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不凍港ベデクト攻略会談

 鉄帝、南西部に存在する銀の森――
 多くの精霊が集う地である此処の一角は、エリス・マスカレイド(p3n000293)らの好意によりイレギュラーズ達に臨時のローレット支部として貸し出されていた。数多の勢力の垣根を超え、イレギュラーズ達が集える場として……
 そして目下の所、銀の森で交わされている議題は『不凍港ベデクト』に対する一件だ。
 鉄帝の中では貴重な凍らぬ港。
 海のルートを常に所有できるかの地を奪取せんと動いていたのは北辰連合と独立島アーカーシュの二勢力である――しかし両雄共に不凍港へと踏み込めば、互いの戦力が無為に遭遇するという事態も考えられた。いや無為なだけならともあれ、最悪なのは混乱の最中に相討つ事、か。
 それぞれ事情と勢力の枠組みは異なれど、互いを敵視する程の事はない。
 新皇帝に賛同しかねるという立場は同じなのだから――故に。
「僕達イレギュラーズを経由して、作戦経路の合議を任された訳ですが――まずは結論から申し上げれば、独立島アーカーシュは不凍港ベデクトの『南側』から侵入する事で話がまとまりました。北辰連合とも意志のすり合わせは出来たとみて良いかと」
「――そうですか。それが良さそうですね。
 東は海。北はノーザンキングスの姿が見えるとすれば……
 やはり南から攻め上がるのが一番都合が良さそうでしょうか」
「北辰連合の皆さん方にはノーザンキングス対応に回ってほしい所ですしねー
 色々と因縁がおありの方もいるでしょうし」
 独立島アーカーシュにてエフィム・ネストロヴィチ・ベルヴェノフ(p3n000290)へと語るはマルク・シリング(p3p001309)佐藤 美咲(p3p009818)だ。そう、銀の森では北辰連合と独立島アーカーシュの『不凍港ベデクト攻略の為の会議』が行われていたのである――
 その結果として独立島アーカーシュはベデクトの南側からの侵入が大方針となった。勿論、ソレはあくまで大きな動きとしての決定であり、南側から侵入し如何様な作戦を展開するのかはまた別だが――ともあれ。
「後は可能であれば空挺作戦を行いたい所ですね。折角空というアドバンテージがあるんですし」
「伊藤さんの言う通りだよ――南大門、内側からも門に攻撃等を仕掛ける……
 そういう手もあるかもしれない!」
「アーカーシュからの空挺降下は僕も賛成な所です。
 ――どうでしょう。作戦としては電撃的に行う事で、敵の防備を崩すのに役立つと思いますが」
「空からの強襲ですか……成程、それ自体は可能でしょう。作戦実行を検討しておきます」
 そのように決まれば準備を整えていくだけだとヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)は続けざまに語るものだ。アーカーシュの、空に位置する優位を活かせないかと……美咲も顎に手を当てながら考える姿勢を見せれば、エフィムへとマルクは視線を滑らせアーカーシュの作戦時の航路も相談せんとするものである。
 アーカーシュは空を移動する地。
 ベデクトへと向けた、その進撃は……確かに少しずつ、かの不凍港へと近付いていた……

 そして同時刻――ポラリス・ユニオン(北辰連合)側にも報告が齎されていた。
駅や庁舎をメインとした西側は北辰連合が抑える、って形になりそうだ。
 重要な施設をいち早く抑える事は出来そうだな――
 ま、ノーザンキングスに睨みを効かせておく必要がありそうだけどよ」
「いずれにせよアーカーシュとの合意はなった、と見て宜しいかと。
 『ベデクトを攻略できるか』という一点をまずは目指しましょう」
「あぁ。手間をかけたな、イレギュラーズ達。
 ……さて、しかしノーザンキングスがどこからやってくるか」
 ローゼンイスタフの居城。長たるヴォルフ・アヒム・ローゼンイスタフ(p3n000288)へと言を紡いでいるのは銀の森にてアーカーシュ側と言を交わせたルカ・ガンビーノ(p3p007268)リースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984)である。
 北辰連合は西の駅側から侵入し、一気に行政庁を押さえる事になるか――
 新皇帝派の拠点とも視られる地だが北辰連合の軍事力はイレギュラーズ達の活躍により飛躍的に高まっており大規模な軍事行動を行えば陥落させる事は決して不可能ではないと視ている。ローゼンイスタフの領域の防衛力を残しても尚に、だ。
 ただし。ノーザンキングスという仇敵がどう動くか次第ではあるが。
「シグバルドは――恐らく動くでしょう、ね」
「まず間違いないだろうな。冬も近い。連中にとっても総力で来るはずだ。
 先日のシグバルドの孫――トビアス・ベルノソンの存在からしても間違いない」
「……」
 然らばギルバート・フォーサイス(p3n000195)も思案を巡らせる。
 いや……思案と言うよりは想いを、だろうか。
 ノーザンキングス。その存在はギルバートにとって軽いモノではないのだから。
 彼らが来る。どのような形かは知れぬが、間違いなく。
 凍てつく様な景色が鉄帝を覆う前に――絶対に。
「ともあれ、先日の偵察時の様子を見る限りでは、当局庁舎に駐屯している兵の数は警備に比して少なそうに感じました。敵兵力の大半は、警備の厳重さ等や居住性等々の要素から見るに西の陸軍施設近辺と北東の海軍施設近辺が駐留の拠点という所でしょうか……
 西では激戦になりそうですね。ここを制する事が出来るかで大きく戦局が変わりそうです」
「アーカーシュが南から来るからな――その勢いで混乱も生じるだろうさ。
 その隙を突く事も出来れば、色々と動きやすくはなりそうだな」
 が、なんにせよ北辰連合の更に細かな動きを定めねばならぬと、リースリットにルカが調査の折に入手したベデクトの地図に指を這わせながら更に言を重ねるものだ。
 ここを仕損じる事は出来ない。
 ここまで培ってきた数多を投入し――制するのだ。
 新皇帝派の暴虐に対し明確なる反撃の狼煙ともなろう。

 ――不凍港ベデクト攻略作戦は、間近に迫っていた。

不凍港ベデクト・マップ

※鉄帝と天義の国境付近で『何か』が起こっているようです――
※不凍港ベデクト、鉄道網の調査の報告書が届いています――!
※アーベントロート動乱『Paradise Lost』が最終章を迎えています!

鉄帝動乱編派閥ギルド

これまでの 覇竜編シレンツィオ編鉄帝編

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