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ギルドスレッド

自由図書館

【1:1RPスレ】その頁は、求める者にのみ開かれる

自由図書館司書、赤羽・大地には2つの顔がある。

一つはそのまま、『自由図書館司書の大地』。
もう一つは、『死霊術師の赤羽』だ。

 尤も、前者の顔ならいざしらず。
後者の名は、ローレットの仕事をしているか、同じイレギュラーズであるか……『霊』を相手にした時以外に、名乗ることはそうそう無いのだが。
……だって、どこかの誰かさんみたいに、不遜な名乗りから不要なトラブルを招くのは避けたいし。

……等と言っていたら、相方から「なんダ??? 俺に喧嘩売ってるのカ???」とか怒られてしまいそうだ。

今はひとまず、司書の業務に移るとしよう……。

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(貸出カウンターでは黒赤の髪を持つ青年が、黙々と何か作業をしている)

(どうやら、何やらポップを作成しているらしい。題して『夏のホラー小説特集』……事実、カウンター側の特設スペースには、ライト目なオカルト本やホラー小説等、シーズンごとのおすすめ本が集められていた)
……はい。間違いなく、本の匂いです、ね?図書館のよう、です、けれど……
(くんくんと確かめながら歩く少年がひとり、それから白い人魂と黒狼の霊魂が彼に付き添うように迷い込んだようだ)
(足音と声音から客の来訪を察知して顔を上げるが、顔を布……?で隠しているその姿に、一瞬驚く。しかし、それ以上に、気になること。己の内側から『片割れ』が指摘する)

『アイツの側にいるのハ、従者かネ。それとも騎士様カ? ……何れにせヨ、お前の仕事の時間だゾ』

(それは寝言のような気だるそうな言い方だが、恐らく片割れに何も言われずとも、青年は立ち上がっただろう)

……ようこそ、自由図書館へ。
ええっと、何か、探しに来たのかな……?

(驚かせないよう、声量は控えめに。なるだけ少年の正面から、声をかけた)
(ちりん、と白髪に結わえた鈴を鳴らして振り向くと、まるで透かして見ているように、布越しの視線は声をかけてきた人物の顔をしっかりと捉えて頷き)
ええ。本が読める場所を、探して来たのです、けれど、生憎と、自分の目では、確かめられないもので……
すみません。此処の管理を、されている方、でしょうか?
(白と黒の霊魂はふわふわと周りを回っている)
ああ……そうだよ。
俺はここの司書をやっている、『大地』という。

(自分の目では、確かめられない……確かに、その布ではそうだろう、けれど。)
そうか、本を読みに来たならば、きみも客人に違いない。
自由図書館にようこそ。歓迎しよう。

(……しかし、なまじ『視えてしまう』立場なだけだけあって。白と黒の霊魂が気になる……)
司書さん、だったのですね……ボクは、閠、といいます。
よろしく、お願いします、ね?大地さん。
(受け入れられたことにホッとした様子で微笑み、ぺこりと丁寧なお辞儀をする閠。その顔の側へ寄ってきた黒い霊魂が耳打ちするように何事か伝えたのに相槌を打ってから)
……えぇと、良ければ、此方のふたりもご紹介、させていただいても?
(見えているのならば、と霊魂達を掌で示して反応を窺う)
ああ、よろしく、閠。
(丁寧な仕草に倣って、自分もゆっくりとお辞儀を返した。その時、黒の霊魂が動くのを確かに見届け)

ああ、見えるの、バレてたのか。
……ああいや、隠すつもりはなかったけれど。聞いていいのか迷ってたんだ。
……教えてくれるなら嬉しいかな。

(少なくとも、彼らは閠の意思に反して勝手に何かをしている風ではないし……『彼等』の事を聞いたのなら、先程から内側でウズウズしている『片割れ』の事も、紹介しようかな……)
(返ってきたお辞儀の音から誠実な方だと判断して少し緊張を緩め)
いえ、此方こそ、隠す気はあまり、ありませんし、お気になさらず……
ふたり共、ボクの目の代わりに、あれこれ、してくれて、気配を隠さない分、割と視認出来る方も、多いもので。
シロと、クロ、です。
(白い人魂、黒狼の霊魂、と順に示しながら名を呼べば、シロがくるりと回って挨拶し、クロは警戒するように低く唸って応えた)
……よろしくなー、シロ、クロ。

(大地は、閠に話した時と大差なく、柔らかい声音で声をかける、が。低く唸るクロに苦笑いを浮かべる。
まあでも、彼の目となる存在なら、ある程度の警戒心を持って然るべきなのだろう。そこを不快には思わない。けれど……)

……なんだァ? この『赤羽』様にビビってんのかぁ黒いノ?

(彼のうちに住まう『天の邪鬼』は黙っちゃいなかった。面白そうに紅玉の目を細め、先程とは違った意地悪な様子で笑う)
っ、こら、お邪魔している、立場です、よ……?大地、さん?えぇと、失礼しまし、た……?
(クロを慌てて嗜めつつ雰囲気が変わったのを敏感に感じ取って戸惑う閠を守るように、シロが静かに体の前へ。クロは警戒を露わに吠え、今にも跳びかかろうと)
クロ、待て、待てです、よっ……
(慌てふためく閠の姿と、白と黒の魂の様子に、面白そうに唇を釣り上げ、男は笑う)

……あァ、閠。お前が謝る事ァねぇヨ。

(そもそも煽ったのは俺だしナ、と悪びれもせず言ってのけて)

へェ……シロもクロモ、ちゃんと主人を守ろうとするだなんテ。健気なやつじゃねぇカ。……安心しナ、俺は何もしねぇヨ。

(彼らの様子を見届けた男は、意地悪な笑みはそのままに、語調を少しばかり和らげた)

おっト、名乗り忘れるところだっタ。俺は『赤羽』。
……今は訳あって大地(こ)の身体を借りちゃあいるガ、元々は死霊術師ダ。
大地に視える目をくれてやったのモ、この俺サ。

(だから俺の方が偉いんだゾ、とでも言いたげにフフンと胸を張ってみせるが)
ン゛……ン゛ッンー!!!

(強めの咳払い一つ。それを終える頃には、すっかり先の青年の顔に戻っていた)

くっそ赤羽、あとで紹介しようと思ったのに……しゃしゃり出やがった……。

(相方の横暴につい悪態をつきそうになるが、今は客人の前。しゃんと姿勢を正す)

……ええと、その。ごめん閠。
きみがその、シロ達と共にあるように……俺にも、いつも一緒にいるやつが居てさ。それがさっきの赤羽、なんだ。
俺も、元々は霊感とか無かったんだけど……そういうのに通じるようになったのは……まあ……彼の助けによるところも大きくて……。

……多分、ここに来る人で『わかる人』って珍しいから、あいつもテンション上がっちゃったのかな……?

(だから許せ、などと傲慢を言うつもりはない。気を悪くしたなら申し訳ないと、深々と頭を下げ、赤髪を垂らす)
(「……くっだらねぇコト吐かすな」
『主人を守る』という部分にクロは不服そうに鼻を鳴らし、聞こえる者にしか聞こえない青年の声で呟いて閠の足元に座り込んだ。睨むような気配は変わらず『赤羽』へ向けながら)
(シロの方も直様に危害を加えられはしないようだとまた閠の周りをふよふよし出す)

借りる……ん。つまり、初めまして、赤羽さん、ですね?
(クロの態度を叱るのも忘れ、首を傾げながらとりあえず挨拶をすることにしたらしい。横で真似してシロもお辞儀。
戻ったことを声音で判断し、頭を下げられれば気にしていないと気遣うように首を振り)
えぇと、今度は、大地さんです、よね。赤羽さんと、お体を共有、されているのです?ご苦労、なされているのです、ねぇ……
ボクも、そういった技術や知識は、偶然、後天的に、身に付けたものですから、少し似ています、ね?

あぁ、いえ、ボクなら平気、ですので……
幽霊を連れた客がいれば、気になるのも、無理はない、かと思います、よ?死霊術師、と仰っていましたし。
(「おおこワ。……悪かったっテ」)
(クロに睨まれてる事は自覚しつつも、にへらと一瞬笑い、『赤羽』はまた微睡みに戻る。……もう少し遊んでいたい気持ちはあるが、生真面目な司書先生に怒られてしまうし)

……あはは、そうなんだよ。
色々あって、俺は赤羽に体を貸して、俺はまあ、その代わりに色んな事を教わったんだけど……。

(話しながら自然に、手が自身の首に刻まれた傷跡に伸びる)

えっと、赤羽のせいで話がそれてしまった。
閠、きみは本を読みに来た、と言ったっけ。
うちでは代読も承っているから、安心してほしい。

(この図書館では、彼のように顔を隠す人物は滅多に見ないが、彼とは別の要因で文字を『読めない』人物はたまにいる。その場合、司書たる彼自身が、その内容を読み上げる……というサービスは以前から行っている)

閠はどんなのが好きかな。小説とか、民俗学的なものとか、動物図鑑とかも一応、置いているけれど。

(この広く大きい本棚を全て埋め尽くす……には程遠いが、少なくとも一通りの基本的なジャンルは押さえている自負があった)

……ああ、あと、最近は地味にホラー小説やオカルトマニア向けの本を借りてく人も多いんだよなぁ。

(まあ、識ってるきみには滑稽の極みかもしれないけど。そう笑いながらも、話を彼の当初の目的に戻そうと、ゆっくり問いかける)
(無闇に噛み付いては駄目ですよ、と不機嫌そうに目を背けたクロを宥める。
傷跡が視認出来ていないため、首に触れる仕種には言及することはなく)
クロとシロとは別に、ボクにも同居人がいます、ので、少しだけ、儘ならないお気持ちは、わかる気は、します。

……と、そうでした、ね。すっかり、お話に夢中になって、しまいました……(言われて思い出したのか、苦笑)
好みのジャンルは、幅広いので、今読みたいもの、ですと……幻想的な物語、特に、挿絵の綺麗なもので、お勧めがあれば、是非。

(代読と聞いて関心を示しつつ、目の前の黒布を指差して申し訳なそうに)
一応、視力はありますから、大丈夫です、よ。お心遣い、ありがとう、ございます。
ただ、人前には晒せません、ので、何処か物陰など、お貸しいただければ、と……

ホラーは、夏になると読みたくなる、とは聞きます、けれど。確かに、身近にいる側としては、完全に娯楽寄りの楽しみ方に、なってしまう、かもしれません。
……そういうものこそ、人に読んでもらうと、楽しめそう、ですね?
そうだなあ……ホラー物こそ、読み手というかが語り手の実力が問われる気がするよ。
それにしても……霊が見えたり、同居人がいたり。結構似てるな、俺達。
(そう話す声音は柔らかい)

で、えーっと、挿絵のキレイなもの……で、幻想的な物語か……。
(となると、思い当たるのはファンタジー小説。そうでなければ絵本だろうか。何れにせよ、そういうものは『9類』の書架……文学のコーナーに置いてある筈だ)

ん、それならこの後案内するよ。任せてくれ。

物陰……だったら……。
『自習室』だったら、静かに読めるとは思うけれど……このあと他の人が来ないとも限らないし……。
(視力に障害はなくとも、顔を『人前に晒せない』という事は……顔に傷でもあるのだろうか?
自分のこの首の傷は、今更割り切ってしまったが……そういう事情があるならば、人に見られたくないと言われても合点がいく。
尤も、これは自分の推測に過ぎないが……)

えっと、じゃあ、貸出カウンターの奥の扉……『司書室』。そこならどうだろう。

俺、基本的にはカウンターにいるから……読み終わった時とか帰る時とか、ドア越しにでも呼んでくれれば十分聞こえるし。

(どうだろう?首を傾げながら提案してみる)
本物を知っている、大地さんが朗読するなら、きっと、臨場感ばっちり、でしょう、ね?
(布越しに期待するような視線を向けてみたり)

不思議な縁、ですね。ボクも、ここまで似ている方には、出会ったことがありません。
……晒せないのは、そのボクの同居人を、起こしてしまいます、から、視界に『生きた人』を、入れられないのです。
どうにも、気難しくて、あまり温厚な子では、ないもので……
(わざわざ場所をお借りするのなら、と包み隠さず理由を伝えることにしたようだ)
ですので、司書室の方に、お邪魔させてもらっても、構いませんか?恐らく、プライベートなところ、なのではないか、と思うのです、けれど……
そうだといいけどなあ。……いっそ夏に向けて、怪談の朗読会でも企画しよっかな。

(と、冗談めかして見せた)

……そうか、赤羽は赤羽で、とかく他人に絡んでくるタイプなのだけど……きみの同居人は……。

(気難しい、とはっきり言うのならば、きっとその通りなのだろう。とにかく、彼の事情はわかった。であれば、断る理由などない)

ああ、勿論、司書室、使ってくれて構わないよ。
……ぶっちゃけそこ、応接室代わりでもあるんだけど、あんまり使わないから。気にしなくていいぞ。

(事実、そこまでの『おもてなし』をするべき身分の客などそうそう来ない。だいたい、来客への対応はカウンターで事足りてしまうのだった)

……さて、じゃあ、そろそろ。君の好きそうな本を、探しに行くとしようか?
朗読会、やられる際は、是非、教えてください。
演出で、人手がいるようでしたら、お手伝い出来ますし、ね?

はい。もっと直接的に、他の方を害してしまう、可能性が、ありますので……お手数、おかけします。
本当は、もう少し、聞き分けの良い子、だったのです、けれどね。
(より明確な言葉で表現すると眉を下げて困ったような表情を作るが、すぐに笑みに戻り、促されれば頷いてついて行く姿勢を見せて)
よろしく、お願いします、ね。ふふ、楽しみです。
(足元のクロもするりと立ち上がった)
……そうだな、その時はよろしく。
(口にしてみれば、尚更楽しみになってきた。後日改めて、真面目に検討してみよう)

(閠の言に『……さテ、何がその同居人を変えちまったんだかナ』と赤羽が囁くが、その声はあえて無視する)

それじゃあ、目的の本は……9番の本棚。そこにあると思うから。そこまで一緒に行こう。
ついてきて。

(そう言ってから、丁寧に床を踏みしめ、ゆっくりと歩み始める)
……ボクの弱さ、でしょうか、ね……いえ、そういうことを言うと、また、怒られてしまうので、今のは『おふれこ』というやつで、お願いします。
(赤羽さんの声に静かに答え、けれど思い出したように悪戯っぽい口調で付け加えた)

ええ。ありがとう、ございます。
(自分のための歩速と足音だろうか、と嬉しそうに後を追う。シロは閠の肩の上、クロは影のように後ろを歩いている)
何処に、どんな本があるか、全て、把握されているのですか?
……ああ。……言わないよ、勿論。

(静かな声にこくり、大きく頷いて。ゆっくりとしたペースを崩さぬように、足を動かす)

……んー、ここにある本の名前を一冊一冊、全て言うってのは流石に無理だけど……どのジャンルの本がどこにあるのかは、大体分かってるよ。

ここの本棚には、0〜9番まで、番号が割り振ってあるんだけど……新しい本が入る度に、中を検品して……総記は0番、哲学や宗教は1番、歴史や地理は2番、社会科学は3番……みたいに、ジャンルと番号を対応させて振り分けてるんだ。

今向かってる9番に入ってるのは、文学のジャンルで……要するに小説や、童話の類がそこに集まってる。

(そう話す青年の目には、既にその『9番』の本棚が映っていた。ゆっくり歩いたとて、カウンターからそう何分もかからない位置だ)

ほら、じきに着くよ。

(そう言って、そっと後ろの様子をうかがう。シロとクロもいるならば、余計な心配は不要だろうけど。)
なるほど、ジャンル分け……ひとつひとつ、目を通されて、いるんですね……
幅広い知識が無ければ、難しいこと、でしょうし、これだけあれば、掃除や、整理整頓も大変、では?
(まるで見えているように並ぶ本棚の下から上まで、そこに収められている本の背表紙をなぞるように布越しの視線を滑らせている)

どんな本に、出逢えるか、楽しみ、です……ん。どうか、しましたか?
(振り返ったのに気づき、首を傾げる。ちりん、と結えられた鈴が疑問符を伝えるように鳴いた)
あ、いや、なんでもないよ。

(……過保護な心配であったか。それでもちゃんと、彼を置いていかずに案内できたようだ、とほっと笑う)

掃除は……毎日開館前に、今日はこのエリア……って風にちょっとずつやってるから、そこまででもないよ。

背表紙がきっちり綺麗に並んだ時とか。本棚の埃がすっきり取れたときとか。結構気持ちいいぞ。

赤羽にも『流石本の虫』ってよく言われる。褒められてるのかけなされてるのか微妙だけどな……。

ああでも、たまーに一斉に大掃除する時とかは……人を雇ったりするかな。

(その時にちょっとした『事件』があった事もあったのだけど……客人を不安にしてはいけない。そこはそっと伏せる)

……さて、ここが9番の本棚だ。
結構借りる人が多いから……モノは充実してる……と思うけど……。
そうだな……これとか……どうだろう。

(大地が手で示したのは、彼の背丈……175センチをゆうに超える大きさの本棚。それがいくつか並べられている。踏み台も当然のごとく、本棚の直ぐ側に配備されていた。そこから迷うことなく、いくつかの背表紙を選び取る)
ちゃんと、『わかっています』から、大丈夫、ですよ。案内、ありがとうございます、ね。
(側の本棚へ真っ直ぐに手を伸ばし、ぴたりとズレることなく目線の辺りの棚板に人差し指だけで触れてみせ、見えずとも『物の位置関係が認識できている』ことを証明しながらふふっと笑う。
当然、立ち止まった大地さんとの距離感も会話するに丁度良い塩梅である)

虫は虫でも、とても勤勉で、この広い図書館の中を、庭のようにひらひらと、自由に飛び回る……さながら、大地さんは蝶、ですね。
ボクは、あまり掃除などは、得意な方では、無いのです、けれど。これだけの量の本を、一遍に虫干ししたりする、光景は、きっと壮観、でしょうね。
(嗅覚の良いクロが何かを察したようにフンと鼻を鳴らすが、閠は伏せられた情報には気づくことなく。気持ち良さそうですね、と優しい風に吹かれる本達を想像している) 

先程からの、お話を聞くに、訪ねて来られる、お客様は多いのです、ね。
…… これが、大地さんのお勧め、です?
(本棚から引き出された本をそっと覗き込む)
ん、なら良かった。
……そう言われると照れるなあ。

(「……蝶、ねェ。どっちかってぇト、読書灯に齧りついてる蛾じゃねぇノ?」)
(「失敬な」)
(そんな小競り合いは、心の中だけに留める)

最後に虫干ししたのは梅雨入り前……だったかな。
梅雨が明けたら、もっかい本を出さないとな。大仕事になるぞ。

(そう言いながらも、語調は軽く。取り出した本を一冊ずつ、閠の前に見せていく)

……うん、この辺がおすすめの本だ。

一冊目は……『花束を君に』。
この本の登場人物は皆、花の名前で……話は短編集というか、オムニバス形式。
タイトルの通り、ちょくちょく花の絵が入ってるんだけど……どれも描き込みが細かくてきれいだぞ。
俺はスターチスの話が好きなんだけど……(おっと、読む前から楽しみを奪ってはいけない。これ以上は口を慎んだ)

二冊目は……『お菓子の魔女の物語』。
おかしなお菓子の国に、主人公の女の子が迷い込むんだけど……お菓子の挿絵が美味しそうで、読んでると腹が空いてくるんだよなあ。

三つ目は、『星空楽団と三日月湖の秘密』。
星空楽団……っていうキャラバンを率いるリーダーが、興行先でたまたま精霊の住まう湖を見つけて……って話だったかな。
一応、シリーズもの……なんだけど、これ単体でも綺麗に話が纏まってるから……はじめに読むにはいいんじゃないかな。

(どれにする? もっと他のを見せてくれと言われたら普通に動く心づもりで、そう問いかける)
本の運搬、くらいなら、お手伝いは出来ます、よ?
飛べば、高い所のものも、あまり苦には、なりませんしね。
(どちらかと言えば親切よりも好奇心が垣間見える声音で言い、背中の真っ白な翼をゆっくりと動かす)


わあ。すごい、ですね……見事に、ボクの好きなもの、ばかりの予感がします。
お花は、散歩の目的にも、刺繍の題材としても、好みです。短編なら、じっくり、何度も読み返すのも、良いです、し。
お菓子の国、なんて、想像するだけで、夢がいっぱいで、魔女がどう、関わってくるのか、わくわくしてしまいますし。
星空楽団、精霊、三日月湖、どれも神秘的で、きらきらした言葉で。シリーズが続いているなら、長く、楽しめます、し……
(表情が見えるなら目を輝かせていることだろう。差し出された本の表紙を順番に撫でてから、眉を寄せながらも口元は弧を描いて)
これは、悩みます、ね……蝶が花から花へ、蜜を吸い、花粉を運ぶように、大地さんが沢山読んできた中から、選ぶ本、ですから。どれも素敵な物語に、違いありません、し……んむむ……
ああそうか、そういやあ、きみは飛行種なんだな?
(背中の羽を見て、思い出したように口にする)

俺はまあ……人間種に近い旅人なんだけどさ。
蝶のような羽なんて無いんだけど、好きなものにはすぐ飛びついてしまうんだ。

(布一枚を隔てていても、声と仕草から喜んでくれていることは充分に伝わった。その様に何だかこちらも和んでしまう。悩む彼への助言になるかはわからないが、一言言い添える)

迷うなら、3つとも持ってくか?
俺はそれでも全然いいぞ。

(事実、シリーズものの本を数冊まとめて借りていく人や、目についた気になる本を片っ端から取り出して、テーブルに本の山を築く人もいる……というか、自分もそうした事が有るし。事も無げにそう言ってのけた)
ふふっ……好きなものに、一直線なのは、蝶も、旅人も、飛行種も、変わりません、ね。
旅人さん、であれば、混沌の外のお話も、いずれ、伺ってみたいところ、ですね?
(やっぱり似ている、とクスクス声を漏らし、見知らぬ世界への興味も隠さない。
だいぶこの場にも慣れたのか、感情の出し方がわかりやすくなってきたようだ)

それは……欲張りな選択で、そして、とても魅力的、でもあり……いえ。気になる本が、積み上がっている、光景に、心躍らない、本読みはいません、ね。
……ん。少し長く、居座るように、なってしまいます、けれど。
(大地さんの提案に揺れ、真剣に悩んだ後、これくらいの贅沢ならばと決心した様子。
部屋を貸してもらう手前、長時間の滞在でも構わないだろうかと先にお伺いを立てた)
俺の世界は……そうだなあ、再現性東京に、部分部分似てると思う。
基本的には、平和で良い所だった……かな。
(『元の世界の出来事』を思い出した時、じくり、首が痛んだ。……静かに首を振る。大丈夫、これくらいはいつもの事。赤羽に頼る程ではない)

……ああ、勿論、居ていいさ。
たまに……というか週末なんかは、午後に来館して、日が暮れるまでずっと居る人もいるから。
(だから気にすることはない、と言い添えて)

まだまだ時間はたっぷりあるし……閉館近くなったら呼ぶし。
読みきれなかったやつは、別に借りて帰ってくれていいし。

じゃ、モノは決まったことだし……カウンターの方に戻ろうか?

(3冊の本を抱えて、確認するよう問いかける)
旅人さんの多くが、あの地に、似た場所から、来ている、と聞きますね。
平和な所から、呼ばれたのなら、さぞかし大変な……どうか、されました、か?
(首を振る動作に気づき、何か話したくないことでもあったのかと心配そうに、布越しの視線を向ける。
シロが労わるように大地さんの顔の周りをふわりと舞った)

楽しい時間は、あっという間で、本を読んでいると、時間を、忘れてしまいます、から……それでは、お言葉に甘えて、しまいましょう。
貸し出しも、良いのです、けれど、沢山の本が集まる、此処で読む贅沢も、やはりボクには、捨て難いです、ね。
(戻ろうかという問いに頷いて応え、再度、高い本棚達を見渡す。
足元で静かにしていたクロが、くあっと大きな欠伸をして立ち上がった)
(おっと、心配をかけてしまったか? そっと本を抱えるのと逆の手で喉を撫でる。ざらり、かりっとした乾いた傷跡が指に触れた)

ん……ちょっと、元の世界の出来事を思い出しただけだ。
ちょーっと、色々あってドタバタしてたりもしたから……さ。
けど、そのお陰で……混沌で起きた事にもびっくりしたけど、順応はできたというか、なんというか。

(飛んできたシロにも、大丈夫と笑ってみせる)

ああ、遠慮しなくていいよ。図書館は本を読む場所だしな。
俺も正直……何も用事がない時は大体、ここでずっと本を読んでるし。

(行きもさして掛からなかった道のりは、帰りも当然長くはない。喋りながら歩いているなら尚の事だった。貸出カウンター、もとい司書室まではあっという間に着いてしまうだろう)
どたばた、です?……ん。シロ……
(首に触れる仕種は二度目だと気になった閠へ、大地さんの側から戻ったシロが何事か伝えたらしい。
漏れ聞こえたとしても、それはクロのような流暢さが無く、「傷」「ぐるり」「落ちる」と単語をいくつか並べただけのものだが、慣れた閠にはそれで十分なようだ。
少し言葉に迷いつつ)
……ええ、と。何やら本当に、大変な目に、遭われたのです、ね?いえ、あまり、言いたいことでも、無い、ですよね。大丈夫、ですよ、はい……

此処です、よね?わざわざ、運んでいただいて、ありがとう、ございました。
(目的地である司書室に到着したことを察し、本を受け取ろうと手を差し出した)
(シロの動きを見送った後、どうやら分かってしまったらしいと気付き、苦笑いを浮かべた)

……ははは。まあ、その辺は、聞かれたら答えるよ。
(今更、変えられぬ事実。そのことを問われたとて、機嫌は何一つ変わらない)

おっと、そうだ。はい、これ。

(差し出された手を見て、本を一冊ずつ、丁寧に渡していく)

ドアを閉めてしまえば誰からも見えないと思うから、安心して読んでくれ。
……この部屋、壁あんま分厚くないけど。
その分、それなりに声は聞こえると思うから……何かあれば呼んでくれれば。

(言いながら、司書室のドアノブを回した)
っ、その、失礼、しました。探るつもりは、無かったのです、けれどもっ……
(自身も気軽には話せない事情がある身であれば、出会ったばかりの彼の傷の理由など、とてもではないが聞く勇気は無く。
焦り、受け取った本を落とさないようにしながら頭を下げて謝罪)

此処ならば、安心して、読めそう、ですね。
(開かれた扉からそっと中を覗く傍らで、クロがふんふんとチェックするように室内の匂いを嗅いでいる)
(相手が視界を制限していた分、油断してこちらもうっかり、癖で首を触ってしまっていたが。遅かれ早かれ気づかれる事柄だっただろう。完全な盲人であればいざしらず、彼に付きそう者が居るなら尚の事だ)

いんや、別にいいよ。初めて来る人は皆、この傷で驚くし……それがいつもより遅かっただけだよ。

(だから頭を上げてほしい、と柔らかく呼びかける)

ん、来客用のソファーでも、書き物する机でも……どっちでも好きに使ってくれていいよ。
本を並べても、それなりの広さはあると思う。
……掃除は……昨日したけど……大丈夫かな。ホコリ臭くないか?
(視線を落とし、クロの方にも呼びかけてみる)

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