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シナリオ詳細

<シトリンクォーツ2019>マーキュライトバケーション
<シトリンクォーツ2019>マーキュライトバケーション

完了

参加者 : 35 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●シトリンクォーツ
 春一番が過ぎ去って、穏やかな陽気に移り変わっていった頃。
 ローレットの中では深緑育ちの『黒耀の夢』リリィ=クロハネ(p3n000023)と『星翡翠』ラーシア・フェリル(p3n000012)が、イレギュラーズを交えて雑談に華を咲かせていた。
「そうそう、シトリンクォーツを知っていますか?」
「あら、そういえばそんな時期かしらね」
 ラーシアの問いかけにリリィが嬉しそうに笑う。はて、なんぞや? とイレギュラーズが首を傾げると、ラーシアはシトリンクォーツが始まるのだと教えてくれた。
「シトリンクォーツって宝石の名前なのですけどこの時期に混沌世界に咲く黄色い花に由来しているんですよ。
 その花が咲く頃に豊穣とこの一年の幸福を祈って勤労に感謝する一週間があるんです」
「それが、そろそろ来るってことね。
 そうだわ! 特異運命座標ちゃん達もいっぱい仕事してるし、日頃の勤労に感謝して旅行に行くのはどうかしら?」
 イレギュラーズの中にはまるで『ゴールデンウィーク』と『勤労感謝の日』が混ざったようなものと思う人もいるかもしれない。
 そういうことであればリリィの提案は素直に考えてみたいところだが、さて、どこにいこうか?
 旅行先であればこの混沌、いくつも国があるだろう。どの国も特色があるし、何処へ行っても楽しそうだと思うが――
 そういえば、とイレギュラーズは目の前の二人を見る。
 ハーモニアである二人の出身は当然深緑だ。花が由来になったというのであれば深緑にそれらしい場所はあるのだろうか?
「深緑ですか? そうですねぇ……」
 尋ねるとラーシアが小首を傾げて思案する。そして一つ思い当たったのか小気味良く手を合わせた。
「マーキュライト公園はどうでしょうか」
「おぉ~、そういえば在ったわね。打って付けの場所が」
 リリィは私は言ったことがないけれど、と付け加えるが、それなりに有名な場所のようだ。
「深緑東部の開けた場所に、結構な広さの段々畑があるんです。
 そこを公園として整備していて、季節に合わせた草花が咲いているんですよ」
「一日じゃ回りきれないほどの広さよね。アスレチックや、フードコートなんかも用意されていてアトラクションのない遊園地みたいなものね。
 近くにはペンションとかもあるから、お泊まりもオッケーよ」
 深緑が誇る花畑となれば、その光景は想像するだに壮観だろう。雑踏から離れた静かな公園で自然に囲まれて過ごす優雅な休日になるに違いない。
「ふふ、久々に行ってみたくなりました。
 おすすめは、段々畑の一番上から見る夕日ですよ。ファルカウがオレンジ色に輝いて綺麗なんです」
「あら、素敵ね。
 これは、行く? 行っちゃう? 行くしかないわよね!!」
 完全にお出かけモードに入ったリリィが手早くスケジュールを纏め始めている。
 まあ、せっかく休暇がもらえるというのだ、誘いに乗って行ってみるのも良いかもしれない。
 他の国のことも気になるが、それは友人知人と相談の上……というところか。
 すでに出発前日みたいなテンションになってる二人に呆れつつ、イレギュラーズは頭の中で旅行に必要なものを考え始めるのだった。

GMコメント

 こんにちは。澤見夜行(さわみ・やこう)です。
 ついこの間お花見をやった気がしますが、深緑は一年中お花見ができます。
 そんなわけで花畑でのんびり休暇と行きましょう。

●シトリンクォーツ2019について
 この依頼では『深緑』に旅行に行きます。
 他の国の依頼も出ていますので、気になる方はチェックしましょう。

●マーキュライト公園について
 段々畑になった一面花畑の公園です。
 深緑がお金を掛けて整備しているので、公園内は大変綺麗です。
 時期の花から珍しい草木まで、とにかく自然がいっぱいです。
 アスレチックやフードコートもあるので、のんびりから活動的なものまで自由に楽しめるでしょう。
 宿泊も出来ますので、公園で購入できる夜光花を手にお泊まり会を開いてもよいかも知れませんね。

●出来る事
 マーキュライト公園及び併設されたペンションが活動場所になります。
 公園内、及びペンション周辺で出来ることは大抵のことができるでしょう。
 一人で参加される方も、二人以上で参加される方も以下のシチュエーションを選択してください。

 【1】公園散策
 公園を散策します。
 段々畑の花を楽しむ、アスレチックで遊ぶ、フードコートで大食い競争など、公園内でなにかする人はこちらをお選びください。
 シトリンクォーツも当然一杯咲いています。
 知らない、珍しい、わけがわからない草花でもそれっぽく描写します。

 【2】ペンションでゆっくり
 併設されたペンションでゆっくりします。
 お泊まり会や引きこもりはこちらへ。
 殺人事件は起こらないはずです。

 【3】その他
 マーキュライト公園周辺で出来る事は何でも出来ます。
 迷惑にならないように気をつけましょう。

●書式
 書式運用しています。
 出来るだけ沿うようにプレイングを記載ください。

 一行目:上記出来ることから【番号】または内容
 二行目:同行PCやグループタグを記載ください。NPCにご用命ならばこちらに。完全単独もこちらに記載ください。
 三行目以降:自由記載

●NPC
 リリィ=クロハネ、ラーシア・フェリル、ルーニャ・エルテーシアの他、ステータスシートのあるNPCは『ざんげ』以外、呼べば出てくる可能性があります。
 リリィとラーシアは仲良くお散歩です。ルーニャはフードコートの全メニュー制覇を狙っています。
 幻想アイドルすぴかちゃんもこの期間は休暇を楽しめるようですよ。

●その他
 ・可能な限り描写はがんばりますが描写量が少ない場合もあります。その点ご了承ください。
 ・同行者がいる場合、書式に従ってグループ名の記載をして頂く事で迷子防止に繋がります。
 ・単独参加の場合、他の方との掛け合いが発生する場合があります。
 ・白紙やオープニングに沿わないプレイング、他の参加者に迷惑をかけたり不快にさせる行動等、問題がある場合は描写致しません。
 ・アドリブNGという方はその旨プレイングに記載して頂けると助かります。

 皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしています。
 宜しくお願いいたします。

  • <シトリンクォーツ2019>マーキュライトバケーション完了
  • GM名澤見夜行
  • 種別イベントシナリオ
  • 難易度VERYEASY
  • 冒険終了日時2019年05月16日 22時30分
  • 参加人数 35/∞人
  • 相談7日
  • 参加費50RC

参加者 : 35 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(35人)

エーリカ・マルトリッツ(p3p000117)
夜鷹
クロバ=ザ=ホロウメア(p3p000145)
黒のガンブレイダー
ポテト チップ(p3p000294)
優心の恩寵
シャルレィス・スクァリオ(p3p000332)
疾風蒼嵐
レイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)
死を呼ぶドクター
シグ・ローデッド(p3p000483)
『知識』の魔剣
善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)
レジーナ・カームバンクル
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク
ジルーシャ・グレイ(p3p002246)
ヘリオトロープの黄昏
セティア・レイス(p3p002263)
妖精騎士
鬼桜 雪之丞(p3p002312)
守護天鬼
アニー・メルヴィル(p3p002602)
お花屋さん
リディア・ヴァイス・フォーマルハウト(p3p003581)
木漏れ日の妖精
ミディーセラ・ドナム・ゾーンブルク(p3p003593)
キールで乾杯
藤野 蛍(p3p003861)
学級委員の方
ノースポール(p3p004381)
白金のひとつ星
アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯
桜咲 珠緒(p3p004426)
要救護者
アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)
希望の蒼穹
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
ジェック(p3p004755)
ガスマスクガール
リア・クォーツ(p3p004937)
旋律を知る者
新田 寛治(p3p005073)
ファンドマネージャ
クリスティアン=リクセト=エードルンド(p3p005082)
煌めきの王子
津久見・弥恵(p3p005208)
嫣然の舞姫
御天道・タント(p3p006204)
きらめけ!ぼくらの
リナリナ(p3p006258)
やせいばくだん
白薊 小夜(p3p006668)
死角無し
フィーネ・ヴィユノーク・シュネーブラウ(p3p006734)
ニーナ・ヘルヘイム(p3p006782)
Spica's Satellite
アルメリア・イーグルトン(p3p006810)
絵本の外の大冒険
ヨシト・エイツ(p3p006813)
いいひと
フラン・ヴィラネル(p3p006816)
繋ぐ命
ソア(p3p007025)
トラージャーハンター
ビーナス・プロテウス(p3p007066)
渇愛の邪王竜

リプレイ

●マーキュライト公園
 甘く爽やかな花草の香りが、胸一杯に満たされていく。
 風に揺れる花びら達が耳に心地良い葉擦れの音を響かせて、訪れたイレギュラーズに穏やかな休暇の始まりを告げた。
 マーキュライト公園。
 目に映り込む極彩色の花畑が、まるでその身を包み込むように一面に広がって。
 きっと訪れた誰もが、心に平穏を得られるのだと、そう思った。


「わぁ! 見て見てアニーちゃん! 色んなお花がいっぱいだよ!」
 駆け出した焔が花畑の中でくるくる回る。
「ほんと……まるでお花の絨毯ね!」
 深呼吸をして故郷の空気を感じたアニーは、はしゃぐ焔に目を細め微笑みを浮かべる。
 仲良しの二人は揃ってピクニックだ。
 見知った花も、見知らぬ花も。どれを見ても日常とは異なる顔を見せて、それがとても新鮮で。
「こんな風にお花に囲まれたところでお弁当を食べたらきっとすっごく美味しく感じるよね!」
「私も張り切ってお弁当作ってきたの! いーっぱい食べてね!」
 二人は用意したお弁当を見せ合う。上手に出来てるアニーのお弁当、少し失敗してしまった焔のお弁当。
「焔ちゃんは見た目を気にしてるの? 大丈夫! だってこんなに美味しい!」
 アニーは一つおかずを口にして微笑みを見せた。そんなアニーに焔も微笑んで、
「今度一緒にお料理とかもしてみたいな!」
「うん、一緒に作ろう!」
 と、約束を結ぶのだった。


 ポテトと雪之丞。
 依頼以外ではあまり話す機会のなかった二人は、この機会に距離を縮めようと花畑の中を歩いていた。
「拙は、あまり花には詳しくありませんが、ポテト様は、植物にお詳しいのでしたか」
 足下に咲く花を見ながら雪之丞が問いかける。
「一応、知識の上でだけは……」
 その知識も元の世界のもので、この混沌でどこまで通用するかと、苦笑を浮かべる。
 それに――と言葉を続けて、「知識がなくても花を綺麗と思うのに関係ないから大丈夫だ」と花畑にしゃがみ込んだ。
 花を摘み編んでいくポテトの様子を興味深げに眺める雪之丞は、不意に差し出された花冠に目を見開いた。
「――こういう知識はあると便利かもしれない
 うん、雪之丞は黄色と白も似合うな」
「――少々照れてしまいますね」
 受け取った花冠を頭に乗せて、なればお返しをと、雪之丞はポテトに倣いながら初めての花冠作りに没頭していくのだった。
「修行だよー!」
 まだまだイレギュラーズ新米なフランとアルメリアの二人は、公園に設置されたアスレチックに挑戦だ。
「この蟻地獄斜面の角度が急すぎだよ……!」
「ちょっと、この吊り橋間隔空きすぎじゃ……!」
 落ちて、転がり、水濡れて。過酷なアスレチックを前に二人は悲鳴をあげる。
 互いに回復スキルを掛け合う様は、まるでそっちの修行のようで。
 それでも頑張ってコースの最後まで辿り着くと、そこには聳える大壁が待っていた。
「……塔? こ、これ、崖登りの技術がいるんじゃないの?」
「でもここまできたらやるしかない、がんばろ!」「やるの!? 頑張って何とかなるの!?」
 わずかな凹凸にしがみつきながら登っていく。が、フィジカル的に厳しいアルメリアが遂に悲鳴を上げて落っこちる。
「アルちゃん――あーー!!」
 思わずギフトで助けようとしたフランだったが、アルメリアを支えきれず、二人は花畑の中へ揃って落ちていった。
 思わず笑みが零れた。
 そんな二人の側で、クリスティアンが最後の壁へと挑戦する気合いを見せていた。
「フフフ……ここで僕の限界を試す時が来たようだ!
 いいだろう、僕がアスレチックをクリアするか、僕をクリアさせず叩き落すか、勝負だよ!」
 俊敏な動きで壁に取り付くと、凹凸を駆使して登っていく。すごい! グングン登っていって――!!
「めざすゴールは……目の前……ダッ!」
 空高く飛んで壁を上り詰めたクリスティアンを、地上にいる二人が羨望の眼差しで見上げていた。

「いい天気ですね~!」
 春の陽気を胸いっぱいに吸い込んでノースポールが隣を歩くエーリカへと顔を向ける。
 エーリカは木漏れ日が眩しかったのだろうか、思わず目を細めて頷いた。
 ノースポールは尋ね聞く――『花の声』は今なんて?
「おはなの声はね。
 わたしたちみたいにことのはを紡ぐんじゃなくて――」
 そう、心に一つ囁きかけてくれるのだと、エーリカは言った。そして小さく笑うと、
「ふふ、いまはね。
 こうして花開いたすがたをおひろめできたこと、
 そんな『しあわせ』でいっぱいなんだって」
「そうなんですね!
 言われてみると、幸せそうに咲いてる気がします♪
 教えてくださり、ありがとうございます!」
 ましろな笑みに、思わず頬を赤らめてエーリカは微笑んで。
 広げたお弁当を食べながら、二人は自然の笑みに包まれた。
 柄じゃないとわかっていながら、それでも植物が好きというレイチェルは恋人のシグを連れだって公園内を散策していた。
「……花や草も薬とされる事もある。お前さんも医者であったとは聞いているが……その類の研究はしていたのだろうか?」
 シグの問いかけを聞きながら足を止めたのは亡き妹との思い出の花、ネモフィラの花の前。
「……うむ。医者だった頃よりも、それは魔術師になってから得た知識になるなァ」
 答えながら、二人は手を合わせ繋ぐ。
 蒼穹に映えるネモフィラを見比べながら、
「儚いけど懸命に咲き誇るからこそ、花は美しいのかもなァ。
 長い寿命はあるが、いつ何があるか分からねぇ。俺は、シグとずっと一緒に居たい」
 そうハッキリと伝えれば、シグは一つ頷いて、
「我らは何れも寿命は長いとは言え、こういう仕事だからな。
 ……今を精いっぱい楽しむのも、な?」
 そう答えると共に、繋いだ手を強く握りあうのだった。
 おかしいな、とヨシトは顔を顰める。
 一人でのんびりと花見をする予定だったはずが、なぜこんなにも子供達に集られてるのか。
「ちょっと保護者の皆さん!? 俺別に従業員じゃねぇんですよ!?」
 どうにも人の良さが出てしまうヨシトは、「あーもう! どうにでもなれ!」と声を上げながら、日が暮れるまで子守を続けてしまうのだった。
「チクショウ、どうしてこうなった!」
「おー、食べ物いっぱい! 食べ物いっぱい!
 コレ、いっぱい食べて良いのか!?」
「ぶはははっ、ここのスープもイケるなおい!」
「うまうま、ごくごく、うまうま」
 リナリナとゴリョウ、そしてルーニャの三人はフードコートで大食いチャレンジだ。
 このはらぺこ三銃士が揃えば、向かうところ皿なしと言うくらいガッツリ食べるわけで、フードコートも大変な奴等が来たぞと、戦々恐々だ。
「あっちの店にあった米粉を焼いて肉とサラダを巻いた奴がなかなか美味かったな」
「うまうま。それも美味しそうね! 私は入口の方にあったバーガーをもう一度食べたいのよ」
「おー、どっち行く? どこでも、いくぞ!」
 フードコートの情報交換をしながら、互いに食を進めていく。
 花より団子。はらぺこ三銃士が全品制覇するまであと少しだ。

 花々に囲まれて、ご機嫌に鼻歌を歌うジルーシャはそっとそれに呼びかけた。
 影の中に潜むブラックドック。この機会を逃すことなく花見に誘う。
「そうだ、アンタの名前を考えてあげないとね」
 視線を揺らして、ふと目に留まるのは一輪咲く黒い花。確か名前は――
「リディ――リドル、なんてどうかしら」
 フリティアリアに似たその花。花言葉は”王の威厳”。
 答えを返さないブラックドック。しかし揺れる尻尾を目にしてジルーシャは陽気に微笑んだ。
「あの……何か、ありました?」
 感情を旋律として読み取ることのできるリアは、隣を歩くクロバの崩落しかけた旋律に思わず声をかけてしまった。
 しかし、クロバは「なんでもない、オレは至っていつも通りだぜ」と気楽に言う。
(嘘つきね……)
 崩れ落ちていた仮面。今にも自分が消えて無くなってしまうのではないかという暗示めいた夢を、クロバは隠そうとした。死神として作り上げた”クロバ=ザ=ホロウメア”が消えようとしていたのだ。
「なぁ、なんか演奏してくれないか?」
 少し気まずい空気の中、不意に、思わずそう要求するクロバ。
 訝しみながら、しかし自分に出来ることならと、リアは演奏をする。
 優しく家族を想う旋律は、母を知らない”おれ”であるクロバを包み込み――
 花の香りのように甘い微睡みへと誘われていった。
「地平線の向こうまで永遠にお花畑が続いてるみたい」
 蛍の言葉に珠緒も頷いて、二人は段々畑の上段へと登っていく。
「穏やかで春の香りに包まれて珠緒さんが一緒にいて……。
 今なら天国も信じられるかも」
 だって天国はこういう場所だから、と蛍は言う。
「てんごく、ですか。
 黄泉……よりは、浄土でしょうか」
 確かに、語り聞くそれらに重ねても違和感はなかった。
 二人はゆっくりと夕日が朱に染まるのを見つめていた。
 世界が赤橙に包まれる。
「す、すごいわね、この夕日の景色……。
 まるでファルカウが恋に燃え上がってるみたい」
「これが……夕日に輝くファルカウ……。
 取得情報量に処理速度が不足していそうな」
「生命の歓喜に満ち溢れて、夕焼けに身を焦がして……。
 恋ってきっと、あんな風に美しくて激しいものなのよ……なんて」
「恋。
 なんという輝きでしょう」
 それは目にした者だけが感じる、生命の息吹。世界の胎動に二人は息を呑んだ。
 そんな夕日に染まる光景をリディアとラーシアも一緒に見ていた。
「こういう美しい光景をいつまでも残しておきたいですね。
 今度いつ見られるかわからないから、忘れないようにしっかり心に焼き付けておきます」
 リディアの言葉に微笑むラーシア。リディアはあるアクセサリを見せ言った。
「これ、いつの間にか手元にあって。ラーシアさんみたいになれたらいいな、と思って身に付けるようにしてるんですよ」
 何処がとは言わないが、その視線は確かにラーシアの胸の膨らみへと向けられているのだった。

 『ラーシア・フェリル』。
 突如イレギュラーズの手元に現れたその純白神秘のアクセサリを持ち寄った会が、ペンションで開かれていた。
「ラーシアさん、ラーシアさん、みて」
「な、なんですかこれは。さっきもリディアさんに見せられましたが、なんで私の名前が!?」
「あっははー、ラーシアちゃんっぽい、っぽいわぁ」
 困惑するラーシア、爆笑するリリィ。
「すごくない? 急にあった。
 みんなラーシア・フェリルもってる、やばみやばい」
「ほ、本当に皆さん持っているんですか?」
「みんな、もってる。あまねくラーシア・フェリル。まじぱない」
 ラーシアが視線を横に向けると、
「……ぁ、これアクセサリーのラーシア・フェリルです。うん、これを付けて今から踊って魅せますからね♪」
 弥恵がラーシア・フェリルをラーシアに見せ付けるように踊ってみせる。
「いやいや踊ってる場合じゃないですよ、なんで弥恵さんも持っているんですか」
「止めても実行します慈悲は無いその胸はギルティです」
 弥恵は情熱的に――身につけた宝石類を見せ付けて――見る者を虜にする舞を踊ってみせるが、ラーシアはそれどころではない。
「新田さんもまさか!?」
 深緑で自身がプロデュースしたハーモニアキャバクラの様子を見てきた寛治へとラーシアが顔を向けると、取り出し真顔でこう言った。
「私はこのラーシア・フェリル、ハーモニアキャバクラに飾ろうかと思っているんですよ」
「そんな招き猫みたいなことを!?」
 ソレを飾るとなるとキャバクラの看板が完全にラーシアとなるわけですが。リリィがその様子を想像して腹を抱えて笑っていた。
「みんなすごい自慢してるね。やっぱりコレすごいアクセサリなのかな?」
 輪には入り辛いもののルーニャを抱えてご満悦なビーナスが、手にしたラーシア・フェリルを見ながら言う。
「レアリティはともかく、なんかラーシアっぽいしすごそうよね。”おむね”もすごい」
 ビーナスから餌付けをされてるルーニャが挟まれた左右の感触を感じながらそんなことを言う。
「おむね、おむねってそこばかり見ないでくださいー!!」
 まるで自分の胸が視姦されてるかのようなラーシアの物言いに、やっぱりリリィが爆笑するのだった。
 そのペンションでは秘密のお泊まり会が開かれていた。
「ふふふ、なんだかドキドキしますね」
 パジャマを着たニーナとすぴかちゃんはお菓子を食べながら恋バナに華を咲かせてみる。
「好きな人? それはすぴかちゃんだが。
 ……つまり私はすぴかちゃんに恋を……?」
「はわわ、ニーナさん大胆ですぅ! だめですぅ、顔が赤くなっちゃいますぅ」
 キャッキャッウフフな会話は恋を知らない女神さまとアイドルにはきっと新鮮なものだっただろう。
 聖人コレクションはとっても楽しかったようです。
「ピロートークですわー!」
 枕を抱えてゴロゴロ転がるタント様はテンション最高潮である。
「ピロートークって何だっけ! 何となく大人な感じの響き!」
 まだまだ若芽なアレクシアも、そんな大人な響きにドキドキだ。
 こんなときは好きな人の話に限ると、話し始めたタント様は頭を捻らせながらむふーんと考えて、
「ふむー、そうですわね……ふむ!わたくし、アレクシア様のことは好きですわ!」
「うへへ、そうやって改めて正面から言われるとちょっと照れくさいな!
 いやでも、嬉しいよ! ホントに! ありがとう!」
 枕に顔を埋めつつ、ニヤけが止まらないアレクシア。そしてアレクシアは同じように頭を捻って、
「好きな人かー……いっぱいいるなー……勿論タント君も好き!」
 そして互いに好きなところを上げていく。
 タントの明るさや笑顔、アレクシアの心の強さやひたむきさ。
 互いに言い合えば、その距離はどんどん縮まって。
「これからもたまにこうしてお付き合い下さいまし!」
「こんな私で良ければいつでも付き合うよー!」
 と、二人でごろごろにこにこ転がり回るのだった。

 密かな逢瀬は此処にもある。
 青薔薇たるリーゼロッテを誘ったレジーナは、自らが望んだ結果とはいえ置かれた状況に心臓は破裂しそうだった。
 一緒のベッド。触れあう肌の感触が艶めかしい。
「お嬢様。
 一つ、いえ二つお願いしたいことがあります。
 我(わたし)のことはレナと呼んで欲しいのです」
 思い切って口にする願い。
 リーゼロッテは目を細めて悪戯猫のように、
「ええ、今時分だけならそれも良いでしょう。
 ……レナ、もう一つのお願いは何かしら?」
「お嬢様のお名前をお呼びしても――いいえ、何とお呼びして良いですか」
 リーゼロッテは少し考えて、
「……今宵だけはどのような呼称も受け入れましょう。
 好きなようにお呼びなさい。レナ、貴方はなんて呼びたいのかしら?」
 と、やはり悪戯猫のように目を細めて微笑んだ。
 ミディーセラとアーリアは、買い込んだお酒もそこそこに開けて、ほろ酔い加減に話をしていた。
「ね、アーリアさん。最近、色々と考えていたのです。未来とか。
 ……来年もまた、一緒にいられるように。その次も、その次も同じようにありたい、と」
「……未来、ねぇ。
 私も、来年もその次の年も、みでぃーくんと一緒にいたいわぁ」
 互いの気持ちは同じ。けれど、長命なミディーセラといつまで一緒にいられるのか。それは種族差から避けられぬ問題だった。
(だから、ちゃーんと考えないと。
 ただの人間の私と、長命の貴方が一緒にいられる道を。
 本当に伝えたい気持ちは、その後で)
 アーリアは固く決心する。その苦難多き道へ進むことを。
「って、ちかい!
 ねぇ、ねぇ、みでぃーくん、ちかい!」
 気づけばミディーセラがアーリアとの距離を詰めていた。思わず後ずさる。
「ええ、ええ。もっと幸せを増やすために。
 もっと、アーリアさんの近くで。そう、もっと……甘えることにしたのです。とっても」
「うう……もう。……甘えられるのは、嬉しいから全部、受け入れるわぁ。
 ね、みでぃーくん」
 二人の影がゆっくりと重なり合っていった。
 深々とする夜を破る喧噪がペンションに響き渡る。
「マクラ投げしよーぜ!」
 言いながらすでに枕を投げているジェックが先制点。
「負けないよー!
 必殺! ダブルマクラボn……わぷっ!?」
 投げようとしたところを顔面ヒットで倒れ込むシャルレィス。投げたのは受け身からカウンターを狙った小夜だ。パスをすると見せかけて当てに行くのはさすがと言えた。
「ふーん、枕って投げるものなのか。わっぷ!」
 枕投げ初挑戦のソアは、考えている間にやられてしまう。反撃とばかりに爪をしまって枕を優しく持てば、力一杯投げ返す。
「正直運動は不得手なのですが……全力でやらせて頂きます。えーい!!
 ……狙った所に飛びませんね……!?」
 フィーネもまた枕を投げる。へっぽこに飛んでいった枕はすぐに拾われて反撃の玉とされてしまう。
 それはもうペンションの中を駆け回り、ベッドの上で布団ガードなどを駆使しながら、ノリと勢いままに楽しんだ。
 途中でジェックが枕を銃に見立てて銃撃戦ごっこを初めて、さながら室内戦のカバーアクション対決となるが、やはり不意に枕を投げつけた小夜をきっかけに、枕投げへと戻っていく。
「でもまだまだまけないyうわぁ!?」
 枕の直撃を受けたシャルレィスが大げさに倒れ込むと、指でダイイングメッセージを書き始めた。事件は起こってしまったのだ、この人里離れたマーキュライト公園のペンションの密室で(密室ではない)。
 それから一人、また一人と倒れ込んでいって、一頻り笑えばお喋りタイムだ。
「ねえねえ、小夜さん達は昔からの仲良しさんなの?」
「私達? フィーネとは召喚された時にローレットで、ジェックさんとは去年お仕事でご一緒してから時々遊びにね」
「ヨロシクしていマス」
 そんな話を聞きながらソアが四人に尋ねる。
「ボクはみんなの「好き」を知りたい。
 ヒトは色々だからたくさん聞いておきたいんだ」
「え、好きな物? 私は何と言っても冒険だね! 冒険者だもん!
 あとはにゃんこさん! もふもふで可愛くてさいっこーなんだ♪」
 シャルレィスはそういってソアの耳をジーっと見る。
「……『好き』? ふふふ、勿論フィーネよ、なんてね?」
「……って、小夜さん! 勿論私も好きですけど……! ってそうではなくて!
 その……皆様の前では恥ずかしいです……!」
 赤面するフィーネの頭を撫でる小夜は確信犯的だ。
「真面目に答えるならそうねえ……今こうして平和に遊んでる時かしらね」
 そう言う小夜の前には、寝転びシャルレィスに頭を預けて寝息を立てるソアや、そんなソアの耳をいじりながら冒険の話に華を咲かせるシャルレィスとフィーネ、そして寝ているのか起きているのかパッと見判断できないジェックがいる。
 幸せな休暇の夜は、翌日の寝不足と引き替えにいつまでも続くのだった。

●休暇は終わり
「んー! 良い休暇になったわねー!」
「ふふふ、皆さんも心なしか気分の良さそうな顔をしていますね」
 休暇は終わり、日常が戻ってくる。
 混沌世界を取り巻く状況は、日ごとにカオスを深めているに違いない。
「さあ、帰ったら仕事がいっぱいよー!」
 極彩色の花畑に別れを告げて、イレギュラーズは新たな可能性の蒐集へと向かうのだった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 澤見夜行です。

 皆様にとって素敵な休暇となったでしょうか? 楽しんで頂けたのなら幸いです。
 この休暇で英気を養い、天義で起こった事態の解決へ向かう人もいるかもしれませんね。頑張って下さい!

 依頼お疲れ様でした。素敵なプレイングをありがとうございました!

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