PandoraPartyProject

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希望ヶ浜で見た夢のことⅡ

 あなたは――あなたは夢を見ていた。
 夢の中であなたは、黒くて怖くて大きくて理不尽なものの後ろを歩いていた。

 それをあなたは、なぜだか『せんせい』だと思った。

 『せんせい』はあなたになんの説明もなく、希望ヶ浜学園高等部の廊下を歩いている。
「せんせい。ねえ、せんせいせんせい」
 教室の扉ががらりと開いた。不自然なほど自然に、そして扉の先に立っていたのはぬいぐるみを持った女子高生だった。
 彼女のことをあなたは、なぜだか『うそつき』だと思った。
「せんせいはどうしてにんげんのふりをしているの?」
 『せんせい』は応えない。足を止めることも、声をあげることも、視線をそちらに向けることすらせず、増して歩く速度に一切の変わりなくただただ教室の前を通り過ぎた。
 再びがらりと、『せんせい』の前にある扉が開く。
「せんせい。ねえ、せんせいせんせい」
 通り過ぎる。
「せんせいはなぜわたしたちのみかたをするの?」
 通り過ぎる。
「せんせいはなぜこのまちをまもるの?」
 通り過ぎる。
「ねえ」
 『うそつき』はついに、教室の中から手を伸ばした。
 その手は――あなたを掴んだ。
「あなた、どうやってここに入ったの?」
 それまでと全く異なるトーンでかけられた言葉は、あなたの心を強制的に冷やし、そして重くした。
 まるで地面に押しつけられるのではと思うほどに力が抜け、倒れ伏す寸前のところで……。
「あれぇ? なんでここに人がいるんだい?」
 フッとそれまでの重圧が消えた。
 再び周りを見回してみると、開きっぱなしの教室と灯りの消えた廊下があるだけだ。
 外は夜。真っ暗なはずなのに、構内の風景がなぜだかよく見える。
 そんな中に、一人の男性が立っていた。モップとバケツを手に作業着をきたその姿に、あなたはんぜだか、彼を『用務員さん』だと思った。
「ここは君が来るようなところじゃあないんだ。悪いけど、帰ってね」
 そこで、目が覚め――。

――Truth comes out of falsehood

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