PandoraPartyProject

ギルドスレッド

シキアの樹

落葉の夕暮れ、笑ふ影法師

或る秋の日。陽の落ち始めた黄昏の頃。
ゆるりと沈んでいく陽が、シキアの影を長く伸ばして。
風を受ける枝葉の影が、まるで笑うかのように揺れていた。

――かぁかぁ、親烏が鳴いている。そろそろお家に帰ろうね。
――かぁかぁ、かわいい我が子と連れ立って。枝葉を揺らし飛び立った。


一方で、親から逸れた土の雛。
日中と変わらず其処に在り、水晶の目玉を緩慢に動かして。
……帰る場所を、探していた。





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それとなく、のんびりと。

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(日が、暮れてきた。頬に当たる赤い陽光を受けて、それを感じ取る。
 この時間になると、生き物は寝床に帰るらしい。
 それがここ数か月、シキアの下で観察し続けてきた彼が得た結論だった)

 ……帰らなきゃ、か。

(いつか、誰かが言っていた言葉を思い返す。あれは、確か近くの村に住む幼子だった。
 迎えに来た大人と手をつないで、ばいばいと言葉を交わした記憶がよみがえる。
 ああ。そう言えば、あの子の口ずさんでいた唄。どんな風だったっけ?)

(ぽつぽつと、覚束ない旋律を口遊む。からすといっしょにかえりましょう。
 其れは、異界との交わりで伝わった異国の唄。
 土人形である彼が、その所以を知る由もなかったけれど)
(ふわり、ふわり。いつもの如くの雲の上。
 行く場所も帰る場所もない此処暫くは、ずっと、ずっと、流れる雲の上でただ過ごしていた。
 だって、恋しい場所にも、自分自身の身体にすら、もう戻れないのだ。
 ヒトの価値観も貨幣やら宿やらも良く分からないし、どうせ攫って来るならその辺りも手厚くしてくれたら良かったのに、なんて我儘だろうか)

……歌声?

(不意に、慣れ始めた木の側で、歌を聴いた。
 聴き覚えのあるそれは、不思議と、自分の故郷にもあった曲だった。
 境内に遊びに来た幼い子供達が、手毬をつきながら笑って歌っていたのを、自分は身体の中で聴いていた。
 寝転んでいた雲の上から身を起こし、歌声の主を探そうと視線を巡らせ)
(ひとしきり口遊んでは、不可思議そうに首を傾げる。
 これで合っていただろうか? 何せ、聞いたのはあの子が唄っていた一度きりだから。
 八日ほど前の記憶を巡らせながら、もう一度口遊ぶ。おててつないで、みなかえ、)

 ――あれ。

(ふと陰る視界。陽の赤を遮ったものは何だろうと顔を上げる)
(上げた目線の先。ふわふわと浮く雲と、その上に見える人影。
 きょろりと辺りを見回していたその顔は、最近よく見るようになったヒトのものだった)
(日中ならともあれ、この時間に誰か遭うのは珍しい。ぱちくり、水晶の瞳が瞬いた)
(知っている、唄。どうしてだろう、なんでこの世界で?
 まさか、同郷の存在がいる訳でもないだろう。そんな都合の良いことは早々起きるものではない。
 疑問符を飛ばしつつ、うろうろと視線を彷徨わせて視線を下ろし──水晶の瞳と、花曇りの瞳が、かち合った)

……あれ。
えぇと、もしかして。歌ってたの、お前?

(何度か瞳を瞬いてから、問いかけと共に雲の高度を下げて其処からひょいと飛び降りる。草を踏む音は、ない。
 相手から少し離れた場所へと降り立った藤色は、足元が数センチほど浮いている。おまけに、それを差し引いても、華奢ともいうべき細身の割には随分と目線が高い位置にあった。必然的に、相手を見下ろす)
うん。唄……になってた、かな。
この間、遊びに来た子が歌っていて。

(何となく口遊んでいた、と。地の間際へと降り立つ姿を見上げながら、簡素に応える。
 ……ふわりと僅かながらにも浮いている姿は、今まで見てきた普通のヒトと、どこか異なった雰囲気を印象付けて。ギフトの雲と言い、藤花の咲き誇る姿と言い。不思議なヒトだと、ぼんやり思う。こういうのを「ウキヨバナレ」と言うのだろうか)
俺も知ってるよ、その唄。
夕焼け小焼けで日が暮れて、って奴でしょ。

(懐かしそうに瞳を細めて笑う。
 短い曲だから、何度も聴いている内に自然と覚えてしまった。
 風が吹いて、シキアの葉がさわりと揺れる。僅かだけ透けた片手で風に遊ばれる髪を抑えながら一度夕空を見やり、相手へと視線を戻して小首を傾げ)
 
こんな時間に人が居るなんて珍しい。どしたの。
お前も、帰る家がないの?

(相手の種族を聞いたことはなかったけれど、相手も自分と同じで旅人という奴だったりするのだろうと予想を付けた)
……!
そう、それだ。
その唄、ユウメイなのか?

(記憶にある唄。子どもが歌っていた、その一節と一致した。
 どこかぼんやりとしていた瞳が、好奇心の光を灯して。
 ふわりと、藤の髪が風に揺れるさまを見つめていた)
 
帰る家は……ない、よ。
休む場所を借りることは、あるけれど。

――”も”ってことは。貴方も、なのか?

(背にしたシキアの幹に、添うようにしてしゃがみ込む。
 小首を傾げた貴方を見上げて、ぽつぽつと言葉を口にした)
(思考は奇しくも、その時の貴方と似ていて。
 ……不思議な雰囲気を纏ったヒト。藤の貴方も、己と同じ旅人なのだろうか?) 
結構有名だったよ、俺の世界じゃ。
良く神社の境内で夕方になると子供達が歌っててさー。

(夕焼け小焼けで日が暮れて。
 其処から始まる短い唄を、一番だけ、良く透るメゾソプラノで口遊んでみる。
 本体の大樹の一部から見ていた橙から藍に滲む晴れ渡った空と、着物姿の童子達を思い出して、懐かしい気持ちでつい頬が緩んだ)

場所を借りられるなら良いコトだよ。
ヒトにも、動植物にも、精霊にも、無機物にも、心休まる時間と身体を休める場所は必要だ。

(しゃがんだ姿勢から自分を見上げるのは疲れるだろう。雲に腰を下ろすとその高度を下げて相手にある程度の目線を近付け、のんびりと穏やかな声で語る言葉)

そうだよ、旅人って奴でさ。
残念ながら現時点で住所不定の休憩場所も不定ー。

(問われると、少しだけ可笑しそうに笑ってから、あっけらかんとした様子で軽い肯定を。住所不定所か本体が向こうに置き去りなので、もう笑うしかない)
……貴方の、世界。
この唄は、貴方の故郷のモノ?
(ジンジャ、ケイダイ。
 世界の理のおかげで、響きとしてはすんなりと自分の中に入ってくるけれど。
 あまり物を知らない己には、ピンとこない言葉だった。
 ……男性にしては高く、女性にしては低く。中性的な声音が、耳に心地良い)

……うん。すごく、助かってる。
ここに来て”疲れる”ことが、多くなったから。
(雲と共に、近くへ降りてきた貴方から視線を外さぬまま。
 座り込んだ足を三角にするように立てて、膝の上に顎を乗せてみる。
 ”住所不定”なんて揶揄するようにからりと笑う貴方につられて、微笑うように目を細めた)

そっか。一緒、なんだ。
……ねぇ。良かったら貴方の故郷のお話しとか。聞いても、良いのかな。
(休憩するついでにでも、と言葉を添えて。すぐ傍に佇む貴方に向けて呟く。
 ……自分の知らない世界の話を。聞いてみたいと、思った)
意外と他の世界にもあったのかもしんねぇけど、俺の世界にも存在してた。
(世界同士が似通う、同じ物が生み出されている、同姓同名の偉人が居る。そういうのも、あまり珍しいことではないと聞くし、ありえない話ではないだろう。
 男女どちらでもなくどちらでもある身は、声も体躯も、全体的に性別が曖昧だ。2mを超える長身でありながら華奢な体躯も、胸はぺったんこで手足も少年のようにすらりとしている癖に、良く見ればその腰元は女性的なくびれを持つ)

レベルダウンの影響ってのもあるのかもなぁ。
俺もこっち来てから大分弱ってるけど。
(表情が和らいだように見える相手の姿に笑い返して、あっさりと自分自身の弱体化も認めた。レベルダウンに加え、本体に戻れない。まぁ、仕方ないかなぁ、と思わざるを得ないのでどうしようもないことは置いておこう)

俺の世界の話? 良いよー。
んーと、どっからどう話したもんか。

(特に隠すこともないのだが、さて)
 
そう。八千夜の、世界にも。
(そうか、と呟き交じりに復唱した。
 同じもの、似たようなものが。別の世界にそれぞれ存在して、親しまれている。
 そういった異界の交わりは、とても不思議なものに感じられた。
 ――狭い部屋の中の世界しか知らなかった己には、殊更に)

オレのは、今まで動きなれてなかったっていうのも、あって。
でも……レベルダウン。確かに、影響してるの、かも。
……貴方が透けて見える、のは。弱ってしまったのと、関係があるのだろうか。
(軽い調子で零す貴方の言葉を受けて、水晶に心配の色が翳る。
 陽に当たって赤く染まる、透き通った白いカンバセ。
 噂に聞くユウレイのようだ、と。子どもたちに聞いた話が、僅かに思考を過った)

……じゃあ。
八千夜の居た故郷から、見える景色。
どんな風だったの、かなって。
(己の世界では、ついぞ”見ること”しか叶わなかった。
 だからこそ、一番に気になるのだ。世界から見える、景色が)
ちょっと面白ぇよなー、そう言うの。
(にこにこと楽しげに笑う表情。
 自分の世界だって、とても広かった。けれど、その世界すらも超えてしまった今となっては、どれだけ新しいものが待っているのか想像も付かない。
 その新しいものの中に、きっとふとした瞬間に郷愁を感じるものもあるのだろう)

動き慣れてなかった? ん、動けなかったのお前。
俺が透けてるのは元からだよ。元の世界だと物体透過したり、自由に空飛んだり、其処らにぼこぼこ蔦生やしたり、動植物や精霊達と話したり出来たんだけどさー、そう言うの全然出来なくなっちゃった。
(動き慣れないとは。興味深そうに相手を見つめる。土色の子ゴーレムとか聞いたっけ。
 自分のことは、極あっさりと。自分は元々非物質系の存在だ、本体はどっしりしていたし、国中に枝葉を伸ばした枯れずの藤だったけれど。今となっては弱体化も著しい。自由に出来るのなんて、自分の身体から生やせる蔦だけだ)
んー……俺の世界ってね、幾つかの国があって。
俺が居た国は、「神薙國(カンナノクニ)」って呼ばれてる古い古い国でね。
和風、って言ってレムに伝わんのかなー。
(語り始めたのは、まずは簡単な説明から。
 愛した世界の、愛した国の名を、愛おしそうに瞳を細めて告げた)
(面白い。そう評した貴方へ、呼応するようにこくりと頷く)

ううん。動くキノウはあった、けれど。
ものを、散らかしてしまうから。あまり動いてはいけないって、言われていて。
……! そう、なんだ。八千夜は出来ること、いっぱいあったんだね。
(透けるのは元々という言葉に驚いて――それは己の中での”普通”に当てはまらなったから――けれど、それ以上に。続いた言の葉、未だ己が見聞きしたことのない偉業の数々に、驚きと憧れの入り混じった声音を溢す。
 昔のことと言えど。それは土人形の瞳を輝かせるのに十分な”お話”だった)

……カンナノ、クニ。
(和風。世界から与えらる知識によって、ふんわりとしたイメージは受け取っていた。
 伝わるとの意を込めて、一つ頷く。
 藤の貴方を筆頭に。ひらひらふわふわ、優雅な印象を持っていた) 
(じぃと、雲に佇む貴方の顔を見つめる。
 心がぽかぽかする、あたたかな色が。細められた灰の瞳に映っていた)
動くなって言われて動かねぇで居られるって凄いな。
まあ、俺の世界の植物系精霊種としては強い方だったからなー、俺。長生きしてる分、力も蓄えてたし。
(動かないとか無理だ。どうにも、植物系精霊種にしては落ち着きがなくていけない。
 全体的に過去形となるものの、悲愴感は欠片もない。
 相手が自分の話で楽しんでくれるなら、昔語りは幾らでも。得てして、年寄りとはそういうものだ)

遥かな昔、國造りの大神が悪神を薙ぎ払って出来た土地に構えたと伝えられる、自然豊かで、自然界と人間が調和した綺麗な国だよ。
だから、「神が薙いだ國」と書く。
(ふふ、と滲むように笑う声。
 語る内容は、國造りの神話。
 自分も知らない、遠い神代の時代のお話)

「神薙國」の「布留辺野(フルベノ)」。
それが、俺が暮らして居た古都の名。
その周囲は、深い森と、美しい湖や川。そういう自然に溢れた場所でね、精霊種が多く生まれてた。俺はその中の、随分古参組。

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