PandoraPartyProject

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その嵐、希望を覆い隠すか

「ようやくひと段落だね!」
「そうでないと困る。今回のことは私にとっても不本意だった」
 『鉄心竜』黒鉄・奏音 (p3n000248)に、静李は本当に憂鬱そうに溜息をつく。
「あ、そっか。静李も戦いに出たんだっけ? あんなに戦いには出ないって言ってたのに」
「私はもう二度と、間違いは起こさないと決めたんだ。だっていうのに……はあ……ちょっと、何?」
 静李をギュッと抱きしめて頬擦りしようとする奏音を、静李は迷惑そうに本で突いて突き放す。
「だって、静李ってばボクと棕梠が戦いに出ちゃっていなかったから、代理でやってくれたんでしょ?」
「そんなのは知らない。ちょ、近い……!」
「ボク、静李のそーゆーとこ、大好きだなあ」
「あー、もう! 棕梠、あなたも何か……」
 静李が棕梠へと視線を向けた先。そこでは、棕梠が目を瞑り転がっていた。
「すー……すぅ……」
「……寝てる」
「あのシート、何処から持って来たんだろね」
 あまりにもマイペースな友人たちに溜息をつくと、静李は奏音の脇を抓って「うっ」と言わせる。
「とにかく、アダマンアントの企みは潰した。かなりの数を倒したんだ……そう簡単には動けないだろう」
「だよね。えーと……50以上は倒したんだよね? 相当な被害のはずだけど」
「マトモな指揮官であれば戦略の見直しを図るはず。次の動きまで時間がかかるだろうさ」
「……戦術入門……?」
「人が読んでる本のタイトルを読むんじゃない」
 奏音と静李がじゃれ合い、棕梠が寝ている……そんな亜竜集落フリアノンの穏やかな昼。
 亜竜集落イルナークの壊滅から始まった一連の事件に、誰もが慌ただしく奔走していた日々。
 アダマンアントが地上に出てくるという、前代未聞の出来事によりイレギュラーズも奏音たち三人娘も、最近はとんでもない忙しさだった。
 だがイレギュラーズの活躍によりアダマンアントによる襲撃事件は発覚したものについては全て……完璧に叩き潰した。
 そのおかげか、ここ数日はアダマンアント出現の報告が出ることもなく、里長達は「アダマンアントの次の動きは何か」を注視しているという。
「これで解決に繋がればいいんだけど……」
「……どうだろうね。まだ奏音の友達……見つかってないんだろ?」
 サンゴ。あのイルナーク壊滅の日に行方不明になった少女の事を静李が言えば、奏音はちょっとだけ悲しそうに笑う。
「うん。何処かで生きてるならいいけど……望みがほとんどないことくらいは、分かってるから」
「……」
 余計なことを言ってしまった、と静李は黙り込んでしまう。
 こういうところが良くないのだ。
 一歩引いたところにいつもいるのに、つい踏み込んでしまった。
「ありがと、静李。心配してくれてるのは、ちゃんと伝わってるから」
「……ああ」
 ある意味で不器用な友情。それを確かめ合った2人は、棕梠が「こ、こんにゃく……」と謎の寝言を発したのを見て笑いあう。
 平和な……とても平和な、そんな日常の風景。
 しかしそれは、慌ただしく駆け回る人々の足音に棕梠が目を覚ましたことで終わる。
「……煩いの」
「どうしたんだろう。まさか、もうアダマンアントが?」
「バカな。いくら何でも早すぎる」
 奏音と静李は顔を見合わせるが、ぼーっとしていた棕梠は「どうやら、そのまさかだわ」と呟く。
「え!?」
「なら、まさか……」
 アダマンアント。
 地上に出てきたそのモンスター達が、同時多発的に幾つかの小集落に向けて進撃を開始している。
 そんな知らせがあちこちの小集落から亜竜集落フリアノンに届いたのは……それから、すぐのことだった。

※覇竜各小集落にて同時多発的にアダマンアントの大規模襲撃が発生しました!

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