PandoraPartyProject

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冬尽――ゆきどけ

冬尽――ゆきどけ

 鬨の声は幾度目だったろう。
「まだまだ! さぁ、ムーンリット。もう一度だ!」
 愛馬の首筋を撫で、レイリ―=シュタイン(p3p007270)は駆けだした。
 レッドキャップを蹴散らし、ナックラビーの胸板に風穴をあけた騎兵槍を引き抜く。
「もらったでござるよ!」
 今正にレイリーに躍りかかったアンシーリーコートへ、『はですこあ』那須 与一(p3p003103)はありったけの砲撃をぶちまける。
「無事か」
「まだまだ、やれますよ!」
 ルドラ・ヘスに頷いた『星さがし』夏川・初季(p3p007835)は、暗黒魔術で舞い散る氷の破片ごと怪物を吹き飛ばした。
 妖精城アヴァル=ケイン城外では、いまだ激戦が続いていた。

 魔種に蹂躙された妖精郷アルヴィオンは、未曾有の危機に陥っていた。
 イレギュラーズは占領されたエウィンの町を開放し、妖精女王ファレノプシスを救出。だが魔種共はこの地に長く封印されていた伝説の大精霊『冬の王』を解放してしまう。
 果たして、目的を達成した魔種の一部は妖精郷を離脱。
 残る魔種共は不当にも占拠した妖精城アヴァル=ケインに舞い戻り、凍てつく災厄に見舞われた妖精郷で、イレギュラーズと深緑の迷宮森林警備隊、そして妖精達もまた最終的解決に向けて動き出した。
 こうして決戦の時がやってきたという訳である。

「グルルルル……」
 アルペストゥス(p3p000029)は、少し重いなと感じていた。
「すまない、あと少しだけなんだ」
 承諾した竜はリゲル=アークライト(p3p000442)を乗せ、戦場上空を駆け巡る。
 胸に刻んだ全てを飲み込み、妻と子に後を託して。
 それでもリゲルは仲間達に、全軍に伝えなければならないことがあったから。

 ――冬姫イヴェルテータ、撃破!

 叫ぶ。何度も、何度だって叫ぶ。
 喉が裂け、声がかれるほど。

 文字通りに刀折れ矢尽き、傷ついた迷宮森林警備隊がへたり込んだ。
 戦う力などとうに残されていない。けれどその顔に微かな笑みを浮かべて。

 ――伝えて! タータリクス討伐隊が!

 妖精兵が息を切らしている。
「まずは落ち着き賜え」
 一振りの剣――シグ・ローデッド(p3p000483)が答える。
「いいぜ、何をどうするって?」
 レイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)の腕を掴んだ妖精は呼吸を整え、こう云った。
「タータリクスの撃破に、成功しました!」
 言の葉と共に胸に落ちたのは安堵か。疲労か。ともかく情報は伝えねばならぬ。
「それじゃ次は町に戻るか。捕まってな!」
「ならば立ち塞がる全てを断とう」
 妖精を抱きかかえ、レイチェル達が走り出す。

 その背にそびえる妖精城アヴァル=ケインで日向 葵(p3p000366)が城壁に背を預けた。
「今日ぐらいは、赤いものが頂きたい気分っスよ」
 戦いの趨勢は――
「やったね! 制圧完了だよ! ね、美咲さん!」
 ヒィロ=エヒト(p3p002503)の声に、美咲が指揮する妖精兵達が喝采をあげる。
「ヒィロ!」
 突如ぐったりと崩れ落ちるヒィロを、美咲・マクスウェル(p3p005192)が支える。
 覗き込んだその顔は、けれどえへへと笑って。
「もう、無理しないでよ」
 美咲はほっと息をついた。
「ふふん、それであんた達――」
 振り返るミラーカ・マギノ(p3p005124)の眼前で、『ミラベド』が小さな球体を差し出していた。
「それが……答えなわけ」
「よろしくなんて、言わないけどね」
 胸にぽっかりと穴を開けたミラベドが、白い砂のように崩れ落ちる。
 割れたフェアリーシードから現れたアザレアは、ミラーカに抱えられたまま静かに泣いた。

 座り込み目を閉じていたノーラ(p3p002582)が立ち上がる。
「ノーラ、無理をするな」
 肩に手を置いた母――ポテト=アークライト(p3p000294)に、ノーラは小さく首を横に振った。
「ううん、大丈夫。お休みが言えたから」

「ご無事ですか」
 町へ駆けつけたレイチェルに、妖精女王が慌てた様子で羽ばたき寄る。
「ああ、デモニアも冬姫もどうにか出来たらしいぜ」
「ありがとう、ございます……」
 女王は、ひどく複雑そうな顔をした。
「俺は――俺がもっと強ければ、こんな事には」
 奥歯を噛みしめるサイズ(p3p000319)の両肩に、ファレノプシスが手のひらを乗せた。
「あなたのお陰で多くの命が救われたのです。誇りなさい、そして胸を張るのです」

 その時――厚い雲から斜陽が、実に久方ぶりの陽光がそそいだ。
「見て、お日様だヨ」
 見上げたシェプ(p3p008891)の視線の先で、妖精城上空を起点に雲が徐々に薄れているではないか。
「そうか……これで」
 ハイン・グース(p3p008934)が踵を返す。
「寒いのも、これでやっとおしまいかな」
 晏雷(p3p008919)が呟いた。
「まだまだ、お手伝いしますからね」
 頷いたミエル・プラリネ(p3p007431)が腰に手をあてた時、雪を跳ね上げて、一台のバイクがエウィンへと直進してきた。
 後輪で弧を描き停止したアルプス・ローダー(p3p000034)が見たのは、既にぽかんと空を見上げる一同の姿で――小さくぼやく。
「ありゃ。まだ反応が足りませんでしたかね」
 真っ直ぐに、伝えに来たのだけれど。
「冬と春があるんなら、夏があったっていいじゃんヨ」
 さて。コラバポス 夏子(p3p000808)も、未だ困っている美少女を探さねばならない。
「私は全軍を集結し、安否を確認しよう」
「では僭越ながら同行しよう」
 戻るやいなや生真面目そうにそう言ったルドラに、イルスもまた腰を上げる。
「師匠! だったら私も!」
「やれやれ……なら、ついてきなさい」
 勢いよく立ち上がったアレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)にイルスは頷いて。

「勝ったの! ぜんぶ、ぜんぶおわったの!」
 やかましいヤツが戻ってきた。
「今日はめいっぱい、優勝していくの!」
 さっそく飲む気満々なストレリチアを尻目に、切り株に腰掛けたライエルは何も語らず。
「ただいま帰還しました」
「サクラ、リースリット。春を告げる騎士達よ。それに皆さんも。
 お見事と言うべき所ですが、今はただこの通りの感謝を」
「女王様……って」
「わ、あの」
 戻ったサクラ(p3p005004)リースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984)を妖精達が取り囲む。
「クロバさん」
「……シフォリィ」
 クロバ・フユツキ(p3p000145)シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)の戦いは、未だ終わりが見えぬまま。けれど妖精郷での決戦は、こうして終結を向かえたのであった。


 ※妖精郷アルヴィオンでの決着がつきました……!


※サミットの結果、各国に領土が獲得出来るようになりました!
 キャラクターページの右端の『領地』ボタンより、領地ページに移動出来ます!
 →領地システムマニュアル

※――KBH臨時放送のお時間です。

これまでの妖精郷アルヴィオン / これまでのカムイグラ
/ これまでの再現性東京

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