PandoraPartyProject
ドリーム・カード
ドリーム・カード
ラド・バウが湧いている――と言ってもそれは現実ではなくR.O.Oのラド・バウの話だが。
鋼鉄の国に存在せしガイウス・ガジェルドという強者の戦いぶりは留まる所を知らなかった。
外部から強き者を招集するという特別試合を経て尚、彼は最強であったから。
「お疲れ、ガイウスさん。どうだった?」
「……悪くないな。アレがゼシュテリオンの連中か」
パルス・パッションの声に反応したのこそ、件のガイウス。
現実のスーパーチャンプ――R.O.OではA級闘士としての現役――
そんな彼と今回戦ったのがイレギュラーズ達であった。
事の始まりはたった一つの噂。
『ガイウス・ガジェルドが派閥を立ち上げる』という事。
その噂が真実か否か……ゼシュテリオン軍閥の長であるヴェルスからの依頼を受けてイレギュラーズが調査に向かっていたのだ。もしも事実であるのならばザーバのみならずガイウスというラド・バウの強者が参戦してくるという事であるから……
その為に多くのイレギュラーズが彼と相対した。戦いの中に生きるガイウスの口を滑らせることが出来る場――ラド・バウにて。
Ignat(p3x002377)が姿を変幻させながら翻弄し、梨尾(p3x000561)が咆哮しベネディクト・ファブニル(p3x008160)が立ち塞がり。現場・ネイコ(p3x008689)も真正面よりぶつかり――セララ(p3x000273)が全霊の一撃をもって砕かんとした。
全てはいずれ伝説を築き上げる闘士の魂を見据える為。
ソール・ヴィングトール(p3x006270)がいつか見た、あの拳を精神から乗り越える為――
ゼロ(p3x001117)も鉄帝……否、鋼鉄魂をもって奮戦したものだ。
特に現実の鉄帝に縁深い者達にとってスーパーチャンプの存在は特別でもあったろう――
そして結論から言えば派閥立ち上げの噂は『事実』であった。
ガイウスはラド・バウの闘士――と言っても自身が属しているA級以下が中心であり、ビッツ・ビネガーの様なS級はあまりいないようだが――ともあれ闘士が寄り添い一つの派閥を形成しているのであった。
そちらに関しても調べはついている。ガイウスの周囲へと探りを入れたルージュ(p3x009532)やねこ神さま(p3x008666)、沙月(p3x007273)らが聞いているのだ。
夢見・ヴァレ家(p3x001837)やこの世界におけるゲルツ・ゲブラーにも出会っており――
それは一重に『今しかない』この鋼鉄の国の祭りに参加する為。
……ガイウスとの戦いに参加したスティア(p3x001034)にとってはなんとも複雑であった。混乱巻き起こりしこの国の未来を一切考えぬ悪事とも言えるし、彼らはただ純粋であるとも言える。いずれにせよ彼はこう考えた訳だ――
ヴェルスにしろザーバにしろ彼らがもしも皇帝の地位に付いてしまえば、もう彼らと戦う機会は巡ってこないだろう。そう、それは『現実』の様に。
――その事を『気付かされた』ガイウスは思考の末に皇帝戦に名乗りを挙げたのだ。
「魂が折れなかった。心が砕けなかった。
……俺はああいう連中が嫌いではない」
「むしろ好きなんじゃないの? ――ま、とにかくそれは彼らも派閥に誘ったって事だよね」
「派閥か。正確にはそんな御大層なものではないがな」
そして、ガイウスの派閥に付いているメンバーの目的は一つ。
それは――ガイウスの夢のカードを実現させる事。
ヴェルスか、ザーバか、ガイウスか。切望される程に言われ続けているそのカードが実現した際、如何なる結末が待っているのか……それを見たいが為にこそ彼を頂点としている。そのまま彼が勝利すればガイウスが皇帝になる事を望んでいる者もいるだろうが――
「俺は興味がない」
「えー。でもさ、折角なら皇帝になっても……」
「もしも俺が全てに勝利したのなら――そうだな。その後は世界でも巡りに行くか」
ガイウスは依然として『その気』はない。
……ある意味最悪だ。彼が、彼らが勝利すればそこには何も生まれない。
皇帝という頂きが掲げられる事もなく――
例えれば生み出されるのは何もない大地。
空白の座。その椅子になど誰ぞが付けば良いと、後を考えぬ刹那主義者共。
――しかしその姿勢はある種、この国の本質。
その光に惹かれる者もいる。故にこそ危険。
「ん……でもさ。ゼシュテリオンはギア・バシリカっていう巨大な要塞もってるって話だよ。なんならザーバさんもギア・ブルグとかいうがあるとか……それにどう対抗する――? 真正面から殴りこみでも掛ける?」
「……それについては問題ない。おせっかい焼き達がいるのでな」
そして惹かれる者は何も闘士達だけではない。
ラド・バウに通い詰める一部の資産家たちもいる様だ……じぇい君(p3x001103)の調査により実際いる事も判明している――そしてその資産家たちがガイウスの為にと資金と投じて作り上げたのが。
「ギア・フラウィウス――発掘された古代兵器を流用したものらしい」
ギア・バシリカと同系統の代物。
バシリカと比べると一回り小さいが――その中央にはまるで、闘技場……ラド・バウのリングの様な場所が設置されている。正に移動型闘技場とでも称するべきか――?
「わぁ。そんなものまで……」
「これに乗って移動する。そうだな、ヴェルスか、ザーバか……
まぁどちらでもいい。折を見て横から殴りつけるだけの事だ」
混乱の収束の為に動いているゼシュテリオン軍閥――引いては彼らを支援すると決定した正義の騎士にとっては非常にこの上ない程はた迷惑な話であるが――
ただ分かっている事はある。ガイウス・ガジェルドはただありのままに存在している。
つまり――黒き絶望(DARK†DESPAIR)に堕ちている訳ではないのだ。
正常に。己が魂のままに此処にいる。
あのふざけたピエロが見せた誰とも戦えぬ『望まれぬ未来』が到来する前に。
アーロン(p3x000401)も記憶した、ピエロが書いた手紙を――握りつぶして。
「……偶には路上の喧嘩(ストリート・ファイト)も悪くないものだ」
盛大に。この瞬間にのみ成せる祭りを楽しむとしよう。
最初にして最後。そして至上の戦いを。
この派閥はそういうもの。ただ夢の一時を見たいが為の集団。
――ギア・フラウィウスは動き出した。
※R.O.Oでガイウス・ガジェルドが動き出したようです――
これまでの再現性東京 / R.O.O
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