PandoraPartyProject

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超古の魔獣

「――さぁ、頑張っていこうか、皆。
 神話に出てきた魔物に――神様だなんて言われてのぼせあがってた蛇に現実を教えてやろう。
 ――お前は、もうとっくの昔に置いてかれたんだってさ」
 信頼が滲んだ声で、からりと女が笑っている。

 雪解けに豊かな深緑を覗かせた木々を潜り抜けた先。
 山をくり抜いて作られた遺跡の中に踏み込めば、そこは何本もの柱で天井を支える神殿の様になっている。
 最奥に鎮座するは一つの祭壇。
 その奥には混沌肯定『崩れないバベル』をもってしてもなおその意味が判別し切れぬ文字で構築された魔方陣が浮かぶ。
 先史文明時代に描かれた、当時にしか存在しない文字で記されたその術式は――今日、この日を以ってその役目を終える。
 先史時代では不可能だった、その封印の向こう側に捉えた大いなる魔獣――かつては『神』とまで崇め奉られた魔獣。
 名を『ニーズヘッグ』――怒りに燃えてうずくまる者。
 いずこかの世界では終末戦争を生き延びる竜とも、蛇とも目される強大なる魔。
 それを今、この時を以って討ち滅ぼすために。
 正規の手続きを経て、緩やかに術式はその役割を終えた。

『俺を見ているな』

 神殿を貫くような、重厚な音(こえ)が響く。

『忌々しい。この俺に怒れることも無く、恐れる事も無く、折れる事も無く、ただ真っすぐ見ているな!』

 遺跡が震えた。
 何かを削り、砕く音が響き渡る。
 どくん、どくんと響き始めたのは、魔獣の心臓の音色であろうか。
 遺跡が軋んで、天井がぱらぱらと落ちて行く。
 攻撃――否。それはただ移動しているだけ。
 解かれた封印に気付いて、外へと這いずり出んと奥地より進み出る。
 その挙動だけで、それを封じ込める遺跡を軋み上げ、罅が入る。
『あぁ、臭い、臭い、臭い。覚えている。覚えているぞ。この臭い、人間だ』
『この俺をこんなところに隔離して勝ったつもりの人類ども。
 今度こそ、その貧弱な身体に籠る怒りを、嘆きを喰らいつくして血祭りにあげてくれよう!』

 暗がりに光。赤い、赤い光。
 ――それがぎょろりと動いて、瞳であることに気付いた。
 くぱりと暗がりに赤が浮かぶ。くぱりと開いたソレは蛇の口。
 蛇の呼気が白い靄となって神殿を包み込む。
 赤い鞭がしなりを上げて靄を払い、口元から生えたソレが舌であることに気付いた。
 巌がせりだすような錯覚を覚えさせながら、途方もない大きさをした蛇が顔を出す。

 それこそは、先史、神とも謳われた大オロチ。
 怒りに燃えてうずくまる者。悪意と憎悪と復讐を抱く蛇。
 怒りを喰らい、嘆きを喰らい、成長する魔獣。
 先史時代、この地にあった国が滅びる原因となった、その由縁。

『俺を、見るか。人類。恐れ多くも、この俺を!
 どうやら俺に恐れおののいた者達とも、俺を殺したいと思い上がった者共とも違うようだ!』
 ニーズヘッグが舌なめずりしながら尊大に笑っている。
 矮小な――けれど、無限の可能性を秘めた君達を見下ろして。
『恐れよ、嘆け、喚け。死に絶えろ、そして俺への憎悪を滾らせるがいい!
 それら全てを喰らい潰して、腹の足しにはちょうどいいわ!』

 ※――戦いの準備が整い次第、魔獣『ニーズヘッグ』の封印が解かれます。
 ※戦いに向かいましょう。

 ※Pandora Party Projectが五周年を迎えています!!

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