ギルドスレッド
泪雨
(風鈴の音に導かれるように庭先へと現れて。
独り言を聞いていたか、否か。着物の裾を夜風に揺らしながら縁側へと歩み寄る)
ほー、懐かしいねぇ。手持ち花火なんてもう何年振りだろうな。
空の花火もいいが、地上の花火もいいモンだ……っと、悪いな、待たせちまってよ。
(まだ先日のバツの悪さが残るのか、どこかぎこちない笑みを浮かべた)
独り言を聞いていたか、否か。着物の裾を夜風に揺らしながら縁側へと歩み寄る)
ほー、懐かしいねぇ。手持ち花火なんてもう何年振りだろうな。
空の花火もいいが、地上の花火もいいモンだ……っと、悪いな、待たせちまってよ。
(まだ先日のバツの悪さが残るのか、どこかぎこちない笑みを浮かべた)
…いらっしゃい、そないに気にするほど…待っとらんよ。
夏の終わりに…風情ある事言うたら、これくらいしか思い浮かばんかったの。
(日よけに置いてある葦簀も取れて、気持ち広くなった中庭。
縁側に花火と、硝子の茶器に入った緑茶。カラン…と、氷が音を立てて崩れる音)
お茶請けに…水羊羹、用意しとります。
旦那は、こしあんと、粒あん、どっちがお好きやろ?ほら、こっち…腰掛けて。
(いつもと違う雰囲気を察するも、いつもと変わりなく、知らんふりを決めて。
ポンポンと、縁側に用意してある座布団を叩いて、手招きを)
夏の終わりに…風情ある事言うたら、これくらいしか思い浮かばんかったの。
(日よけに置いてある葦簀も取れて、気持ち広くなった中庭。
縁側に花火と、硝子の茶器に入った緑茶。カラン…と、氷が音を立てて崩れる音)
お茶請けに…水羊羹、用意しとります。
旦那は、こしあんと、粒あん、どっちがお好きやろ?ほら、こっち…腰掛けて。
(いつもと違う雰囲気を察するも、いつもと変わりなく、知らんふりを決めて。
ポンポンと、縁側に用意してある座布団を叩いて、手招きを)
(いつもと変わらない蜻蛉の様子に、安堵したように肩の力を抜く。
一つ、息を吐けば、「いつものように」肩を竦めて)
そうかい? なら、もうちっと道草くってきてもよかったか……なんてな。
「これくらい」で充分さね。一人暮らしのおっさんってのは、こういうモンからは縁遠くなるからよ。
(からりと笑うと、招かれるままに座布団に腰を降ろす。
通り抜ける夜風に、翡翠の双眸を心地良さそうに細めながら)
そうさなぁ……どっちも好きだが……こしあん、かね。
お前さんはどっち派だい?
一つ、息を吐けば、「いつものように」肩を竦めて)
そうかい? なら、もうちっと道草くってきてもよかったか……なんてな。
「これくらい」で充分さね。一人暮らしのおっさんってのは、こういうモンからは縁遠くなるからよ。
(からりと笑うと、招かれるままに座布団に腰を降ろす。
通り抜ける夜風に、翡翠の双眸を心地良さそうに細めながら)
そうさなぁ……どっちも好きだが……こしあん、かね。
お前さんはどっち派だい?
一人暮らし…寂しかったりせえへん?…て、猫と二人のうちが言うのもなんやけど。
…その歳まで一人やったら、慣れてしもてるやろか。
こっちが、こしあん…どうぞ、ひやこいうちに食べて?
うちも、両方と好きやけど…食べるんやったら、こしあんが好きや。
(茶器と同じ硝子の皿に、丸みを帯びた器をひっくり返すと、水羊羹がお目見え。
さじをつけて盆にのせ、緑茶と一緒に十夜の手前へ置いた)
実を言うと…こないだみたいな事があったよって、もしかしたら…旦那、来てくれんのやないかて…内心、思てた。
(自分もひと口味わってから、緑茶に手を伸ばして。視線を合わせないまま、ぽつり
小さく呟いた後、茶に口をつけて。それは、続く言葉を飲み込むように)
…その歳まで一人やったら、慣れてしもてるやろか。
こっちが、こしあん…どうぞ、ひやこいうちに食べて?
うちも、両方と好きやけど…食べるんやったら、こしあんが好きや。
(茶器と同じ硝子の皿に、丸みを帯びた器をひっくり返すと、水羊羹がお目見え。
さじをつけて盆にのせ、緑茶と一緒に十夜の手前へ置いた)
実を言うと…こないだみたいな事があったよって、もしかしたら…旦那、来てくれんのやないかて…内心、思てた。
(自分もひと口味わってから、緑茶に手を伸ばして。視線を合わせないまま、ぽつり
小さく呟いた後、茶に口をつけて。それは、続く言葉を飲み込むように)
おっ、お前さんもか。気が合うねぇ。
(置かれた盆に、「どうも」と短く礼を告げる。
器を手に取ると、匙で水羊羹を掬いながら空を仰いで)
寂しい、か……どうだろうな。(ぱくり、と口に含む。少しの間、味わって)
……一人じゃねぇ時を知ってりゃぁ、寂しかったかもしれねぇが……ま、そんな時とは無縁なモンで。
俺にとっては「いつも通り」だ。お前さんの言う通り、すっかり慣れちまったんだろうぜ。
(もう一口味わってから、今度は緑茶を啜って。
この組み合わせが最高なんだと細めた目を――蜻蛉の言葉に、少し逸らして)
……あー……いや、あれは……まあ、何だ……お前さんのせいじゃねぇし、な。
おっさんが最後までかっこつけられなかったってだけで……流石に、呆れられちまっただろうって……俺の方こそ……よ。
(気恥ずかしさから歯切れの悪くなるのを、再び緑茶で潤しつつ)
…………だから、こうしてまた声掛けてくれて……ほっとした。
(置かれた盆に、「どうも」と短く礼を告げる。
器を手に取ると、匙で水羊羹を掬いながら空を仰いで)
寂しい、か……どうだろうな。(ぱくり、と口に含む。少しの間、味わって)
……一人じゃねぇ時を知ってりゃぁ、寂しかったかもしれねぇが……ま、そんな時とは無縁なモンで。
俺にとっては「いつも通り」だ。お前さんの言う通り、すっかり慣れちまったんだろうぜ。
(もう一口味わってから、今度は緑茶を啜って。
この組み合わせが最高なんだと細めた目を――蜻蛉の言葉に、少し逸らして)
……あー……いや、あれは……まあ、何だ……お前さんのせいじゃねぇし、な。
おっさんが最後までかっこつけられなかったってだけで……流石に、呆れられちまっただろうって……俺の方こそ……よ。
(気恥ずかしさから歯切れの悪くなるのを、再び緑茶で潤しつつ)
…………だから、こうしてまた声掛けてくれて……ほっとした。
…そ、こしあんが好きやの。つぶも食べれんことないけど、歯ざわり…やろか。
(半分くらいまで食べ終わって。手元にあった皿を下に置いて)
「寂しい」のに慣れはっても、こやって誰かと出掛けるんが好きなんは、ええ事や。
…誰かと一緒するのに「慣れ」てくれるんは、うちも嬉しいです。
何処から来たのか分からん、こんなうちと…。
(夜風に揺れる風鈴、チリンとひと鳴り──…涼やかな響き。
ぎこちない物言い…ありのままの姿で居てくれるのが嬉しくて、自然と声も弾む)
…呆れはせえへんけど、意外やったの。見かけに寄らず……奥手やのね。
今までの事思い返すと………気の毒やった…って思て……(くすくす笑い出す)
…うちが寂しがっとるの、分かっとったくせに…何言うてるの?
(腰をあげて、縁側から少し離れた場所に立ててある、蝋燭に火を付けて。
用意してあった手持ち花火と、線香花火、両方を渡す)
ほな、花火でもしもて、やる事決めていきましょ。…はい、これ。
(半分くらいまで食べ終わって。手元にあった皿を下に置いて)
「寂しい」のに慣れはっても、こやって誰かと出掛けるんが好きなんは、ええ事や。
…誰かと一緒するのに「慣れ」てくれるんは、うちも嬉しいです。
何処から来たのか分からん、こんなうちと…。
(夜風に揺れる風鈴、チリンとひと鳴り──…涼やかな響き。
ぎこちない物言い…ありのままの姿で居てくれるのが嬉しくて、自然と声も弾む)
…呆れはせえへんけど、意外やったの。見かけに寄らず……奥手やのね。
今までの事思い返すと………気の毒やった…って思て……(くすくす笑い出す)
…うちが寂しがっとるの、分かっとったくせに…何言うてるの?
(腰をあげて、縁側から少し離れた場所に立ててある、蝋燭に火を付けて。
用意してあった手持ち花火と、線香花火、両方を渡す)
ほな、花火でもしもて、やる事決めていきましょ。…はい、これ。
ははっ、確かにな。つぶのあの食感は、どうにも無口になっちまう。
なら、今度何か買ってくるときはこしあんにするかね。
(そんな事を言いながら、合間に水羊羹を一匙ずつ口に運ぶ。
途中、蜻蛉の言葉に苦笑を零して)
あのな、別におっさんは人嫌いって訳じゃねぇぞ? ……それと、奥手でもねぇ。(やや渋面で付け足す)
単に――……今の暮らしに満足してるってだけだ。
店にいりゃぁ色々な客が来るし、飲み歩きゃぁそこでも色々なやつに会う。
俺の知らねぇどこかの話を聞いて、気が合えば店を渡って飲み明かして……そういう付き合いの方が、俺には合ってるんだろうぜ。
(空になった水羊羹の器を盆に戻す。コトン、と小さな音が響いた)
だから、嬢ちゃんがどこから来たかってのも、特に気にならねぇさ。
お前さんはお前さんで、今こうやって話ができる。そんだけわかってりゃぁ充分だ。
……それから、実は寂しがり屋だって事も、な。
(――寂しいから、ついこんなおっさんをからかいたくなるんだろ。
そう、自分に言い聞かせるように続けかけた言葉を、笑顔の下に呑み込んで)
っと、そうだな。……ありがとよ。(片手を伸ばして花火を受け取る)
なら、今度何か買ってくるときはこしあんにするかね。
(そんな事を言いながら、合間に水羊羹を一匙ずつ口に運ぶ。
途中、蜻蛉の言葉に苦笑を零して)
あのな、別におっさんは人嫌いって訳じゃねぇぞ? ……それと、奥手でもねぇ。(やや渋面で付け足す)
単に――……今の暮らしに満足してるってだけだ。
店にいりゃぁ色々な客が来るし、飲み歩きゃぁそこでも色々なやつに会う。
俺の知らねぇどこかの話を聞いて、気が合えば店を渡って飲み明かして……そういう付き合いの方が、俺には合ってるんだろうぜ。
(空になった水羊羹の器を盆に戻す。コトン、と小さな音が響いた)
だから、嬢ちゃんがどこから来たかってのも、特に気にならねぇさ。
お前さんはお前さんで、今こうやって話ができる。そんだけわかってりゃぁ充分だ。
……それから、実は寂しがり屋だって事も、な。
(――寂しいから、ついこんなおっさんをからかいたくなるんだろ。
そう、自分に言い聞かせるように続けかけた言葉を、笑顔の下に呑み込んで)
っと、そうだな。……ありがとよ。(片手を伸ばして花火を受け取る)
これからの季節は、甘いもんが恋しなります。…楽しみにしとりますね。
今からやと…あんこやのうても、栗やお芋、梨に柿…秋はええ季節や。
食べ物ばっかりやのうて、景色やって…。
(蝋燭の近くに屈む、浴衣の裾が触れないように、手持ち花火の先を火に近づけて。
やがて、パチパチと音を立てながら光の花が手元に咲いて)
なら、うちの思い違い…変に水さしてしもて、堪忍して。
──そう、そういうのに縁がなかったんは、そういう事やのね。
旦那らしい…っちゃ、らしい。………奥手やないの?…堪忍や。(小さく笑って)
(金色の瞳、光の花を見つめたまま。終わってしもた…ぽつり零す
燃え尽きた花火。バケツの水に挿すと、ジュっと音を立てた)
──………そ、寂しがり、や。
(不意を突かれて、同じように返すしかなく、返す言葉が見つからず。
そのまま、次の花火へ火をつける。伏し目がちに、頬を朱に染めて)
…うちが寂しがりやで、来てくれるのも知っとる。
------
十夜 縁(p3p000099)と
ええ夜風…暑いのは嫌いやけど、夏が終わってしまうんは寂しい
うちは、我が侭やの…でも、旦那と最後見に来れて良かった
花火の順番…旦那は、どうしはるの?
順番当てると、お願い事叶うらしいけど
祭りで買った綿あめを片手に
(120字)
今からやと…あんこやのうても、栗やお芋、梨に柿…秋はええ季節や。
食べ物ばっかりやのうて、景色やって…。
(蝋燭の近くに屈む、浴衣の裾が触れないように、手持ち花火の先を火に近づけて。
やがて、パチパチと音を立てながら光の花が手元に咲いて)
なら、うちの思い違い…変に水さしてしもて、堪忍して。
──そう、そういうのに縁がなかったんは、そういう事やのね。
旦那らしい…っちゃ、らしい。………奥手やないの?…堪忍や。(小さく笑って)
(金色の瞳、光の花を見つめたまま。終わってしもた…ぽつり零す
燃え尽きた花火。バケツの水に挿すと、ジュっと音を立てた)
──………そ、寂しがり、や。
(不意を突かれて、同じように返すしかなく、返す言葉が見つからず。
そのまま、次の花火へ火をつける。伏し目がちに、頬を朱に染めて)
…うちが寂しがりやで、来てくれるのも知っとる。
------
十夜 縁(p3p000099)と
ええ夜風…暑いのは嫌いやけど、夏が終わってしまうんは寂しい
うちは、我が侭やの…でも、旦那と最後見に来れて良かった
花火の順番…旦那は、どうしはるの?
順番当てると、お願い事叶うらしいけど
祭りで買った綿あめを片手に
(120字)
あぁ、そうさな。秋と言やぁ実りの秋、食欲の秋……夏には味わえねぇモンが沢山ある。
真っ赤に燃える山を眺めながらの温泉。そこに美味い酒とくりゃぁ最高に贅沢だろうぜ。
(ぐいっとあおる仕草で緑茶を飲み干す。
先に戻した水羊羹の器の脇に、茶器をコトリと置くと、縁側から腰を上げて。
夜風から火を守るようにか、さりげなく風上に背を向けるように屈み込んだ)
……ま、この歳だしな。そう思われても仕方ねぇさ。
だからそれなり経験豊富に「見せて」おかねぇと、色々煩く言われて大変なんだぜ、これでもよ。(手持ち花火の先を火にかざしつつ)
この状況を見られたら、それはそれでやかましく言われそうだが――……こら、そこで笑うな。
(笑いながらの謝罪に軽く顔をしかめ、それでも視線は変わらず穏やかに。
やれやれ、と肩を竦めると同時、鮮やかな火が花開いた。
パチパチと爆ぜるそれを、暫し静かに眺めて。燃え尽きる瞬間)
――俺も、知ってる。……俺が寂しいのに慣れちまわねぇように、こうして声掛けてくれてるって。
(だから、お互い丁度いいだろ。
バケツに花火を放り込みながら、ぽつりと呟いた)
------
蜻蛉(p3p002599)と
ははっ、我が侭な嬢ちゃんだ
ま、そうやって寂しがって貰えりゃ、夏も本望だろうぜ
着流しの裾を揺らしながら、蜻蛉の言葉に笑って
順番…あぁ、そういやそんな話もあったなぁ
なら最初は――…いや、やっぱりやめておくかね
こういうのは当たった試しがねぇのさ
…それに、もう願いは叶ってるんでな
夏が終わるまでに、お前さんともう一度花火を見る、ってよ
肩を竦めて夜空を見上げる
夜風もあるのに熱くなる顔を、見られないように
(211字)
真っ赤に燃える山を眺めながらの温泉。そこに美味い酒とくりゃぁ最高に贅沢だろうぜ。
(ぐいっとあおる仕草で緑茶を飲み干す。
先に戻した水羊羹の器の脇に、茶器をコトリと置くと、縁側から腰を上げて。
夜風から火を守るようにか、さりげなく風上に背を向けるように屈み込んだ)
……ま、この歳だしな。そう思われても仕方ねぇさ。
だからそれなり経験豊富に「見せて」おかねぇと、色々煩く言われて大変なんだぜ、これでもよ。(手持ち花火の先を火にかざしつつ)
この状況を見られたら、それはそれでやかましく言われそうだが――……こら、そこで笑うな。
(笑いながらの謝罪に軽く顔をしかめ、それでも視線は変わらず穏やかに。
やれやれ、と肩を竦めると同時、鮮やかな火が花開いた。
パチパチと爆ぜるそれを、暫し静かに眺めて。燃え尽きる瞬間)
――俺も、知ってる。……俺が寂しいのに慣れちまわねぇように、こうして声掛けてくれてるって。
(だから、お互い丁度いいだろ。
バケツに花火を放り込みながら、ぽつりと呟いた)
------
蜻蛉(p3p002599)と
ははっ、我が侭な嬢ちゃんだ
ま、そうやって寂しがって貰えりゃ、夏も本望だろうぜ
着流しの裾を揺らしながら、蜻蛉の言葉に笑って
順番…あぁ、そういやそんな話もあったなぁ
なら最初は――…いや、やっぱりやめておくかね
こういうのは当たった試しがねぇのさ
…それに、もう願いは叶ってるんでな
夏が終わるまでに、お前さんともう一度花火を見る、ってよ
肩を竦めて夜空を見上げる
夜風もあるのに熱くなる顔を、見られないように
(211字)
うちは、秋が好きやの…木々の彩り、鈴なりになった果実……赤色。
ほんま…お酒が好きやのね。…うちも、好きやけど。
(ふと、蝋燭の炎の揺らぎが止まる。
止まった理由に気づいても、それをあえて口には出さずに──…)
囃し立てられるんが、そんなに恥ずかしいん?
そうなった時の旦那も見てみたいわ、うち、きっと今よりわろてしまう…。
……やって、面白いんやもの。
(──…花火が水に浸かる音、意外な言葉。
今、自分はどんな顔をしているだろうか。本当はそうじゃない…そうじゃないけれど。
陽が陰り、薄暗い中、悟られないように下を向く。
平静を保つように、波打つ心を見透かされないよう…線香花火の持ち手を摘まんで
ゆっくりと蝋燭の火にかざす。丸まった先を落とさないよう、それはそれは…慎重に)
旦那は優しい人やで…うちには、勿体ないくらい。
(それだけやないんよ…なんて言えるわけもなく。
やがてそれは、音を立て綺麗な花の閃光を放って、短い命を散らす)
小さいけど、ほんに…儚くて綺麗。
…そや、旦那は、子供の頃、どんな子やったの?
------------------
十夜 縁(p3p000099)と
ええ夜風…暑いのは嫌いやけど、夏が終わってしまうんは寂しい
うちは、我が侭やの…でも、旦那と最後見に来れて良かった
カランコロン、下駄を鳴らしながら
花火の順番…旦那は、どうしはるの?
順番当てると、お願い事叶うらしいけど
お願いする前から、諦めてしまうの?
……──今、何て?
その刹那、周囲の騒めき、花火の轟きさえも消えて
せっかくの花火やのに、勿体無い
素直になれない天邪鬼、下を向いてぼそっと呟く
ただ、その顔は朱に染まって嬉しそうに
うちの願い事…「今が続きますように」
やけど、外れてしもたら悲しいよって、お願い事はせんとく
こうして、隣りで花火見れたから、それでええの…
(295文字)
ほんま…お酒が好きやのね。…うちも、好きやけど。
(ふと、蝋燭の炎の揺らぎが止まる。
止まった理由に気づいても、それをあえて口には出さずに──…)
囃し立てられるんが、そんなに恥ずかしいん?
そうなった時の旦那も見てみたいわ、うち、きっと今よりわろてしまう…。
……やって、面白いんやもの。
(──…花火が水に浸かる音、意外な言葉。
今、自分はどんな顔をしているだろうか。本当はそうじゃない…そうじゃないけれど。
陽が陰り、薄暗い中、悟られないように下を向く。
平静を保つように、波打つ心を見透かされないよう…線香花火の持ち手を摘まんで
ゆっくりと蝋燭の火にかざす。丸まった先を落とさないよう、それはそれは…慎重に)
旦那は優しい人やで…うちには、勿体ないくらい。
(それだけやないんよ…なんて言えるわけもなく。
やがてそれは、音を立て綺麗な花の閃光を放って、短い命を散らす)
小さいけど、ほんに…儚くて綺麗。
…そや、旦那は、子供の頃、どんな子やったの?
------------------
十夜 縁(p3p000099)と
ええ夜風…暑いのは嫌いやけど、夏が終わってしまうんは寂しい
うちは、我が侭やの…でも、旦那と最後見に来れて良かった
カランコロン、下駄を鳴らしながら
花火の順番…旦那は、どうしはるの?
順番当てると、お願い事叶うらしいけど
お願いする前から、諦めてしまうの?
……──今、何て?
その刹那、周囲の騒めき、花火の轟きさえも消えて
せっかくの花火やのに、勿体無い
素直になれない天邪鬼、下を向いてぼそっと呟く
ただ、その顔は朱に染まって嬉しそうに
うちの願い事…「今が続きますように」
やけど、外れてしもたら悲しいよって、お願い事はせんとく
こうして、隣りで花火見れたから、それでええの…
(295文字)
そりゃ、おっさんから酒と煙草を取ったら何も残らねぇからなぁ。
一緒に飲む相手が欲しい時はいつでも付き合うぜ、嬢ちゃん。
(からからと笑いながら、一本、また一本と手持ち花火を咲かせては散らしていく)
恥ずかしいというか……面倒なのさ。
やれいいやつの一人や二人いねぇのかだの、やれ紹介してやろうかだの、毎回言われてみろ。
耳にタコができちまう……っておいおい、勘弁してくれ。この上お前さんにまで面白がられたら、繊細なおっさんは穴掘って埋まるしかなくなる。
(燃え尽きた最後の手持ち花火をバケツへと放り込む。
ジュッ、と音を立てるそれに何とはなしに視線をやったまま)
…………お前さんが思ってるほど、優しくねぇと思うがね。
(ただそれだけを呟いて。再び蝋燭の方を向けた表情は、いつもと変わりなく。
線香花火に灯る炎が、独特の丸さを形作っていくのを見つめつつ)
なんだ、藪から棒に……っと、危ねぇ。(思わず笑いを零せば火球が揺れて、慌てて姿勢を正す)
どんなって言われてもなぁ……普通の子供だったと思うぜ?
勤勉でもなく、やんちゃでもなく。怪我らしい怪我もした記憶が――(小さな火花を散らしながら、頼りなげに揺れ始める光を見て、ふと言葉を切り)
……あぁいや、一回だけあったか。
初めて線香花火をやった時、この火がすぐ落ちちまうのが妙に嫌で、受け止めようとしたな。――素手で。
------------------
蜻蛉(p3p002599)と
あぁ、星が綺麗に見えるねぇ
こんな夜空なら、花火も最高に綺麗に見えそうだ
空を仰いで満足気に
ははっ、我が侭な嬢ちゃんだ
ま、そうやって寂しがって貰えりゃ、夏も本望だろうぜ
着流しの裾を揺らしながら、蜻蛉の言葉に笑う
順番…あぁ、そういやそんな話もあったなぁ
なら最初は――…いや、やっぱりやめておくかね
こういうのは当たった試しがねぇのさ
ほら、よく言うだろ
世の中諦めが肝心、ってな
どこか寂しそうに呟いて
…それに、もう願いは叶ってるんでな
夏が終わるまでに、お前さんともう一度花火を見る、ってよ
聞き返す声に肩を竦めて、誤魔化すように夜空を見上げる
夜風もあるのに熱くなる顔を、見られないように
(300字)
一緒に飲む相手が欲しい時はいつでも付き合うぜ、嬢ちゃん。
(からからと笑いながら、一本、また一本と手持ち花火を咲かせては散らしていく)
恥ずかしいというか……面倒なのさ。
やれいいやつの一人や二人いねぇのかだの、やれ紹介してやろうかだの、毎回言われてみろ。
耳にタコができちまう……っておいおい、勘弁してくれ。この上お前さんにまで面白がられたら、繊細なおっさんは穴掘って埋まるしかなくなる。
(燃え尽きた最後の手持ち花火をバケツへと放り込む。
ジュッ、と音を立てるそれに何とはなしに視線をやったまま)
…………お前さんが思ってるほど、優しくねぇと思うがね。
(ただそれだけを呟いて。再び蝋燭の方を向けた表情は、いつもと変わりなく。
線香花火に灯る炎が、独特の丸さを形作っていくのを見つめつつ)
なんだ、藪から棒に……っと、危ねぇ。(思わず笑いを零せば火球が揺れて、慌てて姿勢を正す)
どんなって言われてもなぁ……普通の子供だったと思うぜ?
勤勉でもなく、やんちゃでもなく。怪我らしい怪我もした記憶が――(小さな火花を散らしながら、頼りなげに揺れ始める光を見て、ふと言葉を切り)
……あぁいや、一回だけあったか。
初めて線香花火をやった時、この火がすぐ落ちちまうのが妙に嫌で、受け止めようとしたな。――素手で。
------------------
蜻蛉(p3p002599)と
あぁ、星が綺麗に見えるねぇ
こんな夜空なら、花火も最高に綺麗に見えそうだ
空を仰いで満足気に
ははっ、我が侭な嬢ちゃんだ
ま、そうやって寂しがって貰えりゃ、夏も本望だろうぜ
着流しの裾を揺らしながら、蜻蛉の言葉に笑う
順番…あぁ、そういやそんな話もあったなぁ
なら最初は――…いや、やっぱりやめておくかね
こういうのは当たった試しがねぇのさ
ほら、よく言うだろ
世の中諦めが肝心、ってな
どこか寂しそうに呟いて
…それに、もう願いは叶ってるんでな
夏が終わるまでに、お前さんともう一度花火を見る、ってよ
聞き返す声に肩を竦めて、誤魔化すように夜空を見上げる
夜風もあるのに熱くなる顔を、見られないように
(300字)
……ん…優しゅうないけど、優しい。それでいて、不器用…よお知ってます。
(新しい線香花火に手をつけて。少し歪に丸まった先を見つめる。
まるで今の自分のよう、それがなんとなく愛おしくて、哀しくて、落ちそうな火花)
線香花火見よったら、小さい頃の旦那が見えて。…思わず聞きたなってしもたの。
…ほら、気ぃつけんと落ちてしまう。大事に大事に…最後まで咲かてあげんと。
そうなん……やんちゃしてたんかと思た、意外。(悪戯気味にクスっと笑う)
(目を細めながら、揺れる先をじーっと眺めて。
そういう合間にも、光の花が夏の最後を知らせるように──…チリチリと鳴いて)
……こうやって?
(聞いた話を再現するように、空いてるほうの掌を花火の下に入れようとして)
---------------------
十夜 縁(p3p000099)と
ええ夜風…暑いのは嫌い、でも夏が終わってしまうんは寂しい
うちは、我が侭やの…でも、旦那と見に来れて良かった
カランコロン、下駄を鳴らしながら
花火の順番…旦那は、どうしはるの?
順番当てると、お願い事叶うらしいけど
お願いする前から、諦めてしまうの?
また、あの寂しい瞳…言葉は返さずに
…──今、何て?
その刹那、周囲の騒めき、花火の轟きさえも消えて
せっかくの花火やのに…
素直になれない天邪鬼、下を向いてぼそっと
ただ、その顔は朱に染まって嬉しそうに
夜空を見上げる横顔を、チラっと見やって
同じように空を
この時がずっと続きますように、今は唯、それだけを願って
(花火の予想結果は秘密で)
(300字)
(新しい線香花火に手をつけて。少し歪に丸まった先を見つめる。
まるで今の自分のよう、それがなんとなく愛おしくて、哀しくて、落ちそうな火花)
線香花火見よったら、小さい頃の旦那が見えて。…思わず聞きたなってしもたの。
…ほら、気ぃつけんと落ちてしまう。大事に大事に…最後まで咲かてあげんと。
そうなん……やんちゃしてたんかと思た、意外。(悪戯気味にクスっと笑う)
(目を細めながら、揺れる先をじーっと眺めて。
そういう合間にも、光の花が夏の最後を知らせるように──…チリチリと鳴いて)
……こうやって?
(聞いた話を再現するように、空いてるほうの掌を花火の下に入れようとして)
---------------------
十夜 縁(p3p000099)と
ええ夜風…暑いのは嫌い、でも夏が終わってしまうんは寂しい
うちは、我が侭やの…でも、旦那と見に来れて良かった
カランコロン、下駄を鳴らしながら
花火の順番…旦那は、どうしはるの?
順番当てると、お願い事叶うらしいけど
お願いする前から、諦めてしまうの?
また、あの寂しい瞳…言葉は返さずに
…──今、何て?
その刹那、周囲の騒めき、花火の轟きさえも消えて
せっかくの花火やのに…
素直になれない天邪鬼、下を向いてぼそっと
ただ、その顔は朱に染まって嬉しそうに
夜空を見上げる横顔を、チラっと見やって
同じように空を
この時がずっと続きますように、今は唯、それだけを願って
(花火の予想結果は秘密で)
(300字)
(「なんだそりゃ」と、肩を竦めた拍子に、光一筋、鮮やかな尾を引きながら散っていく)
あぁ、落ちちまった……それはあれか、俺が子供っぽいって意味かい?
それに意外ってなんだ意外って。どんなのを想像してたんだ、まったく……。
(わざとらしくぼやきながら次の線香花火を取って。
すぐには火をつけず、手慰みに指先で擦り合わせるように揺らしながら)
というか、そういう嬢ちゃんはどんな――(ふと向けた視線。蜻蛉が花火の下に手をやろうとするのが見えて)
……っ、馬鹿、何やって……っ!
(咄嗟に身を乗り出せば、手から離れた線香花火が夜の庭へと落ちる。
それも構わず、己の掌で蜻蛉の手を覆うように掴んで、脇へ退かそうと)
あぁ、落ちちまった……それはあれか、俺が子供っぽいって意味かい?
それに意外ってなんだ意外って。どんなのを想像してたんだ、まったく……。
(わざとらしくぼやきながら次の線香花火を取って。
すぐには火をつけず、手慰みに指先で擦り合わせるように揺らしながら)
というか、そういう嬢ちゃんはどんな――(ふと向けた視線。蜻蛉が花火の下に手をやろうとするのが見えて)
……っ、馬鹿、何やって……っ!
(咄嗟に身を乗り出せば、手から離れた線香花火が夜の庭へと落ちる。
それも構わず、己の掌で蜻蛉の手を覆うように掴んで、脇へ退かそうと)
(掴まれた手、振り払う事もなく…されたまま。まるで、待っていたかのように)
………やって……こうでもせんと、旦那、触れてくれんから。
…やっと、掴んでくれた。やっと、や(泣きそうになるのを、必死に堪えながら)
ズルいんは分かってる…分かってる。一か八か…きっとこうしてくれるて、思てた。
うちは、ほんまは……こんな女やの…ごめんなさい。
(覆われた手から伝わる温かさ、少し骨ばった手、大きな掌。
わざとそうさせた後悔と引き換えに、何よりも自分が欲しかったもの……)
………もう少しだけ、離さんと、こうしとって?
………やって……こうでもせんと、旦那、触れてくれんから。
…やっと、掴んでくれた。やっと、や(泣きそうになるのを、必死に堪えながら)
ズルいんは分かってる…分かってる。一か八か…きっとこうしてくれるて、思てた。
うちは、ほんまは……こんな女やの…ごめんなさい。
(覆われた手から伝わる温かさ、少し骨ばった手、大きな掌。
わざとそうさせた後悔と引き換えに、何よりも自分が欲しかったもの……)
………もう少しだけ、離さんと、こうしとって?
はぁ……?(どういう意味だ、と眉根を寄せて)
そりゃ……意味もなく触ったら変だろうが。
おっさんもセクハラだの何だの言われたくねぇし……火傷、してねぇな?
(手首を返して、己の手のひらにおさまる小さな手を見つめる。
怪我がないのを確認すると、安堵したように長い溜息を吐き出した)
勘弁してくれ……いや、別に謝る必要はねぇけどよ……。
ただでさえ残り少ねぇ寿命が更に縮んだ気がするぜ……。
(そう言いながらも、手を離す事はせず。
ただ掴む力は、そうしようと思えば簡単に振り解けるほどに緩める。
小さくて、頼りなくて。それでもひどく熱い。
まるで――あの時掴もうとした花火みたいだ、と。そんなことを思った)
そりゃ……意味もなく触ったら変だろうが。
おっさんもセクハラだの何だの言われたくねぇし……火傷、してねぇな?
(手首を返して、己の手のひらにおさまる小さな手を見つめる。
怪我がないのを確認すると、安堵したように長い溜息を吐き出した)
勘弁してくれ……いや、別に謝る必要はねぇけどよ……。
ただでさえ残り少ねぇ寿命が更に縮んだ気がするぜ……。
(そう言いながらも、手を離す事はせず。
ただ掴む力は、そうしようと思えば簡単に振り解けるほどに緩める。
小さくて、頼りなくて。それでもひどく熱い。
まるで――あの時掴もうとした花火みたいだ、と。そんなことを思った)
火傷はしとらん、平気。
……気ぃついたら、うちは…いつも呆れさせてばかり、その溜息も。
(少しだけ寂しげに笑う、重なった手元を伏し目がちに見て)
もうええよ、おおきに……。
(緩められた手、指でなぞるように自分の手を引き戻す、名残惜しそうに。
その手を胸元に当てると、きゅっと強く握り締めた。
片方の手には、衝撃で火球の落ちた線香花火。それをゆっくりとバケツへ)
…ほな、そろそろ行かんと。
旦那、うちと居てると早死にするかも…なんて、嘘やうそ。
あと……うちの話は、また今度。
(気まずい雰囲気をどうにか消そうと、冗談を言いながら腰を上げる。
花火の後始末をしてから、縁側の茶器を片付けて。
水羊羹が綺麗になくなった皿、嬉しそうに眺めてから盆にのせた)
……気ぃついたら、うちは…いつも呆れさせてばかり、その溜息も。
(少しだけ寂しげに笑う、重なった手元を伏し目がちに見て)
もうええよ、おおきに……。
(緩められた手、指でなぞるように自分の手を引き戻す、名残惜しそうに。
その手を胸元に当てると、きゅっと強く握り締めた。
片方の手には、衝撃で火球の落ちた線香花火。それをゆっくりとバケツへ)
…ほな、そろそろ行かんと。
旦那、うちと居てると早死にするかも…なんて、嘘やうそ。
あと……うちの話は、また今度。
(気まずい雰囲気をどうにか消そうと、冗談を言いながら腰を上げる。
花火の後始末をしてから、縁側の茶器を片付けて。
水羊羹が綺麗になくなった皿、嬉しそうに眺めてから盆にのせた)
呆れては……いや、まあ案外子供っぽいことするとは思ったけどよ。
せっかく綺麗な手なんだ、怪我したらもったいねぇだろ。
(細い指がなぞる感触に、僅かに手のひらを強張らせる。
それを表情に出すことはなく、空っぽになった手を暫し見つめて)
ん……あぁ、もうそんな時間だったか。(緩慢な動作で腰を上げ)
……そうだな、もしおっさんが早死にしたら……そん時は、墓に和菓子でも供えに来てくれや。
それから酒と、土産話と――
(便乗して返す軽口をふと噤む。
蜻蛉の横顔を眺める視界に、不意に先の寂しげな笑顔がちらついて)
…………行こうぜ。――蜻蛉。
(後片付けを終えた頃合いで、先程と同じ――先程より少し震える手を、そっと差し出した)
せっかく綺麗な手なんだ、怪我したらもったいねぇだろ。
(細い指がなぞる感触に、僅かに手のひらを強張らせる。
それを表情に出すことはなく、空っぽになった手を暫し見つめて)
ん……あぁ、もうそんな時間だったか。(緩慢な動作で腰を上げ)
……そうだな、もしおっさんが早死にしたら……そん時は、墓に和菓子でも供えに来てくれや。
それから酒と、土産話と――
(便乗して返す軽口をふと噤む。
蜻蛉の横顔を眺める視界に、不意に先の寂しげな笑顔がちらついて)
…………行こうぜ。――蜻蛉。
(後片付けを終えた頃合いで、先程と同じ――先程より少し震える手を、そっと差し出した)
火傷の跡見て、今日を思い出すんもまたええなぁ…て。
…冗談やないよ?って、言うと、また怒らはるよって、しません。
(さっき掴まれた方の手を、ひらひらと。)
そや…夏に死んだら、あの時買うてきてくれた、水饅頭…あれがええ…───って
(身支度を終え、下駄に足を通す。目線を上げると差し出された手
緊張からか、震えている手、真っすぐで正直で…優しくて。
初心な人の精いっぱいの真心に、手を添える。もう、大丈夫…そう囁くように)
……はい、十夜さん。
(─…蝋燭の火が夜風に消える、花火のあとの火薬の匂い。
拙くて、ぎこちない繋ぎ方、けれど………何にも代えがたいもの。
祭りに向かう、風鈴の音に見送られて。
──…ひと夏の終わり。)
…冗談やないよ?って、言うと、また怒らはるよって、しません。
(さっき掴まれた方の手を、ひらひらと。)
そや…夏に死んだら、あの時買うてきてくれた、水饅頭…あれがええ…───って
(身支度を終え、下駄に足を通す。目線を上げると差し出された手
緊張からか、震えている手、真っすぐで正直で…優しくて。
初心な人の精いっぱいの真心に、手を添える。もう、大丈夫…そう囁くように)
……はい、十夜さん。
(─…蝋燭の火が夜風に消える、花火のあとの火薬の匂い。
拙くて、ぎこちない繋ぎ方、けれど………何にも代えがたいもの。
祭りに向かう、風鈴の音に見送られて。
──…ひと夏の終わり。)
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夜風が風鈴を揺らし、チリンと鳴った。
夏の終わりを告げるように──…。
いつものように縁側に腰掛けて、待ち人が来るのを待つ。
庭に小さな蝋燭、手元には幾つかの手持ち花火、そして…線香花火を用意して。
「日が陰るんが、はよおなった…日中はまだ暑いけど。夏も…逝ってしまうのやろか。」
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イベントシナリオ:「まじない花火と空模様」相談場所
十夜さんと。