PandoraPartyProject

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始まりのレクイエム

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 終焉の地の戦場。その一角
 ナイトハルトの周囲に圧が掛かり。彼の意識がノアから逸れていた頃。
 ノアへ干渉を行った一人が――グリーフ・ロス(p3p008615)であった。
 グリーフは目的があってノアへと近付いた。それは……
「ノア。貴方はまだ知らないのです。主以外の存在を……主従以外の感情を」
 彼女を、抱擁する事だ。
 ……私は知っている。この世には絆があると。
 例えばネロの有する、仲間達から受け継がれた剣のように。
 私は知っている。
 なぜなら私にも、絆があります。
 この――絆の紅玉が。
「世界を知ってください。もっと広い全てを知ってください」
「何ヲ――私ハ――マスター、ノ、為ニ――マスターノ――」
「いいえ。貴女もまた……一個の生命としてあるべきです」
 故に願う。可能性を。
 眠ってください。いつか、貴方が目覚めうる日が来るまで。
 いつか。貴方が主の望む地平だけでなく。
 ――色付いているこの世界の美しさを知る日まで。
 どうか私の中で共に、永い夢を。
「ア、ァ、ア――」
 彼女を眠らせんと奇跡を紡ぐ。
 傷ついた体。零れ出でる滅びの因子。
 だがそれを包む様に。蓋をする様に――パンドラの奇跡が紡がれたのだ。
 また”舟”が必要になる、その時まで。
 ……おやすみなさい、ノア。
 ノアが目覚めうる日が一体いつなのかは分からない。
 滅びのアークが消えた日か。それともずっとずっと先か。
 でも――
「未来へ」
 行きましょう。
 『舟』なのですから。
 貴方に名付けられたその名を――体現する為に。

「――なんだと?」

 ナイトハルトは感じ得る。戦場の変化を。
 ベヒーモスが押されている。いやそればかりか、何か一瞬動きが変だったような。
 ヴィッターが何かミスったかな――?
 竜である存在も訪れているのだ。歴戦たるイレギュラーズも大勢いるのだ。
 一手の間違いが致命になるだろうに――
 全く困った男だなぁ♪ まぁいい。
「そうはいかないためにノアを用意していたんだ。ノア――おや?」
 と。最前線の防衛中核を担っていた、己が人形ノア……が。
 反応が、ない――?
 おかしい。どういう事だ? なんらか戦闘出来なくなった時点で、滅びのアークを撒き散らす自爆を行うようにしていた筈なのに。そうなるようにプーレルジールという大舞台を実験場にしていたというのに。
 何か不測の事態があって失敗したというのか――?
 馬鹿な。
 いやそればかりではない。
 他の戦場の気配も――散っている気がする。
 ドゥマヴェラムデリクトホムラミヤも――
 まさか。ファルカウも落ちたというのか。
 ――すごい。

「流石だ……流石じゃあないかイレギュラーズ♪ ハハハハハ――!」

 だがナイトハルトの心中は歯ぎしりするような口惜しさと。
 同時に歓喜に振るえる高揚感に満ち溢れていた――
 ナイトハルトはBad end 8の中において唯一の旅人(ウォーカー)だ。
 本来であれば滅びの側に立たぬ者。
 だからこそ終焉が阻まれているという現状に喜びの感情も抱ける……いや厳密には終焉が阻まれている事、というよりも現在のイレギュラーズを全て『自らの後輩』と愛するが為の、彼らの活躍に対してと言えようか。
 あれだけの数の終焉獣を用意して。
 ROOデータからサルベージしたベヒーモスも用意して。
 プーレルジールでの研究を元に作り上げた爆弾も用意したのに。
 それでも君達は突破しうるというのか!
 多くの者が協力して! 世界中が一致団結しうる地盤を作った!
「どこか一つでも仕損じていれば、今の流れは大きく変わっていただろうに」
「あらぁ? どうしたの、ナイトハルト。追い詰められてるのに、元気そうね」
「原初の旅人。わたしも旅人としての立場に思う所はあるけれど……しかし!」
「てめぇの好きなようにはさせてやれねーんだよ!」
 ナイトハルトに相対するは彼への攻勢を果敢に仕掛けていた者達の一部――メリーノ・アリテンシア(p3p010217)セレナ・夜月(p3p010688)紅花 牡丹(p3p010983)の姿であったか。メリーノが話したい事があるからと送り出した面々。
 傍にはマリエッタ・エーレイン(p3p010534)水天宮 妙見子(p3p010644)の姿もある。
 周囲の終焉獣を跳ね除け、時に治癒の力を展開し――
 ナイトハルトに抗しようというのか。
「ナイトハルト……私達の大先輩、原初の旅人。
 先程『妹』さんの件に問いかけた時、激しく憤っていましたね。
 やはり貴方にとっての全ては『妹』さんですか」
「そうさ。あの子が失われたのが僕の始まり。
 ――そしてその後でイノリに出会った事が僕の立場を決定づけたのかな」
「イノリ……影の城にいる、首魁ですか」
 マリエッタと妙見子の言。ナイトハルトは笑みと共に応えようか。
 繰り返すがナイトハルトは旅人だ。イレギュラーズと同様の立場。
 だがナイトハルトが鞍替えする事はありえない。
 ずっとずっと神を憎んでいた。ずっとずっと滅ぼす為に行動していた。
 なにより僕は君達なんかより先に。
 イノリに出会ってしまった。
 妹であるざんげ愛する――彼に。

「あぁ」

 偶然だったのかな。恐らく初めての旅人が兄妹であったのは。
 偶然だったのかな。それとも正に神の悪戯であったか――
 まぁ、いい。
 もういいんだ。
 どうでもいいんだ!

 さぁ決着を付けよう。世界を救う愛し子達――

「僕は――ちょっと強いぞぉ?」


 <終焉のクロニクル>始まりのレクイエムが最終局面に移行しています!

 魔女ファルカウとベヒーモスとの戦いが終結しました――!
 アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)さんのギフトに変化が生じました。

 ※最終決戦が進行中です!
 ※各国首脳が集結し、一時的に因縁と思惑を捨て、ローレットと共に決戦に臨む事で一致しました!


 ※幻想各地にダンジョンが発見されたようです。


 これはそう、全て終わりから始まる物語――

 Re:version第二作『Lost Arcadia』、開幕!

これまでの天義編プーレルジール(境界編)Bad End 8(終焉編)

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