シナリオ詳細
サナ・ギーク観光村だらだらフェスタ
オープニング
●だらけることならどこにも負けない!
お日様の下にずらっと並んだリクライニングチェア。
妙にかまぼこを推してくるハンバーガーショップ。同じくファミリー系レストラン。
広大な地底湖には釣り堀、足湯、顔出し看板。
「さあ皆さん、だらだらしましょう」
ここはサナ・ギーク観光村。かつて聖剣のあった村。
ちょっとだけ昔話をしよう。
この土地は誰にも抜けない聖剣があったとされ、一時期観光資源にされていた。しかし本当に抜けないしそれだけが取り柄だったせいで観光業が廃れ、行き場の無い流れ者だけが留まる寂れ村へと落ちぶれていた。
しかしそこで立ち上がったのが観光協会。彼らはローレットに復興を依頼し、ローレットから出撃したイレギュラーズたちはこの問題を見事に解決。
この村はなんやかんやあって、地底湖とそれを支える不思議な地底樹によって新たな観光業へと乗り出したのだった。
「とはいえ、まだ強みはカマボコ製造に適した地底魚がとれるというだけのこと。
この村に価値をイメージを定着させるべく、『だらだらフェスタ』を開催することにしたのです」
内容は簡単。
この村に只管沢山作っただらだらスポットにやってきて、とりまだらだらしようという企画である。
周りの人もだらけているし、天気もいいし、他になにがあるわけでもなし。
サーカスがどうの海がどうのとお忙しいその身、今日はこの村でゆっくりしてみてはいかがでしょうか。
![](https://img.rev1.reversion.jp/illust/scenario/scenario_icon/5087/043c2ec6c6390dd0ac5519190a57c88c.png)
- サナ・ギーク観光村だらだらフェスタ完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別イベント
- 難易度VERYEASY
- 冒険終了日時2018年06月11日 21時15分
- 参加人数50/50人
- 相談7日
- 参加費50RC
参加者 : 50 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(50人)
リプレイ
●ようこそ聖剣(木)の里へ!
祭り。カーニバル。フェスティバル。わっしょい。
気分は高鳴るハイテンション……とみせかけて、村は溶けたバターさながらのまったり具合であった。
「この街も持ち直したようで何よりじゃの」
こんな風景をみてこんな感想が出るのは、ビフォーを知っているデイジーならではである。最初はホームレス一歩手前のおじさんたちが焼酎片手に転がってたものね。
デイジーはリクライニングチェアに寝そべって、剣の前でぱたぱたと手足を振った。
「おー、良くきたのじゃゆうしゃよー。最近はこれが実は木だという話しが広まって聖剣チャレンジに挑もうとする者もすっかり減ってしまったにも関わらずよくぞ参ったのじゃー。妾はここでだらだらしながら意味ありげに声をかける感じのキャラ故、好きにチャレンジしていくと良いのじゃー」
さてさて、こちらはサナギーク観光村。
今日はのんびりだらだらフェアだ。
鶫もリクライニングチェアでまったりムードである。
「こういうのも一種の贅沢ですよね。……とはいえ。ただ単に寝続けるだけというのは、あまり性に合いません。こういう時は読書ですね。本を読みながら、ゆっくりと過ごしましょう」
そういって、鶫は本を取り出してのんびりお勉強タイム。
少し離れた所ではみつきが虚空を見てだらだらしていた。
「あー……」
何も考えず、何も目的にせず、気づいたら身体も頭もスリープモード。
「やりたいこと、やるべきことをやるのは素晴らしいことだけど……人間、『何もやらないことをやる』みたいのも、ときに必要だよな」
「んー……」
アートの問いかけに生返事をするみつき。殆ど寝ているらしい。
「退屈を感じるぐらいがいいのさ。それは俺の心と体が、まだ何かを諦めていないということだから」
マフラーに手を当て、アートもまた目を閉じた。
「あー……ぽかぽかでゆっくりやすめるー……こういうのもいいよね、カヤ……」
リトルは牡馬のカヤともふもふだらだらしていた。
「ん、くすぐったいなー、もー」
そんなふうにしていると、鷹さんやわんこもやってきて、蛇さんも控えめながらそばに寄ってきた。
みんなして、のんびりタイム。
「や、可愛い動物たちだね」
蛇も割といけるのか、ルチアーノが隣にやってきた。
「外敵も追っ手も気にすることなく、だらだらできるなんてね。最高の時間だよ。故郷では危なっかしくて出来なかっただらだらタイムを実現しようか」
それじゃあ失礼して、とルチアーノは帽子を顔に被って椅子に寝そべり始めた。
やがてすーすーと寝息らしいものが聞こえてくる。
そんな空間へやってきた黒羽は、途中で借りてきた安眠枕を手に苦笑した。
「ただただだらける……いつもの俺じゃねぇか。まぁ、せっかくの機会だ。だらだらとさせてもらうぜ」
右を見ても左を見てものんびりモード。
それに混ざって寝転んだとて、誰がとがめることがあろうか。
黒羽は椅子に寝そべり、ゆっくりと眠りに落ち始めた。
●暖かいのはいいことだ
密かに人気、足湯。
観光資源が謎の聖剣(木)と地底湖とかまぼこくらいしかないこの村が観光地として機能しているのは、こういう地味なまったりスポットが沢山あるからなのかもしれない。
「ここはいい村ですよね。『せいけんくんカード』を使うとお得なので、ぜひともご利用くださいませ」
自慢の紅茶を片手に、足湯につかってにっこりするSuvia。
なぜ自慢かって、他ならぬ彼女がレシピを作ったからである。
まあるく作られた浅い足湯に、カフェテーブル。
ニーニアとクロジンデが向かい合うようにして座っていた。
「だらだら観光ーそんな日も良いねー。ローレットの受付嬢やってたころは本部離れられなくて、意外と幻想の各地に行ったことって無かったからなー」
「ここがきっと天国なんだよ~」
テーブルには紅茶とチョコチップクッキー。
人はくつろぎにお金を払うもので、このちょっぴりかわった空間と時間にニーニアたちはご満悦のようだ。
「サーカス関連の事とか、いっぱい働いたし、今は自分へのご褒美に、この時間をいっぱい堪能しなきゃね」
「美味しいお茶にお菓子に足元を温める足湯ー。無限にゆっくり出来そうな環境ー。それじゃあ思う存分だらだらと行こうかー」
足湯(温泉)と聞いてやってこないコルザではない。
「足湯は良いものだね……そうだねえ、カマボコとか生かせるのならば足湯に浸かりながら美味しいお茶と温めたかまぼことか食べられるとより……ああ」
言ってるそばからおでん風のかまぼこやお茶が運ばれてきて、コルザはたちまち溶けたバターのようになった。
「前に建て直しに着た時以来だけど、頑張ってるみたいね」
コルザも結も、この状況の功労者。うれしさもひとしおなのかもしれない。
結はテイクアウトしてきたかまぼこバーガーやポテトチップスをテーブルにのせて、足湯に浸かってのんびーりしはじめた。
「はぁ~たまにはこうやってだらだらすると気持ちいいわねぇ」
「んあー……いいねぇ。足湯ってやっぱ最高。素材集めに鍛冶のお仕事。歩きっぱなしの立ちっぱなし、果ては足腰を使う力仕事というフルコースでくったくただったからねー。うん、最高。極楽。この買ってきたコーヒー牛乳も美味しいしー。もう、ずっとここに居たくなるかもー」
「シゴト トッタノ マスターデスケドネー?」
コリーヌが正宗くんと一緒に机に突っ伏してコーヒー牛乳にやられている。
「ふむ、意識してダラダラするって案外難しいよなァ。我ながら止まったら死ぬマグロみてぇだって思っちまった。俺はマグロじゃねぇぞ、うん」
一方のカフェテーブルで、レイチェルは頬杖を突いていた。
「……今までどうやってだらだらしてたンだ? 俺」
なんて言いながら、足下のお湯をぱちゃぱちゃしている。
テンションがちょっぴり上がっているのかもしれない。
上がるといえば、カシミアもなかなか上がっていたようだ。
「森の中を移動したり岩場を通り抜けたり木に登ったり、足がくたくたになっちゃう事があるから足湯でのんびりお休みするのは、足を休めるには丁度いい気がするんだ!」
そんなカシミアはお湯に足をつけて、しっぽや耳をだらーんとさせた。
「ふあ~~足だけなのになんだか気分が落ち着く~。たまにはこういうのも悪くないかもだね!」
そんなこんなで、足湯の風景。
マナは足をゆっくりつけて、のんびりとした時間を過ごしていた。
「これはとても気持ちが良いですね……足から身体が暖かくなるみたいです。温泉には入ると効能というものがあるようですが、こちらにもそういったものがあるのでしょうか……?」
明るくて暖かくて、どこかひっそりした空気。
「今度はお友達の方々ともご一緒したいですね……」
●ファミレスって単語の意味よ
サナギーク観光村がリニューアルする前から地味にあった施設。それがレストランである。
ゆーても、誰の注文にも応えられるようにあれやこれや揃えた結果ジャンルが広くなりすぎて『じゃあもうファミリーレストランでいいよ』となったのだが、リニューアルに際してその幅広さがウケたらしく、人が集まってだらだらするのにピッタリだった。
セララとハイデマリーもそんな具合で、ドリンクバーとポテトフライに興じていた。
「だからねー、マリーはもっと笑えば可愛いと思うの。笑う練習とかしよ?」
「は?」
「ほら、指をこうやって頬に当てて持ち上げて、にぱ~」
「笑顔はやろうと思えばできますよ。敵を欺く演技の一貫でありますし。違う?」
「そうそう、いい感じだよ!表情はオッケーだから、次は服とポーズだね」
「ポーズに何の意味が?」
「これとか、これとかどう?二人で並んでポーズ決めたら素敵じゃない?」
「……ワタシは軍人でありますが。全く、魔法少女というものになぜ其処までこだわるのでありましょうか?」
「え?何の目的でって?ほら、やっぱり魔法少女をやるなら可愛くないとね!」
「かわいいのはセララだけで十分……今のは失言でありますな」
一方のテーブルではホリが仲間を集めてだらだらしていた。次郎、ルー、クォである。
「街の喧騒もほぼ沈まりコレは、いいタイミングで休暇が取れたってわけだが」
「まぁ、ゆっくり、ここで時間潰すのもいいもんだしな。ぶっちゃげ、言っておこう。注文、何でもいいぞ」
「じゃあ、野菜サラダとかポテトサラダにしちゃうよー!」
「だらだらかー。おレ様に、丁度いいタイミングだぜ。こっちも、サラダにするぜ」
レストランのなかほどにあるカウンター席。ゴリョウは知人と共にだらだらと雑談を交わしていた。
「おめぇこの間サーカス撤退の旨聞いて『男二人で祝杯しよう』とか言ってたよな。性別どっちだよマジで」
ドリンクバーでだらりと選んだジュースを手に、まったりとした時間を過ごす。
「たまにはこうやってダラーっとするのも悪くねぇなぁ」
悪くないといえば、ドリンクバーで変な飲み方するひといるじゃん。あれも悪くないよね。
イリスはコーヒーと紅茶を半々にする変な飲み物を作ってから、テーブルへと戻った。エリスタリスが果汁飲料とお子様ランチを前にだらりとしたテンションを保っている。
「最近どう? 依頼とかさー。私は国民的美少女アピールしてきたけど全く相手にされなくってねー」
「わたしは最近行ったのですと、花や鳥さんの採集ですね。そろそろ海洋の方面への依頼も受けて様子を見てみたいなというのもあるのですが」
急な美少女アピールをスルーして、エリスタリスはストローでグラスをかき混ぜた。
「あー、水着コンテストもあるのよね、一緒に出ようよー。海洋主催だけど、あくまで水着コンテストなので、人間種のレギュレーションに合わせねばならないのよね」
「機会があれば……流石に姉様の(魚拓的な意味での)体格に合う水着とかないでしょうですし……」
といった具合に、家族(?)の会話を楽しんでいた。
ファミレスならではというべきか。
長くて短い日常の時間は、とろけるように過ぎてゆく。
●ハンバーガーショップで聞いた話
サナギーク観光村がリニューアルする前からあった飲食店は、ファミレスとカフェとハンバーガーショップ。中手もリニューアル後から特徴ができたのが、ハンバーガーショップである。
クリスティアンとリゲルは二人がけのテーブルで向かい合い、互いの間に二つのハンバーガーをはさんでいた。
「フォークとナイフがついていないようだが…」
「フォークとナイフは不要で、手で掴んで、かぶりついて、食べるのだそうです」
「なるほど、手掴みとはまたワイルドだね! 手袋が汚れてしまうな…」
「でもこのポテト、フォークで刺したくなりますよね」
「手掴みも悪くないが……確かに僕はフォークが欲しいね」
かまぼこの挟まったハンバーガーや変わった形のメニューに、二人は二人なりにはしゃいでいるようだ。
「如何でしょう、美味しいですか? 貴方と過ごす時間は、穏やかで落ち着きますね。貴族の世界に戻ったような……よろしければ、またの機会にご一緒できると嬉しいな」
「君のおかげで楽しい時間を過ごすことができたよ! ぜひまた、新たなる開拓をしようじゃないか!」
「たまには大ぐらいしましょう!」
渓がかまぼこバーガーを珍しがって、体重計との約束された悲劇に目をそらしつつたっくさん食べているその横で……。
「ぬけない聖剣……。ちょっと気になったような、そうでもないような。そうでもないですね。かつての過去として忘れてしまいましょう」
ミディーセラはハンバーガーが珍しいのか、周りの様子をみながら同じようにかぶりついている。
「そういえばこうやって、だらっとするのも久しぶりだな。元いた世界でも、街に魔獣が出たら急いで戦いに駆り出されてたし。授業中でも給食中でも行かなきゃなんなかったからトイレとか言ってこっそり抜けてたな」
チャロロは昔を懐かしみながら、ハンバーガーにひたっていた。
ミディーセラの視線に気づき、口を開けたままぴたりと止まる。
自分のまねをしていると気づいたようで、ハンバーガーの崩れない持ち方を教え始めた。
その一方、アグライアは。
「これは……ふむ。変わった食感ですね。けど嫌いでは無いです。肉よりは魚の方が食べ慣れているので、思わぬ収穫でしたね」
魚肉が気に入ったのか、かまぼこバーガーに満足げだ。
(味はそこまで変わってはいませんけれど、面白い食感ですね。幾つか買って、ついでに飲み物も注文して。ゆっくり過ごしましょうか……)
満足げなアグライアを横目に、ニアはサイドメニューフル装備でテーブルを楽園にしていた。
「よくよく考えたんじゃが。儂、依頼以外ではいつもだらだらしとるよな? ……いや皆まで言うな。よく考えなくても一目瞭然だろというツッコミは分かっておる」
ありもしないツッコミに対応しつつ、ポテトをつまむ。
「だがあれじゃ。息を吸うのと同じレベルの、即ち生理的現象めいただらだらと、意図して行うだらだらは全く以って別物だと主張したい。うむ、美味い……。意図して行う贅沢、所謂一つの自分へのご褒美的なだらだらというヤツは格別という事で。皆もやるといい。ただのごろ寝とは訳が違うぞぅ」
ひとしきり言ってみたがやっぱりハンバーガーショップはだらけるのに最高なようで、ニアはそのままくたーっとなった。
「この店はJKに人気だと聞いた。……どういう意味だ?」
「そりゃーよー、山猫のジョゼ(Katze,Joze)の略だろ常考」
カウンター席で横並びになるラデリとジョゼ。
「……ほう、そんな意味があったとは知らなかった。だがそれだと「JK」はジョゼであり、ジョゼに人気と言うことはお前以外にジョゼが……」
「あーあーキコエナーイ、ジョシコーセーなんて知らねーもん!」
ゆーても高等教育機関の存在する世界から来た女子くらい普通にいそうなので、彼らももしかしたらわざとわからないふりをして言葉遊びをしているのかもしれない。
さておき。
「山猫のジョゼはエタニティソウルでウハウハなんだよ、お宝見つけたり傭兵業極めたりでいろいろ活躍する予定なの!」
「……あぁ、あんまりジョゼがジョゼがと言い過ぎて面倒になってきた。まぁ、うん、女子高生と言うものが何かは知らんが、頑張れ」
あっちのテーブルは賑やかだなあという顔で、エリザベートとユーリエはテーブルを挟んでいた。
テーブルっていうか、メニューにあるハンバーガーが一個ずつテーブルに並んでいた。こっちもこっちで随分賑やかである。
「うー……言っちゃった、えりちゃんは食べないの?」
「私はユーリエでいいのですが」
一瞬すごいことを言ってから、エリザベートは端からハンバーガーを一つずつ食べていくユーリエを見つめた。
「少し頂ければ十分ですね」
どちらかといえばハンバーガーよりもそれを食べてるユーリエのほうが、という言葉を一旦飲んで、ユーリエのほっぺたについたケチャップを指でぬぐい取った。
●釣り堀ですごすタイム
「ここが、伝説の……聖剣、興味ある。わたし聖剣騎士だから」
セティアは当然という顔で湖に釣り糸を垂らした。
「きっとみんな聖剣を釣りたいから居るっておもう、たぶん。すごいがんばって釣ろうって思う」
『えぇ……』って顔で見ているMorgux。
全然釣れねぇなと言いながら無心で釣りをしていたら変な奴が隣に来た、という状況である。
「わたしセティア、こっちはカピブタのぶひ」
「ああ……」
「わたしも、釣りたい。釣り餌……ぱんつしかもってない」
「あ、ああ……」
「そういえばぶひが居た」
かぴぶたをロープに結んで、湖に向けて砲丸投げの構えをとった。
悲鳴、怒声、水柱。
その一切を遠い世界のものとして、フロウは無心に吊りを楽しんでいた。
「植物に支えられた地底湖、そこを泳ぐ魚……興味深いですね」
釣りは得意分野だが、今は純粋に楽しみたいようで、静かな緊張を噛みしめている。
こういうときは偶然の釣り仲間ができるもの。
隣ではクロバが黙って釣り竿を握っていた。
(そういえば、ここまで静かに何かするのも久々か……。この世界に来てから大体また戦い続けてたりしてたもんな……)
ちらりと横を見ると、フロウはのんびり水面を眺めている。底を泳ぐ魚が釣り餌を意識して泳いでいるのが、しだいにわかってくる。
やがて自分も水面や魚と一体となり、過去のあれこれが思い返されるようだった。
もう一方の隣ではカザンがどこか神妙な顔で釣り竿の先を見つめている。
いつかかるかわからないものをじっと待つ。いざかかったら急いで動かねばならぬ。そんな冷静と情熱のはざま的なやつに、楽しみを見いだしたのかも知れない。
フロウが隣の紙袋からハンバーガーを取り出し、静かに囓った。
青い日よけ帽子を被って、レストは地底湖への階段を下っていく。
胸に抱えたハンバーガーの紙袋。
等間隔にともされた明かりの先にあったのは、青白く輝く広大な地底湖の空間だった。
縁には安全用の柵がかかり、端では釣り堀が作られている。
レストはこの空間自体を気に入ったようで、ベンチに座って紙袋を開いた。取り出したハンバーガーを、珍しい景色を眺めながら囓る。
「あらあらあら~、結構イケるわね~」
釣り堀は釣り堀で独特の空気ができているようで、アーリアはお酒を飲みながら釣りに興じていた。
「それにしても待ってる時間って暇ねぇ。これはお酒が進むのもわかるわぁ……。飲みすぎて魚の食いつきに気付かなくならないよう、気をつけなきゃねぇ」
随分と酒が進むらしい。その横では悠凪が釣り竿の浮き具を見つめながら考え事にふけっていた。
勉学、恋愛、いまの目標。考えがぐるぐるしている間に、浮き具が大きく引いていた。
「「あ、魚が逃げた……」」
針をあげて、悠凪とアーリアは顔を見合わせた。
「いやぁ、探せばあるものなんだな、釣り堀」
汰磨羈は釣り竿を担いで地底湖を訪れていた。
「よし、この辺か」
ピンときた所に座り、釣り糸をたらす。
こうしていると昔を思い出すようで……。
(師匠と一緒に釣りをしていた時の事を思い出すな……)
あれも修行の一環だ、と言われたらしいが……。
ふと見ると、N123が不思議なことをしていた。なんというかちょっと表現しにくいのだが、本人的には――。
「海釣りだよ」
とのことである。
「だらけるって最高だよねぇ。ほら、公的にだらけられる機会ってそうそうないでしょ? いい機会だし思う存分だらだらさせてもらうよ」
世の中にはいろんな人がいる。汰磨羈はまあそんなものだろうと目をそらし、思い出の中へと戻っていった。
アズライールとヨハンは釣り堀に並んで座っていた。
「天使様とは思えないような光景ですがこーいうのも悪くないんじゃないですかねー?」
「釣りというものの存在は以前いた世界で存在をきいたくらいで、ボクはあまりよくわからないのですが……」
ヨハンさんはどうですか、とふってみるも、ヨハンは首を横に振った。
「僕はいいですよ、アズちゃんの横でのーんびり眺めてますっ!」
そうですか、と釣り糸のさきをじっと見つめるアズライール。
「のんびり楽しむことのできるものなのですね。釣りというものは、ゆったり過ごしたい時には丁度いいものなのかもしれません」
「えへへ~。別の機会でごはん食べたり観光にいったりはしてましたけどまさか行先が釣り堀で意見一致するとは思いませんでした」
また別の所では、雷霆がつれている獣たちに魚をやっていた。
釣り竿の浮き具が大きく引くや、傷跡から炎をあげて魚を引く。
そのそばでは、プティがぬこまくらを抱っこしてぽかぽかしていた。
「やー、たまにはのんびりするのもイイねえ! ちょっとお昼寝したりしてさ。世界の危機だーって言われて呼び出された身だけどさ、けっこー頑張ってるし、たまには予言も忘れてこーゆーのもイイよね」
「ああ、平和は善い。心身を休ませ、英気を養い、次の戦いへの活力となる。だからこそ、この村も守らなければな。うむ。戦う理由にもなるとは、やはり平和は善いものだ」
再び水面に糸を垂らして、彼らは穏やかな時間を楽しんだ。
サナギーク観光村の平和で静かなお祭りは、もう暫くの間続く。
世間のトラブルとは、まるで別世界であるかのように。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
おかえりなさいませ、皆様。
ゆっくり過ごすことは出来ましたでしょうか。
この先も大変な戦いが待っておりますが、たまにはお休みするのも、大事なことでございますね。
※リプレイでの名前表記
最近、PCのファーストネームが先頭・末尾のどちらかわかるようになったので、設定されたファーストネーム側のほうをリプレイでの基本表記としています。
ただ、中には洋式として登録したつもりでも初期設定画面で誤って『和式』を選択してしまった方もいらっしゃると思いますので、そういった方はプレイング・通信欄・ファンレター諸々でお知らせ頂ければ対応いたします。
GMコメント
せいこうじょうけんは『だらだらすること』です。
突然ですが、キャラクターの皆様は普段どんな側面を依頼で見せていますか?
激しく戦うさま、シリアスに他人を説き伏せるさま、悲しみや恐怖にあらがうさま。どれも素敵な一面ですが、以外とあんまり見えていないのが『だらーっとしたとき』でございます。
お休みの日とか、部屋に寝転がってお菓子とか食べる姿をとんと見かけませんね。けれどなにげに、そんな『だらだら』もキャラクターの魅力のひとつであったりします。
今回はそんな一面を、一緒に楽しみましょう。
●だらだらすぽっと
キャラクターの皆様には村のあちこちでだらけていただきます。
その中で『このスポットにいるところを描写してほしい』という選択をして下さい。実質的には他のあちこちに行っていたとしても、描写するのはそのスポット部分のみというカタチです。
以下にスポット名と内容を解説していきますので【スポット名】をプレイング冒頭にコピペしてください。
(※スポット名がなかったらできるだけ察しますが、最悪迷子になるおそれがあります。ごちゅういください)
『ハンバーガー店』
ハンバーガーとポテトとしゅわしゅわ飲料が楽しめる飲食店。
よくJKがダラダラしている。JKってなんだろう。概念?
メニューとしては牛豚合い挽き肉のハンバーグを挟んだものが一般的ですが、変わり種として『かまぼこバーガー』なるものがあります。
もにゅもにゅしてて案外ウマいとのこと。お試しあれ。
『ファミレス』
ファミリー系レストランの略。子供から大人まで幅広く楽しめる浅くて広いメニューを完備しています。よくみんなダラダラしています。
広いテーブルとソファーが魅力。ドリンクバーを注文するとひたすらそれだけで時間を過ごしてもOKという緩さも兼ね備えたお店です。
『釣り堀』
おじさんに人気。つりぼり。
『足湯』
ひそかに人気。足湯。
『せいけん広場』
野外用のリクライニングチェアがあるので、ここでだらっとできます。
『その他』
あんまり想定してないんですが、他にもこういうことしたいよって方のための枠です。場合によっては他のスポットに混ざったり、あまりにヘンなことだと行動そのものができなかったりするのでごちゅういください。
【ペア・グループ参加】
どなたかとペアで参加する場合は相手の名前とIDを記載してください。できればフルネーム+IDがあるとマッチングがスムーズになります。
『クソザコ美少女(p3n000015)』くらいまでなら読み取れますが、それ以上略されてしまうと最悪迷子になるのでご注意ください。
三人以上のお楽しみの場合は(できればお名前あって欲しいですが)【フィリピン爆竹研究会】みたいなグループ名でもOKとします。これも表記ゆれがあったりすると迷子になりかねないのでくれぐれもご注意くださいませ。
【アドリブ度】
通常シナリオに比べて描写量ひかえめ、アドリブ控えめでお送りします。
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