PandoraPartyProject

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細波のゆきさき

「すごい量の竜宮幣(ドラグチップ)が集まったのだ!」
 海賊ルックのロリ少女が大量のカジノチップにうもれる光景を、どうかご想像いただきたい。
 実際はそれほどじゃないにしろ、マホガニーの事務机がチップで一杯になるくらいのことはおきていた。
 ぶかぶかの帽子にぶかぶかのジャケット。
 うおーと感嘆の声をあげる彼女はシレンツィオ代表執政官、キャピテーヌ・P・ピラータ。
「それじゃあ早速、投票を始めるのだ!」

 海洋王国、豊穣郷、鉄帝国の間に位置するここフェデリア島の政務は見た目以上にフクザツだ。言ってしまえば航海における中継地点でしかないこの島は、三国間貿易が激しさを増すにつれ大量の人・物・金が動きそれゆえに富を増し、富のにおいにつられて世界中の貴族や資産家あるいは大商人たちが集まりここは巨大なリゾート地へと成長したのである。
 更に言えばこの島および旧絶望の青を攻略した功労は海洋と鉄帝にそれぞれあり、最大の功労者が誰かと言えばそれはローレットのイレギュラーズたちである。
 貿易の成功は豊穣郷の協力あってのものだし、資本という点ではラサの商人達がかなりの部分で割り込んでいる。
 結果としてシレンツィオは、海洋・鉄帝・ラサ・豊穣の四カ国から代表を集め、執政官が丁度良く間をとりもちながら島の政治を進めていくという形へ必然的に落ち着くのである。
 以上、背景の説明おわり。
 鉄帝国の軍官パーヴェルが腕組みをしたまま岩のように堅い表情を僅かに動かす。
「集まったなら、それを竜宮城に届ければ良いだけではないか」
「ちょちょちょーい。うちらの間で競争するっていったじゃないっすかー」
 身を乗り出して手をぱたぱたやるフィオナ・イル・パレスト(p3n000189)
「そんな話……ああ、しましたね。そういえば」
 月ヶ瀬 庚(p3n000221)が前回の議事録をまとめたものへ目を落としていた。
 強く記憶に残さない程度には、彼らにとって重要な案件ではないということだろうか。
「そんな素っ気ない態度とっちゃって。豊穣が勝ったら瑞像建っちゃうんすよ? 一番街に」
「勝たなくても領事館の庭にでも建てそうな気がしますが……」
「あっ、ラサが勝ったら大使館建てるんで! すっごいオシャレなの!」
「もう大使館自体は設立してませんでしたっけ?」
「オシャレなのがイイんじゃないっすかー」
 それも放っておいても建てそうだなあ、などと思ったが庚は天井を見つめることで言葉を飲み込んだ。
「まだまだ甘いですわね皆様?」
 バサッと扇子を広げお嬢様笑いを(室内なのでまあまあ静かに)あげるカヌレ・ジェラート・コンテュール(p3n000127)
「我等が海洋王国が勝った暁には……お兄様がなんと自らの卵殻をイレギュラーズへお見せになるのですわ!」
「それは何か特別なのか?」
 パーヴェルが目だけでそちらを見れば、カヌレはパァンと音をたてて扇子を閉じテーブルをそれで叩いた。
「我が家にとって殻を見せるということは家族も同然! お兄様は『共に青に挑み踏破したイレギュラーズたちは家族のようなものさ』だなんて……ああっ、なんとお心の広い!」
「広いのか? それは?」
 パーヴェルはわからんという顔のままだ。彼も彼で、鉄帝国が出したマニフェストはリトル・ゼシュテルの自治権というものであり……ぶっちゃけもう自治ができているので今ここに居る四人が『いいよ』って言うだけで済む話である。
 四カ国とも、誰が勝っても恨みが生まれない。そして得をしすぎないという条件でレースをしているのだ。
 庶民的な言葉で例えると「勝ったら一杯おごりな!」である。
 庚が両手を組み、そっとテーブルへ置く。
「我々にとって重要なのは、これで深怪魔問題を解決できるということです。

 海底に都市をもち、古くからこの海に暮らしていたという部族――竜宮城の民は深怪魔の対応を心得ていて、使者であるばに……いやマール・ディーネーさんは我々にも協力的だ」
「持っていたら深怪魔が消えるのでしょうか?」
 カヌレが机を『叩いてごめんなさいましね』ってなでなでしながら振り返ると、今度はキャピテーヌが手を振った。
 袖が余りに余っているせいでなんか旗でもふってるように見えるが。
「持っていけばすぐに解決するとは限らないのだ。神器である玉匣(たまくしげ)の修復にも時間がかかるだろうし、そもそもこの数で足りていない可能性も充分あるのだ」
「そうっすね。ひとまずは、これだけ持っていけばこれからも信用を取り付けられそうっす。『ラクダに水を飲ませるにはまず一杯目を差し出せ』っすよ」
「なんの言葉だ?」
「ラサのことわざっす」
「実用的なことわざだ……」
「ともかくっ」
 キャピテーヌは話をまとめる意志をしめすためか、手をぱちんと叩いた。
「まずは依頼にこたえてこれを集めてくれたイレギュラーズたちにお礼を言うのだ!」

 一番街、領事館。通称『フェデリアハウス』前の広場。
 集まったイレギュラーズたちに、バルコニーからキャピテーヌが大きく手を振った。
「イレギュラーズの皆! この度は竜宮幣集めの依頼を受けてくれてありがとうなのだ!
 おかげで沢山の竜宮幣が集まったので、これを手土産にして竜宮城へ挨拶に行くことが出来るのだ!
 けどそれには時間がかかるから、その間に事前に告知した投票レースを行うのだ!」
 掲示されているのは各国のマニフェスト。
「依頼料は各国が出し合っているのだ。明確にどの国のものとも言えないし、だからこそこうして競争の形式をとってレクリエーションにしているのだ。
 自分の好きな国に投票して、マニフェストを楽しんでもらいたいのだ!」

※イレギュラーズたちが竜宮弊を持ち帰りはじめています。
 持ち帰った方は早速投票をしてみましょう!
 投票期間は【8月13日 24時】まで!

竜宮弊と投票

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