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梔色特別編纂室

【1:1】ちいさな姫と、知りたがりの猫の話

収穫祭を控えて街はなんとなく騒がしい。
ぼんやりと何かを期待して、猫は通りに目を向ける。
――――要するに、退屈なのだった。

よく晴れた昼下がり。
大通り沿い、賑わう食堂のテラス席の一幕。

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(人々の足の間、随分低い位置にちらりと、金色の髪が見えたような)
……?
(幽かに耳に届くのは、きり、きり、と機械の軋みのような音)

(やがて、人の流れの切れ間にその姿がはっきりと見えた。ぎこちなく歩き、危なっかしく立ち止まる小さな小さな……人形。)
(にぃ、と唇を吊り上げて――――ああ、退屈から解放されそう!)
姫。はぐるま姫!
(彼女のところまで声を通らせる。視線をこちらに転じれば、ひらひらと手を振る猫の女が見えるだろう)

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