シナリオ詳細
<Autumn food>楽しもう!! ネッスタンバーン牧場!!
オープニング
●年中無休・入場・駐車場無料
幻想南部。アクセス便利なネッスタンバーン牧場。広大な自然と様々な動物たち、牧場でしか出来ない体験が皆様を待っています。また、9月23日から秋限定のソフトクリームを販売致します。
「──らしいですよ」
すらすらとパンフレットの文字を読んでいるのは、『ロマンチストな情報屋』サンドリヨン・ブルー(p3n000034)。見渡せば、ローレットには沢山のイレギュラーズが集まり、楽しそうにお喋りをしている。
「あっ! ネッスタンバーン牧場では馬刺しと乗馬が楽しめます!!!」
サンドリヨンはじゅるりと涎を拭い、にっこりとほほ笑んだ。
「僕、牧場は初めてなのですが、皆さんはどうですか?」
サンドリヨンは尋ねながら、一人一人にパンフレットを手渡し始める。
●パンフレットを見つめるイレギュラーズ達。
「乳搾り体験もあるんだね!」
誰かがわっと叫んだ。
「ヤギとヒツジのふれあいコーナーもいいなぁ! 私は此処でまったり過ごしたいなぁ」
誰かがうっとりする。
「うさぎさんとモルモットさんもいるみたい!!! 私は膝にうさぎさんを乗せたいな♪」
「食欲の秋だしさ! ボクはサンドリヨンさんと一緒に馬刺しを食べるぜ。屋外席もあるみたいだから綺麗な空気を感じながら、沢山、食べるんだー! なんだ、馬肉のしゃぶしゃぶもラム肉のジンギスカンもあるじゃんか、最高ッ!」
「うーん……あたし、お肉食べれないなぁ……」
「大丈夫! パン屋が近くにあるよ。パンフレットでは、焼き立てのパンが食べられるみたい! おっ! チーズフランスパンと自家製バターにしよ、私は!」
「俺はソーセージ作りにするわ!! 茹でたソーセージをマスタードとケチャップで食べるのが好きなんだぁ~!」
「いいね、いいね! 釣堀もあるじゃんかぁ!! おい! ニジマス釣りまくって、塩焼き大会をすっぞ!!!」
誰かが叫び、友人の肩を嬉しそうに抱く。
「あら、夜の牧場で打ち上げ花火なんてものがありますよ……これはカップルにぴったりです。ソフトクリームを食べながら花火を見る……あ~~~、萌えますねぇ」
- <Autumn food>楽しもう!! ネッスタンバーン牧場!!完了
- GM名青砥文佳
- 種別イベント
- 難易度VERYEASY
- 冒険終了日時2020年10月11日 22時21分
- 参加人数44/∞人
- 相談7日
- 参加費50RC
参加者 : 44 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(44人)
リプレイ
●
レストラン お肉の国でジンギスカンを嬉しそうに頼むチャロロ。
「わ~既に美味しそうな匂いがする!」
「チャロロ殿はジンギスカンがお好きと見た」
頼々が声をかける。
「好物だよ、オイラの住んでたとこではタレに漬けこむのが主流だったけど、生ラムもおいしいんだよね!」
「実際、肉なら鳥とかだろうと思っていたが、ならば我もジンギスカンを!」
二人前のジンギスカン。二人は無言で焼けた肉を箸で掴み、タレにくぐらし、一気に頬張る。
「おいしい! 野菜はしゃきしゃき、ラム肉はやわらかいし。これはごはんがいくらでも進むよ……」
幸福顔で白米をかきこむチャロロ。
「ふふふ……やはり肉なら馬とラムであると昔から思っておったのだ。初めて食べたが産まれる前から思っておったからね、我」
どや顔の頼々。二人は空っぽの茶碗を楽しそうに従業員に突き出す。
「どれ、今度は馬刺しをば……む、うまい! これで鬼共をしばきあげるに不足ないコンディションを維持出来る! チャロロ殿、たてがみがとけおった、それに赤身もうまい!」
「え、本当だ、うまい!」
チャロロは笑顔を向ける。
牛に近づくエクレア。
「今日は大型哺乳類のナニをソレすればミルクが得られると聞いてね、僕の内なる知的好奇心に負けてしまった。白濁した体液を噴き出させだけのこと、痛くはしない」
異形朋友で牛を落ち着かせる。
「初体験時は皆、三流以下の実力。経験がその者を昇華させるのだよ。おおう、たくさん出てきた。え、驚くなって? いや、この勢いは驚くよ。だが、それもいい。枯れるまで搾ってあげよう。言葉が卑猥に聞こえる? 君の心が穢れているのだと推測するよ僕ぁ」
笑う顔にミルクが跳ねる。
幽魅の前にはうさぎとモルモットのパラダイス。
「わっ……わぁ……! まるまる……もふもふが……いっぱい……! レジーナさん……ふぁ……あぁ……モルモットが寄ってきました……! んっ……!」
幽魅が尊さに下唇を噛む。
「ゆみみたいに可愛い動物ね。モルモットといえば、よく実験動物として使われてるとかいうあれね。初めて見たのだわ」
「あっあっ……可愛いです……!」
「ゆみ、そのモルモットを抱えてみてちょーだい。うん、そのままキープ」
キョトン顔の幽魅とシャッター音。
「あっ……写真……!」
「上手く撮れたわ、ゆみとモルモットのコラボレーションね」
「それなら……うさぎさんを……レジーナさんの……頭に乗せるのは……どうですか……?」
「コラボレーションね。なら──」
女王がギフトで遣いを召喚し、カメラを預ける。
「わぁ……!」
「ゆみも入りなさい、一緒にもふもふしてあげるから。それに拒否権はないのだわ?」
(たまにはイベントに参加してみるのも良いわねぇ。ええ、何のために戦ってるのか。こうして実感してみるのも、良いと思うのだわ)
鳴り響く、シャッター音。
白馬に乗ったリゲルがポテトに手を伸ばした。ただでさえ格好いいのにリゲルはまるで王子様のようだ。見惚れてしまう。
「ポテト、俺は鮮やかな紅葉にチンチラ耳のドレスが脳裏に浮かんだんだ。だから、今日は乗馬に勤しもう」
ぐいと逞しい腕に引き上げられ、優しい白馬にまたがる。
「怖くはないな、めるちゃんだからか?」
「うん、とても優しい子だね」
リゲルは笑い、手綱をポテトに。
「え、私が手綱を握るのか!?」
「大丈夫、難しければ俺とめるちゃんがサポートするよ」
後ろから抱き包むようにポテトの手に手を添え、囁く。
「行くぞ」
めるがそっと歩き出し、やがて、軽い駆け足。
紅葉がとても美しかった。
「いつか君と、軽やかに乗馬を楽しんでみたい」
「ああ、リゲルが教えてくれるなら」
「ふふ。多少、スパルタになるかもしれない」
「え、え?」
「大丈夫さ、君を傷つけたりはしない。俺を信じて、俺についてきてほしい」
「リ、リゲル! 不穏な言葉とその微笑みは何なんだ!? うぅ、リゲルがびっくりするぐらい、早く乗れるようになってやる!」
その言葉にリゲルは愛おしそうに笑った。
ゴリョウは腕捲りをする。体験するのはソーセージ作り。
「よし! いっちょ、勉強するぜ?」
異世界割烹『ゴリョウ亭』を思いながら、混ぜた材料を腸詰めする。
「長さは食べごたえを考え、ばらばらにしてみるぜ」
ねじり、一本をボイル。真剣な顔で時計と鍋を見つめ、ボイル後に氷水で急速冷却。
「よっしゃあ、まずは一本! んっ、何も付けなくても旨いぜ! だが、オーロラソースはどうだ? おおっ、最高に合うぜ。だが、調味料をコチュジャンにすれば、ウイスキーやワインにも合うかもなぁ!」
ぐつぐつとだし汁が煮える。イーハトーヴは迷いながら、しゃぶしゃぶを選び、リュカシスは馬肉メニューを両方頼んだのだ。
「イーさん! しゃぶしゃぶの肉がとっても柔らかくて手が止まりません!」
リュカシスは目を輝かせ、夢中でしゃぶしゃぶ。
「うん、ポン酢のお蔭か何枚でもいけちゃうねぇ」
「ね! そして、今から赤身とたてがみを一緒に食べます!」
「いいねぇ」
「うん、美味しい」
リュカシスは叫び、笑顔のイーハトーヴを見つめる。
「イーさん、触れ合いコーナーにも行きたかった? 動物好きですよネ?」
「うん。でも、俺、今、とっても楽しいから大丈夫! ひとりだとね、しょっちゅう食事を抜いちゃうんだけど、君が美味しそうにごはんを食べるから、俺も嬉しくなって、沢山食べれちゃうんだ」
ひょいと馬刺しを頬張るイーハトーヴ。
「美味しいよ、馬刺しも」
「へへ、嬉しいな。イーさん、これからもたくさん一緒に遊びに出かけましょうネ」
「うん! いつもありがとう、リュカシス!」
「こちらこそ! 今度は可愛い動物広場へ行きましょうね」
「だね、何度も牧場を楽しみたいな!」
釣り堀近くの調理場でメリーはひたすら、ニジマスをさばく女を眺める。
「あんたも飽きないね」
「そうね。かれこれ、三十分は見ているかも。なんていうかね、生き物が食べ物になるところを見るのが好きなのよね」
「物珍しいって?」
「ううん、自分が強者の側だって実感できるから」
「ふーん? 捕食者なわけね」
女はニジマスを焼き始める。
「ふふーん、今日は唐揚げなの♪」
手のひらサイズのチシャ。楽勝と笑いながら、釣り堀にいくらを落とす。
「いたなの!」
ニジマスの背を掴んだが、暴れまわるニジマス。引き込まれる。
「ごぼごぼぼ、んががが、ごぼごぼごぼご」
鼻と口から気泡をぽこぽこさせながら、必死にニジマスにしがみつく。
(意識が遠退くなの!)
その瞬間──
「ニジマスをゲットしたわ!」
魚取り網を持ったメリー。網の中には五匹のニジマスとチシャ。
「わー、助かったなの!!」
叫び、鼻から水を吹き出すチシャ。
「これぞ、強者ね!」
それから、嬉しそうに唐揚げにかじりつくチシャ。
「尻尾も背びれもサクサクなの♪」
「ニジマスにしてはやるじゃない」
メリーが笑う。
修也はうさもるコーナーに狙いを定めた。
「一瞬、乗馬に浮気しかけたが、ここにいくしかない」
真面目な顔で眼鏡のブリッジを上げ、天国に舞い降りる。ぴくりとするうさぎたち。修也はすぐに触りたいという煩悩を抑え、地面に座る。
(早速、来たな! だが、すぐに手を出すのは素人だ)
フラッシュする眼鏡。うさぎは修也を気にしている。
(くっ、可愛いではないか! いいのか、今なのか? おおっ!)
うさぎが修也の前でびろーんと四肢を伸ばしている。
(おさわりタイムということだな!)
低い位置からゆっくりと目の下を撫で、背中を撫でていく。
(ああっ……!! 柔らかくて温かい……)
シルフィナはうさぎを抱く修也を見た。
(はうわぁ!? 私ももふもふしたいです。でも、焦ってはいけません)
シルフィナは目を瞑り、深呼吸。
(サンドリヨンさん、貴方に感謝します)
シルフィナは警戒されぬようにそろりそろりとうさぎとモルモットに近づく。
(あ、逃げちゃいました……)
しゅんとするシルフィナの膝に飛び乗るキラキラおめめのうさぎ。
(ぬぁーー!)
そっと撫でて、無心でモフモフモフモフモフモフ&ゆっくりとだっこ。
(今度は!)
シルフィナはモルモットのおでこを撫でる。
ソフィラが白馬を撫でている。
「リュグナーさん。このお馬さん、温かくてお日様と青草の香りがするわ」
「砂糖色のめるちゃんだ。彼女は温厚だという」
「そうなのね! めるちゃん、どうぞよろしくね?」
「我もよろしく頼む」
つられ、呟くリュグナー。
白馬は二人を乗せ、ゆったりと進む。
「此度は手では無く、体にでも捕まるといい。どうだ、自分の足以外で動く感覚は?」
ソフィラの初めての乗馬。リュグナーは彼女が落ちぬよう、気を配る。
「ふふふ、お尻の下が揺れるのって変な感じ。あらあら!」
僅かに揺れ、リュグナーはひやりとしたが自身の体に伝わる重みに小さく、安堵し、口を開いた。
「貴様が見上げているのは冷たい水のような空とその下には紅葉」
「紅葉? 色は辛いものを食べた時と同じかしら?」
「そうだ、色は赤と黄色。激辛と中辛の色だ」
「とても鮮やかな色。ねぇ、リュグナーさん、あっちには何が見えるのかしら?」
楽しそうに指を指すソフィラ。
乗馬が終わり、めるにお礼を言いながらその顔を撫でるリュグナーとソフィラの姿をサンドリヨンが微笑ましい表情を向けたのだ。
「透さん、バニラ美味しい?」
虚之香は紫いもとリンゴのソフトクリームを食べながらふわふわ広場に向かう。
「ボクのはね、不思議な味っていうか、濃厚で秋の味がするよ」
「へぇ? 姐さん、一口食べるッス?」
「ありがとう、美味しいね! 湯処「たらい屋」の慰労旅行のつもりだったけど、のんびり出来て良かったね」
虚之香はソフトクリームを急いで食べ、白ヤギとヒツジを見た。途端にヤギに囲まれる虚之香。
「んっ!! 可愛いよー!」
虚之香は舌でペロペロと手を舐め、額をすりつけるヒツジに悶絶する。
売店には二人の美女。
「薫さんはどれになさるの?」
「フィーネ様、わたくしはチョコレート味をカップでお願い致しますわ」
「なら、同じものを」
フィーネは微笑み、二つのカップを手にベンチへと薫を促す。
「フィーネ様」
座り、ソフトクリームを食べる薫。
「様々な催しをご用意なさっているのは存じてますわ」
「貴女も来てくれたものね」
「でも、何故、催しを?」
「賑やかで美しいものが好きなの。薫さん、貴女はこんなあたくしをどう思って?」
フィーネは薫の肩に自らの頭を預け、笑う。
「牛ってけっこうデカイのね」
数子がぼやいていると、蛇紋天が牛に近づく。
「蛇紋天、慣れているな」
たまたま居合わせたベルフラウ。
「故郷が相当な田舎だったゆえ、見慣れてはおるが触れるのは初めてじゃ」
蛇紋天の言葉に頷きながら数子がベルフラウの後ろに並ぶ。
「言っておくけどビビってなんかないわよ!!」と数子。
「ふふ、それじゃ失礼して……わっ! 牛の乳首でっか、血管浮いてますやん。あっ、やわらか……指が沈んでいく!」
蛇紋天が目を輝かせる。
今度はベルフラウの番だ。
「おお、温かい……いつもはただ飲むだけだが、今、まさに生命の恵みを感じるな。骨を強くするべしと苦手な牛の乳を良く飲まされたものだが、こうして体験すると愛着も湧く」
目を細めるベルフラウ。
「二人共上手ね」
感心し、数子はおっかなびっくりで乳を絞る。
「出たわ! 牛さんもおとなしいし、案外可愛い生き物なのね」
「二人は乳を使ったもので何か好きな物はあるか?」とベルフラウ。
「こっちに来てからなんじゃがトロットロになったチーズを刃物でそぎ落としていただくやつ。あれ、めっちゃ美味かったんじゃ~」
「じゃもちゃん、意外とオシャレなもの食べてるのね」と数子。
「ラクレットというやつだな! そしてだな、私は加工したものが好きなのだ」とベルフラウ。
「私もチーズとかパンナコッタも好き! 牛乳使ってるお菓子も大好きよ! それにお風呂上がりにクーッと!」
牛乳を飲む真似をする数子。
「ふははは! では、ヨーグルトを風当りの良い場所で一緒に頂こうじゃないか」
「賛成、絶対美味しいわ! 早くヨーグルトを食べに行きましょう!」
蛇紋天が数子の言葉に頷き、数子とベルフラウの腕を掴む。
「ねねね美咲さん、この元気な子にしよーよ!」
ヒィロは太一を指差した。驚くスタッフ。ヒィロと美咲は喜ぶ太一に挨拶し──
「美咲さん、ボク後ろ! 後ろに乗りたーい!」
「うん。手綱は私が持つから、ちゃんと捕まるのよー」
「うん! こうして、あったかい美咲さんに抱き着くの……えへへ」
「ふふふ。ね、ヒィロ。私にはこの視界は想像より高いかも」
「ボクがいるから大丈夫だよー!」
「ありがとう」
スタッフにいたずらをする太一。くすくす笑う二人。
「美咲さんの温もりを感じてるのもあってね、景色がとっても素敵!」
「ヒィロったら」
「えへへ」
「特有っぽい揺れはあるけど、この子も気にしてくれてるのかな?」
美咲は太一を撫でる。
「二人で来れて本当に幸せ」
ヒィロは美咲の背に顔をすりすり。
「ふふ、私も」
(横向きになれば、私も一緒の感じがより味わえるかな? えっ? 後ろから楽しそうな音が!)
振り向けない美咲。太一とヒィロは互いの尾で遊んでいる。
「勝負を挑まれた以上、ボクだって負けないよー! 背中がくすぐったいー!」
ヒィロが笑いながら、ぐるぐると尾をまわしている。
「行人君、髪を纏めるのかい?」
アントワーヌが行人に声をかける。
「乗馬で巻き込んだら危ないからね」
「そうだね、お互いの為にもそれがいいかな」
アントワーヌは白馬を前に輝くような挨拶をし、行人を見た。
(本当は私が先に乗って行人君を引き上げてエスコートしようと思ったんだけど、行人君は背が私より大分高いから、めろ君の上から乗せてあげるのは難しそうかな……)
考えていると、白馬にひらりと行人がまたがる。
「おや」
「さて王子様、この旅人の手を取っては頂けないかな?」
笑みを薄っすらと浮かべる行人。
「勿論だとも、旅が好きなお姫様」
微笑み、手に触れるアントワーヌ。
(行人君の手、暖かくて大きくて安心するなぁ……)
「一緒に短い旅を楽しもう」
行人に引き上げられるアントワーヌ。
めるはスタッフに引かれ、ゆっくりと進む。
「ああ、紅葉が奇麗だ」と行人。
「ふふ、そうだね。お姫様、あの青い鳥が見えるかな?」
「枝に止まっている子かい?」
「そう、とても幸運だね。おっと、太一君かな?」
アントワーヌと行人は擦れ違う美咲とヒィロに手を振った。
「結構可愛いね」
うさぎとモルモットを見つめるティア。
『追い掛けたりせん様にな?』
神様が笑う。
「大丈夫だよ」
「ティア様、この子達は、随分と慣れておりますね。拙にも臆することなく寄ってきます」
雪之丞が言い、モルモットとうさぎの頬を撫でる。
「そうだね」
ティアはそっと屈み、うさぎの背を毛並みにそって撫でていく。
「ティア様も、楽しんでいるようですね」
「うん。おっととっ!?」
びっくりするティア。数匹のうさぎがよじ登ろうとしている。
「ティア様、大丈夫ですか?」
雪之丞が咄嗟にバランスを崩したティアを抱き留める。触れる、ティアの翼。うさぎとモルモットは不思議そうに雪之丞とティアを見上げている。
『意外にヤンチャだな』
「ありがとう、大丈夫だよ。んっ!」
「あ、すみません。思わず、翼を撫でてしまいました。触っても、大丈夫でしたか?」
手が喜ぶほどにティアの翼はもふもふである。
「んん、触るのは別にいいけど……」
「そうですか。では、遠慮なく」
「あっ、ちょっと……」
ティアがぎゅうと雪之丞の服にしがみ付く。そう、その翼は少し敏感であった。
ヨゾラはレストランにいる。
「牧場いいなぁ、領地にも建てられないかな……今は余裕ないけど」
まずは馬刺しを食べる。
「んぐっ!! 赤身のお肉もとろとろたてがみも……肉厚でおいしーい!」
醤油が味を引き立てる。
「しゃぶしゃぶもいただくよ。へぇ、お肉をお湯にくぐらせて、程よく火が通ったら食べるんだね……こうかなー。んっ、こっちもおいしーい! 最高ー!」
楽しそうに笑う。
「ジンギスカンも後で食べようっと。いやー、牧場って良いねぇ! あ、サンドリヨンさんも一緒にどうかな?」
雨紅は暇そうにしている黒馬を知った。
(馬は随分前に乗ったきりなうえ、ゆっくりとできる状況ではなかったですね)
「ゆったり乗るというのは、一体、どういう感覚なのでしょうか」
呟き、雨紅は黒馬のりょうに乗った。
「大丈夫かい?」とスタッフの男。りょうは何度も止まる。
「ええ、馬の気持ちに合わせつつ乗ってみるつもりなので。早く走る馬の頼もしさも好ましいですが、こうやって馬の気持ちを感じつつ行くのも楽しくて良いですね」
雨紅はりょうの頭に止まった蜻蛉に笑い、景色を楽しんでいる。
「おお……」
フラッフルはうさぎとモルモットを見つめ、声を漏らす。
「ここがこの世の楽園だろうか。んふっ!!」
抱っこをせがむうさぎ。
「気が早いのではないか! この様子じゃ噛まないし蹴らないな?」
丸くてふわふわしていて、前に見かけたパンのよう。ごくりと喉を鳴らす。
「待て待て、まず握手からだ!」
「わ~、かわいいぞ!」
散策中のモモカがモルモットを見つめ、目を輝かせる。
(まるくて脚がみじかくて……つぶらな瞳でこっちを見て……)
「そっちに行ってもいいのか?」
「うん、触れ合いコーナーだからね」
フラッフルの言葉にモモカがうさモルコーナーに入る。
「失礼するよ」
フラッフルが指先でうさぎの手に触れる。
(ふはぁー!)
可愛さにエビ反りするフラッフル。少しイヤな顔をされた気がするけど、多分この感触は一生忘れられない。
「アタイも触ってみるぞ。ふあっ、もこもこもちもちで心地いい……これが癒されるってことなのか? 今ちっちゃい声できゅーって鳴いたぞ……かわいい……なぁ、アタイの腕痛くないか?」
モモカは心配するがモルモットは眠そうに目を瞑る。
見目は美しく優雅な夜の華、ではあるけれどルイビレットは極度のかわいいもの好きなのだ。
「ふあ、ふあああ……小さい、軽い、ふかふか、もふもふぅぅぅうう……!」
うさもるコーナーの端の方でルイビレットはうさぎとモルモットの大群を膝に乗せ、背中の匂いをゆっくりと嗅いでいく。
「あああ、駄目だ。癖になる……んんん、可愛いは、正義……!」
とろっとろの表情。
「ふふ、可愛くて堪りませんよね」
シルフィナの言葉に一瞬、真顔になるルイビレット。だが、その顔はすぐにデレデレとなる。
オーガストが指を指す。
「クライムさん、あそこで乗馬体験が出来るみたいですよ。この「竹馬達人」と呼ばれた魔女が華麗に乗りこなしてみましょう」
走っていくオーガスト。
「竹の馬と馬を一緒にするとは……」
「クライムさん、ほら、早く早く! 脱兎のごとく、逃げちゃいますよ!」
「脱兎? いや、何がだ?」
太一にまたがるクライムと初乗馬のオーガスト。
「ほぉ? 俺が乗っても潰れぬ馬とは中々丈夫だな」
「おっ、落ちないように手を絶対、離さないでくださいっ」
「あ、ああ」
「わわ、歩き出しましたっ! これから素敵な景色がっ!? ゆ、揺れる、ふらつく、お尻が痛い! このままじゃお尻が木っ端微塵に!」
(この魔女……やかまし過ぎる)
「少し揺られて反省しろ」
「そんなぁ! あ、あそこ、紅葉ですよ。え、太一さん、わざと揺れを大きくしてます?」
「ふふ、かもな」
笑うクライム。
「えー? あ、あの! クライムさん、今日は付き合っていただきありがとうござあ痛ぁっ!? 今の段差でお尻がっ!」
「まったく、鬱陶しいもんだ」
クライムは言いながら、穏やかな表情を浮かべる。
朔が凛太郎の腕に触れる。
「遊びに来たなら色々やろうじゃあないか、もっちーくん!」
「ああ! 今日は誘ってくれてありがとな」
凛太郎は笑う。
朔が乗馬スタッフと話す。
「もっちーくん、私達はこの子だってさ! ほら、私の後ろに乗って。落ちそうなら捕まってもいいからね」
黒馬のりょうにまたがる二人。
「い、意外と高いんだな!」
初乗馬の凛太郎。
「うん。ほら、私に捕まって」
手綱を握り締める朔。とても慣れている。
「つ、つかまるって言ってもな……で、では失礼して……」
(うっ、腰が細い……)
「楽しいしデートみたいだ……」
凛太郎が呟く。
「デート? ハハ、そんな――……。む、たしかに、そうかもしれない。こ、こういうのがハジメテだったらごめんね」
「なっ!? 朔姉まで照れるなよ、恥ずかしいだろぉ!! そ、それに! 謝るなよ、その、朔姉なら別に嫌じゃないというか……」
「う、あ……あ、あとで、ばばば売店でソフトクリームでも一緒に食べよう!」
「そっ、そそそそうしよう! なんだか暑いしな!!」
「うん! あー、汗掻いてきた! 喉もカラカラだね!」
夜。ソフトクリーム型のライトがベンチの横で柔らかく光っている。そこにはカップを持ったボタン。微かに冷気を帯びた唇が秋限定のフレーバー、チョコレート、バニラを味わう。
「美味しいですね……冷たい甘味のなかでも氷菓子はトクベツです。冷たい温度と反対に、身体がつくられていくような、元気がわきあがるような……」
「分かるよ。あたしも元気を出したいときに食べるもん。はい! バニラソフトクリーム、ワッフルコーンだ」
売店の女が微笑む。頷けば、澄んだ空に花火がドンと上がる。
「花火が上がったな」
世界がバニラとチョコを手に、花火を楽しんでいる。テーブルにはバニラとチョコがもう一本。
「美味しいな。何度、食べても飽きない魅惑の食べ物だ」
あっという間に完食し、今度は紫いもとリンゴのソフトクリームをチョイス。
「正直あんまり合わなさそうだと思っていたが、強い紫いもの甘みをリンゴの酸味が綺麗に抑えてちゃんと纏まった味になってるな。若干舌触りが気になるが……そこは慣れか」
世界は何食わぬ顔でバニラとチョコを五本ずつ注文し、珍しそうに空を見上げる。
「マルベートさん、食べると美人になるお肉だって!」
メニューを見つめるソア。
「ふふっ、これ以上魅力的な名前のレストランはそうはないね。で、どうするのかい?」
「ん~……決められないから全部食べるんだ!」
「ああ、食べ尽くしてあげよう!」
「あ、赤ワインだ!」
目を丸くするソア。
「肉には赤。持ってきてしまったよ」
グラスを手渡すマルベート。
「馬刺し、美味しい! ワインに合うね!」
「獣のように貪りたくなる味だ」
和やかな歓談。優雅に獰猛に、スタッフは機敏に。
「このしゃぶしゃぶ、旨味がぎゅっと詰まってる!」
「だね、柔らかくてするりと落ちていくね」
マルベートがグラスを傾ける。
「とっても、命を感じるんだ!」
香ばしい焼肉をあむあむするソア。巨体の虎に戻っていた。
「美味しくて顎が疲れることはないね」
「うん、タレを変えながら幸せを増やしていこう!」
「全く夢のような国だね」
笑うマルベート。
「マルベートさん、今日の私はお行儀よく食べられたかな?」
夜のレストラン。笑うソア。
「ああ、素晴らしかったよ」
目を細めるマルベート。花火の音が聞こえる。
夜、ルチアーノが売店のベンチにノースポールと座る。乗馬もニジマス釣りも楽しかった。
「んん~♪ 大好きなチョコが濃厚で美味しい! ルークのどんな味?」
ノースポールはワッフルコーンのチョコを片手に笑う。
「絶妙な味わいだよ」
ワッフルコーンのバニラに目を細めながら互いに食べさせ合う。
「チョコも濃いのにさっぱりしてて幾らでも食べられそう!」
「ね♪ バニラも気になってたから食べれて嬉しい!」
微笑み、甘い時間を過ごす。
「わ、ルーク、見て! 秋に見る花火も、綺麗で素敵だねっ」
立ち上がるノースポール。
「そうだね」
そっと後ろから抱きしめる。
「ルーク?」
「ごめんね、ソフトが溶けそうだけどポーを放したくないんだ。溶けたら舐め取るからさ。ね?」
「う、うん……ひゃっ!? あ、ルーク……」
ノースポールの手首に流れていくソフトクリーム。
「大丈夫、奇麗にしてあげるよ。んっ……ご馳走」
満面の笑みで開放するルチアーノ。
「熱くなっちゃった? ソフトをお代わりするなら奢るよ!」
「限定味の、おかわりっ」
ノースポールは赤い顔で頬を少しだけ膨らませる。
誠司がアイシャに優しい眼差しを向ける。
「誰にしましょう、どの子も可愛いんですよね。ふふっ、私の髪は食べ物じゃないですよ」
アイシャの髪をもしゃもしゃする太一。
「誠司さん、太一くんに乗ってみませんか?」
アイシャは慌てる誠司に微笑む。
太一に乗り、静かに景色を楽しんでいる。
「緑の中にいると落ち着きますね。とても癒やされ……ひゃっ!?」
手綱を持つ誠司の手を無意識に握るアイシャ。
「太一くん、落ち着いて」
突然、駆けだした太一を誠司が慣れた手つきで手綱を引けば、太一はぴたりと止まる。
「アイシャちゃん、怖くなかった?」
太一の首の横をポンポンと優しく叩く。
「怖くないです。だって誠司さんが居て下さいますから」
笑いかけるアイシャ。それから、太一は景色を見せるようにゆったりと歩いた。
夜。ソフトクリームのバニラを食べながら誠司とアイシャが空を見上げている。
「花火も今日で見納めかなー。混沌に来て初めての夏が終わるなぁ。慌ただしい世界だけど、来年もまた来ようか」
覗き込むように誠司が笑う。
「はい、喜んで……! 約束ですよ、誠司さん」
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
うわーーーー!!! 想像以上に牧場が恋しくなりました!!!!!!! 食べたり遊んだり作ったり、良いですなぁ。そして、今日、花火が上がったんですよね。実際、音しか聞こえなかったのですが、心がとても穏やかになりました。
GMコメント
今回はそう、牧場が舞台ですよ、皆様!!! 『遊ぶ』・『食べる』・『体験する』がテーマとなっております。以下、牧場の詳細となっておりますのでどうぞ、ご覧下さい。
≪遊ぶ≫ *夕方まで営業しています。
【ふわふわ広場】
白ヤギとヒツジの触れ合いコーナー。自由気ままな動物たちと触れ合おう!!!! 一匹だけ模様がハート型のヤギがいるようです。見つけた人は『恋が叶う』と言われています。
【うさもるコーナー】
うさぎとモルモットの触れ合いコーナー。落とさないように気を付けながら、抱っこしたり撫でたりしてみてください。追いかけまわさないでね? 希望者にはうさぎとモルモットにリードとハーネスを付けてお散歩することができます。
【乗馬】
二人乗りOKです!! 一周約500Mの引き馬です。スタッフが乗馬専用の温厚な馬を引きますので皆様は馬の背から、平野や連山を眺めてみてください。皆様を運ぶのは、白馬のめるちゃん(三歳 メス)と黒馬のりょうくん(二歳 オス)、栗毛の太一くん(四歳 オス)です。
〈めるちゃんの性格〉・・・特に温厚 やさしいお馬さん
〈りょうくんの性格〉・・・気分屋なので止まったりします
〈太一くんの性格〉・・・いたずらっ子 スタッフの帽子を奪って食べたりします
【釣堀】
綺麗な水を使った釣堀。釣堀には元気いっぱいのニジマスが沢山、泳いでいます。釣ったニジマスは新鮮なうちに塩焼きにして皆様のテーブルまでお持ち致します。
≪食べる≫ *夜まで営業しています。
【レストラン お肉の国】
屋外席もあり、夜にはテーブルにランタンが置かれます。美味しい牧場グルメ!! 沢山、食べて笑顔になろう。馬肉は滋養強壮、疲労回復、美人になりたい人必見!!! レストラン お肉の国では、馬刺し、馬肉のしゃぶしゃぶ、ラム肉のジンギスカンの提供があります。馬刺しは新鮮で、赤身ととろとろたてがみの二種を馬刺し専用の甘い~醤油で食べちゃってください!! しゃぶしゃぶは『霜降り馬肉』。低カロリーかつ高タンパク! 最高のしゃぶしゃぶを特製ポン酢で食べてみてください。『ラム肉のジンギスカン』は、特製鉄鍋&七輪で焼き上げる、臭みのない最高級の生ラム肉を味わえます。柔らかな触感と旨さをご堪能ください。勿論、新鮮な野菜もございます。タレは醤油ベースにはちみつ、酒、レモン、すりおろし玉ねぎ、すりおろしの梨、にんにく等が入った特製のタレになります。もう、文章だけでお腹が空きますね。ちなみに、レストランからは花火が見えません。音だけ聞こえます。
【森のパン屋さん】
気持ちの良い風と日差しが入る焼き立てパンのカフェ。夜には照明を落とし、ムードを演出します。心地よい店内で、大切な人と素敵な時間をお過ごしください。自家製バターとチーズ入りフランスパンが大人気。特製の角切りチーズとふわふわのパンにときめくこと間違いなしです。また、パンならどんなものでもオーダー可能です。故郷のパンもレシピと特別な材料でない限り、提供することができます。カフェから花火を見ることができます。
【売店 ミルクしゃん】
低温殺菌有機牛乳で作る特別なソフトクリーム。一番人気は勿論、バニラソフトクリーム。濃厚×クリーミーで何度食べても飽きがこない魅惑のソフトクリームです。あなたのソフトクリーム観を変えてみませんか? ソフトクリームはワッフルコーンまたはカップでの提供となります。二番人気はチョコソフトクリーム。生チョコのような口どけ感♡ビターな幸福。秋限定のソフトクリームは『紫いもとリンゴのソフトクリーム』です。淡い紫色がとてもきれいで、リンゴの酸味やさつまいも本来の甘みやねっとり感を味わえるシーズンフレーバーです。売店の傍から花火が見えます。
《体験》*夕方まで営業しています。
【乳搾り体験】
皆さん、牛さんのおっぱいを絞ったことはありますか? おっぱいは温かくとても柔らかいんですよ。皆さんも絞ってみませんか? ちなみに、絞った牛乳は衛生面の関係で飲むことが出来ませんので、乳搾り体験をした方限定で特製濃厚ヨーグルトをプレゼントします!!
【ソーセージ作り】
無添加のオリジナルソーセージ作り。ヒツジの腸にひき肉とスパイスを混ぜたものを詰め、ねじってボイルします。ゆでたてのソーセージをお好みの調味料でどんどん食べちゃってください。
【打ち上げ花火】*夜に行われます。
星空と虫の声を聞きながら、秋の花火を楽しんでみてください。様々な形の打ち上げ花火が約30分間上がります。ロマンチックな雰囲気、最高の思い出を作ってください。
【注意】
イベントシナリオのため、描写はとてもライトになります。ですので、プレイングでは特にしたいことをメインに書いていただければと思います。一人でご参加の場合、他の参加者とお話しすることもあります。青砥NPCを誘うこともできますのでお気軽に誘ってください。特にサンドリヨンは牧場をフラフラしていると思います。最後に、牧場ではアルコールの提供は行っておりません。ソフトドリンクのみ提供しております。では、楽しみましょうね!! やっほい!!
Tweet