シナリオ詳細
<絶海のアポカリプス>絶望に拳を掲げよ
完了
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オープニング
●おわりのはじまり
――人間共。『冠位』を傷付けし者共よ。その顔を見てやろう。
その小さき力を嘲り、その小さき力を僅かばかり認めて。
我が好奇と興味の的として、貴様等の姿を覚えてやろう。
絶望等と生易しい、後付けの廃滅等問題にもせぬ。我は神威。我こそ世界。
光栄に思え。たちどころの感謝に咽べ。
称えよ、竦め。許しを乞え。我が名は滅海――滅海竜リヴァイアサンなり!
大海原を爆砕して現れた、あまりにも巨大すぎる怪物。否、『滅海竜リヴァイアサン』の存在は魔種たちを倒し少なからず勝機を感じていた海洋海軍たちを一転して絶望のムードで覆してしまった。
高層ビルがうねるかのごとく巨大なその体躯は、ただ動作するだけで荒波を引き起こし船を転覆させてしまうだろう。未知の力によって守られた鱗はいかなる攻撃も弾いてしまうだろう。
言うなればそれは、『物理的な絶望』であった。
「た――」
味方の船が次々と転覆するさまに、そして天を突くがごとくふり上がった巨大な頭を前に愕然としかできなかった海軍船長は震える顎でなんとか叫んだ。
「退避ィ!」
きわめて簡潔な命令だが、なにより正しい判断だった。これだけの敵を相手にできることは退避をおいて他にない。
転覆した船から離脱した兵士たちが素早く泳いでは船へと無事な這い上がり、時には瀕死の重傷を負った者や意識の戻らぬ者がデッキへと寝かされる。
まるで地獄のような風景だが、まだそれは地獄の入り口に過ぎなかった。
●みんな一緒になれる、最後のチャンス
マリー・クラーク。別名『流氷のマリア』には夢があった。
素敵な素敵な兄弟達と自分が対等に笑い合い、まるでふつうの家族のようにひとつのテーブルについてシャイネンナハトを祝う風景である。
最高の夢。最高の宝物。それをきっとかなえてくれるのは、誰にでも垣根なく触れて、人の心を溶かしていく。
私の一番の宝物。
誰もがきっと、あなたになりたかった。
マリーは嫉妬の根源を知っていた。妬ましさとは、つまり――。
「ねえ、デイジー。私はあなたになりたかったわ」
だから。
いまこそ。
「壊れて崩れて溶けて混ざって、みんなひとつになりましょう」
マリーはリヴァイアサンの胴体の上に立つと、両手を広げて高く天へ掲げた。
まるで彼女の指揮に応じるオーケストラの如く、海面へ無数の氷の山がつき上がり、海軍たちの逃げ道を阻んでいく。
氷の山から再現なく生えていずる氷の人型モンスター『アイスガーディアン』たち。
船が氷山にぶつかったことで強制的に停止させられた海軍混成部隊デリンジャー少尉は顔面蒼白のまま武器をとり、海豹艦隊アシカ副長はデッキに転がった負傷兵たちを庇うように立ち塞がった。
水上バイクを船のそばにとめ、ゴーグルをあげて舌打ちする海軍将校ユーナバー。
「チッ、なんだこりゃあ。ここが俺らの墓場だってのか?」
「いいえまだです。まだ死んでたまるものですか。氷山の隙間を抜ける形でなんとか船を通せます。まずはせめて負傷兵だけでも退避させなくては!」
「あの『アイスガーディアン』を見ろ。ホテルのボーイみたいに通してくれると思うか? お荷物お持ちしましょうかって?」
アイスガーディアンたちの腕が剣やハンマーや大砲へと変わる中、まだ無事な海軍兵士たちがそれぞれの武器をかまえて挑みかかる。
なかの一人が、あなたへ――イレギュラーズへと振り返る。
「この場を突破するにはあなたの力が必要です。アイスガーディアンを倒すのでもいい、襲われる負傷兵を守るのでもいい。とにかく、ここを我らの墓場にするわけにはいきません!」
- <絶海のアポカリプス>絶望に拳を掲げよ完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別ラリー
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2020年06月13日 21時03分
- 章数5章
- 総採用数386人
- 参加費50RC
第1章
第1章 第1節
「では、参るでござる」
窮地。混乱。
誰もが動きに躊躇するなか、『みねうちでござる!』観音打 至東(p3p008495)は誰よりも早く動き出した。
船のデッキを走り手すりを飛び越え、氷山要塞のひとつへ着地。腕を剣に変え振り上げたアイスガーディアンへ一気に距離をつめると逆袈裟斬りにした。
「まずは戦わねば活路は開けぬでござる。強めにあたって後は流れで上手くやるでござるよー」
反撃に繰り出された剣を刀で受け、受け切れない分が自らの肩をえぐるように斬るが致命傷を受けぬように素早く飛び退いた。
フウ、と息をついて振り返る。
後に続け。彼女の目はそう述べているようにみえた。
海軍たちも頷き、そして相談や連携もそこそこに、アイスガーディアンへと攻撃を開始した。
成否
成功
第1章 第2節
一気呵成にアイスガーディアンへ攻撃をしかける海兵たち。
ただでさえ負傷者の多いデッキだが、守備を固めている暇はなさそうだった。
そんな隙をつくかのようにデッキへと侵入してくるアイスガーディアン。
「う……」
振り上げられる剣。
身体に血塗れの包帯をまいた海兵が歯がみしながらそれを見た――次の瞬間。海兵の視界は唐突に暗くなった。
細めた目を開き、その姿を見よ。
伝説にまでなったその姿を。
「たいやき……『光輝のたいやき』ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)か!」
「まぁ、とりあえずできる限りは、ですね」
ベークは海兵を一瞥すると、激しい連続攻撃を仕掛けてくるアイスガーディアンの攻撃をことごとく防御。いや、防御どころか相手の刃をへし折る勢いであった。
「……流氷のマリア、これでラストダンスにしましょう!!」
成否
成功
第1章 第3節
「敵はこちらの攻撃に対応できてないようでござるな……」
「僕を集中攻撃してる時点で、そうでしょうね。
この固体、数は出せるけど知能は低く、知識も蓄積していないようです。まずは一気にいくのが得策かもしれませんね」
氷山から次々と沸いて出るアイスガーディアンたち。
この全てを撃滅するのは難しいが、しかし個体ごとは倒せない敵ではないようだ。
海兵の一人が銃を連射しながら下がってくる。
「足止めするにゃあ頭数を揃えるのがイチバンだ。敵さんもそれを分かってんだろうよ」
「なら……」
「然様。負傷した味方を守りつつ、一気に突破するでござる!」
第1章 第4節
腕を砲台に変えたアイスガーディアンが、気休めにもならないライフル一丁でデッキに固まる負傷兵たちに狙いをつけた。
これまでかと目を瞑る負傷兵たちにむけ、砲撃が鳴り響く。
が。
「我々の絶望を捲るのは構わないが、先の頁を記さねば劇的は失せると知るが好い――Nyahahahaha!!!」
間にぬらりと割り込んだ『にんげん』オラボナ=ヒールド=テゴス(p3p000569)が砲撃を防御。いや、直撃したにもかかわらず、まるで蚊に刺された程度にも感じないかのようにからからと笑った。
その堂々たる様子に、アイスガーディアンは半歩ひきつつも砲撃を続行。
「貴様の殺すべき肉壁は此処に存在する。貴様の牙を無き心臓。無き脳髄に突き立てて魅せろ。寄越せ。総てを抱いてやる」
対するオラボナは笑いながらずんずんと距離をつめ、発狂したかのように乱射するアイスガーディアンの砲撃を自らの腹で受け続けた。
「ふむ、その程度の知能でも『恐怖』するか……」
超☆魔王戦艦(フーリエガレオン)のデッキに負傷兵をあつめ腕組みする『超☆宇宙魔王』フーリエ=ゼノバルディア(p3p008339)。
「なに? 船の名前が違う? 気にするでない!」
トウ! と叫んで跳躍。不定形マントを翻すと、腕に巻き付け禍々しい大砲へと変化させた。
(リヴァイアサンにかなりやられたとはいえ、残存艦隊はまだ大勢残っておる。
これを生かしておくことで後々必ず力になるはずじゃ。
とにかく彼らの撤退を援護するためにアイスガーディアンどもをしこたま倒しまくるのじゃ)
「邪魔をするでない木偶どもッ! 余らの往く道を妨げるならば一切合切消え失せいッ!!!」
大砲から放たれたフーリエキャノンがアイスガーディアンへと直撃。胸を貫き、激しい爆発によって撃滅した。
成否
成功
第1章 第5節
「クソッ、何だよ、何なんだよアレは…!? 鉄帝で戦った『歯車大聖堂』がまるでミジンコのように思えてくる暴力的なデカさじゃねえか…!?
あんなのを倒せって言うのか……普通なら無理無茶無策に無謀を上乗せするようなもんだが、そんな悠長なことは言ってられない、な!」
決戦の疲れを船のデッキで癒やしていた『雷剛閃斬』紫電・弍式・アレンツァー(p3p005453)を突如襲ったリヴァイアサンの出現。
晴天にふる雨に手をかざしならがも、アレンツァーはキッとアイスガーディアンたちをにらんだ。
「倒す倒さないは今は置いておくしかねえ。まずは負傷兵を逃がす!」
構え。
抜刀。
疾走。
斬撃。
駆け抜け。
反転。
連撃。
連撃。
連撃。
四十交差。
ここまでわずか三秒のことである。
刀を振り抜いたアレンツァーの背後でアイスガーディアンがガラガラと崩れ落ちていく。
「続け、ここで勝てなきゃどのみちローレットも海洋も全滅(ゲームオーバー)だぞ!」
「それは、わかってるけど……」
『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)はリヴァイアサンと無数の氷山を交互に見たのち、覚悟をきめたかのように槍を握り混んだ。
「……うん! あの大きな鰻をやっつけるためにも、まずはここを切り抜けて近づかないとね!」
腕を剣にしたアイスガーディアンが一斉に飛びかかり、左右正面それぞれから同時に斬撃を繰り出そうとする。対する焔は槍で地面をギャリッと削ると孤月を描き激しい炎の柱を立てた。
炎に飲まれ、咄嗟に防御の姿勢をとるアイスガーディアンたち。
その時既に飛び退いていた焔にかわり、『大いなる者』デイジー・リトルリトル・クラーク(p3p000370)の突き出した指から魔光閃熱波が連射。
三本の青白い光がアイスガーディアンたちを貫き、そして内側から爆発させた。
「ううむ……」
もやもやと回想するデイジー。
『やったか!?
この火力であればさしものきゃつも助かるまい……くーっふっふっふ!!』
沈みゆく氷山要塞を背に、たいやきを浮き具がわりにして高笑いしていた思い出がよみがえる。
「あれがいけなかったのかのう? というかあいつマジしつこいのマリー、いやさ流氷のマリアじゃったか。
とりあえずなんかデカいウミヘビに乗って妾より高いところにおるとか頭が高くない?
これはちと立場というものをわからせてやる必要があるのう」
「そのためには」
「うむ」
槍による突撃で新たにアイスガーディアンを撃滅していた焔が振り返る。
デイジーはそれに頷き、わずかに開いた隙間から船を通らせ始めた。
「負傷兵はとにかく撤退! バチバチに殴り合ったら無事じゃすまないもんね!」
成否
成功
第1章 第6節
「あんのクソガキ……!」
ダンッと氷の地面を踏みつける『永遠のキス』雨宮 利香(p3p001254)。
「彼女には借りがあるのよ、相変わらずしょうもない玩具ばかり召喚して。でもここで無理に動く気にはならないわ」
伊達に百戦錬磨ではない。
戦い方は心得ている。
生き残り方も知っている。
「――『命を使うべき場所はここじゃない』」
利香は剣を握り混むと、いまだ困惑する海兵たちへと呼びかけた。
「いいですか、ここには私達がいるんですよ! 怯える事はありません!」
「し、しかし……」
「嘘だと言うならあれを見てください!」
指さす先では、『狐です』長月・イナリ(p3p008096)と『Ultima vampire』Erstine・Winstein(p3p007325)が負傷兵たちの船へ侵入しようとしているアイスガーディアンの群れと戦っていた。
「さてと……この血路、強引にでもこじ開けさせてもらうわ!」
抜くは贋作・天叢雲剣。自らに迦具土神をインストールすると、燃え上がる剣を天空に掲げた。
炎が膨らみ、巨大な剣となる。
こんなものでなぎ払われればたとえアイスガーディアンの群れといえど無事ではすまないだろう。
本能的にか防御の構えをとり味方を庇いはじめる盾持ちのアイスガーディアン――のすぐ横を、Erstineが美しいステップを踏んで通り抜けた。
奪われる意識。
魅せられる魂。
(嫉妬、ね……私も嘗ての世界で患っていた事もあった。
だからどうしたわけでもない、所詮そういうもの。
けれど抗うからこそ、私である事を知った。だから……)
その一瞬の油断をつくように、Erstineはアイスガーディアンの周囲をぐるりと踊るように巡ると、無数の打撃を与えて後飛び退いた。
ががらがと砕け散るアイスガーディアン。
盾役を失ったことで慌てたアイスガーディアンたちに、イナリの剣が思い切りたたき込まれた。
「私は、破滅に抗うの!」
デッキへと一端戻り、降り注ぐ潮の雨に前髪をぬぐう。
「リヴァイアサン……なんて凄まじい……。
でも狼狽えてる余裕なんてないわ
ここからが正念場…さぁ攻めていくわよ!」
彼女たちの戦いぶりは、リヴァイアサンの圧倒的な存在感に気圧されていた海兵立ちの気持ちを奮い立たせるに充分だった。
その気持ちを引っ張るように声を上げ続ける利香。
「戦える人は食い止めてください、動ける人は怪我人を安全な場所へ!」
「わ……わかった」
「俺に出来ることはないか」
「新兵なんですが役に立てますか」
「この戦いに『役立たず』はいません。必要なのは、戦う意思のみ!」
成否
成功
第1章 第7節
あまりにも巨大な存在が海上へ現れたことによる荒波はいまだ収まる様子はない。
一部の船は氷山に乗り上げ、深く損傷しているようだ。
一方で舞い上がった水滴は一端収まりをみせ、『情報食い』アエク(p3p008220)は記録媒体を懐へしまった。
「リヴァイアサン。ああ、随分大きな躰だ。記録をせねばならない。ああ、目の前のものは嫉妬か。……これもまた、記録をせねばならない。
新たな世界を刻みにいく特異運命座標等を、僅ながらでも支援すならば、我とて動かん」
アエクのやるべきことはひとつ。
氷山にのりあげ転倒してしまった船……もといその船員たちを手当し、少しでも戦えるように維持することである。
「溶けて、混ざってひとつになった本は乱丁だ。そんなものは腹を満たす『もつ』にもならない。あわれなことだ」
アエクは負傷兵に手を当て、怪我や凍傷を治癒していく。
その横で、『魔剣鍛冶師』天目 錬(p3p008364)は損傷した船の具合を素早く観察していた。
「……どうだ?」
「今すぐ『元通り』にするのは不可能だな。ドックへおさめて何日もかけてやっと治るってところだろう」
そこまで言ってから、錬はにやりと笑った。
「あくまで『元通り』なら、な」
彼の言い方にハッとする海兵。
「詰んでいた兵器やらなんやらを集めろ。突貫工事だが進めるようにしてやる。この氷上を無理矢理滑る形になるだろうがな」
錬は道具を取り出すと、船の改造を始めた。
「お前たちも、こんな横やりの一息で終わりだなんて認めたくはないだろ?」
彼らの行動をめざとく見つけたアイスガーディアンたち。
腕を軽機関銃のように変形させると、修理中の船めがけて乱射をはじめた。
はじけるスパーク。
鳴り響くひとつなぎの銃声。
しかし突風のように割り込んだ『二律背反』カナメ(p3p007960)が、船へ飛ぶ弾丸を横から刀で次々と打ち落とし、最後の一発をその刀身でばっさりと切断した。
氷でできた弾丸が彼女の足下に落ち、ぱかんと二つに割れる。
「大丈夫、気にしないで!カナはこういうの慣……大好きだから♪」
船へ振り返り、ビッと刀を持った親指を立てるカナメ。
そしてアイスガーディアンへ振り返ると、口元を甲でぬぐった。
(ケガした人たちを守ればこっちに攻撃が来て……うぇへへ、あ、それいいかも……!)
兵士たちの目には勇敢にも自分たちを守ってくれる英雄が見えているが、敵からはねじくれきったドMが見えていた。
「まだまだ終わってないよ! さ、もっと頑張っていうよ! 骨が見えてからが本番でしょ!」
カモンカモン! と叫びながら反復横跳びする変態を前に、アイスガーディアンが若干引いた。
窮地に変態性が勝った瞬間である。
……と、いうのは一端おいおいて。
「よう、そこの寒そうなボーイさんよ、ちょいと運動して温まっていってくれよ」
『月下』シレオ・ラウルス(p3p004281)は青竜刀を取り出すと、アイスガーディアンたちの間を流れる小川のように駆け抜け、そしてくるりと反転。
「温かすぎて溶けちまうかもな?」
突きつけた剣を見て襲いかかろうとしたアイスガーディアン……たちの腕が一本ずつ落下した。
駆け抜ける際に、いつのまにか切り落としていたのだ。
(大怪獣総決戦の次はまた大怪獣か! こりゃあテンション上が……っちゃあだめだ。俺はおっさん。年相応。冷静にいこう)
脳内で何かの葛藤と戦ってから、前髪を指でちょんとかきあげる。
「さ、次はどいつだ?」
成否
成功
第1章 第8節
次々と生まれるアイスガーディアン。
行く手を塞ぐ氷山の列。
船一隻がやっと通れるだけの道をあけ、負傷兵をのせた船が漕ぎ出していく。
一方でアイスガーディアンたちはそれをよしとせず、逃げる船へと群がっていった。
直接デッキに乗り込み負傷兵を抹殺すればよい。そう考えたのだろう。
だがその認識は甘いと言わざるを得ない。
もし『このこと』知っていたなら、不用意に乗り込みなどしなかっただろう。
船に『聖剣騎士団』のエンブレムが輝いていたことを。
「「我ら聖剣騎士団! 滅びの運命を覆す光とならん!」
ひとつに揃った声。
「聖剣騎士団団長、ラグナロクのセララ参上! ボク達が皆の希望になる!」
船室から飛び出した一筋の光がアイスガーディアン複数体を一気に爆砕。聖剣ラグナロクを突き出した姿勢で『魔法騎士』セララ(p3p000273)が船首に立った。
「炎神の弓の如く。『ガーンデーヴァ』ユーリエ・シュトラール、推参。
皆さんの力になる矢として、全力で行かせていただきます!」
船のうえに現れたユーリエが天をかき混ぜるように手をかざし、意思の力を衝撃の渦へとかえていく。
「その氷を炎で溶かす――! 破壊しろ……ガーンデーヴァ!」
アイスガーディアンが防御姿勢をとるも無意味。防御の上から無理矢理肉体を粉砕し、残った部位も船外へと放り出してしまった。
「天剣『スコフニュング』こと、リディア・T・レオンハート――推参です!」
新たなアイスガーディアンが次々に発生。
生えたそばから抜く雑草のごとく、『慈愛の英雄』ユーリエ・シュトラール(p3p001160)は氷上へと着地。
地面へ突き立てた剣を抜いた。
「要は、速攻! 全力全開の力技で押し通ります!」
襲いかかるアイスガーディアンを右へ左へかわしつつ、斬撃によって腕や足を切り落としていく。
その隣へ、『メイドロボ騎士』メートヒェン・メヒャーニク(p3p000917)が着地と同時にアイスガーディアンを蹴り倒し、膝をあげるガード姿勢で増援を迎え撃った。
「『村雨』メートヒェン・メヒャーニク。名に恥じないような働きをさせてもらうよ」
マシンガンのように打ち込まれる氷の弾丸。
メートヒェンは足を鞭のようにしならせ連続蹴りを繰り出すと、飛来する弾を全て蹴り返した。
「聖剣『ガラティーン』リゲル=アークライト(p3p000442)、参上しました。
この聖なる剣は、人々の為に、平和の為に振るうもの。
そしてこの身は人々の盾となる!」
加わったリゲルは開幕から剣に銀の光をあふれさせ横一文字斬り。アイスガーディアンを一度に三体まとめて真っ二つにした。
「道を切り開かせてもらう!
この海は、貴方(リヴァイアサン)だけのものではないぞ!」
「業火成す巨雄の宝剣『マルミアドワーズ』、アルテミア・フィルティス……抜剣!」
更に飛び出したアルテミアがアイスガーディアンを次々に切り裂き、燃え上がらせていく。
「アルバニアを仕留め損なったと思ったら、まさか竜種が現れるなんてねっ。
諦めるつもりは無いけれど、今は兎に角体勢を立て直す為に退路の確保が必要だわ
邪魔をするというのなら、斬り捨てて押し通るまでよ!!」
「聖剣騎士団が一席、破壊齎す稲妻『ウコンバサラ』! セララだんちょーに続けー!!!」
うおーと叫んで船から飛び上がった『蛮族令嬢』長谷部 朋子(p3p008321)。とんでもないハンマーを大上段に振り上げると、着地と同時にアイスガーディアンへ叩きつけた。
腕を盾形態にしてうけとめるアイスガーディアン。
だが朋子はかまうもんかとばかりに連続アタック。
「まだ無事な艦隊を生かして帰すことが今出来る最大限!
そのためにも……お前は邪魔だぁあああああ!!!」
防御する盾を少しずつだが確実に粉砕していく。
そんな彼女を追い払おうと別のアイスガーディアンたちが攻撃をしかけるが……。
「悪いね。そういう『小手先』が通じる練度じゃあないんだ。僕たちは」
『祖なる現身』八田 悠(p3p000687)が手をかざし、自らの周囲にめぐるあらゆる事象と常識を吸収、変換、強制的にねじ曲げることで仲間のダメージを反転させていく。
「あ、偶には団長に合わせて決め台詞も悪くはないね。
――生死輪廻の杖、ケーリュケイオン。出るよ」
本領発揮だ、とささやいて自らの適用領域を限定拡大。
彼女の周囲に集まり陣形を組んだ聖剣騎士団がそれぞれの武器を構えると、そこへ巨大なアイスガーディアンが姿を見せた。
強敵の出現?
否、聖剣騎士団の積み上げてきた百戦錬磨の連携プレイの前には敵ではなかった。
悠によって強化されたセララ、リディア、アルテミア、リゲルの斬撃が同時に走り――ユーリエの放つ衝撃と朋子の繰り出すハンマーアタック。そしてメートヒェンのスターゲイザーキックが炸裂し、巨大アイスガーディアンをたちまちのうちに破壊した。
がらがらと崩れていくアイスガーディアン。
聖剣騎士団に守られた負傷兵たちの船は通り過ぎ、比較的安全な場所へと逃げていく。
「なんとか守れたね」
「ですが、リヴァイアサンの脅威は見過ごせません」
「うーん……一発やっちゃおっか」
ぱちくりとまばたきをして、セララが言った。
一斉にセララの顔を見るユーリエたち。
だが、『なんか言いそうだな』とは思っていたようで、皆くすりと笑った。
「確かに、やられてばかりは面白くないね」
悠が再び身構え、陣形をとりなおす。
彼女こそが陣形の中心。継戦のかなめである。
そして剣のゆくさきを決めるのは――。
「聖剣騎士団、一斉攻撃! 目標、でっかい海蛇!」
専用の船を反転させ、突き進む聖剣騎士団。
空が暗くなるほどに巨大なリヴァイアサンの胴体が眼前に迫り、彼女たちは一斉に飛び出した。
「いっくよー、セララスペシャル!」
「打ち抜け、ガーンデーヴァ!」
「――凍星、絶対零度!」
「――焔纏・乱裂き」
突き刺さるセララの剣。燃えさかるユーリエの魔法。リゲルとアルテミアの剣が十字に走り、リディアの剣がさらなる交差を刻む。
「え、え、これって必殺技叫ぶパターン何ですか!?」
「ネアンデルタール☆くらっしゅ!」
じゃんぷからの力任せのハンマーを繰り出す朋子。
「あっずるい今作りましたねそれ!」
「まあなんでもいいじゃないか……メイド式ライジングストライク」
「ちゃっかりしてるなあ」
打ち込まれたハンマーを更にめり込ませるべく蹴りをたたき込むメートヒェン。
悠がそれを微笑ましく眺めたところで……重大なことに気づき、目を細めた。
「そう、か。これが……」
ローレットでもトップランカーと目されるような面々が集い仕掛けた集中攻撃。
常人であれば何度も死んでいておかしくないような猛攻に対して。
リヴァイアサンは。
強固な鱗のたった一枚を、わずかに割ったのみであった。
「リヴァイアサン、か」
成否
成功
GMコメント
このシナリオはラリーシナリオです
戦果に応じて『リヴァイアサンの胴体』を部位破壊できることがあります
■グループタグ
誰かと一緒に参加したい場合はプレイングの一行目に【】で囲んだグループ名と人数を記載してください。所属タグと同列でOKです。(人数を記載するのは、人数が揃わないうちに描写が完了してしまうのを防ぐためです)
このタグによってサーチするので、逆にキャラIDや名前を書いてもはぐれてしまうおそれがあります。ご注意ください。
例:【鮫殴り同好会】9名
■章概要
第二章以降で状況が異なる場合がありますので、章の頭に公開される章概要をご参照ください。
・第一章の概要
リヴァイアサンの出現によって海洋海軍は壊滅的被害を受け、撤退を余儀なくされました。
しかし退路を魔種『流氷のマリア』によって絶たれ、絶体絶命の窮地に追い込まれてしまいました。
皆さんの力を駆使してこの状況を突破し、負傷兵たちの退路を確保しましょう。
・タグ概要
プレイングの冒頭に自分の役割を示したタグを記載してください。
【アタッカー】
アイスガーディアンを攻撃し破壊します
【タンク】【ヒーラー】
負傷した海兵を庇ったり治療します。
守られた海兵が多ければ多いほど突破のための戦力になるでしょう。
【コマンダー】
海兵たちをまとめて元気づけたり指揮したり、強化したりして送り出しましょう。
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●重要な備考
このラリーシナリオの期間は『時間切れ』になるまでです。(時間切れとはアルバニアの権能復活を指します)
皆さんはどのシナリオにも、同時に何度でも挑戦することが出来ます。
●Danger!
当シナリオにはパンドラ残量に拠らない死亡判定が有り得ます。
予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。
※他の<絶海のアポカリプス>シナリオに比べれば可能性は低めです。
●情報精度
このシナリオの情報精度はEです。
無いよりはマシな情報です。グッドラック。
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