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ナイトメアの憤懣|ロウライトの憂心

 天義こと聖教国ネメシスは、あの日からどうにもおかしくなってしまったように思える。

 旧き価値観は喪われ、今や不正義を尊ぶ輩が教皇シェアキム・ロッド・フォン・フェネスト六世陛下の心まで弄んでいる。
 確かに、嘗て天義を襲った悲劇――冥刻のエクリプス事件の傷痕は、今なお大きく残されている。正義の徒であるべき聖教国の上層に魔種が巣食い、それを見逃していた等という大醜聞は、天義の信仰を拒絶し打ち捨てる者が現れたとしても不思議では無い衝撃ではあった。
 しかし……どうしてそれを経てなお信仰に篤いと自称する者達が、「故に罪人を赦せ」等と主張して憚らぬのか?
 彼らは、「必要以上の不正義への不寛容が憎悪を産み、魔種の跋扈を許したのだ」と批判する。成る程それは事実かもしれぬ。では、モーリス・ナイトメアは問わねばなるまい。そうやって『慈悲深さに酔い痴れる者達』が見て見ぬ振りさえしなければ、どれほど魔種共を討てただろうか、と。

 今ではモーリスら保守派の立場は、無能な味方の勇み足の所為もあり、吹けば飛ぶ程にまで失われてしまった。近頃では愚か者共が、この機会に保守派を排除せんとさえ目論んでいるらしい。
 だが必ずや、正義は勝利するであろう。
 この国を奸臣共にくれてやってなるものか。革新派も、それに与するローレットのイレギュラーズ共も、必ずや神の御力の前に跪かせてみせるのだ。

 天義こと聖教国ネメシスに、あの日取り除いた筈の亡霊が今も呻き声を上げているかのようだ。

 生きるため、或いは名誉のため罪を犯した者達までもが、不正義として断罪されてしまった嘗ての天義。その不寛容が無辜なる混沌(フーリッシュ・ケイオス)を滅びに導く魔種共の大幹部の一柱、冠位強欲ベアトリーチェ・ラ・レーテの暗躍を助けた事は、今も記憶に新しい。
 亡霊共は我らが罪人に与している等と喚き散らすが、はて、どちらが罪人か? セツナ・ロウライトは忠実な教皇の僕であるが故、年端もゆかぬ一族の娘を暗殺者に仕立てて『断罪の聖女』として旗印とするような、穢らわしい真似などしない……少なくとも表向きには

 こちらは、保守派がアドラステアと内通している証拠を掴んでいるのだ。モーリスとしては彼らとは所詮一時的な関係でしか無く、用さえ済めば遠慮無く彼らを断罪する腹積もりではあるのやも知れないが、はて、疑わしきは完膚なきまでに罰せよと主張していたのは一体誰であったか? 保守派は、一つ大きな勘違いをしているとセツナは鼻白む。革新派とて全ての不正義に寛容なので無く、見過ごし難き悪の断罪まで厭いはせぬのだ、と。
 さあ、始めよう。今やいずれが不正義であるかは明白だ。保守派は自らの過ちを、我が身を持って知る事になるだろう。
 早急に国家の膿を取り除き、聖教国に再び栄光を取り戻すとしよう。

※天義にて光と闇の戦い、<封魔の攻勢>が始まりました。

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