PandoraPartyProject

シナリオ詳細

酒と飯が進むとパンドラが増える不具合

完了

参加者 : 48 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●初心者講習者が混乱するのこと
 ローレットの一室で、ページをめくる音と板書の音が響く。室内には板書する男と、ちょこんと座る少女……少女? が1人。幻想種なので外見と実年齢は一致しないが、まあそういう感じだ。
「わたち達イレギュラーズが行動するとパンドラが増えゆ」
「そうだね」
「大勢にとって悪となることもローレットが受けたなやパンドラが増えゆ」
「その通りだ」
「ハイルールに背かない限り大抵のことは許されゆ」
「公序良俗には従ってほしいけどね。依頼されてもない人間を虐殺しだすのはやめてくれよ?」
 ローレットの職員であるその男は、過去の事例を引き合いにだし苦い顔をする。イレギュラーズの行いは大抵のことがパンドラの増加が伴う関係上、その多くが容認される傾向にある。
 悪徳貴族の使い走りでも、その貴族を討つことでも。それは世間一般、国家の盛衰を差配するなら『悪』とされる行いすらも、依頼であれば『絡繰パンドラ』にパンドラを蓄積させる良い行い、となる。
 無論、依頼内容に拠らない部分で度の過ぎた行いを――酒を飲むだけの時に過当なアルハラを行う、簡単に避けうる殺戮を積極的に行うなど――すれば、いい目で見られることはないが。
 その説明をうけ、少女……『ポテサラハーモニア』パパス・デ・エンサルーダ (p3n000172)は首を傾げた。幻想種として生を受けて30年あまりで唐突にイレギュラーズになったが、なかなか趣深い状況なのだなあと関心しきり。こんな縛りのなか戦うなんて、深緑で接触してきた者達も大変だったんだな、と彼女は同情を禁じえない。こんなのに同情されるイレギュラーズよ。
「つまり……」
「つまり?」
 パパスが言い淀み、職員が促す。幻想では宴会がやたら催されている、海洋王国の酒庫が干された、色々噂は聞くが。
「ローレットの一声で飲み食いすゆ連中を集めえば、パンドラがすごく増えゆ……?!」
「そこに気付いたか……」
 パパスが誰の手も借りず気付いた出来事に、職員は頭を掲げた。
 なお、後始末ともしもの場合の隠蔽工作は専ら彼らの仕事なのである。
 パパスは目を光らせた。

●だからって今じゃなくても良くない?
「ポテサラ用意したゆ。料理できる奴も連れてきたゆ。酒は……まあお前達の伝手とかあるかゆ? なくてもどっかからパチってくるから別にいいゆ」
「パチってくるなよ」
 そんなわけで、パパスに呼び出されたイレギュラーズは山盛りのポテトサラダ、並べられた料理各種、そしてそれなりの量がある酒に迎え入れられた。
 ポテトサラダは彼女の手作りらしいが、それ以外は依頼という形でギルドに用意してもらったのだという。
 なんでこれが依頼になったのか、という話だが。以前彼女と遭遇した玄緯・玄丁(p3p008717)がパパスのポテサラ講座があれば面白いのではとか言い出したからである。本人きっと冗談半分だったと想うよ。
「まあ適当に食べるゆ。わたちだけの料理講座でもないんだしそもそもかたっ苦しい事苦手なんだゆ。酒も適当に飲めばいいゆ」
「予算は?」
「メガネの女から搾り取ってやったゆ」

GMコメント

 今じゃなくても良くない?(自分でやっておいて疑問を呈す姿勢)

●達成条件
 1人でもパパスのポテサラ講座に付き合う。それ以外特に条件はない。
 強いていうならパパスに「何してもパンドラ増えるってこういうことやぞ」って現実を見せること。

●『ポテサラハーモニア』パパス・デ・エンサルーダ (p3n000172)
 細かい経緯は省きますが、ポテトサラダを愛するハーモニアです。探究心が強く草しか食えないってこともなく面倒くさい奴をハムにすゆ(訳:全身全霊フルボッコにして差し上げる)とか言い出す獰猛な面を備えています。
 ギフトにより大抵の食べ物をポテサラにできます。芋がなければポテサラではないのでは? それは只の流動食では? みたいな事実は口にすべきではない。ハムになっても知らんぞ。

●ローレット内の状況
 そこそこの量の酒が用意されており、パパス以外にも料理ができる人間が呼び出されています。
 頼めば大抵のものは出るしカクテルなどもお出しできます。ただなーちょっと給仕やる奴がたんねーんだよなあー!
 こうですかわかりません。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●プレイング書式
 1行目:パートタグ
 2行目:同行者名(IDがあればなおよし)orグループタグor空白
 3行目:プレイング本文

●パートタグ
A:パパスとポテサラを作ったり食べたりします。
  特に面倒なことをしなくても大丈夫ですが、アレンジとか提案されると喜びます。なお、作ったものは提供されます。

B:給仕に回る人たちです。AまたはCの人数次第ではそう多くなくても回ります。

C:食べる、飲む騒ぐ等エンタメ専門の人達です。
  なおパパスに過去の武勇伝とか語るといいかもしれませんね。

 なんで決戦の裏でこんなん書いたんだろう……(正気)。
 お暇ありましたらよろしくおねがいします。

  • 酒と飯が進むとパンドラが増える不具合完了
  • GM名ふみの
  • 種別イベントシナリオ
  • 難易度VERYEASY
  • 冒険終了日時2020年11月19日 22時00分
  • 参加人数48/∞人
  • 相談6日
  • 参加費50RC

参加者 : 48 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (48人)

羽田羅 勘蔵(p3n000126)
真昼のランタン
ストレリチア(p3n000129)
花の妖精
フェリシア=ベルトゥーロ(p3p000094)
うつろう恵み
フニクリ=フニクラ(p3p000270)
歪んだ杓子定規
亘理 義弘(p3p000398)
仁義桜紋
志屍 瑠璃(p3p000416)
遺言代筆業
リゲル=アークライト(p3p000442)
白獅子剛剣
嶺渡・蘇芳(p3p000520)
お料理しましょ
ラズワルド(p3p000622)
流転の綿雲
メルトアイ・ザ・ベルベットムーン(p3p000674)
悦楽種
ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)
希う魔道士
御堂・D・豪斗(p3p001181)
例のゴッド
古木・文(p3p001262)
想心インク
ナハトラーベ(p3p001615)
お肉が食べたい
極楽院 ことほぎ(p3p002087)
悪しき魔女
スティーブン・スロウ(p3p002157)
こわいひと
リディア・ヴァイス・フォーマルハウト(p3p003581)
木漏れ日の魔法少女
セリア=ファンベル(p3p004040)
初日吊り候補
エルディン(p3p004179)
よーいどん!
ラクリマ・イース(p3p004247)
守る者
アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯
金野・仗助(p3p004832)
ド根性魂
新田 寛治(p3p005073)
ファンドマネージャ
ユゥリアリア=アミザラッド=メリルナート(p3p006108)
氷雪の歌姫
エッダ・フロールリジ(p3p006270)
フロイライン・ファウスト
矢都花 リリー(p3p006541)
ゴールデンラバール
マリア・レイシス(p3p006685)
雷はただ前へ
エル・ウッドランド(p3p006713)
見たからハムにされた
アルメリア・イーグルトン(p3p006810)
緑雷の魔女
メリー・フローラ・アベル(p3p007440)
汚い魔法少女
伊佐波 コウ(p3p007521)
不完不死
ニコラス・コルゥ・ハイド(p3p007576)
名無しの
ブレンダ・スカーレット・アレクサンデル(p3p008017)
猪突!邁進!
ソロア・ズヌシェカ(p3p008060)
豊穣の空
リズリー・クレイグ(p3p008130)
厳冬の獣
テルル・ウェイレット(p3p008374)
料理人
マッダラー=マッド=マッダラー(p3p008376)
泥人形
只野・黒子(p3p008597)
群鱗
ラグラ=V=ブルーデン(p3p008604)
星飾り
オニキス・ハート(p3p008639)
八十八式重火砲型機動魔法少女
チェルカ・トーレ(p3p008654)
識りたがり
玄緯・玄丁(p3p008717)
蔵人
蔀・蓮華(p3p008732)
水席
メルランヌ・ヴィーライ(p3p009063)
翼より殺意を込めて
アシリ レラ カムイ(p3p009091)
菜園の女神
雑賀 才蔵(p3p009175)
同じ傷跡
ニル(p3p009185)
はらぺこフレンズ
オライオン(p3p009186)
元神父

リプレイ

●ポテサラ作ゆ
「ビックリしたわ。まさかアンタがあの後イレギュラーズになってるなんてね」
「ざんげが全部悪いゆ」
「やってきたぞマヨネーズハーモニアが! もちろんマヨネーズ持ってきたのですよ!!」
「相変わらずお前ワケわかんねえゆ。でもそのマヨは便利ゆ。褒めゆ」
 ラクリマとアルメリアは、パパスと付き合いが最も長い。2ヶ月程度の差だが。キュウリやタマネギを氷水に漬け、ベーコンや香辛料を用意するラクリマ。林檎を素早く切っていくあるめりあ。どちらも完璧な手際である。
「おつまみにするなら甘辛く味をつけたひき肉や炙ったエビを入れても美味しくなります。味のアクセントにマスタードなんかも……」
「っていうかアンタ、甘いのは平気?」
「駄目な奴向けに分けるから平気ゆ。わたちは大丈夫ゆ」
「ポテサラ、ハーモニア? ……ああ! 竹林の! どうぞよろしくね、パパスさん。カニカマとかカイワレ大根、はちみつなんかも用意してきたよ」
「忙しい突っ込みの奴ゆ。はちみつは悪くないけど喉対策かゆ?」
 文は竹林での戦いでチラっと会っている為、どうやら覚えがあったらしい。改めて宴席で顔をあわせるとは思ってなかったようだが。
 用意したのはベーシックだが食感の変化や味に深みを出すものばかり。なかなかツウな選択だ。はちみつはアルメリアにパス。そしてふかしたかぼちゃに食材を投げ込んでいく。
「ニルはポテサラの講座を受けに来ました。パパス様、よろしくお願いします」
「大切な人に食べてもらいたくて! 私も料理は得意だし、ポテサラも作れるんだけど色々な調理法や味付けを知りたくてね! 勿論私の得意なポテサラも教えるよ! 今日はよろしくね!」
「そっちの丁寧な方は兎も角、赤いのは暑苦しいゆ。でもおまえのレシピは興味あゆ。色々ポテサラにすゆ」
 ニルの丁寧な挨拶と、マリアの元気の良い(良すぎる)挨拶は対照的であった。パパスは渋面を作りつつも悪い気はしないらしい。食への憧れも、大事な人へのアプローチも、等しく料理上達の近道だからだ。
「え? ポテトを使わずにポテサラを作る??? ちょっとよく分からないんだけど……。それ、君のギフト使えない私でも可能なのかい?」
「へー、食べ物ならなんでもポテサラになるのか……すごいな」
「ギフト関係なく潰せりゃ大抵ポテトでいいゆ。でも芋入ってなかったらポテサラ“風”で終わるゆ」
 マリアの問いとソロアの驚きの声に、パパスは暴論で応じた。それはポテサラといえるのか。魔法なしで成立するのか?
「蒸してほくほくするならポテサラゆ。さつまいもも、かぼちゃも蒸せばポテトでいいゆ。あと何でも魔法頼りと思うのは心外ゆ。エビは殻ごと潰してアメリケーヌソースにすゆ。ブラックタイガーはエビゆ」
「なんで私の方を向いてその一言を付け足したんだい!?」
「ポテサラは中に入れるものによって変わるものなのですね。おいしいものを入れるといいのですか? おいしいもの……カレーとか?」
「砕いたカレールウなら好きにするがいいゆ。わたちの知り合いのポテサラハーモニアはカレー粉だけを入れて他の味付けせずにドヤ顔したからブン殴っといたゆ」
 ニルにとって、カレーが美味しいという記憶が鮮烈なものだったのだろう。カレーを作ってそのまま、は言語道断だが、カレー“風”ならまあセーフだろう。多分。
「ゆで卵ときゅうりとトマトと、勿論お芋は欲しいかな……ところでポテトと言えばじゃがいも? 的なお芋と聞いたけどさつまいも? っていう外見が紫なお芋もあるって最近知ったんだ。パパスさん的にはどんなお芋がポテサラ向きなのかな?」
「トマトは珍しいけど味の変化があって悪くねえゆ。……ぶっちゃけ芋ならなんでもいいゆ。さつまいもは十分アリだしジャガイモだけでも品種多すぎてワケわかんねえゆ」
 ヨゾラの提案するレシピをメモりつつ、パパスは神妙に頷きながら応じた。芋といっても多種多様である。サツマイモも、実は割とポテサラ向きといえる。
「そういえばカムイグラかどこかで醤油って調味料を知ったんだ。少し混ぜたら隠し味にならないかな?」
「あ、魚だ! 魚を入れたい! 茹でた魚をほぐしたやつ入れよう! 茹でたタコを入れて彩りもつくし、パパスさんなら混ぜられる柔らかさになる……?」
「蒸し魚は白身ならセーフゆ。しょうゆ? は分かんないけど隠し味なら少しにしとくといいゆ。タコはほぐせるけど食感残したほうが絶対いいゆ。ブラックタイガーを皮ごと砕いて、まあエビゆ」
 ソロアとヨゾラの提案を受け、パパスは立て板に水とばかりに応じていく。スナック感覚でマリアを刺すのはやめるべきだ。
「あ、意外とうめえなこれ……」
「――――」
「いやお前らつまみ食いがメインかゆ。働けゆ」
 尚その頃、仗助一口食べてつまみ食いメインに移行していたしナハトラーベに至っては何故かポテサラに唐揚げをツッコミご満悦だ。お前そろそろ依頼の趣旨を根底からぶっ壊すのやめたほうがいいぞマジで。
「ポテトサラダは美味しいですよね。俺もポテトが好き……おっとポテト違いですね」
 リゲルはてきぱきと調理をしていたのだが、ここでついうっかりでノロケギャグに走った。走ってしまった。ふと顔を上げると、ゲップでもしそうな顔で仲間達とパパスが見てくる。
「見たかゆ。この天義の騎士様すきあらば嫁語りゆ。これだから新婚さんは困ったもんだゆ」
「え、ええと……ポテトサラダをコロッケにしたりグラタンにするのはどうでしょう? 温度変化も楽しめますよ!」
「苦し紛れな感じあるけど料理の腕に免じてゆゆす(許す)」
 本当ならパパスはリゲルを一発ブン殴ろうかと思ったが、真面目な姿勢だったのでギリ耐えた。
「はっ。何でもポテトサラダになるということは……。イカ味のポテトサラダも作ることが可能……? こ、これは是非試して頂きたく……! ちょっとイカを買ってくるので待ってくれませんかー!?」
「そんなおまえのためにすでに用意してあるんだゆ」
 ポテサラ魔法について聞き及んだユゥリアリアは、ソロア並の発想でエプロンを脱いで駆け出そうとする。それを呼び止めるのもまたパパスだ。出来上がったものがこちらになります。
 色が色だけに違和感ないが、茹でたイカと芋のマリアージュはどう……なの?
「ところでポテサラにはソースをかける派だけど、ここってソースあるのかな?」
「あるけどはじめて聞くゆ。見識の狭さを恥じるばかりゆ」
「ポテサラをコロッケにしてもグラタンにしても美味しい。アレンジが多い。そしてポテサラを食べるだけで報酬がついてくる。いい依頼だね……」
 オニキスはポテサラにソースを垂らしつつ、アレンジレシピの数々を作ったり食べたりしていた。ソースはパパスの想定外だったらしく、新しい発想に驚きを隠さない。
 ……そしてこの依頼、オニキスの言葉通りかなり楽に報酬が得られるという認識はあれど。
 本当の地獄は、ここではないのだ。

●こんなもんを決戦と同日にお出しして情緒がフれたらどうしてくれる
「お酒を飲むだけでパンドラが増えるなんて、本当に便利ねー♪ なら、どんどん飲んでもらいましょー♪」
「お酒ばっか飲んで水飲まないと、血液ドロドロになって血の塊が血管に詰まるから気を付けて」
 蘇芳とメリーを主体にした【血栓】は、飲みに現れたイレギュラーズの大群をなんとか処理するべく駆け回っていた。蘇芳はそれが好きなだけだが、メリーは色々あって「そちら側」に落ち着いたのだろう。いいことである。
「私も運びながらお酒飲んでー♪ ポテサラもどんどん運ぶわよー♪」
 いや蘇芳も飲むんかい。いいけど。
「全員分水は行き渡ったわね? 飲んでよし!」
 メリーはあっちこっちに分散した飲兵衛連中を統率しながら水を継ぎ足し、そこらに水の入った樽を用意。抜かりがない。
「はぁ……? また飲み会……? こんな陽キャの陽キャによる陽キャのための政治とかギルティ……ボトルじゃたりないから樽で水を運ぼうねえ……」
 リリーは依頼を受けるために来た状況で、何故か飲み会をやってる陽キャ共に怒りを覚えた。ゆえに酔いを覚まさせるため【血栓】に加勢。酔いかけたやつに水を飲ませていた。
 樽はそこらにある。洗って水を入れ。
「はぁい」
「…………」
「おやすみ」
「おやすみ」
 リリーは樽の中から出てきたセリアに、樽ごと縁まで水をぶちこむことにした。そいつもうローレットから叩き出せ。
「法律に背いてよーがパンドラは増える。つまりオレが罪を犯そうが、それが依頼である以上ローレットが庇ってくれる。OK?」
「確かに増えるよね、パンドラが沢山増えますね。飲み食いでも……悪事でも」
 ことほぎが心から楽しそうに笑い、鮭を片手に体験談を語り倒す。それを聞いているエル(と給仕に回ったパパス)は神妙な顔で話を聞いていた。
「簡単なトコではプリンのつまみ食いとか。あと放火とか誘拐とか暗殺とか銀行強盗とか、あとはローザミスティカ様と仲良くしてえなあと思うぜ?」
「幻想の事情はどうでもいいゆ。でもそういう事を専門にする奴がいてもまあ仕方ねえゆ」
「タダでご飯が食べられるので……食費が抑えられて嬉しいです! パパちゃんに感謝です!」
「メガネが犠牲になったゆ」
 ことほぎの話もなかなかギリギリを攻めているが、パパスは大して驚かなかった。深緑でもラサでもそういう案件は枚挙にいとまがないし、驚くに値しないというのもまた事実。
「ハンバーグとかって作ってもらえたり……しないかな?」
「ちょうど厨房で作ってたから持ってきたよ、どうぞ」
 エルがそわそわと周囲を見て問いかけると、タイミングよくチェルカが料理をそっと置く。あちらこちらで料理の希望が行き交っているのか、動きが早い。
「まだまだ忙しくなるからね、注文はお早めに」
 そう告げて去っていくチェルカの後ろ姿は、颯爽としたものであったという。

「美味いですわーーーー!! この酸味とか食感の違い、各人の個性がありありと想像できますわねー!」
 メルトアイは、細かいことを抜きにしてポテサラや、その他多数の料理に舌鼓をうっていた。好き嫌いの無い彼女にとって、この環境は天国という他ないだろう。多分。
「ところで最近、吟遊詩人の方が『ポテトサラダはサラダじゃない』と宣う曲を歌っておられるのを耳に致しまして」
「誰ゆ。ハムにしてくゆ」
 少女の伝聞に、パパスはすりこぎを手に立ち上がりかけた。皆が必死に止めた。
「そうだなぁ、俺もなにか場があったまる話をしないとな」
 エルディンはそういうと、若かりし頃の話、として『入ってはいけない洞窟』の話を始めた。メルトアイや周囲の面々は耳を傾ける。
「熊が出るとか毒が満ちているとか噂があったが、実際にあったのは高値で売れるキノコの群生地。俺はちょこっと持って帰ってきたぜ」
 今はどうなってるか知らないが。内心でそう続けた彼は、好奇心旺盛な目で見てくる者達をよそにポテサラに手を付けた。
「よかった……過労死するまで酒を運び続けることになる僕は居なかったんだ……」
 玄丁は周囲に結構な数の給仕役がいる事実に安堵し、自分はまだ戦えるのだと感じた。内心でパパスに謝りつつ、自分は仕事をまっとうできると。
 だが、甘い。この時期に大宴会をするという事実に驚いている彼女は、イレギュラーズの『底力』を軽視している。
 そう、なぜなら。
「三弦ちゃん、ゴチになるわぁー! 食べて飲んでかんぱーい! ハイ友達!」
 藤色の髪をしたアルハラモンスターと。
「いやー、もうコレは勝ちましたね。勝ったも同然ですね。なにに勝つのかは知りませんが!」
 アルハラ(される)モンスターの眼鏡と。
「ポテトポテトポテト酒ポテト酒酒酒……メイドじゃねえ騎士(メイド)だっつってんだろ!飲めやオラッ!」
 アルハラ騎士(メイド)と。
「最近はもう慣れてきたよねお酒飲むとパンドラが増える依頼ひゃほっぉぉぉう!!!」
 ハラスメント全般が得意な胡乱な奴が轡を揃えているのだから。もうこれ負けたわ。
「良い食事、そして良い酒宴には美味いポテトサラダと良い給仕が大事だ。……諸君、二日酔いの準備は十分か?」
 そんな惨状にも、全てのテーブルに食前酒とお通しのポテサラを配りきっていた才蔵の手際を褒めてあげたい。
 この後も彼は随所で動いているのだが、余りに華麗すぎて意識に残らないのである。
 カーッ! もう少し報告書の解像度がなー! 酒で落ちてなければなー!

●だから決戦の裏番組感覚で飲み決戦を始めるんじゃねえよ
「カムイグラ? で決戦してるみんなを、食べて応援するの! 塩で揉んだキュウリは良く絞って、男爵芋は少し固形を残すの! ウィンナーもベーコンもいれてやるの! 贅沢なの! マヨ以外の隠し味にお塩とお酢とお砂糖、タマネギとカラシの辛味がポイントなの!」
(多人数への料理は常に決戦よ。飽きさせてはいけない、まずいアレンジなんてダメよ。バランスが求められる……まさに戦い!)
「わたち詳しくねえけど食べて応援って絶対そういうんじゃねえゆ」
 ストレリチアはイレギュラーズの健闘を祈ってポテサラのレシピをあれこれと開陳する。どう聞いてもつまみ目的だ。そして小さい体に似合わぬレベルで酒を飲み干し、風のため息(自称)をながす。
 メルランヌは呆れるパパスをよそに、アンチョビやコンビーフ、フライドオニオンなどあらん限りの食材を用意してごりごり作っていく。バリエーションで攻める策は、事実飲兵衛共には有効だった。
「我知ってるもんね! タダ酒飲んでパンドラ回復なんて美味しい話だと思ったら、派手にパンドラ削れたヤツの事、知ってるもんね!!」
「ん? まだそこまで飲んでいないのに妖精が見えるぞ……そんなバカな……って、アシリ殿ではないか紛らわしい。また飲み過ぎて妖精の幻覚でも見たのかと思ったぞ」
「わはは、ゴリラの! 飲んでおるか? 飲んでおるな? 日本酒とかあるんじゃろ? 練達マジックって言えば出てくるんじゃろう!」
「カムイグラのコメ? のお酒なら……」
 リディアはアシリの要求に、おずおずとカムイグラの酒を差し出した。まあ米酒だし実質日本酒。アシリとブレンダは全力でポテサラと酒とを往復して嗜んでいる。その後の悲劇も知ること無く――。
「ポテサラはねえ、意外と日本酒にも合うんですよ。日本酒専門店を謳っているお店のメニュー、十中八九ツマミにポテサラ入っていますからね。私にももう一つポテサラを。あとそこの小さいお嬢さんと同じものを」
「は、はい! お待ち下さいっ」
 リディアに手を挙げ注文したのは寛治であった。元の世界で嗜んだ日本酒とポテサラの組み合わせは彼の中でも鉄壁なのだろう。まあいい感じに飲んでいる。
「私は燻製の鯖を具に入れたポテトサラダを食べたことが有るのですが、これが非常に日本酒に合う味でした。更に、半熟の燻製卵を上に載せて、それを割ってポテサラに絡めて食べる。これがもうたまらない」
「ふむ…ただの蒸かした芋とは別次元の美味さだな。マヨネーズとごろっと入った具材……ピリリと効いたアクセントの胡椒のスパイシーさで酒が進む……新田殿の言うポテサラにも興味があるな……」
 寛治のポテサラ談義を聞きながら、コウはポテサラとビールを往復していた。蒸しただけの芋しか知らぬ彼女にこの味付けは贅沢で新鮮なことこの上なく、当然ながら酒の減りが速い速い。
「はっ!? いつの間にかジョッキが空に? おかわりだ!」
 彼女のもとに届けられたポテサラが、先とはまた違う味違う素材だったりするから……まあそりゃ酒だって進むわ、っていう。
「タダ飯が食えると聞いてやってきました。……え、ポテサラしかない嘘でしょ飲み会に偽装したポテサラ教団の集会じゃないですか邪悪過ぎる」
 ラグラは盛大な勘違いをしていた。ロクに話を聞いていなければ、というか飲み会の現状を見れば間違いもあるだろう。あるだろうじゃねえんだよ。
(こうなったら教団を潰すために人を間引こう……これで)
「なにするつもりだゆ」
 ラグラは透明でアブない酒と薄水色の飲み物じゃないブツと透明な可燃物を手に給仕のフリをしてとんでもねえことをしようとした。そして、それは失敗に終わった。パパスがいたからである。
「私はただポテサラ教団の集会から人を間引いてあわよくばタダ飯を」
「ワケわからんゆ。料理食いてえなら料理人に言えゆ。もしもう一度おイタしようもんなや、わたちがおまえをハムにすゆ」
 パパスは声を荒らげなかった。だが、ラグラは恐怖で暫く一歩も動けなかったし飯食う暇も惜しんで逃げたのは賢明な判断だったかもしれない。
「二杯目はジンハイ、三杯目はレッドアイにしとくの。ヘルシーなの!」
「ストレリチアさん、さすがにレッドアイをヘルシーとは言わないんじゃないですかね……!」
 勘蔵はそう言いながらも、ポテサラとビール、日本酒とをループしつつ結構いい感じに飲んでいた。よっていた。
 酒、ポテサラ、あとは適当なつまみ。案外色々あるものだ。
「いやーしかしこれでパンドラ増えるってんだからわかんないもんですねー」
「まあ、誰しも考えることですよね。そうすると予算がなくなるので、普通に他所からの仕事を引き受ける。その繰り返しです」
 勘蔵の言葉に瑠璃は過去の事実を指折り数え、宴会だけではローレットが回らぬ事実を思い返す。まあ、だからこそたまの宴会っていいもんなんだけど。
「ポテトサラダはポピュラーですけど味や触感が単調で空きやすいですから、皆様のアレンジが……意外とありますね」
 瑠璃の目の前には(もちろん普通のツマミもあるが)多数のポテサラが並んでいた。彼女が考えてるようなグラタンやコロッケも完備。これが決してパパスの魔法ありきではないのは、見れば分かる。
「ところでポテトサラダにソースはありだと思うがどうか。明太子も合う……健康を考えるならば宜しくは無いだろうが美味い……よな……?」
「「おおっと」」
 そんな瑠璃、勘蔵、ストレリチアの前に新たなポテサラを運んできたのはオライオンだ。外見は怪しげだが、消毒薬を腰に提げているところからも衛生管理の意識は抜きん出たものがあるとみえた。
「オレは好きですよ、そういうの。ちょっとソースかけるのはいいと思います」
「酒は百薬の長、ご飯は生きる活力なの! 健康なんて脇に置いとくの!」
「そうですね、酒宴の席で細かいことはいいっこなしです」
 3人は彼の意見を肯定する――否、この酒宴にいるような面々が個性を否定するだろうか? 否だ。彼等は多様性をこそ尊ぶ。オライオンは、ローレットの懐の深さを垣間見た。

「人の金で飲み食いするの最っ高!! なぁみんなもそう思うよな!? はいエビバディセイ!!! タダ酒、サイコー!!」
\\\ただ酒サイコー!///
「はっはっは、みんな元気がよろしいこのダメ人間どもが!!!」
 フニクリの号令一下、酔っぱらい共が騒ぎ出す。
「酒飲み達が集まりゃ全部決戦なんだ。分かるか? 分かれ! で、何の話だったか。ああ、鮭は敵だって話だったな。いいか鮭は敵だ。塩焼きもいいがアボカドとマヨで絡めた奴もまた旨い。酒が最高に進むのよ。あ、給仕の嬢ちゃん! 鮭くれよ!! 鮭! 肴にすんだ!」
 0次会ですでにべろんべろんのニコラスは酒を頼んで飲んでクダを巻く。
「任せな、酒と戦はヴィーザルの十八番さ! 飲めや歌えや騒げや! 決戦がどうたらで辛気臭い顔してる奴も、給仕ばっかで全然飲まねえ奴も巻き込んでぱーっとやろうじゃないか!」
 リズリーもニコラスのノリに合わせて豪快に笑い酒をかっ食らう。元気があればいいものだ。ヴィーザルらしい豪快な考え方である。
「酒が呑めると聞けば惨状――いや参上せぬわけにはいくまい! 呑んで喰ろうて騒ぐのみよ! これもうまい! それもうまい!すべてうまい!!」
「景気付けだか前祝いだかわかんないけど飲んだもん勝ちだよねぇ? ちゃあんとタダ酒か確認したし、心置きなくかんぱぁい!」
 蓮華とラズワルドはお互い割とイケるクチだからか、お互いさらっと意気投合したらしかった。
 何でも美味しく食べられる、見てるだけで食欲を唆る蓮華。
 酒なら刺激と香りが強いものをチョイスして酔うことそのものを楽しむ系のラズワルド。互いが互いの飲食に刺激を与え合う両者が引き合えば、そこに積み上がるのは食器とジョッキである。
「諸君!ゴッドである! 成程なぁ、確かにシステムのミステリー! だがそれをユーズすることはノープロブレム! 何よりフレンズがベリーファンする姿にはゴッドもハッピー&エキサイティングよ! このワールドのゴッドも同じなのかも知れぬな!」
 ゴッドこと豪斗は常日頃から仲間達を束ね、自らは(要求してないけど)サーヴされる側であった。だがゴット考えた。此度くらいはポティトゥサラダをサーヴするウェイターとなろうではないか! と。
「さあ、喰らいたまえ!ゴッドマウンテン盛りだ!」
「相変わらず元気だな……飲んで食べて愉しめばいいなら、まあいいか」
「そうだぞマイフレンズ・義弘! ディテールはパストとトラッシュにプッシュだ!」
 フレンズかはさておき、義弘はゴッドマウンテン盛りにされたポテサラに淡々と箸をつけ、口に運ぶ。ゴッドは割と仲間達を見ているのだろう、供されたのは義弘の好むシンプルなもの。皿の縁にもバリエーション豊かなものが小盛になっているのは芸が細かい。
「ふたりともやってるかい? タダ酒なんだから楽しくやろうじゃないか」
「ゴッドはサーヴでビジーなのでな! レイターにサーヴされる側に回ろうではないか!」
「おう、頑張ってこいよ」
 スティーブンの誘いに乗った義弘は、空いた椅子を指し示し誘いかける。なお、ゴッドはこの時すごく名残惜しそうだったことを付け加えておく。ゴッドはメニーパーソンとトークとサーヴがしたいのである。
「焼いた魚介類とか鶏肉の揚げ物がありますよ、如何ですか?」
「いいねぇ、そういうのが欲しかったんだ」
「ああ、たまには変化がほしいもんな。酒は飲んでも……とはいうが、飲まれるのもたまにはいい」
 テルルが焼き魚や唐揚げを持ってくると、義弘達のみならずとも盛り上がりは更に高まる。飲兵衛はポテサラのみに生きるに非ず、なのだ。
 なお、この状況においてアルハラモンスター共が暴れまわらないのはそれなりコントロールされた宴会であることも一因だが、実は1人の献身が大きい。
「そっちの空き瓶は片付けて下さい。食器も随時必要なテーブルにだけ入れ替えで置いて、あとはお酒を1人に集めすぎないように。不公平感で暴動がおきます」
 その者は、黒子。彼は宴会場での騒乱を極力避けるため、あちらこちらに声をかけ、暴動に使われる凶器を丁寧に減らし続けていたのである。
 なお、メガネはメガネ割りさせられてないしフニクリがブックメーカーできそうな乱闘は今起こっていない。……誰か忘れてない?

「ねえねえアーリア……あのぉ、これは友達の話なんでありますがね。ずぅーっと静かに見守るだけで満足してたじぶ……友達がね?まず悪いわけでありますが」
「そう、エッダちゃんの『友達』が、ねぇ」
「友達の好きな人が違う人を見ているって気づいてしまったらね? その気持ちにどう折り合いをつけたらいいでありますかね?」
「寂しいし嫌だし、奪いたくもなるわよねぇ。でも、そうしたらその好きな人、の笑顔は曇るし」
「でありますかね」
 えーっと……。えっと……その……。
「……私もまぁ、かつて大失恋もしたのよねぇ。うまく言えないけど、いつか飲み込むしかないなら……今は、お酒を飲むしかないかしら! ……その友達は、ね!」
「ですかね。アーリア様、今日はもう少し付き合って下さいね?」
「勿論よぉ! エッダちゃんと私の仲じゃない!」
 あの、はい。すごいしっとりとした会話なのでノーコメントでお願いします。おちょくれねえ。

「この場に織りなす紳士淑女諸君、今宵の夜はポテサラを楽しむものである! すなわちイモフェスティバル、芋で芋で流し込む『決戦』の火蓋が今ここで切って落とされるのだ!」
「ポテサラを食べたり、給仕のお手伝いを……とか……そういった全ては一旦全部わすれて、ふわふわした気持ちで終わりたいです、ね? わたしも演奏、がんばります、ね」
 決戦を盛り上げようとするマッダラーと、頭を空っぽにして楽しもうと告げるフェリシアは一見すれば正反対、合う合わない以前のコンビに見えた。
 だが、マッダラーが盛大に歌い仲間達の限界を底上げし、協奏馬とフェリシアが彼の歌をサポートする。その場のどんちゃん騒ぎの合間に、フェリシアはデザートや料理を堪能する。それを横取りしようとする不心得者がいれば、恐らくパパスより先に彼女にとっちめられるだろう。
「……本当に騒々しい連中だゆ」
 夜は更ける。まだまだ宴は終わりそうにない。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

セリア=ファンベル(p3p004040) [重傷]
初日吊り候補

あとがき

 何人かはハムになったゆ。

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