PandoraPartyProject

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現と虚構の混迷

 ――アラート音は鳴りやまない。
 直後に生じる爆発音。はたしてどこが発生源か……
 最早把握も出来ぬ程に練達のコンソールはエラーだけを指し示していた。
 そしてその余波は当然として希望ヶ浜にも波及しており……

「――そうですか。今の所まだ、収束の見込みは立ちませんか」
『どうしても、ね……現実にしろR.O.Oにしろまだまだ掛かりそうだよ、センセ……!!』

 その渦中たる一角。
 澄原病院では院長たる澄原 晴陽(p3n000216)がモニター越しに紅宵満月(p3y000155)と連絡を取っていた――現実と虚構への同時侵攻とはかつての<神異>の折にもあった事だが、今回は練達中枢部も巻き込む大規模事変。
 各地の戦況や解決の目途はどうなっているのか――
 避難シェルターを兼ねた『地下講堂』を有している澄原病院では避難者の受け入れを行っており、だからこそ外の状況を少しでも入手したかった。特に……
「……それと、弟は……龍成はどうなっていますか?」
 晴陽にとっては弟たる龍成もまた――ログアウト・ロックに。つまりは現実に戻れない『枷』を嵌められているのであれば実に気がかりであった。
 ……弟とは長年不仲ではあったのだが、『あの』祓い屋の手助けで近頃は連絡が取れるようになっていた。というのに……どうしてこのような事になってしまったのか。イレギュラーズの皆より聞いた――つまり又聞き――ではあるのだが、弟はなんでも……その……
「筋骨隆々なモニター頭の方……ボディさんですよね。私も存じております、と、同居をなさることになると。その連絡もないまま、ログアウトが不可能になり暴走しているAIに殺され続けていると聞いています――それを止めなければ弟自身も危ういと……! 今、龍成は……?」
『え、ええと。AIって言うのはテアドールってNPCの事、だよね? 本体を鎮めなければ龍成さんが危険だけ、ど……そちらの方には向かっているイレギュラーズがいるから、今は彼らからの吉報を待つしか――』
 ない状況だと、紅宵満月は言う。
 まもなくR.O.Oを含め各所にて大戦闘が行われる――龍成の安否を含め、それらの戦いが今後重要に関わってくるのは間違いないが、その結果が練達に報告として挙がってくるのはまだ些かの時間を擁そう。
 そして先行して始まっている<ダブルフォルト・エンバーミング>の戦いは混迷を極めていた。
 終焉獣ベヒーモスなる戦いには援軍が到着し、押し返さんとする動きが始まっているが。ピエロなるバグNPC終焉獣デカラビアとの戦いの場、そして超獣とも言えるスターイーター戦などはまだまだこれからだ。
 そしてR.O.O側の最大決戦地とも言えるイノリなる者との戦いは――彼自身に肉薄する所までは成功している。謎多き『イノリ』の力は強大であり、辿り着いたからと言ってそれが勝利に繋がるとはまだ言えぬが……
『それはそうと、現実の――練達の方はどうなんだろう? そっちでも問題があるんだよね?』
「病院にいると中々正確な情報とまではいきませんが……どうやら練達の、ロボット工場への攻略は成功しているようですね。姉ヶ崎-CCCへの対応策が検討に移っている段階の様です――そしてマザーを巡る攻防は……」
 何とも言えない所であった。
 マザーは正真正銘、練達の中枢……『三塔の主人』達も加わっている攻略戦は、しかしやはり厳しさを秘めていると言わざるを得まい。更なる戦力が求められている所だ……
 『クリミナル・カクテル』に侵されているマザーが完全反転してしまえば全ては終わる。
 ――かの存在を何とか出来るか、は。
「……イレギュラーズ達頼み、としか言えませんね」
 微かに。苦々しさを口の端に晴陽が浮かべた気がする。
 弟の龍成の事も、希望ヶ浜を含む練達の事も――彼女の手は回らないのだから。
 今も避難用シェルターとして活用されている病院の地下には、急患がひっきりなしに運ばれても来ている。己が戦場がここであれば……彼らを見捨てられようものか。
『――大丈夫だよ、センセ』
 であればと紅宵満月は……いや……
『R.O.Oのヒイズルでも……立派なエンディングを迎える事ができた、彼らがいるんだから』
 陽田 遥(p3n000155)は言うものだ。
 如何なる道が眼前にあろうとも、彼らがいるならばきっと乗り越えられるのだと。
 ――現実と、電子の渦の中たるR.O.O両方で、懸命に戦っていてくれる彼らがいるのならば。

 きっと勝利は遠くないのだと――そう信じている。

 <ダブルフォルト・エンバーミング>Behemothに援軍が到着し、戦況は第二段階に移っています!
 <ダブルフォルト・エンバーミング>シナリオの出発が迫っています!

これまでの再現性東京 / R.O.O

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