PandoraPartyProject

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いにしえの魔法

 ――封印術をお教えしましょう。

 フィナリィの言葉に耳を傾けて、慣れない封印のまじないを学び続けた。
 ただの村人AとBの子供であった『わたし』が稀代の天才魔法使いなどとアイオンに褒められたのは何かの間違いだと思った。
 かわいらしいお洋服を仕立ててくれた母はよく似合っていると笑ってくれた。
 恥ずかしいからとローブで顔を隠していた『私』に光を与えてくれた伝説の勇者様。
 彼と、彼の仲間の為だったら何だって出来ると思った。
 だからこそ、『わたし』は只管に学んだ。
 フィナリィの封印術も、フェネストのヒールも。
 攻撃魔法ばかりに長けていた『わたし』の得意を生かした封印術。
 魔力を込めて、花開く魔法道具はきらきらと光を帯びて茨と共に『冬の王』を閉じ込める。
 それが彼の役に立つことが嬉しかったのだ。幼かった『わたし』に、ただの村娘Aで終わってしまう筈だった『わたし』に――手を差し伸べて、魔法を与えてくれた彼らに。

「ねえ、エレインが死んだのは私のせい?」
「違う。違うよ、マナセ」
「でも、わたしがもっと封印術が得意だったなら……エレインの命を削るまじないをしなくてもよかったのに」
「いいや、違う。……マナセ、仕方がなかったんだ」
「この封印術を保つために、誰かの命を削らなくてはならないの」
「それは、妖精たち皆も把握している事だ。納得してるんだよ、皆。
 ……だから、仕方ない。マナセのせいじゃなかったんだ。固い封印を保つ為ならば――」

『咎の花』は封印を保つ為の必要不可欠な魔法装置だ。
 その花が開かぬように、魔力を注ぎ込む必要がある。それはあくまでもマナセにとっては、だ。
 妖精は命を注がねばならない。そうしなくては、妖精郷は冬の王の力に覆われて終わらぬ冬が訪れたことだろう。
 だからこそ、アイオンも「仕方がない」と言ったのだ。
 妖精たちの願いと、この寒々しい冬を終わらすための最善だった。

「もし、また花が開いたら、わたしが必ず封印するから。……それが、私の誓いよ」
「そんなことが無ければいいね」
「ええ、ええ、わたしが生きている間にそんなことが起こらないように」

 ――それは遠い昔の話。
 いにしえの魔法が破られた『現在』、深緑に吹いた凍える風は森林をも覆った。
 少女マナセのささやかな願いと誓いは、妖精女王にとっては『おとぎ話』であった。
 それでも、期待せずにはいられない。
 いつかの日に妖精郷を救ってくれた勇者パーティーの様にイレギュラーズが救ってくれることを。
「もしも、魔法使いマナセが今いたらどうなったかなあ」  妖精はぽつりと呟いた。
「きっと、ばかばかって叫びながら、古のまじないを教えてくれたでしょうね」
 そんな『おとぎ話』のような世界を信じていたいと願ってしまうほど、妖精たちは無力感に苛まれていた。
 イレギュラーズは進軍準備を整え、もうすぐにでも深緑の内部へと向かうだろう。
「……どうか、無事で」
 願うように妖精女王は囁いたのだった。

 ※妖精郷で女王と謁見しました! 報告書がローレットに齎されています!!

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