シナリオ詳細
ローレット親睦お花見会
オープニング
●お花見の季節がやってきた
花粉に悩まされている人々にとっては、非常に複雑な気持ちになる季節、春が近づいている。
お花見にぴったりの季節でもある。
そしてお花見と言えば、宴だ。
ギルド・ローレットでは、イレギュラーズ同士の親睦会を兼ね、お花見を行うことになった。
ある程度、顔見知りになっていた方が、依頼で一緒になった時にやりやすいこともあるだろう、というのが一番の理由である。
そのため、飲食物は持ち込み自由、さらにはローレット近くの定食屋からたくさんの料理、飲み物も用意されることになった。
既に顔なじみの者同士で誘い合わせるのも良いだろうし、何となく近くにいた者と仲良くなってみるのも良い。
もちろん、1人でまったりと花を愛でるのもありだ。
ただし、酒類を飲んで良いのは成人した者だけである。
花見の宴席とは言え、守るべきルールは存在しているのだ。
●誰と行こうかお花見へ
細かいことが決定になると、ローレット本部に花見の参加者を募集するチラシが貼り出された。
次のような内容である。
「親睦会兼お花見参加者募集中!
来週末、午前12時よりギルド・ローレット主催でお花見を行います。
終了予定時刻は午後11時です。
開催時間中は、お好きな時間帯に参加していただけます。
参加条件は、イレギュラーズであることのみ。
是非、参加して親睦を深めあってください!
なお、場所はギルド近くのブロッサム公園となります。
場所の都合により、参加者は50名まで。事前申し込みのみとします。
先着順なので、お早めにお申し込みください。
飲食物の持ち込みは自由。ただし、ゴミはきちんと持ち帰ること!
こちらでもご用意しておりますので手ぶらでの参加も歓迎です。
まだまだ夜は冷える日も多いので、温かい飲み物のご用意もしております。
※未成年の飲酒は禁止です。
お花見なので、雨天順延です。
皆様のご参加、お待ちしております!」
ブロッサム公園には、桜の他にも様々な植物がある。
花を見に行くだけでも、きっと楽しめるだろう。
貴方なら、誰と出かけるだろうか。
1人で出かけるだろうか。
休日の宴席を楽しんで欲しい。
- ローレット親睦お花見会完了
- GM名文月
- 種別イベント
- 難易度VERYEASY
- 冒険終了日時2018年04月18日 22時45分
- 参加人数50/50人
- 相談7日
- 参加費50RC
参加者 : 50 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(50人)
リプレイ
●お花見日和の公園で
ローレット親睦お花見会の日。
見事に晴れて青空が広がっていた。
いわゆるお花見日和である。
会場となるブロッサム公園の都合で、定員が定められていたのが残念だが、多くのイレギュラーズが集まっている。
彼らの活動が本格的に始まってからそれなりに経過しているが、まだまだ会ったことがない、話したことがないという者がお互いに多い。
顔見知りになってはいても、こういったイベントでよりお互いを知るのも大切なことだ。
今日のお花見会はギルドがそう示した通り、親睦を深めるのに絶好の機会なのである。
これは、ギルドにとってもイレギュラーズにとっても重要な機会でもあった。
依頼で共に動く時、お互いを知っていて損なことはないのだから。
会場であるブロッサム公園には、朝早くからギルドの有志達が集まり、お花見会の準備をしていた。
慌ただしく動き回り、椅子やゴザ、飲食物の用意をしたり、日が暮れてからの照明となるかがり火、ランプなどを設置したりしている。
忙しそうではあるが、皆どこか楽しそうだ。
準備が終われば、彼らもお花見を楽しむつもりなのだろう。
そんなギルドの面々に混ざって、クロジンデ・エーベルヴァインの姿も見られた。
ローレットで受付嬢をしていたが、今はイレギュラーズとして活躍している彼女がいるのは、人手不足で駆り出されたからである。
場所の確保は事前に公園の管理者と話がついてはいたが、クロジンデも朝から来てお花見会スペースが分かりやすいようにロープを張る作業を手伝っていた。
そのせいか、クロジンデの表情には不満げな色も混じっているように見える。
この後も見回りや後片付けも依頼されてしまったので、せっかくのお花見が楽しめなくて残念なのかもしれない。
開始時刻まではまだ間があるが、既に何人かのイレギュラーズが姿を見せ始めている。
昼は暖かくなりすぎるかもしれないと、朝のうちに公園内を散歩しようと考えた銀城 黒羽もその1人だった。
ペットのサンを頭に乗せ、公園内に咲いている様々な花を見ながらブラブラしている。
途中、休日だからと早めに公園を訪れたクラリーチェに声をかけられた。
「可愛らしいウォンバットね」
「お、ありがとう。サン、可愛い子に褒められて良かったな」
サンは褒められてまんざらでもなさそうだが、小春日和で暖かいせいか少し眠そうにも見える。
「まあ、お上手」
可愛い子と言われ、クラリーチェがころころと笑う。
黒羽はその後も少しクラリーチェと立ち話をし、彼女と分かれると公園内を歩いてゆっくり一周しながら、公園内に咲き乱れる花を見て春が来たことを強く感じていた。
公園内の木々が多い場所に入ると、うっかり迷いそうになったが何とかなった。
戻ってくる頃にはお花見会の開始時刻になっており、用意されていた料理を食べながら、のんびりと花見を楽しんだ。
サンを頭に乗せたまま、のんびりしている黒羽の後方では、ジュアと『レイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタインが一緒にお花見をしていた。
2人は同じところに他の者達と住んでいるが、今日は2人での参加だ。
ギルドが用意していたゴザの上でジュアは横座りし、地面に落ちた桜の花びらをかき回すようにいじっている。
「薄いピンクで可愛らしい花だね。全て落ちたら面白い絨毯になりそうだ」
「砂漠出身だと、花自体が珍しいだろうなァ」
ジュアが未成年で飲酒できないため合わせてお茶を飲んでいたレイチェルが、花びらで戯れるジュアを見ながら笑みを浮かべる。
「花を見るのは楽しいが、腹は膨れないね。三色団子でも食べよう」
「ジュアは花より団子か? あんこをつけるとより美味くなるらしいぜ」
そう言って団子を食べ始める2人だが、食べ進めるにつれ何やら難しい顔になっていく。
「美味いんだが…牙にくっつく……ジュアは大丈夫か?」
「ジュアの牙も手こずっているよ。モチモチがどうも引っかかるね」
人間に近い容姿だが、牙がある2人にとって団子は鬼門だったらしい。
「これは予想外だったな……」
苦笑し、悪戦苦闘しながらも団子と桜を楽しむ2人であった。
メイメイ・ルーは、ドリンクバーとして様々な飲み物が用意されているテーブルのそばから、ジュアとレイチェルの様子を何となく見ていた。
「こんなところでぼんやりして、どうかしました?」
そんな彼女に、飲み物を取りに来たヘイゼル・ゴルトブーツが声をかける。
「あ、えっと、仲良さそうで、素敵な人達だな、って、つい……」
メイメイの羊耳がぴょこぴょこ動いて嬉しそうだが、人見知りなせいか少し困ったような表情になっている。
「飲むぞー! 一緒にどうです?」
すぐ近くでオレンジジュースをなみなみと注いだ コップを手にした雨宮 利香 が、メイメイとヘイゼルを誘う。
「いいですね、私はジンジャーエールでお願いするのですよ。料理は適当に取ってきましょう」
「おー、いーですねー。私も混ぜてください」
3人の話にマリナがそう言って入ってくる。
「どうぞどうぞ!」
利香がヘイゼルに頼まれたジンジャーエールをコップに注ぎながら答える。
メイメイは、わたわたしながらも嬉しそうに羊耳をぴょこぴょこさせていた。
「何飲みますか?」
利香がテーブルに置かれていたトレイに自分のオレンジジュースとヘイゼルのジンジャーエールを並べながら訊ねる。
「私は、甘いソフトドリンクなら……」
メイメイが答えると、マリナがどこからかマイジョッキを出してくる。
「私はこのジョッキにオレンジジュースをお願いします」
「了解!」
利香がオレンジジュースとリンゴジュースを注いでいると、ヘイゼルが大きなトレイで色々な料理を少しずつ盛ったお皿をいくつか運んできた。
そこに利香が持参していたチーズを皆で食べようと追加する。
「わぁーっはっはー」
「かんぱーい!」
それぞれにかけ声を口にし、乾杯してぷはーっとまるでお酒でも飲むかのように、ソフトドリンクを飲んでいる。
「あ、あの…私、メイメイ、です。よろしくお願いします…」
メイメイが名乗ると、そういえば忘れていたと他の3人も名乗りあった。
「いやぁ、和みますねぇ」
利香がヘイゼルの持ってきた料理をつまみながら言うと、メイメイもそれに応えるように言う。
「お、お花…さくらの花、綺麗です、ね」
そして、手を伸ばして丸ごと1つ落ちてしまっていた桜の花を拾って、丁寧にハンカチに包む。
それを見て不思議そうにする3人に、メイメイが説明する。
「記念に…押し花を、作ろうかな、って……」
これを聞くと他の3人も真似して押し花のために花を探し始め、最終的に4人で桜だけでなく色々な花を持ち帰り、押し花を作ったのだった。
●楽しいお花見
ポテト チップは、リゲル=アークライトやノーラと一緒に、家族3人で参加していた。
朝からお弁当も作ってきた。
おにぎりはリゲルが握って少し大きめだ。
ハムレタスチーズサンドにたっぷり入れられたレタスは、ノーラが千切ってくれたものである。
他にもハート型に作った卵焼き、唐揚げや朝摘みのいちごも入っている。
公園に来ると、まずはお弁当を広げて食べ始める。
どれも愛情たっぷりで美味しく、食が進む。
「綺麗な物を見ながら皆でご飯を食べると、より美味しく感じるだろう?」
リゲルが言うと、ポテトもノーラも満面の笑みで頷く。
「たまには、こんな風に家族で出掛けてのんびりするのも良いな」
「お花綺麗だし、お弁当も美味しい!」
リゲルは他の2人の分まで食べてしまわないようにと気を遣っていたが、唐揚げが美味しくてもう少し欲しくなってしまった。
「も、もう一つ、から揚げを食べてもいいかい……?」
「パパから揚げ食べたいのか。じゃぁ僕の一個あげるな!」
ノーラが持っていたフォークで唐揚げを刺し、そのままリゲルに食べさせてあげる。
「僕は代わりに苺いっぱい食べるから大丈夫だ!」
リゲルはそんなノーラの言葉と眩しいほどの笑顔に感激し、愛おしさでいっぱいになってしまったのか、一瞬動きを止める。
そして、ポテトとノーラの頬にキスをし、最高の笑顔を見せた。
「家族ができるとは、これほど暖かい事だったんだな……二人とも、いつも有難うな!」
「僕もパパとママが一緒であったかくて幸せいっぱいで嬉しいぞ!
パパとママも、いつも有難うだ」
今度はノーラが笑顔でポテトとリゲルの頬にキスして、2人に抱きつく。
「私も……いっぱい有難う」
2人ともよく食べるなぁとにこやかに見ていたポテトは突然のキスに驚き、赤くなりつつも笑顔でノーラとリゲルを抱きしめる。
そして、来年もまた3人でお花見に来ようと約束し、家族でのお花見を心から楽しんでいた。
そんな3人の前を横切り、1人で公園内を散策しながら桜の花を愛でているのは、ミスティカだ。
ミスティカは見た目こそ10歳くらいの少女だが、実際は驚くほど長い時を生きてきた存在である。
少女の額にきらめく赤い宝石こそ、ミスティカなのだ。
多くの人々の生命が尽きるのを見てきたミスティカにとって、桜の花が散るさまは嫌でも生命の儚さを思い起こさせる。
風で舞い落ちてきた花びらを手のひらで受け止め、足を止める。
じっと花びらを見つめながら、桜の美しさと儚さに思いを巡らせていた。
「私にもいつか、その時が来るのかしらね……」
1人そう呟くミスティカだが、今はただ純粋に花の美しさを見て楽しもうと思い直したのか、再び歩き出すのだった。
知り合いも何人か参加していることを知りつつも喧騒を避け、人の少ない方へと向かっていたMorguxは、ミスティカが歩き出した数分後に、偶然にも彼女が足を止めていた辺りで花見を楽しむことにした。
すぐそばにベンチがあったからである。
酒を飲まないMorguxの手には、ぶどうジュースの入ったグラスが握られている。
「いいねぇ。やっぱ自然ってのはこうじゃねぇとな」
ベンチに座り、ぶどうジュースを飲むMorguxの目には、風が桜の花びらを舞わせている様子が映っていた。
花見の席で盛り上がるイレギュラーズ達の声が遠くに聞こえている。
桜の木々を揺らす風がMorguxの頬を撫でると、少しの間、瞳を閉じて風の音と感触を楽しむ。
Morguxが、瞳を開けると少し遠くの方にシロが見えた。
シロは他のイレギュラーズ達と乾杯し、用意されていた色々なジュースを飲んで満足すると、走って遊んでいたのである。
桜の花びらを集め、空に向かって投げるとその下を走り抜けて桜吹雪の中を走る気持ちを味わう。
たれうさ耳が軽くなびくくらいに思い切り走っていたが、シロは花見をしながら1人トレーニングをしているレン・ドレッドノートの姿に気付いた。
すると、シロはレンが遊んでいるのだと思ったのか、走り寄って声をかける。
「たのしそー! しろも一緒にやっていい?」
レンは、シロが遊びだと思っていることに気付いていない。
「まだ小さいのに感心だな。構わないぞ」
「わーい!」
こうして、筋トレや走り込み等の公園内で可能な簡単なトレーニングを一緒に行うことになった。
しかし、しばらくやっているうちにシロは疲れて眠くなったのか、あくびをしてとろんとした目つきになる。
「ちょこっとさくらの木の下でお昼寝するね……」
そうレンに断りを入れて本当に桜の木の下で寝始める。
レンは公園入口近くに設置されているギルドのお花見会運営本部まで行って、ブランケットをもらってくるとシロが起きないようにそっとその体にかけてあげた。
今回のお花見は夜まで予定されているので、こういった心遣いの感じられる用意も万全である。
レンはまたトレーニングに戻り、桜の花を愛でシロを見守りながら自らを鍛えあげるのだった。
ブランケットをもらいに行く途中のレンとすれ違ったのは、料理の用意されているテーブルへ向かっていたルシフェル・V・フェイトだ。
「桜は何度見てもよいな!」
ルシフェルがそんな風に声をかけたのは、テーブルに並んだたくさんの料理を見て、どれを食べようかと迷っていた佐山・勇司だった。
「だなぁ、やっぱ桜はいいものだ」
そこへ華蓮・ナーサリー・瑞稀が通りかかり、2人を誘う。
「良かったら一緒にいかが? 私の作ったお弁当とあわせて、色々ご用意してるのよっ!」
「お、いいね」
これにルシフェルも勇司も飛びついた。
華蓮について行くと、そこには既に何人ものイレギュラーズが集まっていた。
全員、華蓮が声をかけて集めたのだという。
「そろそろ始めましょうか」
お花見会が始まって、そろそろ1時間くらい経っている。
どうやら、途中で何度か運営本部の方で乾杯の音頭をとっているようだが、参加時間も自由で広い場所なのもあってそれぞれが自由に楽しむ感じになっていた。
華蓮の集めたイレギュラーズ達で乾杯しようとそれぞれの飲み物を用意していると、挨拶まわりしていたエマがこれに気付いて小走りで近づいてきた。
「わたしも入れてくださいっ」
「喜んでっ!」
華蓮は多くの人と交流したいと思っているため、断る理由もない。
「では、かんぱーい!」
全員の飲み物が用意でき、すぐに乾杯となった。
そこからはそれぞれに料理を食べ、近くにいる者と話したり席の遠い者のところへ移動して声をかけたり、と自由に花見を楽しむ。
まさに宴といった雰囲気である。
「うん、このサンドイッチ小さめで食べやすいし美味しい!」
そう言って笑顔でもぐもぐしているのはアリス・フィン・アーデルハイドだ。
すると華蓮が嬉しそうに笑って礼を言う。
「まあ、ありがとう。それ、私が作ったの」
これを聞いていた他の者達は、何となくそのサンドイッチが食べたくなりそれぞれ手を伸ばす。
「まあまあ、とっても賑やかね!」
華蓮達の談笑する声に引き寄せられたのか、ソフィラ=シェランテーレがにこやかに声をかけてくる。
「あら、あら……もしかして、あなたも何か作ってきているの?よかったら私のサンドイッチと交換しないかしら?」
さらに、華蓮が何か料理を作ってきているらしいことを察してそう言い、持っていた籠バッグを差し出した。
「まあまあ、素敵だわっ! ぜひ交換して、一緒に食べましょう」
こうしてまた華蓮達のグループに1人増えたのだった。
ソフィラのサンドイッチは少し不格好ではあるが、心を込めて作られたのが分かる温かい味だった。
ベリー系のジャムの甘みの奥にいるほのかな酸味が爽やかで、とても美味しい。
華蓮とソフィラはお互いの料理をお互いに褒めあっている。
勇司は用意されている料理を食べ、近くにいたルシフェルと感想を言い合う。
「よし、じゃあ俺は一発芸します!!」
ルシフェルが何か思いついたのか、そう言って立ち上がると全員の注目を集める。
「ギフトで、どん! はい!! 光ります!!!」
その言葉と本当に光っている様子に、全員が受けていた。
ソフィラも華蓮から状況を説明され、少し遅れて一緒に笑っている。
「えひひひっ、宴会芸ができるギフトなんて、ある意味すごく強いですね」
エマがそんな風にルシフェルのギフトを評しつつ笑い、アリスも両手でお腹を抱えて笑う。
「どんな一発芸かと思ったら……これは予想外、です!」
元いた世界のことを考え、寂しさを感じることの多いアリスだが、今はそのことを忘れて心から楽しめているようだ。
その後、ルシフェルはアンコールを受けて何度かギフトによって光り、大いに場を盛り上げた。
それぞれが料理や飲み物を楽しみ、桜の花の美しさを楽しみ、親睦を深める。
途中、見回りをしていたクロジンデも呼び止められて混じり、15分ほど一緒に楽しんでいったが、あまり長く仕事を放置するのも良くないからと名残惜しそうに去って行った。
クロジンデが華蓮達と分かれ、少し歩いた先で横を通り過ぎたのが、角のベンチに並んで座るクロウディア・アリッサムとウィリア・ウィスプールだった。
2人は無人島で知り合い、そこで3日間のサバイバルを共に乗り越えた仲である。
「良かったら、これ。一緒に…どうぞ……味は、悪くないはずです」
僅かな間、桜に心を奪われていたクロウディアだが、ウィリアから差し出されたサンドイッチを見て、嬉しそうに笑って受け取る。
見た目は完璧ではないが、相手を想う気持ちに溢れたそのサンドイッチはとても優しい味がした。
ふとクロウディアが何かを思い出したように手を止め、懐から小瓶を取り出すとウィリアに差し出した。
「貴女に渡そうと思っていました。この桜と似ていますね」
「わ、わ…これ、あの島で? …そうですね、この花びらと…そっくり。ありがとうございます…」
小瓶の中には2人が3日間過ごした島でクロウディアが拾ったという貝殻が入っている。
ウィリアは、嬉しそうに目を細めて受け取る。
サンドイッチを食べ終えるとウィリアの提案で一緒にこの小瓶に桜の花びらを入れ、この日の想い出としたのだった。
クロウディアとウィリアが花びらを拾い集めている後ろでは、ミア・レイフィールドとティア・マヤ・ラグレンが一緒にお花見をしていた。
ミアは以前の依頼で入手したテリヤキチキンなる生き物を挟んだサンドイッチ、くまくまハンバーグ、練達で仕入れたこぉら、ミルクや果実水といった飲み物まで、色々取り揃えていた。
これを見たティアは歓声を上げ、ミアを後ろから抱っこして頭を撫でる。
「流石ミアだね」
「社長だから当然…なの! ティアティアはもっと褒める…の♪」
ミアは褒められて嬉しそうだ。
ティアはその言葉に応えて喉も撫で、ミアの猫耳をもふもふする。
するとミアが閃いた。
「社長命令…なの! ティアティアは、ミアを抱えて空飛ぶ…の。空中花見…なの!」
こうしてティアがミアを抱っこしてその4枚の翼で飛び回り、空中からのお花見を楽しむことになった。
ミアは大はしゃぎである。
『職権濫用だな』
ティアの胸元にある十字架に封印された神様がミアに苦言を呈するが、ミアは気にしていない。
「おや、焼きもちかにゃ?」
逆に煽っていく。
『私はティアに対してそういった感情は持ち合わせていない』
神様は冷静に返してくる。
「まあまあ……」
ティアがミアと自分を操って話している神様の仲裁に入るという、不思議な光景が繰り広げられていた。
ミア達が飛び回っている下では、ロズウェル・ストライドが花見と言えばお酒だと、やっと飲める年齢になったことを喜びつつ、一口飲んだだけで酔いつぶれてしまっていた。
そんなロズウェルに膝枕してやりながら、のんびり桜を眺めているコルザ・テルマレスの姿は、1枚の絵画のようだった。
「む……ううん、はっ、此処は……コルザさん?」
やっと目が覚めたロズウェルが目にしたのは、自分の顔を上から覗き込んでいるコルザだった。
「…おや、起きたかい?」
慌てて起き上がろうとするロズウェルだが、コルザに無理をするなと止められてそのまま膝枕されておく。
「今はゆっくり花を見よう。懸命に咲き、人の記憶にだけその姿を残していく花を。…君は、その志のように凛とした花となるのだろうか」
落ちてくる桜の花びらを見ながら、コルザが言う。
「…人の一生は短いですからね。志半ばで散ったとしても、覚えていて貰える花になれれば嬉しいですが」
そんな風に言って掌を光に透かせていたロズウェルだが、空を見てコルザにふと視線を移し、その姿を褒める。
「散りゆく花も綺麗ですが、こちらの花も大変見目麗しいと思いますよ」
「なら、掴んでみるかい?」
ロズウェルの手を掴み、自分の方へ引き寄せるとそんな冗談を言いながら落ちてきた桜の花びらをその手に掴ませるコルザであった。
コルザがロズウェルを膝枕し、目覚めるのを待っていた時。
番傘を片手で差し、もう片方の手でマナ・ニールの手を引きながら彼らの横を歩いて行ったのは十夜 縁だった。
桜が咲き乱れる下をのんびりと2人で歩いて行く。
「遠慮しねぇで、もうちっとこっちにこい。な?」
まだ春だとは言え、日差しに直接当たっていては日焼けしてしまうだろう、と縁がマナの白く美しい肌を気遣う。
マナは縁に寄り添うが、頬が赤くなっているのが分かる。
「……見てみろ、マナ」
呼ばれてマナがそちらを見ると、見事な桜吹雪だ。
花びらが地面に落ちる前に捕まえられれば願いが叶う、というおまじないがあるのだと縁がマナに教える。
「ステキなおまじないですね。やってみます……!」
「一番綺麗なやつにするんだぜ」
縁はマナが動きやすいように一旦手を離し、マナがヒラヒラと舞う桜の花びらをキャッチしようと両手を伸ばす。
地面に落ちる前に、何とか手の中に閉じ込める。
「ははっ、見事だ。流石だねぇ、お前さん」
褒められて嬉しそうなマナだが、何を願ったのかは言わない。
また、縁もそれは無粋だと思ったのか、聞こうとしなかった。
その後、再び縁がマナの手を引いて歩き、散歩と花見を2人で存分に楽しんだ。
縁達とすれ違い、桜の下を並んで歩くのは蜻蛉と鬼桜 雪之丞だ。
「桜の雨やね…綺麗やけど、少し切なく感じて儚く見えるんはなんでやろね」
蜻蛉が立ち止まって小さく首を傾げる。
雪之丞も立ち止まりその言葉に少し考え込むと、蜻蛉が雪之丞の髪についた花びらを取ってあげる。
「桜は散り際が最も美しい、と聞きまする。風雅な事は言えませぬが、長い冬を経てただ一時のために咲き、散っていくからでしょうか。どの姿も、同じ桜であることには違いありませぬのに、不思議です」
雪之丞の返答を聞きながら、蜻蛉が持っていた和傘を差し2人で入ったので相合傘になった。
「子供や思てたけど、ええこと言うやないの……」
その大人っぽい返答に感心し、再び歩き始める。
「散り際が一番綺麗、なぁ…せやから人は、そこに人の命の儚さを重ねるんかもしれへんねぇ。儚いからこそ、大事にせんとね…」
蜻蛉がどこか物悲しい表情で歩きながら話す。
「そや、雪ちゃん。来年はうちとやのうて、素敵な殿方とお花見来れたらええね。嗚呼、せやけど何や寂しい気ぃもするし、複雑やわぁ……」
「拙には、殿方のお知り合いが居ませんので…。何故、複雑なのかは分かりかねますが、蜻蛉さんが、来年。
殿方とこうして歩くところを想像すると、少しモヤモヤします。不思議ですね」
雪之丞は、自分が先程の蜻蛉と似た複雑な表情を浮かべていることに気付いているだろうか。
「それでも…来年も今日と同じく、楽しい日であればと思います」
そう言って、雪之丞も微笑んだ。
蜻蛉と雪之丞が歩いていた桜並木の道の横、芝生の広がる場所でエスラ・イリエが三色団子片手に果実酒を飲んでいた。
桜の幹に背中を預け、リラックスした様子である。
「花は春の装いってところかしら? この時期は周りが騒がしくって大変ね? それとも、綺麗だってほめられるのはやっぱり悪い気分がしないものかしら」
果実酒を少しずつ飲みながら、桜の木に自然会話のスキルを使って話しかける。
他の植物達とも話し、1人でもそれなりに楽しんでいるようだ。
そこにやってきたのはゴリョウ・クートンだ。
「ぶははははっ、楽しんでるか? もし連れがいないなら一緒に飲まねぇか?」
見ればゴリョウは酒とつまみを両手に持っている。
「ええ、構わないわ」
少し人見知りしているのか、桜に話しかけていたときより若干その表情はかたく見えるが、エスラはゴリョウの申し出を受け入れた。
「最近はサーカス関係が妙に血生臭ぇが、そういう時だからこそこういうメシと花で心を癒さねぇとなぁ」
言いながらゴリョウがエスラの向かいにドカッと腰をおろす。
「そうね、時にはこんな風にのんびりするのも大切よね」
「そうそう! おめぇさん分かってんな! ぶははっ」
かなりタイプの違う2人だが、酒とつまみと桜のお陰か、その後も和やかに話しながら花見を楽しんでいた。
エスラやゴリョウの近くにあった大きな桜の木をじっと見上げていたのは、シキだ。
付喪神として人の形を得た刀であるシキにとって、桜は不思議な感覚を覚える植物である。
元いた世界、ずっと蔵の中で使い手を待ち続けていた間に、小窓から舞い込んできた花びらを初めての友達と感じていた。
だから桜の花びらは知っているが、桜自体は見たことがない。
つまり、シキは友達の全身を今日初めて見たわけだ。
だが、名前が分からない。
近くに誰かいないか見回すと、散策しながら色鉛筆で花を写生して回っていたクラリーチェが目に入った。
「…この花は…何という、名前ですか?」
突然質問されてクラリーチェは少し驚くが、シキに花の名前は桜だと教え、また花を探しに行く。
「さくら……」
シキは桜という言葉の一音一音を大切に、発音する時の感触まで愛おしむように呟き、そっと桜の幹に手を置いて、懐かしい友との再会を喜ぶのだった。
●宴もたけなわ
九重 竜胆は、朝早くからお弁当を用意してきていた。
これを広げて周囲の参加者に取り分けてお裾分けしているうち、気付けば何人かのイレギュラーズと一緒に花見をしていた。
「お花見なんて久々だなァ…こっちにも桜があるなんて思わなかったよォ」
そう言って竜胆の料理をつまみに日本酒を飲んでいるのはヨダカ=アドリだ。
風が桜の木を揺らし、はらりと舞った花びらがヨダカの持っていた盃に入る。
「ああ、いいわね…風流だわ」
竜胆がそれを羨ましそうに見ながら言う。
中身はおっちゃんである竜胆も酒を飲みたいが、体は未成年なのでぐっと堪えている。
自分で作ってきた弁当を食べ、桜を見て気を逸らしているようだ。
竜胆の言葉にヨダカの盃を覗き込んだラクリマ・イースは、自分も日本酒を飲んでいるのだが桜の花びらが上手く落ちてこないことに落胆した。
しかし何やらインスピレーションが湧いたようで、すぐにまた上機嫌になる。
「竜胆さんとヨダカさんのお陰で、とても明るくて優しい歌ができそうですよ」
そう言ってハミングし始める。
「あは、それは良かったよォ…!」
ヨダカも上機嫌で、盃に残っていた日本酒を桜の花びらごとぐいっと飲み干す。
公園内の桜や他の花々を見て回っていたブローディアも、竜胆の料理を楽しんでいた。
厳密に言うならブローディア自身は刃物なので飲食しないが、使い手であるサラが料理を食べてジュースを飲み、楽しんでいる。
全員がデザートが欲しくなってきた頃、歩き回っていた間にギルドが用意した中から適当に見繕い、集めていたお菓子を並べて皆で食べる。
「やっぱり桜って綺麗だよね。一年中咲いてたら良いのに」
「そう言ってやるな。確かに春の姿は格別に美しいが、葉桜も葉が散った後の姿も、変わらず桜の生きた姿なんだ」
ブローディアとサラがそうやって話していると、竜胆が深い、と一言呟いた。
一方、ズットッド・ズットッド・ズットッドは、基本的にはラジオ受信機を使って1人で喋っている。
だが、竜胆の料理を食べては美味しいです、と感想は述べていたし、他の者が話しかけるときちんと返事もしていた。
「花を愛でてみますか」
『花が咲いてるね』
『花が散ってるね』
『……で?』
「おれにはいまいち情緒が足りないようですね」
『花より団子?』
『団子』
『飲むの?』
「団子を飲むのは難易度が高いです」
これを聞いていたラクリマが即興で何やら歌を作り、披露した。
歌詞はズットッドが話していた内容である。
その場にいた全員がこれを聞いて楽しんだのだった。
恋人同士でお花見に参加しているジェイク・太刀川と夜乃 幻は、2人の時間を過ごしたいと思い、できるだけ人気のない場所を探して竜胆達のそばを通り過ぎて行く。
ようやく、木々が周囲からの視線を遮ってくれそうな場所を見つけると、そこに落ち着くことにする。
他の場所より桜は少ないが、代わりに芝桜が多い。
ギルドの用意していたお酒を瓶ごと1本もらってきていたので、一緒に飲みながら花を眺める。
幻は、花の美しさや風の心地よさにリラックスしていたが、ジェイクは花より幻が気になって仕方ない。
桜の花びらや芝桜の中にあって、幻はいつも以上に綺麗に見える。
ジェイクはじっと幻の瞳を見つめていたが、気付けば幻を抱き寄せていた。
「桜の花も綺麗だが、幻はそれ以上だ」
酒の勢いもあったのか、そのまま幻を膝の上に乗せると後ろから抱きしめる。
緊張からか、聴覚が敏感になり全ての音が大きく聞こえる。
そんな幻の耳元で、ジェイクが囁くように言う。
「そろそろ俺の事は『太刀川様』ではなく、『ジェイク』と名前で呼んでくれないか?距離感を縮めたいんだ」
幻はすぐには言葉が出ないが、ジェイクの想いに答えてようやく蚊の鳴くような小さな声で、その名を呼んだ。
「ジェイク様……」
ジェイクは幻を強く抱きしめ、幻の体温を感じていたのだった。
羽目を外したかったのか、アマリリスも人のいないところを探していたので、ジェイク達から距離はあるが少し近い場所まで来ていた。
辺りに誰もいないことを確認して、道中で集めていた両手いっぱいの桜の花びらを思い切り空へ向かって投げる。
「えーい、桜吹雪〜! えへへー」
舞い落ちてくる桜の花びらの中、くるくると回って楽しんでいたが、ふと自分の後ろに人がいることに気付く。
それはアマリリスと顔見知りのクロバ=ザ=ホロウメアだった。
桜の花びらを頭の上や鼻、肩などに乗せ、じっとアマリリスを見ている。
「って! きゃぁあ!? クロバさまが花びらまみれに!? あわゎ、今花びらお取りしますね!?」
人がいたことにも驚いているが、それがクロバだったことにさらに驚き、そして自分が彼を花びらまみれにしてしまったことにもっと驚いて、それ以上に慌てて花びらを取っていったのだった。
アマリリスのように人のいないところを探していたわけではないが、アマリリス達が立ち去った後、牙軌 颯人がそこへやってきた。
桜の花を見ているうちに、自らの失態で喪った兄弟子のことを想い、その子である自らの弟子のことを想って歩いていたら、いつの間にかここに来ていたのである。
「次はアイツを連れて来ますよ、まだあなたの事を話せてはいませんが、あなたはどう思っているのでしょうね……」
ふと足を止めてそんな風に独り言を言うと、我に返って周囲を見回す。
いつの間にか1人になっていることに苦笑しつつ、兄弟子の忘れ形見であり自らの弟子でもある彼には、自分達のような人生を歩ませないようにしたい、と強く願うのだった。
●夜桜もしっかり楽しむ
夕方近くになると、一旦人が少なくなったが日が沈み始めるとまた少し増えてきた。
昼食を楽しみつつ花見をする者のうち帰る者も出て、今度は夜桜を楽しもうと新たに出かけてきた者がいるからだろう。
ルチアーノ・グレコも後者である。
シートを持参してくれたノースポールと一緒に場所を決め、シートを敷いてギルドの料理や飲み物をもらってくる。
昼間より参加者が少ないので、比較的静かだ。
2人が黙ると、桜を照らすかがり火のパチパチという音が時折聞こえてくる。
「うん。今宵の風光明媚を祝って! 乾杯!」
用意が整うとルチアーノが促して乾杯する。
すぐには飲まず、桜を眺めてルチアーノの様子をちらりと窺ったノースポールだが、目が合ってしまって慌ててしまう。
さっと目を逸らし、もらった飲み物をぐいっと飲むが、様子がおかしい。
目はとろんとし、頬が赤い。
「様子が妙だけど…それ、もしかしてお酒?」
心配してルチアーノが問いかける。
「これ…?あったまるのくださいって、もらったの。にがぁい、このおゆ……」
成人した女性がそう言ってきたので、ギルドの人間は勘違いしてしまったのか、気を遣ってくれたのだろう。
だが、下戸であるノースポールが飲んだのは日本酒である。
完全に酔っ払ってしまったようだ。
「わっ、ま、待って。そんなに密着したら…!」
ノースポールはルチアーノにぴったりくっつき、特に何もないが楽しそうにふふふと笑っている。
ルチアーノは真っ赤になりたじたじだが、身体が冷えないようノースポールに上着をかけてやると、緊張しつつも優しく微笑んでなすがままになる。
ノースポールはさらに密着し、ルチアーノの腕に頬を擦り寄せてぼーっと夜の暗闇に浮かび上がるような桜を眺めていた。
そんなルチアーノ達の様子を横目に見て、微笑ましく思いつつ通り過ぎたのはアンナ・シャルロット・ミルフィールだ。
しばらく1人で公園内を歩き、夜桜を見て楽しんでいたが、持参したロゼワインを飲んで花見をしているクラリーチェに声をかけられ、足を止める。
アンナはまだ14歳なので一緒にワインを飲むことはできないが、桜の花びらが入っているというそのロゼワインに目を奪われた。
「とても綺麗だわ。私もいつか飲んでみたいものね」
アンナの言葉に気を良くしたクラリーチェは、近くを通りがかったウィルフレド・ダークブリンガーにも声をかける。
「そちらのミスタ、一緒にいかが?」
ギルドの用意していた酒を手に、気ままに公園内を歩いて月明かりとかがり火の両方に照らされた桜や、目立たない場所でひっそりと咲いている名前も知らない小さな花などを見て楽しんでいたウィルフレドだが、本来の他の参加者達と親睦を深めるという目的を思い出してこの誘いを受けた。
「美しい女性からのお誘いは断れない。ご一緒させてもらおう」
不器用だが、精一杯の気の利いたセリフを口にする。
この言葉に、クラリーチェは上機嫌だ。
「お一つどうかしら」
アンナが作ってきたマフィンをバスケットから出し、2人に勧める。
2人とも喜んでこれを受け取り、クラリーチェのロゼワインと共に楽しむ。
アンナは水筒に用意してきた紅茶をカップに注ぎ、自分もマフィンを食べながら2人の反応を窺っていた。
2人は美味しいと褒めてくれたので、アンナもホッとしたようだ。
その後、3人でギルドの料理も楽しみつつ夜桜を愛で、これまでに自分達が参加してきた依頼の話、召喚されてからの話などで盛り上がった。
アンナ達を遠くに見ながら、ゲオルグ=レオンハートは自らのギフト、ふわもこフレンズで羊のジークを呼び出し、久しぶりに一緒にゆっくり過ごしていた。
昼にうちに弁当を作って持参し、ギルドの料理からも適当に見繕って一緒に並べる。
ゲオルグは酒を飲みつつ夜桜を楽しみ、ジークに弁当を食べさせてあげた。
最近はあまり一緒にいられなかったせいか、ジークはいつも以上にゲオルグに甘えてくる。
それに精一杯応えてやりながら、静かに夜の花見を楽しむのだった。
花見を終えると、ゴミをきちんと片付けて帰宅する。
明日からまた頑張ろう、そう思いながら家路についたゲオルグの表情は、とても優しげだった。
●家に帰るまでがお花見
イレギュラーズ達が帰った後、ギルドの面々は片付けに勤しんでいた。
利香やアリスもクロジンデと手伝い、マリナは酔って寝てしまったギルドの人間に水を飲ませて世話している。
しかし、イレギュラーズとは言え利香やアリス、マリナは未成年である。
後は自分達がやるから、とギルドの者に帰されたので、3人で途中まで帰ることにした。
帰り道でも話が盛り上がっていたのは言うまでもないだろう。
こうして、ギルド主催のお花見会は盛況のうちに無事終了した。
ギルドの者達で会場の片付けや掃除を行い、全て終わって全員が帰宅したのは深夜のことだったという。
翌日、ローレット本部では二日酔いのギルドメンバーが何人かいたとか、いなかったとか……。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
大変お疲れ様でした。
今回は私、文月の担当しましたシナリオにご参加いただきありがとうございました。
今回、記念のアイテムを配布させていただいた方がいらっしゃいますので、リプレイをお読みになり心当たりがあった方は是非確認してみてくださいませ。
お花見、少しでも楽しんでいただけましたならば幸いです。
またの機会がありましたら、よろしくお願いいたします。
GMコメント
閲覧ありがとうございます、文月です。
今回はお花見に参加して楽しむのが目的です。
以下、補足となります。
●成功条件
・とにかく楽しむ
楽しんでください。それだけです。
●参加について
1人での参加、お友達同士での参加、ギルドでの参加、いずれも歓迎です。
1人での参加で、他の方と絡みたくない場合は【1】を、1人で参加だが他の1人参加者と絡みたい場合は【2】を冒頭にお書きください。
お友達同士での参加の場合はお相手のフルネーム、もしくはグループ名の記載が必須です。
ギルドでの参加の場合は、ギルド名を記載が必須となります。
●ご注意
お花見の席なので、多少羽目をはずすくらいは良いと思いますが、会場は公園です。
公序良俗を守って楽しく過ごしましょう。
未成年の飲酒、未成年へ飲酒を勧める行為はよろしくありませんので、未成年の方はお花見ですがソフトドリンクで乾杯しましょう。
●その他
口調や性格等が分かりやすいよう書いていただけたりしますと、大変助かります。アドリブ不可と記載がない場合は高確率でアドリブが入りますのでご注意ください。
皆様のご参加、お待ちしております。
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