させた。
「次はボクの番ですね!」
 自分も絶対に見つけてやると意気込んだアイラだが、卵自体が見つからない――。
「こともなかった! やった、見つけました!」
 多くを見つけるのではなく、的確に自身の卵を引き当てたアイラ。緑がかった薄青色の蝶と濃蒼色の宝石の寄りそう柄にほぅ、と彼女は感嘆の吐息を漏らす。
「ぴったりでしょ?」
 それは、彼女『たち』を示すようで。
「えへへ、嬉しい。ありがとう、ウィズィ!」
 アイラは胸の前で卵を抱きしめ、花綻ぶ笑顔を浮かべた。
 リュティスはベネディクトからの誘いによって夢へとやってきていた。不思議な空間であるが、ここでだって考えるのは御主人様(ベネディクト)のこと。
 エッグハントを彼が楽しめるように、とともに探すリュティスは彼からの問いに目を瞬かせた。
「得たものですか?」
「ああ。召喚されてもう1年以上になるだろう?」
 ベネディクトの言葉を聞いて真っ先に浮かぶのは友人や仲間、戦友か。あとは新鮮なことが起こる日常には良くも悪くも驚くことが多い。
 言うならば――皆と過ごす毎日、だろうか?
 そう返したリュティスにベネディクトはそうかと頷き、今しがた見つけた卵を差し出す。そして考えていた言葉をそっと口にした。
「…… 然るべき時に、君に伝えたい事があるんだ。大事な話なんだが、その時は聞いて貰えるか?」
 真剣な彼の視線にすっと背筋が伸びる。リュティスはしっかりとした声で是と返した。
「時がくれば聞かせて頂きましょう。お待ちしていますね」

 ベルナルドは卵を手に取りくるりと回し眺める。この春の祭典では卵に絵を描いて飾るらしい。
(絵具は……そうだな)
 感性の赴くままに、明るい春色に指が伸びる。桜、若草、晴れやかな空。ひとつひとつ丹精を込めて、バスケットの中に小さな春を作るように。
 夢が現へ残す物はないけれど、だからこその美しさがそこにある。ベルナルドはその出来に小さく笑みを浮かべ、目が覚めたらアトリエへ篭ろうと決めたのだった。
 寝る時も一緒なら夢の中で目覚めるのも一緒。ヨタカと武器商人は興味深く辺りを眺める。中でもヨタカが興味を持ったのは卵の色塗りだ。
「イースター、といえば……これ、だよ」
「へえ、そうなのかい? 何を描こうかな」
 向かい合ってそれぞれ卵と肌を持つ。見せ合うのは最後のお楽しみ。
(目の前に、本物がいる……なら、やれないことは無い、はず)
 ヨタカはさりげなく武器商人を見ながら筆を動かす。対して武器商人は楽しげにペタペタと卵全体を塗っていた。
 暫くは無言の時間。せーので見せ合い、交換こ。
「似てるかどうかは分からないけど……どう、かな……?」
「おやまァ。これ、我(アタシ)?」
 ほんの少し不恰好で、けれど気持ちを込めて描いてくれた自身の姿。武器商人は笑みを浮かべながら受け取り、代わりにとヨタカの手へ卵を乗せた。
「これは……」
「夜空を飛ぶ鳥の絵さ」
 夜を思わせるグラデーションに、銀の星々。そこに可愛らしい鳥が1羽描かれている。
 小鳥(ヨタカ)が喜んでくれますようにと、そう願って色つけた物だ。
 1人ではないから、夢がこんなにも暖かい。夜影はそう思いながら空色の塗料を手に取った。
「夜の青かしら」
「これは、日澄さんの瞳の色だよ」
 向かい合った日澄の目の色とそれは、よく似ている。そこに思うは憧憬だ。
 対して日澄が手に取ったのは真っ赤な塗料。満遍なく塗り付ければ、卵はあっという間に色姿を変えていく。それが乾いたなら、元の色よりさらに抜けるような白色を。
「それにしても、日澄さんはいつも予想できないような事をしてくるよね……」
 あっという間に赤は綻びのない完璧な白に隠される。
「この事実を知っているのは、私と貴方様だけになってしまいましたとさ」
 芝居がかった口ぶりで、日澄は共犯というやつですよと夜影へ小さく笑う。そして首を傾げた夜影の唇へ、先ほどまでの赤い塗料を――まるで、紅を差すように。
「あらあら、流石に赤の映えること」
 そう言ってくすりと笑う日澄のことを、夜影はまだよくわからない。
(でも、共犯……2人だけの秘密って思うと……)
 悪い意味のはずなのに。ほんの少しだけ、嬉しくなってしまうのだ。

 むにゃむにゃむにゃ。モアレはぱちりと目を開けて、それから閉じた。また開けた。
 寝ぼけているのだろうか? 雲の上に居る。あとは何処までも透き通った青空。
 もうひと眠りしようか、と頭を下げたモアレは触れたモノに視線を向けた。卵、卵、卵。いつの間に置かれたのだろう。その近くには何故かパンも転がっていて、美味しそうなそれに触ろうとしたら。
 もそり。
「……耳……長イ?」
 動いたそれへ再び手を伸ばし、抱き着くモアレ。ああ、暖かくてもふもふで。
 思いのほかじっとしている兎を抱きしめたまま、モアレは2度目の充電(睡眠)に突入したのだった。
 トワシーはバスケット片手に、少し歩いてはきょろきょろ。睡眠も食事も元より娯楽なのだから、より楽しく過ごせる場所で過ごしたい。
「……あ」
 その視線が留まったのは、メイメイと共に歩く黄色い毛玉に見覚えがあったからだ。向こうもトワシーを見ると目を輝かせ、走ってきて――コケる。
(不幸体質仲間……)
 自身も似たような体質故に、親近感が湧いてしまうというもの。
「あ、ピクニックですか?」
 そんな彼は目ざとくトワシーのバスケットを見た。話してもみたかったし、一緒にどうかと誘うとブラウが喜びに跳ねる。
「メイメイさんもご一緒して良いでしょうか?」
 ここで会ったのも何かのご縁。3人で僅かな、楽しいひと時を。
 ぽよよん、ぽよん。トランポリンのように雲で遊んでいたイーハトーヴは突然「あ!」と目を輝かせた。
「あっち! 可愛い、兎さんが、いた気がする!」
 跳ねるたびに言葉が途切れる。同じ方向を見たシャルルと共に、イーハトーヴは兎を追いかけ始めた。
「兎さん、どこだろう?」
「ふふ。張り切り過ぎて、へばっちゃわないようにね」
「大丈夫だよ!」
 自信満々なイーハトーヴ。だって休憩用におやつや軽食を持ってきているんだもの。あとでドーナツを食べるのが楽しみだ。
「シャルル嬢は何にしたの?」
「焼き菓子。そういう気分だったんだ」
 そっか、そうだよと返しながら2人は微笑む。さあ、兎に出会えるまでどこまでも――知らない景色も、夢の中のさらに夢へだって、冒険に行こう。
「柔らかい、場所ですね」
「ええ。落ちないように気を付けて」
 未散が先に。ヴィクトールは後に。手を繋いだまま夢の中で目覚めた2人はどこへとも決めず歩き出す。
 雲の切れ目があったら世界を見下ろせそう。楽しそうに歩く未散は、けれど奇妙にも場慣れしたヴィクトールにとってはほんの少し、危なっかしくも思えて。
「あの辺がギルドだったら、こう歩いて帰りますよね」
 下界を想像して歩く未散。追いかけるヴィクトール。その目の前をちょろりと小さな白兎が通りかかった。捕まえてみればベルベットのような触り心地に思わず撫でてしまう。
 けれど。
「……チル様?」
「別に。妬いてなんか、いませんものっ」
 座って白兎を優しく撫で始めたヴィクトールを見る未散の目は、顔は、どう見ても『自分を撫でてくれ』と書いてあるが如く。
 隣で(態度は)つんとしている未散の膝にもいつのまにやらずんぐりむっくりな誰かさん似の黒兎がのっかったのだけれど。そうじゃない。そうじゃないのだ!
 仲良く手を繋いだヴァレーリヤとマリアは一緒に探検へGO。盛り上がった雲の頂上にその先の風景。もしかしたら隠された通路などもあるかもしれない。
「頂上についたら景色を見ながらお弁当を食べて、すべり台みたいに雲を滑りますの!」
「いいね! 雲に乗るなんて夢じゃないとできやしないもの!」
 滑り台はちょっと怖いけれど、大好きなヴァレーリヤがそれで喜んでくれるのならば。マリアはそう心に決めてヴァレーリヤと雲を登っていく。
「すごーーい! これが現実だったら、ここにお家を建てたいですわね!」
「ここで2人平和に暮らす……うん、素敵だ」
 文字通りの夢物語ではあるけれど、と小さく笑う。雲の上には建てられないけれど、いつか2人の新居くらいなら。
「ところでマリィ」
「なんだいヴァリューシャ」
「……思っていたより、高さがものすごいですわ」
 見下ろすからこそわかる高さ。2人の喉がごくりと鳴るが、きっと大丈夫。夢だし。
「……あれ!? 本当に、本当に滑るつもりなのかい!?」
「雲が優しく受け止めてくれますわっ! マリィ、行きますわよ!」
「わ、わかったよヴァリューシャ!」
 こうして固く手を繋ぎ、顔を引きつらせながらも急速に滑り落ちる2人の姿はどこからでも良く見えたそうな。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 お疲れさまでした、イレギュラーズ。
 良い夢は見られましたか?

 それでは、またのご縁をお待ちしております。

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