PandoraPartyProject

ギルドスレッド

梔色特別編纂室

【1:1】ちいさな姫と、知りたがりの猫の話

収穫祭を控えて街はなんとなく騒がしい。
ぼんやりと何かを期待して、猫は通りに目を向ける。
――――要するに、退屈なのだった。

よく晴れた昼下がり。
大通り沿い、賑わう食堂のテラス席の一幕。

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(カップの縁を手持無沙汰にくるくると撫でながら、目はぼんやりと通りの方へ。)
(耳だけはきちんと働かせておく。)
……皆好きねぇ、収穫祭……
(店内の会話。通りの売り口上。大体がみんな、そんな話題ばかりだった。)
(てくてく、きりきり)
(テラスに面した通り、収穫祭の準備に賑わう中を、小さな……本当に小さな人影が、歩いておりました。)
(まるで自分の体の動かし方を心得ていないかのように、ぎくしゃくした動きで歩を進め)
(ときおり立ち止まっては、行き交う人々を、不思議そうにじいっと見上げるのでした。)
(人々の足の間、随分低い位置にちらりと、金色の髪が見えたような)
……?
(幽かに耳に届くのは、きり、きり、と機械の軋みのような音)

(やがて、人の流れの切れ間にその姿がはっきりと見えた。ぎこちなく歩き、危なっかしく立ち止まる小さな小さな……人形。)
(にぃ、と唇を吊り上げて――――ああ、退屈から解放されそう!)
姫。はぐるま姫!
(彼女のところまで声を通らせる。視線をこちらに転じれば、ひらひらと手を振る猫の女が見えるだろう)
(他ならぬ、聞きまちがえようのない、この世界においてはとっても特徴的な自分のなまえ。)
(それを耳にして、きりりと首を動かし、アメジストの瞳を向けた先——)
カタリヤ。ごきげんよう。お茶の時間をしていたところかしら。
(蜜色の髪と猫の耳、自分を呼ぶ声。どれも覚えのあるものでしたから、はぐるま姫は呼ばれるまま、てくてくと進路をテラスへと変えてゆくのでした。)
(……はぐるま姫の体格ゆえに、テラスへの数段を一つひとつよじ登らねばならないので、到着にはいささか時間を要しているようですけれど。)
こんなところで会うなんて。そう。
偶然、というものだわ。
ハァイ、御機嫌よう。貴方はお散歩?
(席を立って、段を上るちいさな姫に手を伸ばす)
宜しければお手をどうぞ、姫。お連れしますわよ?
(声はうきうきと愉しげに。)

ええ、とってもステキな偶然ね!
(ゆらりゆらり、上機嫌を示すように尻尾がしなる。)
まあ。ありがとう、カタリヤ。お言葉に甘えるわ。
(遠慮も警戒もなく、小さな手を差し伸べられた手へと重ねました。)
ええ、そうよ。わたしはお散歩をしていたの。
お祭りの準備なんて、初めて見るもの。
発見でいっぱいの通りが、もっと、発見でいっぱいになるのよ。
(変わらぬ微笑の中、双眸のアメジストが、しなる尻尾を右へ左へと追っておりました。)
この時期は人通りも多くなるものね。
何かステキなものは見つかった?
(……ちょっぴり踏まれそうとも思ったのだが、彼女にはさっぱり危機感は無いように見える)

(手の中の感覚は本当に、「良くできたお人形」のよう。)
……抱き上げてしまっても構わないかしら?
(きらきら輝く紫水晶の瞳を見下ろして、微笑む)
(……視線が揺れる理由を察して、尻尾はぴたりと止めた)
わたし、見えるもの全部がステキよ。
石畳も、楽しそうな顔のひとたちも、今日カタリヤに会えたことも。
(無感情な笑みを湛えたままの言葉ながら、好奇の歯車によって紡ぎ出される言葉は、本心でもありました。)
(カタリヤの問いかけにも、カクリと頷いてみせます。)
構わないわ。だって、そう。お姫様は抱っこされるものだもの。
(尻尾に合わせて、視線もまたぴたりと止まったのでした。)
あら、嬉しい。
私も貴方に会えて嬉しいわ、はぐるま姫。
(その嬉しさは多分、彼女の感じているものとは少し違うだろうけれど――――)

(――――お人形の微笑を見つめる。)
(お人形は、何を感じているのだろう?)

……そうね、ごもっとも。
(笑いながらうやうやしく小さな腰に手を。抱き上げて、自分の席の向かい側へ)
なんだか子供の頃を思い出すわね。私の「お友達」は、おしゃべりをしてくれなかったけれど。
誰かとお話をするのは楽しいもの。人と会うのは、とても嬉しいことね。

(視線は動き、唇も言葉を紡ぐのに)
(それこそお人形のように、はぐるま姫は抵抗もなく抱き上げられました。)
(微笑は、絶えません。)

(やがて向かいの席に座ったお姫様は、その座高のために、どうにかこうにか向かいのテーブルから顔が出るかどうか。)
カタリヤのお友達は、とても無口だったのね。
でも、言葉がなくても通じ合うって、ロマンティックなことよ。わたし知ってるわ。
(額面どおりに言葉を受け取ったのでしょうか。いささか歯車の噛み合わぬ返答が為されました。)
……。
(口元ぎりぎりが見えるかどうか。)
(なるほど、あの頃は私自身も子供用の椅子だった、と今更の感慨に耽りながら、)
無口っていうか……
姫様の世界……国では、皆貴方みたいな身体で、貴方みたいにお喋りをしていたの?

(通りかかった店員を呼び止めて、耳打ち。)(ついでに銅貨を数枚握らせる。)
いいえ。おじいさんは、大きなひとだったもの。
カタリヤたちみたいな大きなひとが、わたしの世界の住人よ。
いろんな大きなひとのお客さんが、おじいさんの作った人形を買っていっていたわ。

ああ。そうだったわ。
ギフト、というのがなければ、他の人形と話すことは、できないのね。
(まだ噛み合っていない部分はありますが、ようやく、少しばかり焦点のずれに気がついたようでした。)
(自分と同じ人形とお話ができるなんて、だって、当たり前の常識と思っていたのですもの。)
おじいさん?
作った人形……貴方も?
(海色の猫の瞳が、鋭く瞬く)
……ふぅん、貴方のギフトは、お人形とお喋りをすること、なのね。
(それも一瞬、すぐ柔和な笑みに覆い隠す)
それが私にもあったなら、私のお友達とおしゃべりすることも出来たのかしら、ね?

(やがて、小さな木箱を持った店員が戻ってきた。)
少しばかり、ここの机は高すぎるものね。この上に座ったら丁度良いのではない?
ええ。わたしは売り物じゃなくって、お店の奥にしまわれていたのだけれど。
おじいさんはいつも、わたしにいろんなお話をしてくれたわ。
(記憶の歯車をきりきりと回しながら、「おじいさん」との思い出を手繰り寄せてゆきます。)
この世界に来るまで、あの部屋から出たことはなかったけれど。
世界のいろんなこと、ぜんぶ、おじいさんから教わったのよ。

(やがて運ばれてきた木箱に目を向けて)
まあ。ありがとう、カタリヤ。
わたし、椅子に座るときはいつも困ってしまうの。カタリヤは、優しいひとね。
(ひとたび椅子から降りて、木箱を置いてもらって、それから、椅子へとよじ登り直すのでした。)
カタリヤは、「お友達」とおしゃべりがしてみたかったのかしら。
何故貴方は……しまわれていたのかしら。
(きりきりと絡繰の動く音を聞きながら、彼女を観察する)
(人形のような、ではなく、本当に人形師の手に成る人形。そういう視線で見てしまえば――――高値がついたろうに、そう思わざるを得ない。)

(ひどく素直な問いに、少し答えを躊躇った。)
……そうね。目覚めてから寝る時まで一緒のお友達と、おしゃべりできたらって思ったことは何度もあったもの。
(多分。当時の私なら、そう思い得たと……思う。)
おじいさんは、わたしを大切にしてくれて、かわいがってくれていたもの。
わたしのこと、大事な娘だって言っていたわ。
だからお仕事が終わったら、いつもわたしに色んなお話をしてくれたのよ。
(ぱちりと、たまに瞬きをするひとみ。)
(あの頃にはなかった仕草と共におじいさんの話をすると、なんだか不思議な気持ちに駆られるようです。)

そうね。わたしもきっと、王国のみんなとお話できなかったら、とても……ええ。不便だものね。
(今ははぐるま姫には、他に形容すべき言葉が見つからないようでした。)
でも、カタリヤにも「ギフト」があるのよね。それって、なあに。
(……なるほど、と、蜜色の尻尾がふらりと揺れる。)
娘、ね……愛されていたのね?
(澄んだ紫水晶の瞳を、じっと。)
おじいさんのところに、帰りたいって思う?

王国?
……お人形のお姫様、だものね。他のお人形は臣下ってこと?
(少し言い淀んだ気配に、)……寂しい、とは、違うのかしら。
私のギフトは……きっと、お姫様には効かないわ。
それはできないわ。
だってわたしが命を得て、別の世界へ行ったのよおんなじように
おじいさんは死んでしまって、別の世界へ行ったのだもの。
(事もなく。悲しみの色をのぞかせることもなく、やはりいつもの微笑のままに、はぐるま姫は言ってのけたのでした。)

ええ、そうよ。わたし、はぐるま姫だもの。はぐるま王国の、お姫様よ。
みんながみんな、国民ではないけれど。この世界のどこかにも、はぐるま王国の民がいるはずなのよ。
わたし、かれらのことも探さなければいけないわ。
(やはりまっすぐにアメジストの瞳を煌めかせながら、はぐるま姫が愛する王国のことを、薄い唇が紡ぎます。)

さみしい。
(コテリと、首の傾ぐ音。)
さみしいって、なあに。
(澄んだ紫水晶はちらりとも曇らない)
(ああ、この子はやっぱり、お人形なのだ。)

はぐるま王国。
(鸚鵡返しである)
(死の影、なんてものは彼女は初めから纏わないけれど。それにしても随分な名前だ)
……貴方と同じ世界、というかお店、というか……そこから来たもの、って意味ではないのよね……
(……にやり。)
貴方が探し物をしているなら、私は力になれるかも知れないわ。
私は記者……色々なニュースを皆に広める仕事をしているの。
貴方がもっと、貴方の話をしてくれたなら。貴方が国民を探している、と、皆に伝えることが出来るわ。……貴方の民が、貴方に気付いてくれるかもね?

寂しい。
……そうねぇ。
そばにあったものが急に無くなってしまって、でも、まだそこにあるような気がして。
悲しい、って気持ちと、何故だろう、って気持ちが混ざるような……わかる?
わたしの民を探すのを、手伝ってくれるの。
カタリヤは、ほんとうに優しいひとなのね。わたし、お願いしたいわ。
けれど、お仕事、依頼というのには、お金がかかるのでしょう。
そのぐらいは、わたしも知ってるわ。わたし、どのぐらい払ったらいいのかしら。
(カクリと、反対側に首が傾ぎました。)
それにしても、わたしにはきかない「ギフト」だなんて。
カタリヤのものも、決まった相手にしか使えない、そういう「ギフト」なのね。

(さみしい。かなしい。)
(きり、きり。きし、きし。沈黙の合間、何度か歯車の軋む音が響くのですけれども。)
ごめんなさい。わたしには、よくわからないわ。
ひとが悲しいと感じる生き物なのは、知っているけれど。
(知っているだけで、彼女のこころに、それらの感情はまだ宿っていないようでした。)
言ったでしょ、ニュースを広めるのがお仕事、って。
だから、貴方のニュース……貴方のお話を私にくれれば、それでいいわ。
……(そもそも、だ。)姫様ってお金、持ってる?

貴方のギフトは、お人形ならみんな通じるの?
……私のギフト、ね。
(ふと、思いつく)
内緒、秘密の話。姫様は秘密が守れるかしら?

(機構の軋む音が続き、紡がれた結論に)
悲しいって感じたことがないのね。……世界は楽しい事ばかり?
そんなことでよければ、わたし、いくらでもお話するわ。
カタリヤとお話していると、いろんなことを覚えられるもの。
(お金に関する問いには、あるいは意外にも、お姫様はカクリと頷きました。)
この世界に来たとき、わたし、いくつか宝石を持っていたわ。
そのおかげで、いくらかのお金は、持っているのよ。

人形に、ぬいぐるみに、それと、像。

生きものの姿をしているものとなら、わたし、いつでもお話できるわ。
――秘密。ないしょ。
ええ、わたし、約束は守るわ。だって、お姫様だもの。
(何が「だって」なのか、判然としないやもしれませんけれど。ためらうことなく、肯定が返されました。)

わからないわ。
誰かとお話して、新しいことを覚えて。
そうやってこころの歯車が音を立てることは、きっと「楽しい」と言うのだけれど。
ねえ、カタリヤは、何があったら「悲しい」と思うのかしら。
姫様のお勉強にもなるのなら、光栄だわ。
……宝石の換金なんてよく出来たわね……ああ、もしかして笑う人形亭で?
(鉢合わせした店の名を挙げる。あの店主なら、彼女相手でも誠実な取引をしてくれそうだった)

ふぅん……まるで命を吹き込むみたいね。
(お姫様だもの、と淀みなく答えたお人形に向かって、声を潜めて)
私のギフトは、ウソツキにしか効かないの。……内緒よ?
姫様、嘘をついたことがないでしょう。だから、貴方にはきっと通じないわ。

(歯車が音を立てる。胸の高鳴りに似て。)
(その音は、私達にとっての、鼓動なんだろうか)
ねぇ、姫様。とっても「不便」なことが起こって、貴方の歯車が止まってしまいそうなくらい軋んだら……それがもしかして、貴方にとっての「悲しい」かも知れないわね。
私にとっては……楽しみにしていたものが台無しになったりとか?
ひとのビール5杯分の代金押し付けられたりとか? いえ、これは怒りか。
ううん。シチヤさんっていう、別のお店よ。
お店の前にいたゴヘイが、丁寧に宝石の売り方を説明してくれたわ。
ゴヘイは、たぬきという生き物の
像なのよ。世界には、あんな変わった生きものもいるのね。
(自覚のありやなしや、お姫様は自分の能力を活かして、存外したたかに生きているようでした。)

ええ。わたしに宿ったいのちの歯車を、みんなにも分けてあげるの。
そうしたら、みんなと少しの間だけ、お話ができるようになるのよ。
(ウソツキにしか効かない、ギフト。カタリヤの説明を耳にして、やはりカクリと首肯が返されます。)
もちろんよ。だって、嘘をついたら、本当のことが言えないでしょう。

(カタリヤの言葉に、キリキリ音を立てて、しばしの思考)
(やがて振り返り、収穫祭の準備にいそしむ人々を見やりました。)
わたし、もしかしたら収穫祭で、わたしの民を見つけられるかもと思っているわ。
その収穫祭が中止になったら、それは「悲しい」かしら。
なるほど、店の像なら知識は十分、変な損得も色気もないものね……
(実に感心した。それに……これは結構、使える。)
便利なのね、貴方のギフト。
私が貴方を手伝うように、貴方にも私を手伝って貰う時があるかも、ね。
その時はよろしくね?

いのちの歯車……貴方の中で音を立てているのは、それ?
(かたんと傾くように見える頷きに、こちらも頷いて返す)
そうよ。だから……本当のことを言いたくないときに、嘘をつくの。

(小さな頭が振り向くのに合わせて、視線を遠くへ。街並みを飾る南瓜の飾りや旗、影絵を仕込んだ角灯。物売りの声。笑い声、足音。)
きっと、そうね。
姫様がみんなに会いたいと思っていればいるほど、きっと。
ええ、こんなに親切にしてくれたカタリヤだもの。
わたしにできるお手伝いがあるなら、喜んでするわ。
(すこしの疑いもなく、今日何度めかもわからない、カクリの音が鳴りました。)
わたしにいのちが宿った日から、わたしの中で歯車の音が鳴り出したの。
だからわたし、これのこと、いのちの歯車って呼んでるわ。

本当のことを、言いたくない。それはなんだか、へんだわ。
だって嘘つきは、よくないことなのでしょう。
(ほんの子供が教わる程度の、幼稚な良識は、お姫様にも身についているようです。)

(そして最後に、得心いったように、また「カクリ」。)
わたし、ほんの少しだけれど、「悲しい」をわかった気がするわ。
「悲しい」は、飲もうと思っていたココアのカップが、目の前で割れちゃうようなことなのね。
それならわたし、「悲しい」には、なりたくないわ。
ふふ、ありがとう。頼りにするわね?
(いのちの歯車。彼女に宿った命の源……?)
(いつか実物を拝むこともあるかしらね。)

(ココアのカップ、のたとえにくすりと笑う)
なぁるほど、姫様はココアがお好きなのね?
(店員を呼び止め、ココアを二つ注文して、)
……そうね。
「悲しい」になりたくないから、ひとは嘘をつくときもあるもの。
ええ。おじいさんが大好きだった、ココア。
この世界に来てはじめて飲んだけれど、甘くて、やさしいような味がして。
わたし、すぐに大好きになったわ。
(さらりと二人分を注文したカタリヤの行動の意味するところを理解するのに、すこしだけの時間を要して)
これから二人で、お茶の時間なのね。
カタリヤとお話して、ココアまで飲めるなんて。
今日のわたしには、幸運の歯車が噛んでくれているのね。
(きりり、きりり。お姫様にも聞き慣れぬ歯車の音が、小さく、鳴ったような気がしました。)

本当のことを言うと、「悲しい」になってしまうの。
世の中は、なんだか、とても難しいのね。
思い出の味、なのね。ステキだわ。
(人形師と、物言わぬ愛娘との時間。甘いココアの香り。)
(……様になる、と)
(やっぱり、そう思ってしまう)
「悲しい」を感じたことがなくても、「悲しい」を感じている人とは沢山出会ってしまうものよ。
難しくて、複雑。……だってここは、混沌なのだもの。

(賑わう店内から、甘い香りのカップが運ばれて二人の前へ。)
ふふ。
お姫様とのお茶会、なんて身に余る光栄だわ。
(風が少し冷たく、陽の色が濃くなるまで、他愛のないお茶会は続く。)
あのころは、香りも味も、わかりはしなかったけれど。
今からならきっと、本当に、思い出になってゆくのだわ。
(「悲しい」を感じているひと)
(それならば、たくさんの場所を歩いているうちに、やはり見たことがあって。)
たくさん「悲しい」ひとと出会って、わたし、「悲しい」を学んで、覚えてゆくわ。
でも「悲しい」を覚えられることは、わたし、楽しみで、うれしいと思うの。
なんだか、おかしな話だわ。

(お店の人が、気を利かせてくれたのでしょうか。目の前には、カタリヤのそれより一回り小さなカップ)
(ぬくもりを求めるように、カップに手を添えて。)
ありがとう、カタリヤ。
でもカタリヤは、お姫様のわたしより、ずっとたくさんのことを知っているのだもの。
もしかしたら、お姫様よりも、すごいひとなのかもしれないわ。
(人形の姫君と、猫の記者――混沌にふさわしい奇妙な取り合わせの時間が、流れてゆくのでした。)

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