PandoraPartyProject
『魔王座』IV
「ルカ――!」
その光景に振り向いたアベリア・クォーツ・バルツァーレク(p3p004937)の声はまさに悲鳴じみていた。
混沌を、或いは連なる世界の全てを壊す終焉の。世界の造物主たる『神』さえ遠く及ばないそんな存在の。
欠片ばかりとは言え、悪意を浴びたらばどうなるか等――想像を働かせるまでもなく明らかだっただろう。
だが。
「……っ……! くそ……!」
アベリアが、シラス(p3p004421)が。
「……おまえ……」
それ所か『ルカ自身』が息を呑んだ光景は刹那に誰しもが思い浮かべたものではなかった。
開闢のパンドラ――最後の希望を携えたルカの目の前に大きな背中があった。
隆々たるその体は見て見間違えるものではない。その全身に正面から終焉の息吹を浴び、受け止めて。
『僅かばかりも後背のルカに届かせる事はしていない』。
ルカ・ガンビーノという最後の手段を侵させるような真似はしていなかった。
「こんな事……」
「……何て事、してやがる……!」
茫洋とシフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)が呟き、一方でクロバ・フユツキ(p3p000145)は届かない己への怒りを吐き捨てるように呟いた。
最終局面を迎えたイレギュラーズが目の当たりにしたのは――
――間違いない死に飛び込んで壁となったプリンの姿だった。
場所を、見つけた。
燃え上がった奇跡さえ侵食する圧倒的な黒は特異運命座標であろうと決して抗する事許さぬ『終焉』である。
(……いや、場所を見つけただけだ)
最早声も出ず、しかし明滅する意識の向こうにプリンは光を見出していた。
何時か、届かず。しかし、今は届いた。
思えば『あれから』は――流星のように輝いて燃え尽きた運命に短い手を伸ばし続けた時間だった。
後悔に咽び、繰り返し夢に見て――或いは悲しい程に憧憬した。
だからこそ、プリンは場所を見つけたのだ。
「気にするな」と言ってやれない。声が出ない。
「しっかりな」。励ましてやりたいがそれももう不可能だ。
だが、代わりにこの僅かな時間を、どんな輝石さえ褪せる、貴重な刹那のチャンスを友人にくれてやる事が彼の矜持の全てだった。
「――行け、行きなさいよッ!」
リカ・サキュバス(p3p001254)が叫んだ。
「混沌に勝利を、そして未来を――」
ヴェルグリーズ(p3p008566)が目にした剣(どうるい)が今更なる力を帯びている。
「……っ……絶対に、やってやる!!!」
振り返る暇がない。言ってやりたい無数が喉の奥より出てこない。
ざあざあと灰のように崩れ去るプリンの後背より、目を血走らせ、犬歯を剥いたルカがその一閃を振り下ろした。
僅かばかりに残された未来への路を切り拓かんと、その一撃を叩きつけた。
――そうして物語は最後の局面を迎えるのだ。
残された『最後の選択』が、『切なる祈り』が、『混沌の懺悔』が。
勇者達に微笑むかは、きっと『彼女』が、或いは『彼』だけが知っていた――
※マッチョ ☆ プリン(p3p008503)が――切なる一時を紡ぎました。
※<終焉のクロニクル>Pandora Party Projectが終結しました!
※幻想各地にダンジョンが発見されたようです。
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