シナリオ詳細
<果ての迷宮>結婚式カウントダウン
オープニング
●果ての迷宮
幻想には<果ての迷宮>と呼ばれる地下迷宮が存在する。未だ踏破されたことはなく、その広さも深さも計り知れない。そして階層ごとにまるで異世界のような『迷宮らしからぬ空間』が広がっている。
幻想国初代国王たる勇者王はこの迷宮踏破を悲願とし、それは今代の王侯貴族まで義務として継がれてきた。これに関しては貴族たちも足を引っ張り合うことなく──競争はしているのだけれど──スポンサーとして、探索許可の出た冒険者を支援している。
そんな迷宮攻略も次は第20層。区切りと言っても良いだろう。前回はゲイム・センターでフロアボスと勝負をしたものだが、今回は何が出るか。
「……というよりも、あたしはここまで来た時点でびっくりだわさ」
セーブポイントへ戻ったペリカたちは引き続き20層へ続く階段を降りていた。ここまでイレギュラーズの顔ぶれは異なれど、ペリカは常に彼らと果ての迷宮探索を続けている。恐らくはこの先も──イレギュラーズが関わる前から、ずっと。
この果ての迷宮を前に、多くの仲間(冒険者)が力尽きた。あの頃に比べたら今の状況は正に『奇跡』だ。
「……いや、奇跡じゃない。これは皆で積み上げてきた、確かな『結果』わいね!」
にっと笑みを浮かべたペリカは次の扉を見つけて手を伸ばす。ああ、きっと大丈夫。彼らとならば──。
●結婚式カウントダウン
「あれ?」
「ペリカ?」
不意に見渡したイレギュラーズは、先頭を進んでいたはずのペリカが消えたことに気づく。それだけではない。仲間も何人か姿が見えないようだ。
一体どこへ行ったと言うのか? その答えはすぐさまやってきた。
「皆!」
聞き慣れた声に一同は顔を上げ、見慣れぬ姿にあんぐりと口を開ける。
目の前にあったのは巨大な城だった。門扉は固く閉ざされ、その前で、門の上で、兵が敵意をむき出しにこちらを睨みつけている。その先に見える城の天辺にほど近い場所でペリカは叫んでいた。
真っ白なドレス姿で。
「東西南北……だけじゃなくて地下にも!? ああもう、拡声器が届けてくれることを祈るわいね!
皆、これが20階層だわさ! 5つのグループに分断されてるけれど、誰でもいいから王の首を取ってほしいさね! じゃないと──むぐっ」
唐突にペリカの言葉が途切れる。見れば白いタキシードを着た青年がペリカの口元を押さえ、マイクを優しくも有無を言わさず奪い取っていた。
「──うちのお姫様が失礼したね」
青年は歌うように告げる。自らこそこの国の王であり、20階層の主でもあるのだと。そして──此処にいるペリカ・ロジィーアンを妃に迎える者であると。
きさき。その言葉がイレギュラーズたちの中で反響し、その意味を噛み砕いたのちに「はぁ!?」と思わず声が出る。何だか他の場所からも同じような声が聞こえた気がしたから、きっとこの場にいない仲間はそちらにいるのだろう。
「今日は彼女との結婚式でね。参列して祝ってくれると言うのならば招待するが、どうやら君たちはそういうわけでもなさそうだ。
この階層は僕の首を刎ねなければ進めない。けれども王の首を刎ねようという逆賊を臣下は許さないだろうね」
それでも来ると言うのならば、来てみるといい。結婚式が終われば彼女諸共『外』へ送ってあげよう。
王はそう告げてくるりと背を向ける。勿論、その腕にペリカを閉じ込めたまま。彼女とて凄腕の冒険者であるはずなのだが、手も足もでないあたり王も只者ではないのだろう。そして彼らの結婚式が終われば外へ送られる、ということは果ての迷宮から放り出されると同義だ。
──不意に誰かが「あれ?」と声を上げた。
視線を向ければそのイレギュラーズは一同を見渡し、気づいたことを口に出す。ここにいるメンバーは名代を同じくする者ではないか、と。
果ての迷宮に挑むイレギュラーズたちにはスポンサーたる存在がついている。イレギュラーズ全体に、ではなくてイレギュラーズ個人に、だ。イレギュラーズたちは誰の名代として果ての迷宮を踏破するか決めるのだが、これは偶然か必然か心を同じくする者たちが集まっているらしい。
ああ、きっと、誰かは気づいたことだろう。『王の首を刎ねられるのは1人きりだ』。そして『王の元へ全員が到達できるわけがない』。
誰が到達するべきか。誰が足止め役を買って出るか。おのずと答えは出て来るだろう。
他の名代として来たイレギュラーズへ足止めをなすりつけ、自分たちが王の元へ到達するか。
分断された仲間たるイレギュラーズたちと協力し、誰でも良いから王の元へとたどり着くか。
競争するか、共闘するか。しかしまずは──あの門を突破してからの話である。
- <果ての迷宮>結婚式カウントダウン名声:幻想30以上完了
- GM名愁
- 種別長編
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2020年10月16日 22時15分
- 参加人数30/30人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 30 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(30人)
リプレイ
●
我らがペリカ・ロジィーアンを連れ去った王の発言に北門側イレギュラーズたちはドン引いていた。
「いきなり結婚式……? は……??」
困惑一色の『紅眼のエースストライカー』日向 葵(p3p000366)は絶対同意なしだろと断じる。先ほどの様子からすればあながち間違ってもいないだろう。
「どこまでがこの20階層の仕組みかわからないが……いずれにせよ、女性を無理やり自分の花嫁にするなど、言語道断」
「ええ。無理やり結婚を進めるとは男のやることではない」
『絶海武闘』ジョージ・キングマン(p3p007332)、そして『白獅子剛剣』リゲル=アークライト(p3p000442)も同意見らしい。これは絶対に阻止せねば。
「ま、セララとリゲルはここでの無茶ナシで。観光客だけど僕も頑張るからさ」
果ての迷宮常連である『観光客』アト・サイン(p3p001394)がリゲルと『魔法騎士』セララ(p3p000273)の2人へ視線を向ければ、セララが「りょーかい!」と敬礼してみせる。王を倒さねばならぬなら、そこに全力を出せる人員を裂く必要があるだろう。その分他者へ負担は向かうわけだが、何としても王の元まで送り届けなければならない。
「それじゃあまずは門からだね! 城壁の上に何人かいるみたい!」
セララが良く見える目で門を見上げる。OK、と呟いた葵は誰よりも早くデッドエンドワンを放つ。さらに近づけば射程も短くなるはずだが、出来るだけ早めから畳みかけておきたい。アトも魔法の過充填された銃弾をピースメーカーへ込めて城壁の上へと撃つ。1発だったはずの銃弾はいつしか2発に、4発に、無数にと複製し。城壁まで辿り着く頃には無数の弾幕となって兵たちの鎧や肌を傷つけた。
「あそこだ!」
「撃ち殺せ!」
「──させるわけにはいかないな」
城壁まで飛んで降り立ったジョージが敵へと肉薄する。その下──門のすぐ傍では『流麗花月』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)が流れるような連撃で兵をのしていた。たまに勘の良い者もいるが、執拗に攻め立て上げればボロも出る。まだまだだな、なんて独り言ちつもこれから立ち向かうだろう数を思えば油断はできない。
「城内へ応援を……!」
「させんよ」
顔を上げた兵を気絶させ、汰磨羈は周囲を見渡す。元々警備要員だったためだろう、そこまでの数がいるわけではない。これならば──押せる!
城壁の上を一掃させたなら葵たちは地上部隊の殲滅へ加勢し、リゲルは人目につかぬよう簡易飛行でジョージのいる城壁上まで登っていく。ジョージはリゲルの姿を見ると首を横に振った。
「となると、門の裏ですね」
「ああ。行くぞ」
内側の様子を見ながら下降する2人。裏にも警備兵がいたが、不意をついた流星剣に兵たちが弾き飛ばされる。敵襲だ、と叫ぶ兵を回し蹴りで黙らせたジョージはリゲルに視線で促した。その意図に気付いた彼は頷き、門を開けるため視線をそちらへと向ける。
「閂ですね」
扉の中央に渡してあった閂を外し、力を込めて押したリゲル。しかし見た目ほどの重量もなく門は開いていった。そこにいたのは──兵をのして待っていた仲間たち。
「進もう! 無理やりな結婚式は阻止しちゃうのだ!」
ぐっと拳を突き上げたセララに頷き、或いは同じように拳を上げて、フォルデルマン派一同は北門を突破し、そのまま近くに見える高い塔へと向かったのだった。
「私はそこの呑んだくれ司祭と違って拘留とかされたことなかったのに……!」
いきなり投獄なんて、と嘆く『血雨斬り』すずな(p3p005307)の後ろで『祈りの先』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)が「どういう意味ですの!?」と眦を釣り上げ──そこへ聞こえる拡声器での声。
『東西南北……だけじゃなくて地下にも!? ああもう、拡声器が届けてくれることを祈るわいね!』
「これ、ペリカかしら?」
ヴァレーリヤが視線をあげる──とは言っても、そこには石造りの天井しかない──と、『雷光・紫電一閃』マリア・レイシス(p3p006685)がそうみたいだと首肯する。その間にもペリカと、そしてフロアボス『フォルマン二十世』の言葉が続き、やがて途切れる。窓のないここからは確認のしようもないが、その場から退場したということか。ペリカは5つのグループに分断されていると言っていたが、それにしたってここにいるメンバーは少ない。考えられるのは──。
「メリー、君は諸勢力派だったよね?」
「ええ」
マリアへ頷く『躾のなってないワガママ娘』メリー・フローラ・アベル(p3p007440)。だって連携とか、チーム戦とか、苦手だし。諸勢力派ならそもそも支持するイレギュラーズが少なく、何かやらかしたとしても大して怖くないだろうという魂胆だった。
「とすると、ここに集まっているのは皆諸勢力派。残りの4つは……各派閥ってことになるのかな」
「ふむん? 詳しい事情はよく分からないけれど、大手柄が手に入るチャンス……ということですわね?」
先程はペリカが結婚するとか外に出されるとか色々聞こえていたが、結局のところ王の首を刎ねられたらクリアなのだ。誰かを出しぬき、より貢献度をあげることも出来る。
──王はどちらに?
──東の塔にいらしたぞ。姫を保護されていた。
扉の向こう側からは兵らしき男たちの声が聞こえてくる。なるほど、東の塔へすぐに行けば王はまだいるかもしれない。なればそこを狙えば──大手柄である!
「マリィ、すずな、頑張りましょうね! 上手く行ったら、良い猫缶とジャーキーを奢ってあげるから!」
「そのジャーキー人間用ですよね?」
「待って? 今猫缶って言った???」
なんか食らいついてくる2人。仰け反るヴァレーリヤ。その視界にふわりと浮くメリーが見えた。彼女は天井の近くまで飛んでいき、押し上げるように両手を伸ばす。その手が天井へ吸い込まれて──。
「あら」
──止まった。
何かの感触を確かめるように、天井へ埋まった腕を動かすメリー。しかし程なくして気が済んだらしく、手を引っ込めると扉の方へ移動していった。どうやら通り抜けられなかったらしい。
「あ、こっちはいけるのね、」
「おい出て来たぞ!」
「透明人間か!?」
「拘束しろ!」
扉は通り抜けられたが、出たらばすぐに控えていた兵たちが色めき立つ。果たして透明人間(だと思っている相手)を捕まえられると思っているのか定かではないが──その間にメリーの横を扉が吹き飛んでいく。
「この程度、私たちの障害ではありませんわよ!」
メイスを構え直したヴァレーリヤにすずなとマリアが続く。
「第一関門で躓くわけにはいきませんね」
「すずな君、そこ!!」
マリアの言葉に考えるより早く腕が動く。視界の隅で赤を捉えつつ、すずなの視線はさらに別の標的へ移った。マリアの攻撃に耐えた兵は、しかし唐突に脱力する。
「歩調を合わせるのも大事でしょ」
ほんの少しつまらなさそうな口調でメリーが言う。ああ、もっと楽しくしたいけれど──だって、お優しい仲間が一緒にいるんだもの!
「ちょっとマリアさん、静電気でぶわってなるんですが!」
「すずな君はわがまま言わない!」
「えぇ!?」
「どっせーーーーい!」
「賑やかね」
決して広くない空間で暴れまわり、兵たちを無力化した4名は外に繋がると思しき階段を上がる。伸びた兵たちは暫く目を覚まさないだろう。
地上に出るまでの短い間で勢力での、というより個々人のスタンスを決めていく。
「私たちは小勢力だもの、まずは他勢力を支援して最低限の手柄を確保しなくちゃ」
共闘の姿勢を見せれば皆もやりやすいだろうし、何より色々な情報を提供してもらえるかもしれない。そのためには出来るだけ目立ってこちらへ敵を引き付けるべきだ。
「OK! ヴァリューシャの案で行こう!」
そこからさらに具体的な策を聞いたマリアは大きく頷く。勢力争いに興味はないが、ヴァレーリヤはこの状況とこれからの策にワクワクしている。ならば自分も乗っかろうではないか。
「わたしは個人で動くわ。また会った時に情報があれば教えてあげる」
光の差し込む場所まで来た時、メリーがふわりと体を浮かせた。その体は壁をするりと通り抜けて外へ向かう。
(へえ、中庭に出るのね)
メリーはふわふわ浮かびながら周囲を見回す。何箇所かがひどく騒がしい。四方にある門はいくつか開いているようだ。そびえ立つ塔と日の傾きを鑑みるに北はあちらか、とメリーは目星をつける。
とは言っても東の塔へ向かうでもなければ、進んで王を探しにいくわけでもない。ただ──まだ開いていない門を開けに行った方が『拮抗して面白そう』だ。
さて、南門は早々に破壊──そう、破壊されていた。開かれたのではなく物理的にドカンだ。それをやってのけた人物はと言えば。
「もう少し丈夫かと思っていたが」
「ま、まあまあ! 『あいた』んだし良しとしましょ!」
ひび割れながら崩れた門の一部になんとも言えない表情の『破滅を滅ぼす者』R.R.(p3p000021)と、笑ってごまかす『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)である。
「いやあ、君たちもバルツァーレク派の人だったのか! 心強いよ!!」
皆でいた時は分からなかったからと『黄昏夢廸』ランドウェラ=ロード=ロウス(p3p000788)は笑う。
彼らの前には中庭が広がり、暫し歩いた場所には城がある。重要建築物にでもなりそうなくらい美しい庭と城だが、すでに物々しい空気はここまで伝わってきていた。
「彼らからしたら私たちの方が『賊』だからかね」
『夜明け前の風』黎明院・ゼフィラ(p3p002101)はその空気に瞳を眇める。これが政略結婚の類であれば邪魔立てなどしないが、結婚はお遊びのようにするものではない。
「まるで余興であるかのような物言いでしたわねー」
先ほどの宣言を思い出してか『氷雪の歌姫』ユゥリアリア=アミザラッド=メリルナート(p3p006108)は眉をひそめる。敵影がないか視線を走らせつつも、じとりと東の塔へ視線を向けてしまうのは仕方がない。
害意はないのだろう。けれども──癪に触る。
「ちょっと思うところはありますよね。僕も、大切な人がいるから」
『あなたの虜』ラピス・ディアグレイス(p3p007373)は無意識にピアスへ触れていたことに気づき、それとなく手を下ろす。そう、結婚は大切な儀式だ。会って間も無く想いあってもいない者同士が、迫られる理由もなくするものではない。
「行こう。奥の方に気配を感じるが、人数は少ない」
ルインが自らの能力を使いながら方向を示す。初手から戦闘とならなかったことには拍子抜けする部分もあるが、各門や王の護衛で人員が割かれているらしいと鋭い聴覚は拾い上げる。
「マッピングも順調ですわね。色々は調べられませんがー」
ユゥリアリアは手元の羊皮紙を見下ろす。簡易ではあるがここまでの地図だ。おそらく他の派閥でも似たようなことはされているだろうから、タイミングがよければ情報の交換をしたい。
さらに進んでいる間、遠くで東門が開けられたという声が聞こえた。伝えるとアーリアが「はい!」と手をあげる。
「おねーさん、ひと肌脱いできていいかしら!」
もちろん文字通りの意味ではない。
バルツァーレク派、遊楽伯爵を名代とする者たちに派閥争いを推進するような者はいない。さらに言えば『いない訳ではないが、踏破のためにまでしようとする者はいない』。これは遊楽伯爵という人柄と人望によるものかもしれない。
ともあれ争うより協力しましょうの色は強く、ならば敵を作らず恩を売りたいところである。
「ガブリエル様、そういう動きがお好きでしょう?」
アーリアの言葉に皆が小さく笑う。ああ、きっと。穏健で良心的な人物だから。
「それでは……えいっ☆」
ファンシーなステッキを振るうアーリア。へべれけ☆あーりあの悪夢を思いd……やめておこう。全ては最も美味しいお酒に造形が深そうで、かわいい妹分の想い人のためだ。
振ったステッキは箒へ変わり、アーリアはそれにまたがってゆらゆらとゆっくり上昇し始める。高く、高く、城を見渡せるくらいにして──。
「今日の私は魔女でありクーリエ、皆さんに素敵な情報をお届けよぉー!」
スピーカーボムによって声量アップした彼女の声が城中に響き渡った。
彼女はこれ以降単独での行動、情報の発信者となる。その間にと仕掛けられた罠を解除しつつ、一同は城へ向かって突き進んだ。
「……なんなんだろうね、ここ」
『Ende-r-Kindheit』ミルヴィ=カーソン(p3p005047)は城を見上げてポツリと呟く。見たことがあるような人々がどうしてここで現れるのか。
(相手に合わせて何かを再現する舞台装置
みたいだって言ってたな……)
誰が、というところを思い出して目を細めるミルヴィ。けれどももうすぐ城内だという声にふっと我へ返った。いくよ、とゼフィラの言葉に一同は頷く。
「──さあ、我らが隊長を返してもらうよ!」
踏み込んだゼフィラはすかさず手近な敵へ攻撃を仕掛ける。奇襲される形となった相手がどうにか持ち直そうとするも、ルインの狙撃がさらに態勢を崩させた。
「行かせない」
向かって来ようとした兵をすぐさまラピスが抑え、敵味方の合間を縫ってミルヴィが苛烈な舞を混ぜていく。
(『あの時』みたい)
流されていってしまいそうな心と体。でも。
「でも……あの時とは違う、力は殆ど制御できる!」
跳ねまわり舞い踊り、敵を翻弄していくミルヴィ。その肩越しにランドウェラは見覚えのある柔らかな緑髪を見た。
「あれは……」
「あまり深追いなさいませんよう。罠かもしれませんからー」
追いかけかけたランドウェラはユゥリアリアの言葉に足を引く。それは困る。ガブリエルに似た人物──ガルエルという男が罠を仕掛け回っているのは聞いたが、それがどれだけの殺傷力を秘めるかもわからない。争いごとが苦手でも血が苦手とは限らないのだ。
戦いがひと段落すればゼフィラが周囲の罠を調べ、同時にアーリアへガルエルの逃亡が知らされる。次いで東の塔に何もなかったことを城中に言い渡し、さらなる情報を求めて北の塔へ向かったのだった。
さて、西の門を攻略したアーベントロート派は、やはり他の二方と同様に近い場所となる西の塔を目指していた。
「区切りの階層にしては殺意は低いかしらね」
「でも、仲間が傷つくのは本当の事。だって結婚式だもの」
『レジーナ・カームバンクル』善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)の言葉に『静謐の勇医』ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)はゆるりと首をゆる。レジーナは目を瞬かせると東の方角へ一瞬視線を向け「そうね」と呟いた。
「まあ、10階層の、『アレ』との対峙を考えると、むしろ気が楽、かもしれん、な」
アレを思い出しつつも『神話殺しの御伽噺』エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)はハイセンスで他者の気配を探る。
(姿、音、匂い。全てを絶え間なく隠したまま襲いかかるのは、本物でもなければ、難しい、筈)
かの令嬢が偽物とは言わないが、それでも恐らく我らがアーベントロート嬢の方が強いだろう。それは此処にいる誰もがわかっている。
「ん、」
「何か見つかった?」
小さく呟いたレジーナに『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)が視線を向ける。レジーナの瞳は上へと向いていた。
「『暗殺姫』リズロット……この上にいるわ」
その一言に皆の雰囲気が険を帯びた。いや、特に感じるのは数人かもしれないが──ともかく。このチームは王に対してより、『暗殺姫』リズロットへの殺意の方が高い気がしてならない。それはやはりレジーナ・カームバンクルというイレギュラーズの想いが強いからだろうか。
「ナニかありそうだと思ったけど、まさかキョウテキとの戦いとはね!」
楽しみだと笑う『業壊掌』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)。『ヴァイスドラッヘ』レイリ―=シュタイン(p3p007270)は本当に幻影、レプリカのような偽物の類だろうなと怪しんでいるが、こればかりは戦ってみないとわからない。
「準備はいい?」
「うん。……10階層の時、武器貸したなって思い出してた」
『策士』リアナル・マギサ・メーヴィン(p3p002906)の言葉にイーリンは小さく笑みを浮かべるも、すぐさま表情は引き締まる。
「行きましょう。神がそれを望まれる」
塔の天辺にある扉。中の気配を探りながら一同は扉へ手をかけた。
(さてさて、この喜劇はどうなるやら)
『Enigma』ウィートラント・エマ(p3p005065)はそれを後方から眺めつつ、マスケット銃を手にして──。
「──避けて!」
仲間の言葉に皆が一斉に部屋の死角へ入る。ほぼ時を同じくして暗器が影に突き刺さった。完全に間に合ったかと言えばそうでもなく──服を引っ掛けた者や、肌を薄く朱に滲ませた者もいる。
「ああ、外してしまいましたか」
けれどもリズロットの動きは止まることなく。こちらもまた止まってはならないとすぐさま戦陣を組んだ。
「さぁ、素敵なダンスを踊りましょう」
レジーナが踏み込み、どこかリーゼロッテに似た少女へ乱撃を仕掛ける。レイリーがその標的を自らへ逸らさせるべくマントを翻した。
「私の名はヴァイスドラッヘ。ペリカ殿を誘拐し、無理に花嫁にする暴虐で傍若無人な国王を成敗しにきた!」
「あらあら……私、これから眠る方への挨拶はありませんの。ごめんなさいね?」
リズロットは薄らと笑い、周囲に纏わりつくイレギュラーズを暗器で一層しにかかる。下手をすれば彼女の言う通り眠りにつくことだろう──一生目覚めない『死の眠り』に。
「させない」
ココロがEmmanuelを鳴らし、皆の傷を癒していく。果ての迷宮はどこも異世界のようで、この階層は特に夢のようだけれど──夢じゃないから。しっかり仲間たちを助けなくちゃ!
「ならば、眠る前に、こちらを見ると、いい」
どちらが眠るのか、なんて言わない。エクスマリアの瞳が写し鏡のようにリズロットを映し、その苦痛をも映し出す。ウィートラントは黒き狼の妖精を召喚し、リズロットへけしかけた。
「……この方は面倒臭いことになりそうでごぜーますね」
元よりレジーナには思う所があるが、それを抜きにしたって単純な『強敵』だ。けれどもリズロットを倒せなければ、王を倒せるはずもなく。
イーリンの唇が何らかの言葉を乗せる。その瞬間、彼女の魔眼からナニカが彼女の握る戦旗へ宿った。防御の何をも突き破る刃がリズロットへ差し向けられる。畳みかけられる攻撃にリズロットは──やはりと言うべきか。応戦しながらも押され気味だ。
「こんなもの? ヒョウシ抜けしちゃったな」
イグナートも残念そうな声を上げつつ、気力を持たせられるよう鋭い突きでリズロットへ仕掛けていく。体への反動はココロによるサポートのおかげで気にならない。
「でもさすが……なかなか堪えるな」
パンドラの煌めきを帯びたレイリーは、しかし万全なる態勢で再びリズロットを迎え撃つ。片や回復手段のない令嬢1人、片やサポートのある猛者8人──勝敗が付くのは時間の問題だっただろう。
レジーナの言葉が冷徹にリズロットの命を屠る命を下す。
「喰らい尽くせ──黒顎魔王」
黒のあぎとが、少女の柔肌を裂いた。
●
「なかなか。面白い趣向を用意してくれますね」
『春告げの』リースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984)のチェインライトニングが兵を撃つ。のたうち回る蛇のようなそれを追いかけた『旅人自称者』ヘイゼル・ゴルトブーツ(p3p000149)は蝕みの術で兵士の意識を落とした。
「ええ。果ての迷宮は何でもありですね」
実に興味深い。そう言いたげにヘイゼルの瞳が城へ向く。これは何を参考として作られたのだろうか。侵入者イレギュラーズの脳内にあるイメージか。それとも全く別の何物か。
「所持している資料には何も無さそうではありましたが」
『蒼剣の弟子』ドラマ・ゲツク(p3p000172)もリースリット同様に雷撃を放ちながらそう答える。なんでも他派閥にはない書物を保管しているそうだが、そこにすらないのならばこのフロアの構築方法などわかる訳もない。
「それでも、ここで足止めされてる時間は無いよ」
「ああ。此処を抜けない事には始まらないんだ」
マルク・シリング(p3p001309)の放つネメシスの光が兵たちの目を一瞬くらませ、その隙にシラス(p3p004421)は思考を自動演算化させる。
「──吹き飛ばしてやるよ」
小さく響くフィンガースナップ。同時に空気が破裂し、衝撃波が兵たちを呑み込んだ。しかし向こうもただ負けてはいられないようで、城壁の上から矢がイレギュラーズたちを狙って飛んでくる。リースリットはあちらもと風精舞で上昇し始めた。
──が。彼女が城壁の上へ到着するより早くに城壁の上は騒がしくなり、雨のように降っていた矢も少なくなる。
「あれは……?」
「味方、のようですね」
マルクにドラマが答える。城壁に誰より早く降り立ち、兵へ攻撃を向けているのは地下牢から出たメリーだった。ほどなくして地上の兵も倒し終えたイレギュラーズたちは、ようやく簡易飛行もできる余裕が出来て数人が城壁の向こう側へと渡る。ほどなくして大きな門が開いていった。
「助かったよ」
「そう。……諸勢力派の人たち、東の塔へ向かうみたいだったわよ」
ここに来る道中で分かれてきたのというメリーに一同は顔を見合わせる。真っ先に向かうはずだったが、他のメンバーも向かっているのか。
「ファミリアーは飛ばしてみるけど、向かった方が早いかもね」
マルクの腕に留まった鳥が空へと飛び立つ。同時にヘイゼルは助けの声が聞こえないかと勘を研ぎ澄ませてみるが──慌ただしい城内ではペリカのみならず助けを求める声は多い。どれが誰かなどわからないほどに多いのだ。
「ふむ。東の塔を探して、いなければ推測する必要がありそうです」
行こう、とヘイゼル言葉にシラスが返す。皆、もちろん否やはない。むしろ行方を眩ませる前に調べるべきだ。メリーと分かれた一同は高くそびえる塔へ向かって走り出した。道中でマルクの回復を受けながら進めば──何やら、賑やかな声がする。
「ほらほら、このまま放っておいたら東塔を崩してしまいますわよ!!」
東の塔で振り回されるメイス。唱える聖句はそう、全ては仲間(ペリカ)を助けるために!
ヴァレーリヤのメイスが炎をうねらせ兵たちへ襲いかかる。忍耐強さの勝利か、それともヴァレーリヤのような小娘相手に倒れてなるものかという矜持か──立ち上がる者も多いが、すずなという一陣の風が突き抜けていく。神速の乱撃を収めれば兵たちが倒れていった。
「調子良いですわね! それじゃあ私、別のところからも連れてくるから!」
「ヴァリューシャ!? 無茶しちゃ駄目だからね!?」
どこまでも猪突猛進バーサーカーなヴァレーリヤにマリアが焦りと心配の声を上げるも、すでに姿はそこにない。ファミリアーを飛ばしてみれば、遠くでヴァレーリヤの威勢の良い声と兵たちの悲鳴が聞こえた。かと思えばそのざわめきは急速に近づいてくる。
「連れて来すぎですよぉ!?」
悲鳴のような声を上げるすずな。ヴァレーリヤの背後に見える軍にマリアも顔を引きつらせるが──やるしかあるまい。
「……随分と集めているね」
マルクが下を見て感心した声を上げる。3人の暴れっぷり、というより主にヴァレーリヤが目立って引きつけ、すずなとマリアで殲滅しているらしい。おかげでこちらには見向きもしないようだ。
それでこちらは、と振り返れば、ちょうどヘイゼルが塔から物理透過で抜けてきたところだった。
「兵が少ないような気はしますが、下で侵入者(仲間)が暴れているからなのか……さてはて」
少なくとも一同が今いる塔の天辺──先ほどペリカがいた場所──からは全く姿が見えない。ならばすでに式をあげるための場所へ向かったか。
(ペリカさんも……いなさそうですが。保護してもあまり意味がありませんしね)
リースリットは攫われていったペリカをちらりと脳裏に思い浮かべる。さながら囚われの姫ではあるのだが、立場を考えるならば彼女は放っておいても良いのだ。ペリカを探すのはそこに王がいる可能性の高さゆえ。
「式を上げるならきっと中央に構えた城だよね」
「玉座の間、じゃないかな」
マルクは仮定としてひとつの場所をあげる。それがどこにあるかは分からないが、少なくとも中央の城内ではあるだろう。ドラマはファミリアー越しに城の扉は開いていることを確認する。
「多くの兵がいるため、戦闘は免れないでしょうが……」
「開いているなら行こう。時間がない」
ドラマはシラスの言葉に頷いた。こうしている間にも着々と結婚式の準備は進む。塔を攻略しなければならない理由がないならば向かうべきだろう。
「他の派閥と合流できれば良いですが」
リースリットはひとりごち、小さく首を振る。確実な連絡手段がない今、合流場所を決めることだってままならない。遠目に何某かのファミリアーは見えるが、あくまで一方的な情報取得だった。皆で情報を共有する術があるなら──。
『皆さんに素敵な情報をお届けよぉー!』
──めちゃくちゃ聞き覚えのある声だ。
視線を巡らせる一同の視界に留まったのは、ほうきにまたがったイレギュラーズ・アーリア。彼女が大声量で話す情報は有用であるか否かを置いておいて、この場にいる誰もへ伝えるには最適だった。
「こんにちは」
道行く人へ挨拶するような気軽さで声をかけたメリーは、武器を取る兵たちへ激しい光を瞬かせる。倒れる数なんていちいち数えてはいないが、大分減らしただろう。最も、湧いているのかと思うほどにまだまだ出て来るのだが。
「早く誰か王の首とってくれないかしら」
呟きながら向かってくる兵へまた攻撃する。自身で王の首を取る気はない。誰もがそれを欲しがっていて、けれどメリーは誰よりもほしくないのだから。その首が勢力争いのキーである事を理解しているからこそ手を出したくないのである。
フィッツバルディ派とアーベントロートの名代は特に熱心な者──ガチ勢が多い。王様やバルツァーレク派だって真剣に支持する者が多い。そのいずれかに肩入れするより全員に対していい顔したいし、何より絶対自由に行動なんてできないだろう。だって──『いい子』でいないといけないから。
「はぁ。まだかしら」
何人もの兵を相手取って、ちらりと窓の外へ目を向ける。その先には此度のインフルエンサー・アーリアが見えていた。
彼女から一旦分かれたバルツァーレク派一同は城をめぐって地図を作りつつ、手当たり次第に王を探しては兵たちをのしていく。それはその最中であった偶然も偶然の出会い──いや、再開だった。
「あ、」
「おや」
ぽかんと口を開けたゼフィラと、片眉をあげたガルエル。彼はすぐさま踵を返したが、ランドウェラが呼び止めた。
「ねえ、教えてくれないかな?」
「何をでしょう」
ああ、声もそっくりに聞こえる。よくよく聞けば違うとわかるが、一瞬勘違いしてしまいそうだ。
「一番迷惑なもの」
「……」
「罠って言えばいいかな? まあ、答えてくれなくてもいいんだけれど」
もともと無理やり口を割らせようとも思っていない。王は倒さねばならないが、その他の──三代貴族を模した者たちや兵は──邪魔立てさえしてくれなければ倒す必要もないのだから。
「……貴方たちはペリカ姫が大切なのですね」
「この後も迷宮探索の先導をしてもらわないと困るからね」
姫という呼称は普段の彼女を知る者として何とも言えない違和感を感じさせるが、ゼフィラの言葉には嘘偽りない。イレギュラーズではないにしても大事な仲間であり隊長だ。
そうですかと呟いたガルエルは切れ長の瞳でイレギュラーズを見据える。
「……申し訳ありませんが、私たちも手を抜くつもりはない。王を守るのは臣下の役目です」
そう告げるなり身を翻したガルエル。彼を追っても罠で翻弄されるだろうし、何より彼に対する害意を持ち合わせない。一同はその背中を追いかけるでもなくただ見送った。
「……ふん、喧しいな」
窓際でも聞こえてくるアーリアの声量に、しかして男はピクリとも眉を揺らさない。部下が落としますかと問うた。
「放っておけ。あれらの情報はそのまま我らへの情報ともなり得る」
玉石混交ではあるが、侵入者も少なからず彼女の情報を頼りに動くはずだ。なればあの声を潰してしまうより、逆手にとって追い詰めるべき。
「玉座の間、および陛下のプライベート空間は死守せよ。三塔へ兵の配置を急げ」
「はっ!」
一礼した兵が足早に駆けていく。男──ロウガットは好戦的に笑みを浮かべた。本来ならば賊など望ましくないが、ここは果ての迷宮だ。ロウガットも王も、誰も彼もが真実『人』ではない。故にだろうか──この、高揚感は。
ロウガットはバルコニーから中へ入り、そのまま部屋を出て行った。
「ここ兵隊さん多いね! ボクも戦わないといけないかな!」
不要な消耗を避けるべく仲間を頼っていたセララも、剣を抜かなければならないほどに北の塔は兵士で溢れていた。
「邪魔な敵はこっちに任せろ!」
「リゲルも無理はするなよ。まぁ、御主なら大丈夫だろうが」
葵や汰磨羈が率先して兵を押さえ、アトも銃弾の雨を降らせて援護する。だがしかし──ここまでいては、外へ出て登るというショートカットも出来やしない。そもそも窓自体が見当たらない。これにはアトだけでなく葵も誤算だったという顔だ。恐らくは東の塔にあったような天辺のバルコニーしかないのだろう。
「『あっち』の状況は?」
「塔の中にいるようだ。やはり窓はないな」
アトの言葉に汰磨羈が返す。ファミリアーも遠くへは行かせられないが、それでもその遠目からアーベントロート派が西の塔へ入る姿は確認されていた。
不意に寒気が背筋を伝う。葵がガントレットをかざすと次の瞬間剣が振り下ろされ、硬いもの同士がぶつかる甲高い音が響いた。
「ふん、受け止めたか」
視線を上げればそこにはレイガルテ──に、よく似た人物。ロウガットだ。
「げ。会っちまったか」
できるならば自分たちも温存したかった、というような口ぶりで葵は呟き、ガントレットを構える。力を込める頃には──彼ほどの人物ならば動き終わっているのだ。速度を乗せた強烈な一撃ロウガットが舌打ちし、反撃するように再度剣を振り下ろす。
「ごめんね、先を急いでるんだ……だからっ!」
倒すよ! とセララスペシャルが放たれる。その攻撃を受け流しつつも、ジョージの格闘術が守りを打ち崩しながらダメージを与えていく。
「無理するなよ、セララ」
「分かってる!」
汰磨羈が霊障を放ちながらそう告げればセララからは元気な返事。けれどもロウガットとてただの統率者ではなく、ダメージを受けながらもそれを越えんばかりの大打撃をイレギュラーズへとかましていく。
「まだまだいけるっスよ! 舐めんな!」
パンドラの小さな奇跡を起こして再び戦う体力を取り戻す葵。アトも全身全霊の一刀で向かっていく。鎧を砕き、自らのダメージも厭わぬそれにロウガットはたたらを踏んで。
「終わりです!」
銀閃が煌めき、ロウガットはうめき声を上げたのちに倒れ伏した。それを見下ろすリゲルは、彼が再起しないことを確かめるとほぅと小さく息をつく。
「あらぁ、ちょうど終わったとこ?」
その時だ。更に階上からふわふわした声が聞こえてきたのは。見上げればへべれけお姉さん──今回はへべれけでないように見える──アーリアが皆へ気軽く片手を上げる。セララがぱっと笑顔を浮かべた。
「アーリア! 声が良く聞こえてたよ!」
「ふふ、皆の役に立てていたら良いのだけれど! そこで倒れたの、ロウガット……でいいかしら?」
向けられた視線に一同は頷く。アトはこれを皆に知らせて構わないと告げた。アーリアもそれを望んでいたのだろう、礼を言うと再び階段を上がっていこうとする。どうやらその先には東の塔同様にバルコニーがあるということだった。
「ふむ……3つの塔を巡って式場に至るかと思ったんだけど、そうでもないみたいだ」
アトは小さく考え込む。地上からここまでには何もなかったし、アーリアについてバルコニーのある場所まで行ったが何もなかった。ここはロウガットの管轄なのか罠も見当たらない。
一同は塔を降り、城へ繋がる道を行く。アーリアのロウガット撃破の知らせが良く聞こえていた。
●
「「──あ」」
ばったりと会ったのは敵、ではなくイレギュラーズ。味方とは言い切れないかもしれない。
「ボロボロじゃない」
「そっちこそ」
言い合うイーリンとアトは互いの姿を眺めた。どちらも結構な戦いに揉まれた後のようだ。彼女らアーベントロート派が西側から来たことを知っていたアトは塔はどうだったかと問う。
「ああ、それなら──」
『どの塔にも王様はいないわよぉ! 西の塔のリズロットも倒されたわ!』
アーリアの声が新しい情報を敵味方関係なく伝えていく。イーリンはそういうこと、と軽く肩を竦めて見せた。めぼしい敵はもはやガルエルと王のみ。王さえ倒してしまえば良いのならあとは本格的に探せば良いだけだ。タイムリミットは気になるところであるが──。
「ねえ、今あるだけの情報を頂戴。インスピレーション働かせるわ」
イーリンの言葉にアトは頷きつつも、心の中で待ってましたと喝采を上げる。そうだ、頭を使え。その直後が僕たちの勝利だ。
けれども。
『うふふ、うっかり零しちゃったのねぇ』
その時、アーリアがくすりと笑う。スピーカーボムによる声量はそんな呟きも皆の耳へ運んで。
『王の居場所は『玉座の間』よぉ! 私も行かなくちゃ!』
統率者が倒れ、あの令状も倒されたと言う知らせに城内の兵が動揺したのだ。ぽろりと零してしまったそれをイレギュラーズの誰かが拾ったか、アーリア自身が拾ったか。ともあれあとは真実タイムリミットとの戦いである。
アトとしてはタイミングが悪かったが──致し方がない。
「玉座の間はそっち。僕たちはちょっとやることがあるんで失礼させてもらうよ」
アトはアーベントロート派一同へ道を示し、その身を翻す。他の面々も続く中、後はアーベントロート派が逡巡しているのを背中越しに感じた。
(間違ったことは言ってないさ)
その道を行けば玉座の間に辿り着けるだろう。──いつかは、だが。別に最短ルートとは言っていない。それだけだ。
アトたちの後ろ姿を見つめるイーリンはふぅん、と小さく呟く。その視線はゆっくりとアトから外れ、仲間たちへ向けられた。
敵を蹴散らし、レッドカーペットの上を駆けて。一番最初に玉座の間へ辿り着いたのはフィッツバルディ派だった。『玉座の間』という仮説を立てた者がいたことは大きい。ここが外れでないことを祈るしかないが──。
「やあ」
扉を開けた先で王は待っていた。結婚式をするということもあってか、先ほどとは異なり仰々しいマントをつけている。傍らには大人しくウェディングドレスを着せられたペリカもいた。
侵入者がやってきたことで中にいた兵たちが王とイレギュラーズたちの間に立ちふさがる。しかしイレギュラーズには彼らの相手をする余裕などない。王とペリカの結婚が成立する前にその首を頂戴するのだ。
「名代への栄誉を手に入れるのは──私たちです!」
ドラマの魔光閃熱波が道をあけ、フィッツバルディ派一同は駆けて王の元へ向かう。王はペリカを後方に控えていた騎士へ預け、自ら剣を抜いた。
「よくここまで来たね」
「強引な結婚式は阻止される、そう云うモノですから」
肉薄したヘイゼルが王へ手を伸ばす。半身ずらした王はシラスの持つ魔力の槍にはっと目を見開いた。
「悪いな、お色直しは無しだ」
串刺しにせんと向けられたそれを剣でいなしつつも、破壊的魔術がリースリットとマルクから放たれる。兵たちは侵入者から王を守らんと横合いからイレギュラーズへ襲いかかった。
ドラマがチェインライトニングで敵をのしていき、シラスもまた増えてきた邪魔者に対応する。しかしそこへ、新たな面々が到着したようだった。
「無茶な2人は困ったよ……」
「なーにいってんですか、無茶なのはヴァレーリヤさんだけですよ?」
「ほら2人とも、3つ数えたらぶちかましますわよ!」
マリアとすずなへヴァレーリヤがそう声をかけ、3つ数えると同時に炎が濁流の如く流れていく。一気に退けていった道をすずなたちは駆け抜け──いざ、王の元へ!
それから幾らも経たないうちにフォルデルマン派一同も玉座の間へ辿り着く。3mの棒などで罠対策をしていたアトも目的地についたということでそれをしまった。玉座の間に罠を仕掛けていたら流石に不敬だろう。
「後は任せる。行け!」
「こんな我が侭な階層、終わらせてこい!」
反対側から来ていた兵たちを推しとどめ、汰磨羈とジョージが肩越しに叫ぶ。葵やアトたちも抑え込み、皆に背中を押される形でセララとリゲルは玉座の間へ踏み込んだ。
「ペリカ! 助けに来たぞ!」
リゲルの言葉に彼女からの応えはない。フォルデルマン三世ににた顔の青年がやれやれと呆れた表情を浮かべた。
「増えるねえ。我が姫が愛されているようでなによりだ」
「フォルマン二十世! 力づくで結婚を強制するなど、言語道断! ペリカは俺が――取り戻してみせる!」
剣を構えるリゲルは父を思わせる剣技で肉薄する。星が瞬くようになそれに王が逡巡した隙を狙い、口をもぐもぐさせたセララが雷のカードをかざした。
「ねえ、本当に君の首を跳ねないとダメ? 倒しただけで終わりとかにならないかな?」
「ならないさ……そういう階層だ」
そっか、と呟いたセララはギガセララブレイクを放つ。友人に似た青年。偽物であっても彼であるならば友達でありたいと、友達に為りたいと思ったが──殺さねばならぬというならば。
「じゃあせめて、楽しいバトルにしようね!」
剣を構えるセララにざっくりと服を裂かれた王は苦笑を浮かべる。できれば楽しく結婚式したかったんだけど、という呟きは剣戟に紛れた。
「遅かったじゃないか」
「こっちも用があったのよ」
ようやく玉座の間へ辿り着いた頃にはアトが廊下で兵を推しとどめていた。とはいえ、アトの感覚としては『思ったより早かった』でもある。言えば墓穴を掘るので言わないけれど。
「まあ、こんなところ行かせないわよね、普通」
レジーナが呟きながら得物を構える。これが終わって、ペリカを助け出して迷宮を出たならば──お嬢様(リーゼロッテ)に誉めてもらうのだ。初手に仕掛けられた剣魔双撃は、初めて見るものであったか王も回避に迷いが生じる。
「やあ、ローレットの身内を捕まえてケッコン式の真似事をしようだなんてイイ度胸じゃないか!」
ここまで体力温存気味だったイグナートはようやく目的の人物に会えたという事で声を弾ませる。もちろん挨拶は右ストレートだ。彼と王の間に入るようにレイリーが立ち、いつでも誰でも庇いに行けるような場所で槍を掲げる。
「私が皆の盾となろう、さぁ国王の幻影を止めよう!」
「回復は任せてね」
ココロはレイリーを射程に収める形で立ちつつ、仲間たちの状態に気を配る。置き土産のように王の元へ行く者たちに回復を施したエクスマリアは残存兵へと立ち向かっていった。
(ガルエルより狡猾、ロウガットより苛烈、リズリットより鋭敏。恐らく、そういう手合い、だろう)
気の抜けない相手。彼へイーリンは攻撃を向けながら同時に問いかける。
「国主が倒れればこの世界も滅びるのかしら」
「さて。倒れたことがないからね」
やってみなければわからない。そう告げる王は自らの生死がかかっていると言うのにどこか他人事だ。
(ペリカ様が手も足も出なかったあたり、何かあると思うでごぜーますが……)
強さはこの数のイレギュラーズが立ち向かってまだ立っていられるのだ、分かり切ったことである。さしものペリカも敵わなかったか、とウィートラントは王へ視線を向けた。
「模した姿で一致団結……皮肉の心算でしょうか?」
「君はどう思うんだ?」
王の剣戟に身を削りながら、リースリットは彼を睨みつける。本物に似たそれは、けれどあくまで理想を『描いただけ』。
「理想の幻は必要ありませんよ」
悩み、苦しみ、そうして今を生きていく──それこそが本物だ。
「──ここか!」
ゼフィラは小競り合いをするイレギュラーズたちと敵を見てそう叫ぶ。箒を降りてついてきていたアーリアは小競り合いの中へと向かっていく。飛び抜けた魔砲が兵たちをなぎ倒していった。
「ここは倒さないからねぇ! 皆、行って!」
アーリアの声に押され、数人が玉座の間へ立ち入る。そこはすでに混戦状態だ。ラピスは派閥分け隔てなくできる限りの支援をと立ち回り、王と立ち向かっている中で余裕のない味方の側へつく。
王を討ち取ろうという気持ちはない。そんなもの誰がやったって構わない。それでも彼が血を流し、前へ立つのは。
「こんな結婚、認めたくないんだ」
視線を向けたのは王の後方、兵へ守られるように囲まれているウェディングドレスのペリカ。彼女はこの事態をただぼんやりと見つめている。普段の快活な姿はそこにない。
(愛情も絆もない結婚なんていけない)
ペリカをそんな目に合わせるわけにはいかない──ゆえに、ラピスは前へ立つのだ。
「さあ、派手に行きますわよー」
派閥のアタッカー代表、ユゥリアリアが血を流す。それはパキ、パキリと澄んだ音を立てて氷の槍を生成した。その矛先は勢いよく王へと向けられ、庇い立てた兵に突き刺さる。
「やれやれ、恐ろしい」
崩れ落ちる兵を視界の隅に王は軽く肩をすくめた。そこはすかさずランドウェラの引いた矢が飛んでいく。
「うわっ!」
「おい、陛下をお守りしろ!」
「族を倒せ! 姫を渡すな!」
王を狙えば当然兵が色めき立つ。しかしうち1人が魔弾を受けて倒れた。
「アンタ中々に気持ち悪いぞ。何かをこじらせてんのか」
兵を狙い撃ちながら声をかけたルインに王は心底意外そうな顔をした。まるで自分が気持ち悪いだなどと思っていなかった、と言いたげに。
「嫌だなあ、『人』なら誰でも結婚してみたいって思うんだろう?」
「それよりもっと楽しいことがあるよ。王様、大勢でのダンス(戦闘)は楽しくない?」
再び矢を放つランドウェラが問う。彼はまあまあかな、とランドウェラへ片目をつぶってみせた。そこへ場違いな──それでも聞き惚れずにはいられないような──切ない旋律がユゥリアリアによって紡がれる。
どこまで兵が粘っても、どこまで王の剣が優れていようと。ここまで辿り着き、増援を押さえながら向かってくるイレギュラーズには明らかな優勢があった。
「偽りの愛には、断罪を!不正義は、身を挺して糺す! それが──騎士の務めだッ!!」
銀の一閃が煌めき、王がこれ以上なく目を見開く。その首にはつぅと赤が沁みて、やがて『首』が転がった。
──20階層の踏破条件は、満たされたのだ。
「……おやすみ」
セララは転がった首に黙祷を捧げる。偽物でも友人だから。
リゲルが視線をペリカへ向けると、兵たちが自然と避けて行った。目をぱちぱち瞬かせるペリカの手をとり、リゲルは跪いて。
「お迎えに上がりました。ペリカ姫」
姫を助けた騎士は、姫の手の甲へキスをした。
ペリカにかけられた術はフロア踏破により解除されたらしい。いつのまにやら兵たちの姿もなく、ここにはペリカとイレギュラーズ、そして王の遺体のみ。ズルズルとその場へ座り込んだ彼女がイレギュラーズを見上げる──と、同時に。
「きゃっ!?」
「わぁっ!?」
突如何もなかった空間から人が出現し、地面に転がる。それは兵をひたすら倒していたメリーだったり、外で情報伝達をしていたアーリアだったり──この場にいなかったイレギュラーズが一同に会していた。
「ここは……?」
アーリアが打った膝を抑えながら辺りを見回し、イレギュラーズたちの姿に目を瞬かせる。彼女らにとっても当然のことだったらしい。
「──いやぁ、楽しかったよ!」
そんな彼らに投げかけられた明るい声に、今まで戦闘をしていた者はピシリと固まった。事態の飲み込めない者もソレを見ると同じような反応を示す。
「そんな反応をされると傷つくなあ」
「……偽物に傷つくような心があるんですか?」
絞り出すように問いかけるリースリット。彼女の言葉にソレ──王の生首は「どうだろうね?」と笑った。
「そんなに驚かないでおくれ。勝者へ道を示すことも役目なのさ」
生首になってまで果たさなくても良いんですが。とは流石に言えない。何故なら今のペリカは『探索者の鍵』を持っていないから。紛失なんてすればペリカであっても良くて国外追放かもしれない。
「君の荷物は控え室に置いてあるよ。服もあるから着替えて来ると良い」
生首の王に言われてペリカはぴょこんと立ち上がり──裾を邪魔そうにしながら締め切られていた横手の扉の先へ向かう。暫しして戻ってきた彼女はいつも通りの姿だ。
「ペリカ。ドレスは、貰っておいたらどう、だ? よく似合う、ぞ」
「あんなに重たいもの、あっても宝の持ち腐れだわさ」
ずっと家に置いておくわけにもいかないと肩を竦めるペリカ。持ち物にちゃんと探索者の鍵があることを確認し、彼女は生首の方を向いた。
「玉座の後ろに扉があるよ」
「先の階層わいね」
無駄に大きく豪奢な玉座を回り込めば、確かにあった。重たげな扉はしかし、イレギュラーズが軽く押すだけで開く。
その先に見えるは深淵、未知未踏の地。一同はさらなる冒険を求めて1歩を踏み出したのだった。
……余談だが、フォルデルマンへ20層突破を報告に行ったウィートラントが「ペリカ様が結婚したいと」と言いかけ、それを共にいたペリカの絶叫がかき消したとかなんとか。真実はその場にいた者のみぞ知る。
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
お疲れさまでした、イレギュラーズ!
この先には何が待っているのでしょうね。
それでは、またのご縁をお待ちしております。
GMコメント
●Danger!!
この階層はより『誰の名代か』が重要になります。(詳細後述)
記載ミス・忘れは作戦に影響を及ぼしますのでお気をつけ下さい。
●成功条件
いずれかの勢力が『王』の首をとること
●失敗条件
ペリカと王の結婚が成立すること
※セーブについて
幻想王家(現在はフォルデルマン)は『探索者の鍵』という果ての迷宮の攻略情報を『セーブ』し、現在階層までの転移を可能にするアイテムを持っています。これは初代の勇者王が『スターテクノクラート』と呼ばれる天才アーティファクトクリエイターに依頼して作成して貰った王家の秘宝であり、その技術は遺失級です。(但し前述の魔術師は今も存命なのですが)
セーブという要素は果ての迷宮に挑戦出来る人間が王侯貴族が認めたきちんとした人間でなければならない一つの理由にもなっています。
※名代について
フォルデルマン、レイガルテ、リーゼロッテ、ガブリエル、他果ての迷宮探索が可能な有力貴族等、そういったスポンサーの誰に助力するかをプレイング内一行目に【名前】という形式で記載して下さい。
誰の名代として参加したイレギュラーズが多かったかを果ての迷宮特設ページでカウントし続け、迷宮攻略に対しての各勢力の貢献度という形で反映予定です。展開等が変わる可能性があります。
●階層特徴
参加者が強制的に分割されました。偶然にも(もちろんメタ的事情で)名代が同じ者同士で固まっています。
つまり、
・フォルデルマン派:北門
・フィッツバルディ派:東門
・アーベントロート派:西門
・バルツァーレク派:南門
・諸勢力派:地下
上記のグループごとに攻略する事となりそうです。プレイング上で宣言がない場合、強制的に諸勢力派へ飛ばされます。
●フィールド
どこかの王城です。城の四方は城下町から草原、そして山に囲まれているようです。
城は籠城戦となっているらしく、門は固く閉じられています。城内のどこかには囚われのペリカと王がいるでしょう。
・各門
施錠されており、前では兵士たちが待ち受けています。これらを蹴散らし、門を破壊するなり開けてもらうなりして進むことが第一関門となります。
・地下
『諸勢力派』のみ地下スタートとなります。こちらは牢屋です。武器で容易に牢は破壊できますが、すぐさま兵士がなだれ込み乱戦が予想されます。これが諸勢力派の第一関門です。
脱出すると中庭に出ます。
・中庭
城内の南に位置します。とても広いです。身を隠す場所がありません。同時に広さは良好です。
草花も植えられていますが、気にしている暇はないでしょう。
・その他
場外、そして門を潜り抜けると東と西、北に高い塔が見えます。ペリカと王が昇っていたのは東の塔です。
中央に城が構えられていますが、中の構図は不明です。外見からすると幻想のようなファンタジーらしい城と想定されます。
●エネミー
・『王』フォルマン二十世
どこか幻想国王フォルデルマン三世を思わせるような外見の青年です。この国の王にして20階層の主。彼の首を取る事こそ成功条件です。
人のようでどこか人らしからぬ感覚を持っているようです。ペリカの存在も彼女との結婚式も『ちょっと興味を持ったから』程度であり、終わったらすんなり解放してくれるようです。
特殊抵抗に強く、そこそこの剣技を持っています。
・『暗殺姫』リズロット
どこかリーゼロッテ・アーベントロートに似た外見の少女。最も、リーゼロッテには敵わないレプリカ的存在です。
儚げな言動・所作に反して一撃必殺の暗殺術に長けています。【必殺】属性持ち。
・『遊楽子息』ガルエル
どこかカブリエル・ロウ・バルツァーレクに似た外見の男性です。争いごとは好まない様ですが、その分(?)策略を巡らせイレギュラーズを近づけさせないようにしてきます。城の中に罠があれば十中八九彼の仕業でしょう。
遭遇すれば真正面からの戦いを好まず、のらりくらりと逃げながらイレギュラーズを翻弄するでしょう。
・『銀狼』ロウガット
どこかレイガルテ・フォン・フィッツバルディに似た外見の男性です。城の兵士のとりまとめ役であり、自身も剣術に秀でています。攻撃力と命中に秀でており、短期決戦型です。
・有象無象の臣下たち
名もなき貴族たちです。城にいるものはいずれも闘志を燃やしており、侵入者に対して剣を向けてきます。
ひ弱ですが捨て身の一撃は気を付けるべきです。
・有象無象の兵隊たち
城に使える兵士たちです。王に陶酔しており、王の為に最期を遂げます。数が多いわりに指揮がしっかりしており、小手先の騙しは通じないでしょう。
体力バカですが、命中と回避はそこそこです。
●同行NPC
・ペリカ・ロジィーアン
タフな物理系トータルファイター……ですが、今回は囚われの身。成否に関わらず解放はされるようですが、助言等は受けられません。OP後、自由に動けないよう怪しい術を掛けられたようです。
彼女が『探索者の鍵』を持っています。
●ご挨拶
果ての迷宮3度めまして。愁です。
20階層まで辿り着きましたね。さあ、ここも頑張っていきましょう。
参加出来たらとりあえず名代をプレイングに書いておくと事故にならなくて済みます。また、各グループが出来次第【共闘】したいのか【競争】したいのか意思は固めておいた方が良いでしょう。
それではどうぞよろしくお願い致します。
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