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シナリオ詳細

ぴよもふランド with ビッグイノセントヒヨコ and Flying sheep

完了

参加者 : 31 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 混沌には純種すらも知り得ないような不思議生物が生息している。危険なものから無害なものまで様々だ。
「……で、この前渡した情報の生物がどこかへ攫われていった、と」
「ああ。危害を加える類ではなさそうに思えたが心配だ」
 強面の厳つい男──ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)に心配されているのはあまりにも愛くるしい混沌生物だった。
「どうかビッグイノセントヒヨコの行方を追ってもらえないだろうか」
「ビッグ……え? なんです?」
 ゲオルグが口にするにはあまりにもギャップのある名称に『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)が聞き返し、その情報を見つけて流した張本人である『Blue Rose』シャルル(p3n000032)がユリーカに再び聞かせる。
「ビッグイノセントヒヨコ」
「びっぐいのせんとひよこ」
「ビッグイノセントヒヨコだ」
 三者三様に同じ言葉を口にして、奇妙な間が空いた。んん"っとユリーカが咳払いをする。2人の視線が彼女へ向いた。
「……ボク、心当たりがあるのです」
「ぴよもふランドでしょ」
 即答したシャルルに「当たりなのです!」と告げるユリーカ。あれはおおよそ半年と少し前のことだったか──我がローレットの非常しょkじゃなかった情報屋が『ぴよもふランド』なる謎の空間へ囚われたのだ。あまりにもあの時と似た流れに思い出さざるを得なかったらしい。
「そういうわけなのでシャルルさん、お願いするのです」
「は?」
「生憎ボクは大忙しなのです。なんだってベテラン情報屋ですから!」
「いや、ボクじゃなくても別に」
「一度は行ったことがある人だと頼もしいですね!」

 ──かくして。押し切られる形でシャルルが調査へと赴いた。焔の因子を持つ精霊種がともに連れていかれたとの目撃証言もあったらしいが、そこはともかく。2人はふわもこを身につけてあのぴよもふランドへ入園、もとい潜入したそうだ。
 調査の結果、ビッグイノセントヒヨコはやはりぴよもふランドに滞在しているとの報告が上がった。特に逃げ出そうという様子もなく、のんびりと過ごしているらしい。併せてだが、混沌で見られる不思議生物『Flying sheep』もぴよもふランドで目撃されたという情報が入った。
「むむ、しーちゃんもいるのですか」
 考え込むユリーカ。Flying sheepことしーちゃんは温もりを溜めて移動する精霊であり、彼らは他者から温もりを与えてやらねばなかなか飛び立てない。あの場所が巡る季節に影響されるのか不明だが、万が一のため冬より前に送り出してやる必要があるだろう。
 ふと、ユリーカの視線が上がった。見たのは──『あなた』だ。
「こんにちは! もふもふはお好きですか?
 今、戦わなくても大丈夫な依頼が舞い込んできているのです──」

GMコメント

●すること
 ぴよもふランドで過ごす

●ぴよもふランド
 誰がいつ立てたのかも分からない摩訶不思議ランド。ふわもこを身に着けていないと入園できません。
 ふわもこは『身に着けていないと』いけません。ただ持っているだけではゲートで止められてしまうのでお気を付けください。

 ぴよもふランドは『人をダメにする空間』をテーマに作られています。そのためダメクッション&ダメソファ、それらになりうるふわもこキャラクターが数多く存在しています。にわとりとひよこのキャラクターが多いのは気のせいではありません。
 彼らは危害を加えられなければ基本大人しく、ゲスト(お客様)を歓迎してくれます。

●ふわもこ
 ぴよもふランドを発見し、入場するためにはふわもこを身に着けていなければなりません。
 ユリーカよりふわもこの動物耳カチューシャと尻尾を借りられます。元からふわもこであれば付ける必要はありません。
 ふわもこ判定は緩いですが、髪の毛あるからふわもことか言うのはナシです。

●ビッグイノセントヒヨコ
 混沌ふわもこアニマル。一説では精霊であると言う説も。
 ゲオルグさんの倍ほどもある大きさで、胸キュン必死のつぶらなおめめと耳が溶けそうな可愛らしい鳴き声、そして優しさの塊のような真っ白ふわふわな毛並みが特徴です。
 ぴよもふたちに攫われてもなんのその、呑気にくぅくぅ寝ています。イレギュラーズたちが近づいても触っても特に問題はありません。
 神聖な雰囲気、神出鬼没な存在、そして何者にも傷つけることができないもふもふボディ。あとは何も言うな、今のうちに感じろ。

●Flying Sheep
 妖精羊です。しーちゃんとかふーちゃんとか羊さんとか呼ばれます。
 温もりを一定時間貯めると移動し、また別の場所で温もりを求めて降り立ちます。
 飛ぶときは魔法的な2対の羽を出してふんわり飛んでいきます。
 重さを変えられるのか、それとも飛ぶ力が強いのかは不明ですが、降り立つとどれだけ屈強な男が持ち上げようとしても持ち上がりません。
 倒そうと攻撃をしても不思議なことに、ふわふわの毛が完全ガード。妖精の不思議な力なのかもしれません。

 性格は温厚。……というよりは、鈍感。例え熱いお茶を零したとしても気づきはしないでしょう。
 リプレイ検索で『sheep』と検索すると今のところこの羊に関するものが100%出てきます。雰囲気を知りたい方はどうぞ。

●注意事項
 本シナリオはイベントシナリオです。軽めの描写となりますこと、全員の描写をお約束できない事をご了承ください。
 アドリブの可否に関して、プレイングにアドリブ不可と明記がなければアドリブが入るものと思ってください。
 同行者、あるいはグループタグは忘れずにお願い致します。

●NPC
 シャルルとフレイムタンはお呼び頂けます。ブラウはカムイグラからまだ帰ってきていません。次は帰らせるからな……。

●ご挨拶
 愁と申します。アフターアクションありがとうございます。
 タイトルが長くなって画面に入るか心配です。入るかな。入ってるといいな。
 それでは、ご縁がございましたらよろしくお願い致します。

  • ぴよもふランド with ビッグイノセントヒヨコ and Flying sheep完了
  • GM名
  • 種別イベントシナリオ
  • 難易度VERYEASY
  • 冒険終了日時2020年11月06日 22時11分
  • 参加人数31/30人
  • 相談6日
  • 参加費50RC

参加者 : 31 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(31人)

アルペストゥス(p3p000029)
煌雷竜
シャルレィス・スクァリオ(p3p000332)
蒼銀一閃
リュカシス・ドーグドーグ・サリーシュガー(p3p000371)
無敵鉄板暴牛
アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)
灰雪に舞う翼
カイト・シャルラハ(p3p000684)
鳥種勇者
古木・文(p3p001262)
文具屋
ポシェティケト・フルートゥフル(p3p001802)
謡うナーサリーライム
ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)
祈りの先
ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)
天穹を翔ける銀狼
セレネ(p3p002267)
Blue Moon
ミディーセラ・ドナム・ゾーンブルク(p3p003593)
キールで乾杯
メイメイ・ルー(p3p004460)
ひつじぱわー
辻岡 真(p3p004665)
旅慣れた
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
マリア・レイシス(p3p006685)
雷光殲姫
フラン・ヴィラネル(p3p006816)
緑の治癒士
イーハトーヴ・アーケイディアン(p3p006934)
秋の約束
ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)
わもきち
メリー・フローラ・アベル(p3p007440)
汚い魔法少女
シルフィナ(p3p007508)
はじまりはメイドから
ヴィクトール=エルステッド=アラステア(p3p007791)
決死防盾
ラヴ イズ ……(p3p007812)
おやすみなさい
アルム・カンフローレル(p3p007874)
両手にふわもこ
ソロア・ズヌシェカ(p3p008060)
豊穣の空
コユキア ボタン(p3p008105)
秋色とFairy star
散々・未散(p3p008200)
L'Oiseau bleu
マギー・クレスト(p3p008373)
マジカルプリンス☆マギー
カルウェット コーラス(p3p008549)
旅色コットンキャンディ
笹木 花丸(p3p008689)
人為遂行
フラッフル・コンシール・レイ(p3p008875)
屋根裏の散歩者
メルランヌ・ヴィーライ(p3p009063)
翼より殺意を込めて

リプレイ


 冬毛になったばかりのふわもこで入園したカイト。そこには変わらぬもふぴよランドの光景があった。
「おっ元気にしてたか」
 近づいてくるひよこたちに顔をほころばせ、卵クッションに吸い寄せられ。しまいには羊たちに身を寄せられふわふわぬくぬく状態である。
「ひつじが1匹ひつじが2匹……すやぁ」
 果たして数えたひつじは夢のそれか、現のそれか。
「ふふふ、早いうちに入れましたわね♪」
「ね! それにしても壮観だ、ぴよもふだらけ……!」
 ヴァレーリヤとマリアは揃って園内の様子に感嘆の声を上げる。長蛇の列になったら困ると早いうちに入園してしまったのでまだ人もそこまでいない。
「マリィ、その猫耳と尻尾、とても似合っていましてよ?」
「一応これ……虎耳と尻尾なんだよ?」
 からかうようなヴァレーリヤの言葉にマリアは小さく拗ねて見せるけれど、それもダメクッションに遭遇するまで。
「あら」
「これ、1人用だね」
 2人が顔を見合わせてしまうのも仕方がない。仲良く座ってダメになる予定だったのだから。マリアはヴァレーリヤへクッションを勧める。
「そうだわ」
 座ったところで何か思いついたのか。手を広げたヴァレーリヤにマリアは何の疑問もなく抱きついて、
「マ、マリィ! 逆ですわ!」
「え、違った!?」
 などと2人でワタワタしたのだった。その後、仲良く座ったそうな。
「アル君ちょっと貸して!」
「ギャウ?」
 首回りのわさわさに手を突っ込んだソロア。それを不思議そうに見ていたアルペストゥスは、彼女が自分の抜け毛を使って首回りをモフモフにしていることに気づく。なんだかお揃いみたいだ。ソロアが準備OKとぴよもふランドへ入園し、ふわもこに目を輝かせる。
「ジュル」
 ちなみに今のはアルペストゥスのよだれ。食べないよ、と小さく唸りつつアルペストゥスはFlying Sheepたちを咥えて持ち上げ──ようとしたのだが、持ち上がらない。
「グゥ」
 ちょっぴり不満げなアルペストゥス。その声に羊がぱちりと目を開け、彼を見上げた。見つめ合うこと数秒、羊が1匹動き出すとまとまっていた羊たちがぞろぞろ動き出す。
「アル君すごいよ! ここが天国だ!」
 いい? と見つめるソロアにアイコンタクトをするアルペストゥス。彼はそのまま顎を羊の上に乗せた。暖かい。
「アル君、ここに失礼するよ」
 ソロアは彼の首元へ。どこもぬくぬくだろうけれど、ここがきっと特等席だ。
 うっきうきな足取りで狐──の着ぐるみを来たフラッフルは園内を歩き回っていた。目的はビッグイノセントヒヨコである。ふと頭上に影がさし、フラッフルは空を仰いで目を丸くした。
「降りてきた……」
 噂のFlying Sheep、もといしーちゃんである。ぬくもりを与えないと飛んでいけないのだ。
(抱き着いてもいいかな……?)
 そぅっと手を伸ばすとふんわりした感触がある。暫しの後、そこでぐっすり眠る彼女の姿があった。
 雪兎のような姿でぴよもふランドを訪れたボタンは猫耳を付けたシャルルに目を瞬かせる。勇気を出すなら今か? 今だ!
「あ、あの! 一緒にモフりに行きませんか!」
 言ってから気づく。名乗ってもいなければ突然のお誘いすぎるのでは!?
 言われた当人であるシャルルはボタンの勢いに目を丸くして、それからくすりと笑った。
「うん、いいよ。例の大きなひよこ?」
「! はい、探してみたくて!」
 ビックイノセントヒヨコ。白くてふわふわなひよこをぎゅむぎゅむするため、2人は広い園内を一緒に回り始めた。
 メリーは園内に入るなりふわもこカチューシャを外す。マスコットに追い出されそうになればつけて、離れて行ったらまた外して。
(たまーに天邪鬼なことしたくなるのよね)
 メリーはマスコットたちの様子ににんまり。ちょっぴり、いいや結構楽しい。
「フレイムタンくん! こっちこっち!」
「焔。……今回はコレか?」
 差し出されたものにフレイムタンは目を瞬かせる。前回はもふもふ手袋だったのが、カチューシャと尻尾飾りにチェンジしている。それを付けたフレイムタンと焔は園内に入り、羊たちの元へ。これから寒くなるのだから、2人で協力してどんどんぬくぬくになってもらわなければ!

 ぴよもふランド前で項垂れる男が1人。話を良く聞かずに来てしまった文である。
「ぬ、ぬいぐるみはNG? 身につけないと?」
 ダメだよーとバッテン印を作るスタッフ鶏。ひよこと羊の安否を確認したら癒される心算だったのに、これはどうしたものか。
 いや、すべきことは決まっているのである。
「何か貸してください」
 渡されたのはふわもこカチューシャ。どうやら中の売店で売っているらしい。仕方ない、皆ふわもこを身につけているのだから。それはそれとして、この先に広がる世界への楽しみを胸に文は1歩を踏み出した。
「ビッグイノセントヒヨコ……」
 いい響きだわ、と呟くメルランヌもまたもふぴよランドの前に立っていた。周囲を仲の良い鳥たちが舞う中、メルランヌは何を身につけようかと思案する。
(鳥たちは羽毛でふわもこだから問題ないわ。わたくしは……そう、豹ね)
 あの丸くて可愛らしい耳。しかして彼らはハンターである。もふを狙う狩人であるメルランヌにはぴったりだろう。
 接近して仲良くなり、もふり、埋まり、歌で気持ちよくなってもらう。その想いを胸にメルランヌは園へ入っていったのだった。
「いやぁ……混沌は謎の施設も多いね……」
 片や溶けたチーズのようにでろりんと溶けたアクセル。
「ふかふかで……幸せ……」
 片ややっぱり溶けたチーズのごとくなシャルレィス。2人はもふもふもっふんとふわもこに顔を埋めつつも、かの大きなひよこへ視線を向けた。
「ビッグイノセントヒヨコ? も癒しとして連れてこられたのかな」
「可愛いし、とってももふもふだもんね……」
 あとでもふもふしに行きたいなぁ、と呟きつつもシャルレィスはこの場から離れられない。その原因たる羊たちにアクセルもまた体を沈ませる。話にばかり聞いていたが、ようやくの初対面であった。
「……ところでこれ、どうやったら解決?」
「えー? もう何でも良くない? パンドラとかもどうでもいいんじゃないかな……?」
 とうとう脳みそまで溶け始めたか。シャルレィスの耳は大好きな猫の幻聴まで捉え始めたのだった。
「キュウ、ほんとうの鹿みたいでかわいいわ」
 ふふ、と笑み混じりに告げられたラヴはほんのり頬を染める。『お揃い』は嬉しいけれど、少し気恥ずかしい。
 2人にとってのしーちゃんといえば、毛繕いしてあげた大きな羊。いるだろうかと巡らせると、端の方にひよこではない大きなもこもこが見えた。
「あら、来ていたのね」
「また少し毛がこんがらがったのではない?」
 大きな羊は毛繕いも大変なのだろう。2人はまた毛並みを整えてやって、それからあの時のようにふわふわの上へお邪魔する。このまま眠ったら飛んで行ってしまいそうで、2人はぎゅっと手を握った。
「素敵な夢、ご覧になってね」
「……ありがとう、ポシェ」
 子供のように微笑んだラヴは目を閉じる。ポシェティケトも幸せな微睡みへ沈みかけて。
「「……おやすみなさい」」
 おはようを言うために、眠りの淵で2人は小さく呟いたのだった。
(これは……わたしがナンバーワンもふなのでは?)
 そう思って然るべきもっふもふな尻尾を携え、ミディーセラは園内をふらふら。ビッグでイノセントなひよこがいるらしいが、どうやら前に出会ったことのある羊もここに来ているらしい。おかげでぴよもふランドはふわふわもふもふ1.5倍増しである。
(羊たちもなかなかのふわもこ度ですからね……わたしほどではありませんけれど)
 あくまでナンバーワンもふはこのミディーセラなのである。
「お元気にされていましたか?」
 ふわふわ猫さん姿のセレネは羊を見上げる。「めぇ?」と首を傾げる様にふふっと笑みを漏らし、セレネはぽんと羊の上へ飛び乗った。猫の姿ならいくらか軽いはずだ。
「もふもふですね、ふふ」
 足元がふかふかだと思わず踏み踏みしてしまうのはもはや習慣か。沈んでは戻ってくる毛を楽しむも束の間、ふわりと眠気がやってきてセレネはその場で丸くなる。
(ほんの少しだけ……)
 そうしてすぅすぅ寝息を立て始めたセレネ。メイメイが羊たちを外へ誘導すべくやってきたのだが、羊と同化してしまって気づいたのは暫く後だ。びっくりした拍子にぴこぴこ、と耳が揺れる。
「ぬくぬく、ですもの、ね」
 ランドで配布されている毛布を羊ごとセレネにかけてあげて。メイメイはその様子に顔を綻ばせた。ぴよもふランドから羊たちが飛び立とうとしたら起こしてあげよう。



(ぴよもふランド、夢のような場所ですね……!)
 シルフィナは目をキラキラと輝かせていた。毛皮の敷物も持ってきているので防寒対策はばっちりだ。これならば閉園時間までふわもこを楽しむことができるだろう。
 ほどなくしてビッグイノセントヒヨコを見つけたシルフィナは小さく感嘆の声を上げた。近づいてもすぴすぴと寝息を立てるひよこは可愛らしい。これがいつかニワトリになる姿なんて──想像できない。
「はわぁ……っ」
 同じようにビッグイノセントヒヨコに辿り着いた花丸は恐る恐るひよこへ触れていた。やばい。大きくて可愛いふわもこ。やばい。花丸が幾ら触ってもひよこは起きる様子すら見せず、ためしにぎゅうっと抱き着いてみる。
(日頃の疲れが癒されるー)
 これだけ接触されても穏やかな寝息を立てるひよこに、花丸もついついつられてしまいそうで。
「ぐぅ」
 つられちゃった。
「ここがぴよもふランドか……」
 ゲオルグは厳つい表情をこれでもかと言わんばかりに和らげていた。念願のぴよもふランドである。ビッグイノセントヒヨコもいるとなれば来ないわけはなかった。先程ぶりのひよこはすよすよと眠っており、他のイレギュラーズたちもすっかり癒されているようだ。
 優しく触れ、そのまま身を埋めるとにゃんたまやジークたちももふんと柔らかな羽毛に埋もれる。天国のような光景と感触をゲオルグはこれでもかと堪能したのだった。
(依頼のためなら仕方ありませんよね……?)
 マギーはいそいそと──心なしかうきうきと──兎耳を装着。園内に入るとふわふわもこもこが出迎える。ひよこやにわとりだけじゃない、クッションやソファまで人をダメにするのだと言う。
「だ、ダメです、ボクは羊さんをあたために行くと決めてきたんです!」
 その誘惑を振り払ったマギー。羊の群れの先にはよく似たもふもふを付けたカルウェットがいた。
「羊のもふもふ、おそろい」
「めぇ」
「めぇ~」
 興味津々に羊を見ていたカルウェットは寄ってきたマギーに目をぱちくり。マギーもカルウェットに気付いて目を瞬かせるものの、持ってきていた毛布を広げる。
「一緒にお昼寝しませんか? ぽかぽかにして羊さんを飛ばせてあげましょう」
「飛ぶ?」
 カルウェットは目を輝かせた。睡眠は必要ないけれど、飛んだ姿は見てみたい。
「そうだ。カルウェット、友達、増やす、したい。仲良く、よろしくお願い、します」
 羊を飛ばせる前に彼女へ挨拶を、と声を上げたカルウェットにマギーは目を丸くして、次いで顔を綻ばせた。
「あ、カルウェット君!」
 その声にカルウェットが視線を巡らせれば、アルムが手を振っている。彼はこの園内に入るためふわもこ──冬仕様になっていた。お目当てのしーちゃんもおり、さらに見つけたら声をかけようと思っていたカルウェットもおり。アルムは自分の服装が似合うかどうかを聞きに行くためにカルウェットたちの元へと駆け寄った。
 その後、3人でしーちゃんたちとお昼寝となったのはまた別の話である。
「わあ、あ、あ、〜〜!!」
 声なき声で尊死しかけた真はハッと我に帰り首を振る。頭の黒兎耳がそれに合わせて揺れた。
(俺はしーちゃんに会いに来たんだ!)
 会うまでは何としても死ねるものか。ああでも本当にふわもこ可愛らしい……。
「あ、しーちゃん!」
 その中に羊を見つけた真は一目散に駆け寄って抱きつく。その勢いにもなんのその、羊はマイペースだ。
「めぇ?」
「君たちのおかげで俺は冬を暖かく越せるんだ、ありがとう」
 溢れんばかりの大好きを体現して、真は羊へ「お昼寝させてくれる?」と語りかけたのだった。
「イーさん見て! どこもふわふわ!」
「ふふ、俺たちもふわふわだしね」
 作ってきたケープに殊更嬉しそうなリュカシス。その様子に目を細めながらイーハトーヴは欠伸を1つ漏らす。
「イーさん眠い?」
「最近、少しだけ寝不足で……」
「それは大変だ」
 寝られるなら寝ちゃおう、と羊のふわふわへ身をまかせるリュカシスにイーハトーヴも倣う。今なら2人でふわふわな柔らかい夢が見られるかもしれない。
「ね、イーさん。ケープをありがとう。可愛いものに対する気恥ずかしさがなくなったのはイーさんのおかげだよ」
「それを言ったら俺こそ、君のおかげでトレーニングが楽しくなったんだ」
 この時間だって、『一緒にいてくれるから』。本当はこの場にブラウも呼びたかったのだけれど、と苦笑するとリュカシスからも同じ表情で返される。仕方ない、彼は今カムイグラにいるのだから。
「お揃いの蒲公英色、また今度見てもらおうね」
 だから今ばかりは、2人で優しい夢を見よう。
「ぴよもふランドだ!」
「ブラウさんも来れたら良かったのにね」
 フランの腕の中で目を輝かせるワモン。フランはぽつりとそう零すが、離れていても魂はここにと言うようにひよこアイテムを身につけている。
「えーっと、でっけーブラウっぽいのを探すのか」
「そうそう。きっとすごくもふもふだよー」
 どこだろうかとビッグイノセントヒヨコを探す2人は、程なくして大きなひよこを見つけた。あれだ、きっとそうに違いない!
「あざらしたんぽと同じくらいぬくぬく……」
「オイラよりふわもこだぜ……」
 ぴっとりとひよこにしがみついた2人はそのぬくぬくに埋もれていく。フランが気づいた頃には──ワモンがいなかった。
「ワモンさん!? た、食べられちゃった!」
「違うぜフランー、フランも来いよー」
 きょろきょろと探せば羽毛の合間によく見慣れたヒレが見えて。ホッとしたフランは彼へ続くように羽毛へその身を埋めたのだった。
 ぬくぬく、もこもこ。未散はふわふわと意識を揺蕩わせる。
(今日は……そう。ヴィクトールさまとぴよもふランドに来たのです)
 彼はその巨軀を黒羊の着ぐるみで包み。自分は白羊の着ぐるみに身を包み。羊たちの越冬を助けるため、温もりを与えにやってきたのだった。着ぐるみをきて、しかも片やの身長を思えば目立って仕方ないのだが全ては羊のため。温もりと一緒に気持ちもプレゼントである。昼間の陽気も相まって、2人と羊たちはすっかり寝入ってしまっていたのだった。
(しーちゃんたちは……)
 眠たい目を開けて、おもむろに視線を移した未散。視界に映った羽に目を瞬かせ、それから溢れんばかりに目を見開く。
「ヴィクトールさま、起きて、起きて下さい!」
「……ぅ、ん? チル様?」
 未散の声にヴィクトールが目を覚ます。その間にも羊たちは自らの羽を出し始めていた。ヴィクトールもその光景を見ると目を瞬かせ、ああと空を仰ぐ。
「時間はあっという間ですね」
「ええ。冬なら海洋辺りは暖かいでしょうか」
 そうですね、と頷いたヴィクトールと未散は空へ羽ばたく羊たちを見送る。

 ──行ってらっしゃい。またどこかで。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 お疲れ様でした、イレギュラーズ!
 彼らにはきっと、またどこかで会えることでしょう。

 それではまたのご縁をお待ちしております。

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