イラストSS

「プレゼントはバッチリだね」
「う、む……けれど、どう渡した物かなあ。先輩は何時も忙しそうだし」
　もじもじとしているイルの背中をぽんと叩いてからスティアは「大丈夫大丈夫」と励ました。
　スティアとイルは仲が良い。故に、イルの恋心の全容だってスティアは理解しているのだ。
　最初はただの憧れだった。それが徐々に大きくなって――今になれば『恋』になった。
　友人の甘酸っぱい恋を応援する（ついでに、ちょっとした出歯亀根性で）スティアはイルを応援していた。
　因みに今日のリンツァトルテは暇をしているらしい。何処に居るのかも把握済みだ。
「合流する予定は立てたんだっけ？」
「あ、ああ。スティアに言われて約束は取り付けた」
　心臓が痛いと息を吸っては吐いて。繰返すイルにスティアはにんまりと笑う。
　――そう、これからイルはリンツァトルテにプレゼントを渡すのだ。
　何せ片思いの人に贈り物をする又とない機会だ。何時もは後輩から者を受け取る事に忌避感を覚える彼に「これはシャイネンナハトだから！」と押し付けられるのだ。
「ス、スティア」
「大丈夫だよ。頑張ろう！」
　イルなら上手くいくとスティアは励ました。ほら、向こうにリンツァトルテの背中が見える。
　彼ならイルを無碍には扱わないと思うから。
　応援し、信じて送り出したイルがまさかあんなことになるだなんて――！


　＊SS担当：夏あかね