PandoraPartyProject

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純白が全てを包む前に

 首を撫ぜる風に、冷たき色を感じた――
 冬がやってくる。鉄帝方面では多くの者が『ソレ』を感じる頃合い。
 まもなく場所によっては大雪が景色を染め上げよう。
 鉄の地の冬を知る者は誰しもが恐れる――故に。

「不凍港へ、行こう。前々から話していた『調査』の件で、ね」

 ポラリス・ユニオン(北辰連合)の本拠、ローゼンイスタフの居城にてギルバート・フォーサイス(p3n000195)はイレギュラーズ達に語るものだ。予てより議題となっていた不凍港ベデクトへの直接調査が――遂に実行される。
 不凍港ベデクトとはその名の通り、鉄帝の中では貴重な『凍らぬ港』である。
 年中を通して海へのルートを確保できる重要な地だ――しかし。
「現状、不凍港ベデクトはどうなっているか分からない。
 もしかしたら思わぬ『敵』が潜んでいたりするかも、ね」
「だから先に調査するんだよな?」
 テーブルの上に広げられた地図を指差したのはルカ・ガンビーノ(p3p007268)だ。
 大陸の東から大きく内陸へと海が入ってきている場所に不凍港ベデクトがある。
 この地を抑える事が出来る意味は大きい――が。先述した様に、政変以降不凍港とは一切の連絡が取れなくなっているのだ。
 新皇帝派によって荒らされているか、それとも魔物でも湧いているか……
 故にこそまずは少数の数によって調査に出向く。
 いきなり軍勢を進める事は出来ない。隙を見せればヴィーザルの地にいるシグバルド達がどう動くか分からないのだから。
「そうですね、現状がどうなっているか分からない以上、地理的にも近いポラリス・ユニオンが先に調べておくのが合理的ではあるでしょうね」
「そう……だね……」
 ルカへと赤い双眸を向けたリースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984)の隣でチック・シュテル(p3p000932)も小さく頷く。位置的に、一番不凍港へと干渉しやすいのは彼らの勢力だ。そして――彼らと相対する勢力、シグバルドの一派にとっても。
 ……あの地は一体どのような状況である事か。
 不安と期待。入り混じりながらも彼らの瞳は――不凍港側へと向いていた。


 だが斯様な動きを見せているのはポラリス・ユニオンだけではない。
 空に浮かぶアーカーシュを拠点とする独立島アーカーシュも――同様だ。
「見えてきたね」
「街の外で私達が見張りをするわ。イレギュラーズの皆は街の中で調査して頂戴」
 移動するアーカーシュよりかの地を……ベデクトを見下ろすのはマルク・シリング(p3p001309)リーヌシュカ(p3n000124)だ。やはり情勢が不明なベデクトの様子を探る事は、彼らにとっても見過ごせぬ事態であったらしい。
 もしも新皇帝派に占拠でもされているのであれば後に軍事行動が必要になるかもしれぬのだ。もし、そうでなくともアプローチを掛けるには、まず現地の様子が如何になっているか偵察は必須。故に準備を進めていて……と、その時。
「……」
 あの人は何をしているのだろう、と。
 ジェック・アーロン(p3p004755)は、ふとヘザー・サウセイルという女性が気になった。
 先ほどまでレリッカに居たはずだが、姿を消している。単独行動が目立ち不思議な人物なのだ。
 まさかベデクトへ用があるのだろうか。
 ……行ってみれば分かるかと、再びに彼女は視線をベデクトに向けるものであった。


「イレギュラーズ、よく集まってくれた――
 これより南部戦線方面軍はゲヴィド・ウェスタン奪還の為の行動を開始する」
 そして同じ頃。南部戦線の拠点、城塞バーデンドルフ・ラインではザーバ・ザンザ(p3n000073)が語っていた。彼らにとっての目標は不凍港ベデクト……ではない。東にある港よりも、近くにある鉄道網の奪取が先決と判断したのだ。
 それが鉄道施設ゲヴィド・ウェスタン。
 南部方面における大規模な鉄道施設であり。
 此処を制圧出来れば物資の流通が大きく回復する事も見込まれる。
「だけどたしか、制圧における最大の目標は……」
「あぁ。最大の目標はゲヴィド・ウェスタンにある――列車砲だ」
「……まさかそんなものが南部戦線の近くに鎮座しているとは」
「まぁまずは列車砲が無事かも確認せねばならんが、な」
 ――が。ザーバ派にとって大きな意味は別にあるのだと。
 解・憂炎(p3p010784)エッダ・フロールリジ(p3p006270)へと告げるものだ。
 それが、列車砲。特別な軍事車両にして、砲撃能力を兼ね揃えた兵器だ。
 これの入手も叶えばザーバ派の戦力は大きく上昇させる事が出来る――
 後に如何なる動きをするにせよ役に立つものであろうと、故に狙い定めるのだ。


「ボーデクトンを奪還(と)りたい」
 更に帝政派でも鉄道施設の為の計画が実行に移されようとしていた。
 紡ぐのはバイル・バイオン(p3n000237)だ。
「バイル殿、それは――」
「勿論、お主らだけで奪還(と)ってこいなどとは言わんよ。
 現状ではボーデクトンが如何なる状況か……敵が潜んでいるか未知であるからの。
 故にお主らにはまず敵勢力の存在の偵察を行ってほしいのじゃ」
「ボーデクトン……たしかここから東にある鉄道施設だったよね」
 バイルが視線を巡らせる先にはレイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)サクラ(p3p005004)の姿が見えるものだ。総勢十名のイレギュラーズで、西部の拠点ボーデクトンを落とせ――とは流石に言わない。
 まずはその前準備の段階だ。
 政変に伴う混乱で連絡が取れていないボーデクトンへと赴き、現況を確認してもらう。
 ――しかる後に軍勢を進め奪取する事となろう。
 ボーデクトンは巨大な鉄道都市だ。上手くあの地を奪還できれば、周辺を勢力圏内に収める事が可能になるし……なにより、帝都より干渉が予測される新皇帝派からの攻撃に対する防衛拠点とする事も叶うだろう。
 民からの求心力の高い帝政派が新皇帝派より都市を奪回した、となれば名声が高まり帝政派に味方してくれる者達も増えるやもしれぬ――
 ここは重要な局面だ。下手を打てぬと……故に精鋭たるイレギュラーズ達に託す。
「頼むぞイレギュラーズ達よ。今後の動きに大きく関わってくるであろうこの任務――
 お主たちにしか託せぬのじゃ」


 そして最後に――ラド・バウ独立区も動き始めていた。
 帝都に近い彼らは政治不干渉を掲げている……が。
 ただ籠っているだけではいつか『限界』が来るかもしれぬと日々議論が巻き起こっており。
「それで、ラド・バウが使用できそうな駅は何処に当たる」
 議場となったのはラド・バウの使用されていない給湯室であった。湯を沸かし薬草を煎じて作った茶を用意しているビッツ・ビネガー(p3n000095)の背中に郷田 貴道(p3p000401)は静かに問い掛ける。
「幾つかあるわ。『レブンディン』『シュノー・フールミ』……どちらもアタシとパルスが確認しに行ったけどボロボロね。後は……『ブランデン=グラード』。此の辺りじゃ一番大きな駅ね」
「駅を確保できれば物資流通の問題に貢献できるかもしれない――
 調査したい所だが、多数の戦力を割けば今度はラド・バウの警備が疎かになるか」
「少数精鋭で調査に赴き必要な戦力規模を推察するしか有るまい」
 どこか攻略できる地はないかと――さすればルトヴィリア・シュルフツ(p3p010843)仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)の見解も続くものだ。
 ブランデン=グラード。帝都中央駅とも呼ばれ、多くの路線が収束する地。
 この地ならばまだ何か有効活用できるのではないかと……
 勿論帝都の中を往けば新皇帝派の者の妨害は在り得る。故にリスクもあるが。
「――ブランデン=グラードか。そういえばあの地には噂があるな」
「噂?」
「あの地には『地下通路』があるという噂がある」
 と、その時。言を紡いだのはスースラ・スークラというラド・バウの備品整備担当者だ。
 地下道。あくまで噂ではあるが、かつて鉄道開拓が行われていた時代にブランデン=グラードには、そのようなモノが発見された事があるのだと……そしてその地下道は想像以上の広さがあったらしい――
 もしも真実であれば、その地下道を利用して物資の搬入などを行えるかもしれない。
 そうでなくても何かの役には立つだろうと――誰もが思えば、往くものだ。

 ポラリス・ユニオン、独立島アーカーシュは不凍港ベデクトを目指し。
 帝政派は鉄道施設ボーデクトンを。
 ザーバ派は鉄道施設ゲヴィド・ウェスタンへ。
 そして帝都に座するラド・バウは――帝都中央駅ブランデン=グラードを目指す。
 それぞれの思惑をもってして。それぞれの理由をもってして。
 冬がやってくる前に。

 ……純白なる死が、やってくる前に。

 ※不凍港ベデクト、並びに各鉄道施設への調査依頼が出ています――!

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