シナリオ詳細
Go! ユーノ・ハマー!
オープニング
●気前の良い主
とある小さな温泉街「ユーノ・ハマー」。
立ち上る湯気、レトロな外観の宿、道沿いに並ぶ土産物屋の数々……決して都会的ではないが、自然に囲まれた長閑な風景の中で湯に浸かるそのひとときは格別なものだろう。
ユーノ・ハマーを仕切っている「会長」と呼ばれる男性は、どうもローレットとちょっとした縁があるらしい。
詳しく話すと長くなるが、会長の知人の息子が何度かローレットのイレギュラーズたちに危ないところを助けてもらったそうで、この息子と会長の息子はそこそこ仲が良いという。
つまりは、「息子の友の恩人はおいらの恩人さ」という事らしい。
はっきり言ってしまえば、大した縁ではない。
だが、きっかけはどうあれ会長のローレット愛は本物だ。
会長は何を思い立ったか「ローレット特別感謝キャンペーン」と称して期間限定の大々的なサービスをローレットのイレギュラーズ限定で開催する事にした。
イレギュラーズたちを無料で一泊二日の温泉旅行に招待するというのだ。
●受け入れに全力投球
会長が誇るユーノ・ハマーは、決して大きくもなければ物流も交通も便は良くない。
だが、会長が長年精魂込めて築き上げてきただけあって観光客を楽しませる事にかけては申し分ない。
様々な不思議な効能を持つ幾つかの「秘湯」。
温泉街唯一の宿は様々な仕様の宿泊室を用意しており、ベッドを並べた洋風の部屋はもちろん畳敷きの和室もあるという。
宿の中にはプレイルームもあり、定番の卓球台が数台設置されているとか。
街道沿いの土産物屋の中には、独特なデザインの衣装を貸し出してくれる「レンタルコスプレショップ」的な店もあるらしい。
しかも、観光客がご希望とあれば夜に打ち上げ花火も披露してくれるとか。
ただ、この温泉街は山間にあり、海がない。
山々の間に咲く花火を断崖絶壁で眺める事にはなるが、当然それを見越して崖の上には露店が数軒並んでいる。
露店で軽食を買い、岩場に腰掛け花火を眺める……これもまた一興。
「こいつはいいや。鍛錬の疲れも傷も癒えるってもんよ。俺だって、たまには体を労んねえとな」
イグナート・エゴロヴィチ・レスキン (p3p002377)の兄弟子であるブラッド・ウォンも、偶然ユーノ・ハマーに来ていた。
どうやら、彼の目的は湯治らしい。
「おいらの自慢・ユーノ・ハマー! さあさあ皆さん、おいでなさいな!」
会長は、街を挙げてイレギュラーズたちを誠心誠意おもてなしする気満々だ。
さあ、思い思いのひとときを楽しんではみないか?
- Go! ユーノ・ハマー!完了
- GM名北織 翼
- 種別長編
- 難易度EASY
- 冒険終了日時2020年03月11日 22時05分
- 参加人数25/25人
- 相談5日
- 参加費100RC
参加者 : 25 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(25人)
リプレイ
●
『特異運命座標』トゥリトス(p3p008152)は一見して衣料品店にも見える建物の前で足を止めた。
「え、レンタルコスプレショップ!? なにそれなにそれ!!」
コスプレが趣味のトゥリトスは逡巡なく店に飛び込んだ。
店内には様々な衣装が陳列されている。
西洋風のドレスや甲冑はもちろん、メイド服や学生服、羽織袴に変身後のヒーローのような全身タイツ……。
ドレスだけでも様々なシルエットを取り揃えており、一体何着あるのか分からぬ程だ。
「はわぁあああ、なんて、なんて素敵な場所!」
奥から出てきた店主もトゥリトスのキラキラした瞳に満足げだ。
「ああ、あっちを見てもこっちを見ても素敵な服が沢山!!」
「遠慮せず手に取って着てみて下さいよ」
店主に促され次々と衣装を手に取る。
「これすごいフリフリで可愛い! こっちは……どうやって着るの? これは……」
手に取ったそれはやけに露出の多いSMコスチューム。
(すごく、えっちぃ……)
トゥリトスは頬を赤らめながら衣装を棚に戻した。
店の奥には画家も控えている。
トゥリトスは白いフリルドレスと花模様の着物に青い袴を見比べ、
(どっちも着たことないから、どっちも着てみたい……でも時間がなくなっちゃうよね……)
と悩んだ末に、
「こっちにする!!」
とドレスを手に試着室に入った。
「可愛く描いて下さいね?」
フリルをヒラヒラさせながら試着室を出たトゥリトスは、画家の前に立つと満面の笑顔で上品なお姫様のようにポージング。
画家は真剣な面持ちで筆を走らせるが、トゥリトスの指先はプルプルと震え出す。
(同じ体勢続けるのって、つらあああい!!)
とはいえ、数十分後仕上がった絵の中の彼女は優美に微笑み本当にどこぞの姫かと思う程に愛らしい。
トゥリトスは絵の出来栄えとコスプレを楽しめた事に喜びながら店を出た。
●
「風情があって良いわねぇ……疲れた体を癒すにはもってこいだと思わない?」
『Righteous Blade』アルテミア・フィルティス(p3p001981)は『慈愛の英雄』ユーリエ・シュトラール(p3p001160)と『真実穿つ銀弾』クロバ=ザ=ホロウメア(p3p000145)に微笑んだ。
「はいっ! やっぱり冬といえば温泉に限りますよね! けど……って、ありました!」
ユーリエはいち早く目的の店を見つけて駆け出し二人に満面の笑みで手を振る。
「今日の私たちの目的はここですよ!」
ユーリエは足取り軽くレンタルコスプレショップに飛び込んだ。
「ここが、ユーリエさんが見つけた『面白い場所』……へぇ、普段見かけないような衣装まで結構色々なモノがあるのねぇ」
「確かに、随分と変わったものを置いてるんだな」
アルテミアとクロバはその品揃えに感嘆の息を洩らした。
(温泉街は幾つか行った事があるが、さすがに「レンコス」は珍しいな。折角だし、仮装して楽しんでみるのもいいよな)
「本当、色んな衣装がいっぱいですね~! これ全部コスプレできるんですか?」
ユーリエが問うと、店主は
「ええ、お時間が許す限り」
と答える。
「何にしようかな~、迷っちゃうなぁ~! あっ、三人でファッションショーしましょうよ! んー、私は……」
ユーリエは興奮気味に衣装を見て回り、
(これなんかコスプレしたら面白そう!)
と、レトロな学生服に釘付けとなった。
古き良き時代を忍ばせる学ランと学生帽に太腿丈のマントまでセットだ。
「私はこれにしようと思います」
「ではお客さん、こちらも」
店主は小道具として古書をユーリエに手渡す。
「ありがとうございます、早速お着替えしてきますね!」
一方、クロバの関心は西洋騎士風の甲冑に向く。
店主の手を借りながら甲冑をかっちりと着込み小道具の大剣を掲げれば気分は「威風堂々とした高潔なるナイト」。
「我が身我が剣を以て! 己が忠義を知らしめん!!」
(……天義騎士を思い出すな)
すると、着替えを終え本を小脇に抱えてユーリエが戻ってきた。
学生帽を目深に被り腰に手を添えポーズをキメると、
「へぇ、クロバ君カッコいいじゃないか!」
とクロバの格好を褒める。
口調や呼び方まで少年風にして、気分は完全に「大正時代の男子学生」だ。
(でも、帽子に詰め込んだ髪の毛がちょっと重いし、普段しない格好だから、何か変な感じ……似合ってるかなぁ?)
「ユーリエも素敵だよ」
クロバの一言でユーリエの不安は吹き飛んだ。
「ありがとう! 折角だから私……いや僕は帰るまでこの姿で少年として過ごすよ!」
「……なかなか悩ましいわね」
アルテミアは豊富な衣装を前に決めかねている。
(可愛いのもいいけれど、カッコいいのも捨てがたいわ……)
「……よし、私はこれに着替えてみましょう!」
悩んだ末に彼女が選んだのは「カッコいい」方だった。
海賊風の衣装を着込んで帽子を被り、左目にはシックな黒の眼帯、腰には小道具のマスケット銃とカタールを差し込む。
「お客さん、仕上げにこれを」
店主がワインレッドの豪奢な上着を羽織らせると、彼女は見事に「大海賊の女船長」に姿を変えた。
「んん……決まったな」
海賊船長になりきって傲慢な口調を意識しながらアルテミアは二人の前に姿を現す。
「海賊かぁ! 強そうでカッコいい!」
ユーリエが褒めちぎると、
「二人もなかなか似合ってるじゃないか!」
とアルテミアも威勢良く返した。
三人のなりきり具合に気を良くした店主は、
「お客さんにはこちらもお似合いかと」
とクロバに漆黒の燕尾服を差し出す。
(実は執事業も何度か経験が……な)
偶然に苦笑しつつ、今度は燕尾服姿に。
小道具を眼鏡に替えてブリッジをクイッと上げながら、
「手入れが行き届いてないですね……奉公人としての自覚はおありですか? 妥協は許されません。主に完璧な奉仕をする事、それが我々の義務なのです」
なんてクールな鬼執事長をキメてみる。
「――ここまで厳しくやるつもりはないんだけどな」
自らに軽くツッコミつつふと視線が向いた先には全身フル装甲に仮面まで付いた衣装があり、そのシルエットは子供が憧れそうな「変身して戦うヒーロー」を彷彿とさせた。
(子供の頃はヒーローってやつになりたいなんて思った時期もあったかもな……今ではローレットで似たような事もしてるけどさ)
「変身とかやってみたいな……カッコよく!」
クロバの呟きに店主はライトとサウンド機能搭載のサーベルまで用意する。
仮面騎士に扮したクロバはサーベルのボタンを押して
「変身!」
と「ヒーロー」になりきった。
「折角だから画家に姿を描いてもらおうじゃないか」
女船長の提案で、三人は画家の前でポーズを取る。
「本を抱えるその姿は如何にも書生らしくていい、仮面騎士もそのポーズは強そうに見えて素晴らしい!」
銃を構える女船長は上機嫌に学生と仮面騎士を褒めた。
ワイワイと互いに褒め合っている間に仕上がった絵は、明るい色調で楽しげな雰囲気が上手く醸し出されていた。
そして……楽しい時間はあっという間に終わり、三人は衣装を返して帰路に就く。
「ファッションショーは全員優勝だね! いや~、今日は本当に楽しかった!」
「口調が戻ってないじゃないか……って、あっ」
ユーリエとアルテミアは互いにはっとした。
「なりきり口調がなかなか抜けないです……」
「私もつられちゃったわ」
ひとしきり笑い合うと、ユーリエは二人に
「今日はありがとうございました!」
と礼を言う。
アルテミアはそれに温かな笑みを浮かべた。
「こちらこそ! さ、この後は温泉宿でゆっくりしましょう?」
●
『魔動機仕掛けの好奇心』チャロロ・コレシピ・アシタ(p3p000188)は、珍しい効能を持つ秘湯の存在を聞き喜び勇んでやってきた。
(オイラの体にも効くのかな……?)
混沌に召喚される前、チャロロは生身の殆どを機械に置き換えざるを得ない重傷を負い、それ以降彼の体は成長を知らない。
(資材も環境もないから背を伸ばす事さえ出来ないってハカセも言ってたし……)
チャロロが足を浸けるのは「憧憬の湯」……彼は大人になった自分の姿を見てみたいのだ。
シンプルな紺の海パンは念のためオトナサイズ。
藁にも縋る思いで彼は肩まで湯に浸かった。
(久しぶりの温泉……しかも、混浴なんて初めてだ……)
周囲を見回すと、先に入湯していたらしい年配の女性が徐々に若返っていく。
その艶めかしい色気にチャロロは頬を紅潮させながら咄嗟に顔を背けた……が。
(わぁ……)
グラビアアイドル顔負けの女性のシルエットを視界の端ギリギリでキャッチ。
だって、男だもの。
水着姿の女性ににんまりしながらも、チャロロはしっかり憧れの自分の姿をイメージする。
すると、肩がどんどん水面から上がってきた。
肩や胸回りには程良い筋肉、手足も伸びて男性らしく筋張っている。
「マ、マジで背が伸びてる!? ほんとに効くんだ!」
チャロロは嬉しくなって立ち上がると先程の女性に尋ねた。
「オイラ成長してる? かっこいい!?」
「ふふ、背が高くて細マッチョのイケメンさんだねぇ」
にっこり笑って答える女性の言葉に、チャロロは感無量だ。
(10年後くらいにはこんな姿になりたいな。もし元の世界に戻れたらハカセにこんな感じの姿にしてもらうんだ……っ)
きっとゼロではないだろう可能性を信じ、チャロロは翌日再びこの湯に浸かった。
効能が切れないうちに温泉街に急ぎ、その姿を画家の手で絵に残してもらうために。
●
「温泉だー!」
秘湯「転換の湯」に白褌で飛び込んだのは『鳥種勇者』カイト・シャルラハ(p3p000684)だ。
湯加減が気持ち良くてつい自慢の翼をバッサバッサするも、
(湯の中で羽ばたくと迷惑だよな……)
と思い直し少々控え目に湯の中を進む。
念のため褌に挟んであるのは借りたブラトップ、色はもちろん白!
「気持ちいいなぁ……」
湯の中でぐてーんと翼を先まで伸ばせば羽の合間に湯が入り込み、立つ波が優しく揉みほぐす。
やがてカイトの体に変化が起きる。
背丈が縮んだような気がして立ち上がってみると、心なしか体が重い。
視線もいつもより低い。
(おぉ? だいぶ小さくなったか……?)
だが、自慢のがっしり鳩胸はどんどんふくよかふにふにになっていく。
翼の羽も何となくツヤとふんわり感が増していた。
「温泉の美肌効果か? ……って、声たかっ!」
呟いた声色は完全に女性のそれだ。
カイトはブラトップを身に付けたが、ちょっとサイズが合わない。
(こ、こぼれそうだ……今の俺、サイズどれくらいなんだろう?)
チッ、チッ、チーン!
(出たっ、95・65・120! ボンキュッボン!)
だが、褌の中には違和感がない。
(俺鳥だし、こっちのサイズは変わらないか)
とはいえ、豊満な胸と谷間はカイトの好奇心を刺激した。
「……でかいな」
折角なら感触を確かめなくては。
(おぉ……)
筋肉質でない柔らかい胸は思いの外幸せな感触で……
「ぴぃ!」
……感度もよろしいようで。
(でも……)
カイトは空を見上げて苦笑した。
絶景の露天、空には満天の星……カイトの好きな空がそこにある。
「コレだと飛ぶのに苦労しそうだなぁ」
その後、サイズ違いで隠しきれない胸を翼で覆いながらカイトは他の湯治客たちと交流を深めた。
もちろん、相手のスリーサイズを見破っちゃう悪戯心も忘れずに。
●
「風呂に水着というのも妙ですが仕方ありません……いざ、秘湯体験ですね!」
『名乗りの』カンベエ(p3p007540)は『祈りの先』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)と共に「バッサバサの湯」に入る。
「生えてきましたわ!」
ヴァレーリヤは歓喜の声を上げた。
「自分の翼で飛べるなんて素敵ではありませんこと? 私、ずっと楽しみにしていたのですわよねー!」
カンベエも自身の背中を見ながら「おおっ」となる。
「ワシもちょいと飛んでみますか」
そう言いながら二人でふわっと空に羽ばたくも……。
「いざ、憧れの空!! 空……って、さっむ!!」
ヴァレーリヤのガウンは寒風で凍り付きそうだ。
「無理無理無理! これ以上飛ぶのは無理でございますわー!」
「ウ、ウハハッ」
ボードショーツに長袖ラッシュガードでも冬空の寒さは凌げず、カンベエの笑い声も震えている。
結局二人は飛ぶのを諦めた。
「もっと温かい季節に来るべきでしたわね……」
嘆息するヴァレーリヤに、カンベエはカラカラと笑う。
「飛ぶのは暑日の楽しみとして、今日はゆるりと浸かるとしましょう」
「そうね。ちょっぴり残念だけれど不思議な露天風呂だと思って楽しむ事に……あっ、あれを見てカンベエ!」
ヴァレーリヤが岩場の間を指した。
「梅の花が綺麗に咲いていますわよ!」
岩の合間から顔を出す梅の枝に、可憐な紅梅が数輪咲いている。
「おお、梅ですか……風呂の熱気で早咲きしたのでしょうかー?」
確かに綺麗な梅花だが、それを背景にして揺らめくヴァレーリヤの純白の羽はもっと美しい。
「……ヴァリューシャさんの羽も綺麗ですね。一枚頂いても?」
「ええ、是非! 私も欲しいので交換で如何ですこと?」
ヴァレーリヤの提案に快諾し、カンベエは自身の羽を抜いて差し出した。
「このグラデーションの羽根、綺麗ですわねー……南国の鳥かしら?」
ヴァレーリヤは日光に透かしてまじまじと見つめる。
「イメージが特になかったせいでしょうか……何の鳥かわかりませんね、それ。ですが、折角ですから形に残しておきたいですね、後で乾かして何かに挟んでおきましょうか」
カンベエは白い羽をくるりと回した。
「ええ、それも良い考えですわね! それと……」
ヴァレーリヤはニッと口端を上げる。
「良い事を思いついたのだけれど、お互い限界まで長くお湯に浸かって、負けた方が花見酒を奢るというのは如何でして?」
勝負事と聞いてカンベエの片眉がぴくりと動いた。
「おお、長風呂対決ですか……宜しい! 手を抜くワシではごぜえませんよね早速始めましょう!」
「あらカンベエ、言っておくけれど負ける気はありませんわよ? ゼシュテルのサウナで鍛えた持久力、見せて差し上げますわ!」
こうして長風呂対決を始めた二人、徒然なるままに昨夜の飯の話をしたり他の秘湯の噂話をしたりと他愛ない会話を楽しんでいたが……。
(ふふ、ヴァリューシャさんの無念顔を拝むのが楽しみで、す……ン?)
頭が茹った頃になってカンベエはこの勝負の違和感に気付く。
「この賭け、何かおかしいような……」
ヴァレーリヤを見やると、彼女は高揚感に満ちた笑みを浮かべていた。
「さて、勝ったら何を飲もうかしら。カンベエのお財布を空にするのが楽しみですわね?」
(あ、あれ……? もしや、勝っても負けてもワシは……?)
湯気に見え隠れする真実をカンベエはあえて振り払う。
「ええい!! 勝てば万事解決です!」
悲しい哉、秘湯の効果が切れる頃には背中の翼と共に交換した羽も消えてしまった。
だが、此度の旅の思い出は二人の脳裏にしっかりと刻まれている……もちろん、勝負の結末も。
どちらが勝ったかは……それもまた、二人だけの思い出。
●
『木漏れ日の妖精』リディア・ヴァイス・フォーマルハウト(p3p003581)は、もふもふへの期待を胸に湯に浸かっていた。
「自分がもふもふになればもふもふし放題では? でも、手までもふもふになってしまったらもふもふ出来ないかもしれないので全身は困るかも……」
もう、脳内はもふもふ愛に溢れている。
ピンクをベースにした花柄の三角ビキニなんて超絶キュートでセクシーだけど、凹凸控え目の体だけど、他人の視線なんて気にしない、気にしない。
幸い、今は湯治客も大していない。
暫くして不思議な感覚を覚えたリディアは、湯から出て縁にぺたんと座り込んだ。
上半身を後ろに捻ってお尻を見ると、灰色の細長い猫の尻尾がゆらりと揺れている。
頭を触ってみると、思い描いた場所に尻尾とお揃いの毛並みの猫耳がぴょこんと立っていた。
リディアの顔がぱあぁっと華やぐ。
「この毛並み、この温もり、この弾力……っ」
どんなに触っても飽きないもふもふ。
(全身もふもふにならなかったのは、「もふもふになりたい」より「もふもふしたい」という願望の方が強かったからでしょうか……)
ならばこのひとときを堪能しなくては。
リディアはこれでもかと猫耳を撫でくり回すが、ふと視線を感じて振り返った。
湯の中から小柄なモルモットが顔を出している。
「もふもふ……して?」
モルモットは愛くるしい瞳を潤ませながらリディアに請うた。
どうやらこのモルモットは「ひたすらもふもふされたい派」らしい。
「いいですよ……っ」
リディアは縁に上がりこぢんまりと丸まったモルモットを撫でたりぽんぽんしたりしてそのもふもふ具合を楽しむ。
やがて礼を言いながら脱衣所に向かったモルモットを見送りつつ、リディアは
「何度でも同じ効能を楽しめるのなら、またここに来たいですね」
とひとり微笑むのだった。
●
「……秘湯ってどんなものなのかしら?」
『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)は、桶に酒入りの徳利とお猪口を入れて『キールで乾杯』ミディーセラ・ドナム・ゾーンブルク(p3p003593)と一緒に「転換の湯」に向かう。
キャミソールにホットパンツといった水着を自然体に着こなすアーリアに対し、ミディーセラはとりあえずTシャツのような上着付きの水着を選んだ。
(さすがに性別が変わるのは初めてですし、この水着でいいのかどうか……アーリアさんはいつも通りでしたけれど。慣れていたりするのかしら?)
そんな疑問を抱きつつも、ミディーセラは支度を整えいざ転換の湯に足を踏み入れる。
「見慣れないものばかりですが、どこか落ち着く不思議なところですね。温泉はいいものなのです……お風呂も好きですがそれとはまた違った良さがあって」
ミディーセラはアーリアに微笑んだ。
「今日も二人でいられて幸せですわ」
「私もよ、ミディーくん。よく一緒にお風呂には入っているけれど、温泉は別格よねぇ」
ミディーセラに並んで入るアーリアは桶から徳利を出す。
「これ、宿の人が持たせてくれたの。私たちお酒好きだし、どう?」
互いに酌をしながら、二人は最近の様子について話し始めた。
「最近張り切ってお仕事してたから、このままじゃミディーくんより逞しくなっちゃうかも!」
「そういえばアーリアさん、確かに最近はとてもお仕事で忙しそうで……えっ、逞しく?」
僅かに瞠目し、苦笑するミディーセラ。
「まあ、まあ……身長だけでなく力でも負けてしまいそう。ちからこぶとか……」
ミディーセラは軽くアーリアの二の腕を摘まみ、アーリアはくすぐったそうに微笑みながら、
「でもミディーくんのことを護れるようにはなりたいし……」
と彼の腕の同じ場所を優しくつつく。
触れ合っているうちに先に異変に気付いたのはアーリアだった。
「……あら? 本当にミディーくんは柔らかく、私は逞しくなってきたような?」
そう言われ、ミディーセラもまじまじと己の体を見つめる。
「……おや。変化が始まりましたか」
それからはあれよあれよと二人の体の性別は逆になっていった。
「これは何とも、何とも……いろいろなところに肉がついたというか、すごく違和感が……あぁ、アーリアさんがすっかり強そうに」
ミディーセラを護りたいという気持ちの表れか、アーリアは筋骨隆々の大柄な男性に姿を変えている。
きっと今なら迷彩服が良く似合う。
「あっ、ああっ、私の体がとんでもない事に!!」
(ミディーくんは元が綺麗でかわいらしいから女の子でもかわいいけど、わ、私は……!)
確かに元々小柄で可愛らしい雰囲気のミディーセラは、女性になってもアーリアにとってはそんなに違和感がない。
それでも、出るところはそこそこ出ている。
「シャツも着てるから心配はないけど! でも、他の人に見られるのはなんか嫌!」
アーリアはミディーセラの腕を引き寄せると、足の間に彼を座らせた。
そして、彼の体を隠すように背後からきつく抱きしめる。
(ミディーくんの体、いつもより柔らかくて小さい……やだ、ドキドキしちゃう)
「ミディーくん! 私の格好はすっごく変なことになってるし恥ずかしいから見ないでー!」
照れ隠しに叫ぶアーリアがミディーセラには愛おしい。
(恥ずかしがる姿はいつもと同じ……ふふ、可愛いひと)
「それにしても……」
ミディーセラは膨らんだ自身の胸に触れてみた。
「自分についているのを触るのは、なんだか不思議な気分ですね」
その言葉に、アーリアはついミディーセラの胸元を覗いて思う。
(あ、やわらかそう……ちょっと触らせてほしい、かも……)
……と。
●
(かんてらどりる!)
黒虎毛の甲斐犬風の犬が湯上がりにブルブルと体を振って水気を払う。
成犬少し手前くらいだろうか、あどけなさを覗かせるその若犬の正体は『ぐるぐるしてる』角灯(p3p008045)。
「今夜は花火が上がるらしいぞ」
偶然同じ湯に浸かっていたナマケモノが崖を指した。
甲斐犬とナマケモノ、互いにすっかり動物であり元の姿が分からないからこそ変な気遣いもいらない。
(楽チン、かも……♪)
角灯はナマケモノにぺこりと頭を下げ、崖の上を目指して駆け出す。
(犬は走るために生まれてきたんだよ、きっと)
空には星が瞬き、浴びる風は冷たいが息せき切って走る体は熱い。
(地面が近い……景色が、どんどん変わる……犬って、こんなに速く走れるんだ……!)
静かに込み上げる感動と興奮。
それは、同時に角灯の過去の記憶をおぼろげに呼び覚ました。
視界の両端を猛スピードで流れていく風景にゆっくりと逆行するように。
狩猟のパートナーとなる事を目的に掛け合わされて生まれた「マザリモノ」の角灯は、元いた世界では人としては扱われなかった。
(別に、辛くはなかった、かと。むしろ逆で、猟鷹……猟犬? としては大事にされてたし)
やがて出会った「お袋」や暦と呼ばれた忍衆の皆は、角灯を人として、しかも幼子のように扱った。
その後訪れる事となったこの混沌でも、「マザリモノ」の角灯はちゃんと人として扱われている。
それは嫌な事ではないが、ただ……
(何だか、そっちの方が、まだ落ち着かない。喋るのとか、自分で決めるのとか……苦手)
そんな角灯が無言で目指すのは崖の頂上。
角灯の到着を待っていたかのように打ち上がる花火。
「ドオオォォォン」
「ウオォーーーン」
轟音に合わせて角灯は遠吠えする。
元の姿に戻るまでの間、角灯は自由気ままな犬の気分を存分に味わった。
●
憧憬の湯に浸かりながら、『猫派』錫蘭 ルフナ(p3p004350)は先刻の温泉街での扱いに内心憤慨していた。
団子屋の若店主も地酒屋のオヤジも揃いも揃って彼をお子様扱い。
(「僕はこれでもアラカンなんだけど! 下手したら君らの父母よりも歳上なんだけど!」って、言ってやりたかった……)
「何さ、みんなして子供扱いして……こうなったら白髪の目立つおじさんになってみるのもひとつの経験だよね」
ぶつくさと願望を呟くうちに、徐々に体が変化していく。
桃色がかったプロンドの髪はツヤもハリも失い白髪混じりに、体も筋肉が落ち四肢の骨張りが目立ち出した。
手で撫でた顔の皮膚はみずみずしさを失い、深い皺が刻まれている。
「体慣らしにその辺を歩いてみようか」
いつもとちがう目線の高さや歩幅に落ち着かない心地を覚えるも、次第に彼の所作はそれっぽくなっていった。
シックな長めの大人用海パンにしておいて正解だったと思うのは、このすぐ後。
「オジサマ、プリンいかがです?」
秘湯の傍で直売所を開く女性が数人で温泉プリンを差し出す。
「ロマンスグレーの髪、渋いわぁ」
「どうしよう、直視できなぁい」
黄色い声にルフナはまんざらでもない様子だ。
(今、世界中のショタコンが嘆き悲しみ、世界中のおじさま好きが立ち上がった音がした……なんてね)
直売所には他にも温泉にちなんだ商品が並んでいた。
「へえ、温泉饅頭に温泉玉子も……商魂たくましいというか何と言うか、何でもありだね」
そう言ってプリンを受け取るが、女性たちはきょとんとしてルフナを見ている。
「オジサマ、声が若ぁい……」
「……悪かったね。これはありがたく頂くけど」
結局こうなるのかと内心ムッとしながらも、プリンはしっかりと貰って宿に帰る。
だが、年相応に見られた此度の経験は決して悪いものではなかっただろう。
●
『出張パン屋さん』上谷・零(p3p000277)と『お花屋さん』アニー・メルヴィル(p3p002602)は敷地内の庭園を散歩していた。
空には綺麗な月。
「いい湯だったよな。気持ち良かったし」
零はそっと手の甲を隣のアニーのそれと触れ合わせる。
「うん、広くて種類もいっぱいあって……あ、零くん、女湯覗いたりしてないよね……?」
「の、覗くわけないじゃん!」
彼女の言葉が照れ隠しの冗談だという事は言わずもがな。
だって、アニーの指先は彼を求めるようにゆっくりと絡んできたから。
零は赤らむ頬を見せないように少しそっぽを向く。
「そういえば、卓球! 久々にやったけど楽しかった……! 夕食も豪華だったよなぁ」
「えへへ……卓球は初めてだったけど思わず張り切っちゃった! 零くんすごく食べてたけど、お腹大丈夫?」
心配げに見上げるアニーの可愛らしさに煽られるのをぐっと堪えながら、
「お、お腹は大丈夫だぜ。なぁ、座るか?」
と、零は庭園内の縁台にアニーを誘う。
「そう言えば零くんて和服似合うね。ふふ、浴衣姿も素敵だよ?」
「……そ、そうか? ありがとう。そういうアニーだってその浴衣似合ってるぜ? ……可愛いし」
「可愛い」の一言に頬を紅に染めながら、アニーは並んで座る零の肩にそっと頭をもたれさせた。
視界の外に零の温もりを感じながら見上げた夜空には、流れ星。
(この想いを、いつか打ち明ける時が来るのかな……)
突然肩に感じた愛しい重みに、零の片腕はアニーの背中で右往左往。
結局その手はアニーの腰元に添えられて落ち着く。
(今はまだ告げていないけど、いつか覚悟を決めたその時は……)
……そんな秘かな決意と共に。
「眠くなったなら眠るのが一番さ」
流れ星を数えて眠くなったアニーを連れて零は宿のフロントに行くが、従業員が渡した鍵は一本だけだ。
「生憎本日は満室でございまして……」
謝る従業員は緩い笑みを浮かべているが、焦る零はそれに気付かず仕方なく与えられた部屋に行きドアを開ける。
「いいお部屋ね……」
と言いつつ寝室に入ったアニーだが、困惑に声を震わせた。
「あ、あのぉ……ベッドが一つしかないのだけど……」
「う、嘘だろ!? って、本当に一つだけだ……」
寝室を見た途端、零の焦りは更に強くなった。
「わ、私がソファで寝るから……!」
「い、いや、俺がそっちで寝るからアニーがベッド使ってくれ……!」
「零くんこそベッドで……」
「アニーをソファで眠らせる訳にはいかねぇ!」
「……二人で寝よう」
譲らぬ戦いの末にぽつりとこぼした零の一言はかなりの破壊力だったらしく、アニーの顔は茹で蛸のようだ。
「だ、大丈夫だ! 背中合わせに寝るから!」
……とは言ったものの。
(これで眠るって方が無理がある……!)
(さっきまでの眠気はどこに!?)
背中越しに伝わる相手の体温と速まる己の鼓動に二人の目は爛爛。
限界が来て微睡む頃には窓の外が白み始めていて……。
互いに引き寄せられるように無意識に寝返りを打ち向かい合わせになると、零はこれまた無意識にアニーを抱きしめた。
突如得た物理的な感触に零ははっとして目を開け、どアップで飛び込んできたアニーの頭に思わず息を止める。
対するアニーは零の胸の中で熟睡したまま。
(幸せだ……じゃなくて! 今のうちに……!)
洗面所の鏡に映ったいつもの糸目は開いて三白眼を晒し、酷い隈まで出ている。
(流石に好きな人にこの顔は見せられねぇ……)
零は水道の蛇口を勢いよく上げた。
一方、後れて目を覚ましたアニーは窓に映る自分の顔に絶句する。
(こんな見事な隈を……好きな人を前にしてこんな醜態晒してしまうなんて~!)
アニーは声にならない叫びを胸の中で上げるのだった。
●
「ああ、気持ち良かった! 何だか体がつやつやになった気がする!」
『雷虎』ソア(p3p007025)は浴衣の袖口を掴み、クルリと回った。
「見て、かわいいでしょう!」
宿から借りた浴衣には小ぶりな暖色系の花がたっぷりと描かれている。
「何ていうお花だろう、帰ったら調べてみよう!」
嬉しそうなソアを微笑ましく思いながら食堂に誘うのは『饗宴の悪魔』マルベート・トゥールーズ(p3p000736)だ。
「温泉で軽く汗を流しさっぱりしたところで夕食といこうか」
目移りする程に料理が並べられたビュッフェ会場はかなり賑わっている。
「私は獣の悪魔、ソアは見るからに虎……となれば狙うは肉一択!」
マルベートは肉料理コーナーで皿を取り、次々と料理を載せていく。
その間ソアは目を輝かせながら席に着いて待っていた。
あっという間にマルベートはテーブルに所狭しと肉料理の皿を並べる。
「この不思議な色のお肉、どうやって作ったんだろうね? こっちはテカテカ光ってる! すごいすごい!」
目新しい料理の数々にソアは食べる前から夢中だ。
「親交を深める良い機会だ、ふたりでたっぷり楽しもうじゃないか!」
ナイフで切り分ける「ひと口」はかなり大きく、思わず二度見する程の早食いだが、マルベートは実に優雅にテーブルマナーに則った所作で食事する。
「マルベートさんとちゃんとご飯を食べるのは初めてだね。マルベートさんって料理に詳しそうだから一緒に来たら美味しいものにありつけると思ったけど……えへへ、大正解!」
ソアも芳醇なソースの匂いが漂うソテーを口に運び、顔を綻ばせた。
「食べたいものを好きなだけ食べられるのは実に幸福で、笑い合いながら卓を囲める友がいるのは実に素晴らしい。そして、永遠と続く時の中でのこうした他愛のない一日は何物にも代えがたい」
流れるように紡がれるマルベートの言葉に、ソアは熱心に耳を傾ける。
(共に獣でありながらも人の姿を持つソアならば、私の考えを分かってくれるだろうか)
「ふっふー、ボク今すっごく楽しいし、幸せ! あのね……」
ソアはお近付きの印にと自身の拘りをマルベートに打ち明け始めた。
「ボクね、人間の作るものどれも大好き。とても手が込んでいて、綺麗だったり格好良かったり。もう覚えていない位に昔から人間の暮らしに憧れてたんだ」
「ほう……」
マルベートも興味深げに相槌を打つ。
「だからボクはこうして人の姿を借りれるようになったと思うの……でも、まだちょっと違うところがあるのは、足りないからなんだと思う。もっと人に親しめば、きっとすっかり人間になれるはずだよね! それには人間の作った素敵なものを沢山食べたらいい気がするんだ! だからボクはご馳走が大好き!」
ふとソアの言葉が止まったところで、マルベートははっと立ち上がった。
「おっと、私とした事が……ワインを忘れてはならない!」
ドリンクバーに行きボトルとグラス二本を持って戻ると、マルベートはソアに注ぐ。
「飲めるようなら、是非一緒に」
「これも人間が作ったものだね……ありがとう!」
喜ぶソアを見ながら、マルベートは上機嫌に微笑んだ。
「遠慮せずに飲むといい。なに、酔い潰れたところでどうせ今日は此処に泊まるのだから大丈夫。樽の底が見えるまで飲み尽くしてしまおうじゃないか」
そう言いながら、マルベートはまた肉料理を取ってくる。
再び並んだ肉料理にソアは満面の笑みを浮かべながら美味しいと連呼した。
(ひとしきり食べ終わったらまた一緒に温泉に入ろうか。それとも身を寄せ合って語り合おうか……)
この後ソアとどう親睦を深めようか、考えるだけでマルベートの心は弾む。
「ソア、今宵は存分に楽しもう……夜はまだまだこれからだよ!」
●
湯を堪能する吐息や客同士の会話、流れる水音……『かくて我、此処に在り』マカライト・ヴェンデッタ・カロメロス(p3p002007)はぼんやりと虚空を眺めながらそんな喧騒やせせらぎに聴き入っていた。
肩までがっつり浸かった体は芯まで温まり、そんな彼の顔はふにゃふにゃに緩んでいるが……そんな事を気にせず湯を堪能するのが彼なりの楽しみ方。
温泉宿に無料一泊二日と聞けば、日本人としての血が騒ぐというもの。
忙しさもあったが、そもそも混沌で温泉の噂自体これまで聞かなかったマカライトにとって、この機会はまさに千載一遇だったのだろう。
水着を用意する時間も惜しいとばかりに取るものもとりあえず荷物ひとつでやってきて、畳敷きの部屋に鞄を置いてすぐに入湯。
水着は宿から借りた無印の黒。
(しかし……ここまでどっぷり浸かるのはいつ以来だろうか……)
日々の疲れを癒す湯が、いつしか彼の心のアルバムを捲る。
(確か、懇親会と称して傭兵仲間に連れられた時以来か。混沌に来る少し前だから……あれからもう10年経つのか?)
「何だ、10年そこらゆっくり出来ていなかったという事か……」
思わず呟いた現実に、マカライトは苦笑した。
温泉の効能か、凝り固まった筋肉がほぐれ仄かに体が軽くなった気がする。
「……もし、友人たちが『こっち』に来ていたら、また一緒に騒ぎたいもんだ」
傭兵稼業は常に死と隣り合わせ、要は「死ぬ時は死ぬ」ものだ。
(だからこそ、その時は親しい奴らに看取られるのが至上で……)
「……こんな異邦の地で独りで死ぬなんて御免だ」
前髪から落ちた雫が波紋を描いた。
「……長湯したかな。美味いものでも食いに行くか」
浴衣に着替えて気分を変える。
「折角の湯治、物思いに耽るだけでは勿体ないからな!」
マカライトは颯爽とした足取りで食堂へと向かうのだった。
●
「さて、オイシイものやオイシイお酒はどこかな?」
「ローレット特別感謝キャンペーン」と聞き温泉宿にやって来た『無影拳』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)は、ロビーで見覚えのある後ろ姿を見つける。
やがて振り向いたその姿に、イグナートは吃驚した。
「師兄!?」
「イグナート!」
彼の名を叫んだのは、イグナートの兄弟子であるブラッド・ウォン。
「久し振りだなぁ!」
ブラッドはイグナートをロビーのソファに誘った。
従業員が来て茶を二人分差し出し去ると、会話に花が咲く。
「マサカ、こんなところで師兄と会えるなんて思ってもみなかったよ。師兄は何でここに?」
「鍛錬で師匠と組み合った時に負った怪我を癒しに来たのさ。あの年で手加減てモンを知らねぇからなぁ……」
「爺ちゃん……李師父は相変わらずみたいだけど、他のミンナも元気にしてるかなぁ? 姉さんとかあまり人にメイワクかけてなきゃいいけれど」
イグナートの問いにブラッドは溜め息を返す。
「……何も変わってねぇ」
「そっか……」
(コレ以上訊くのは止めておこう……)
イグナートが黙ると、今度はブラッドが訊ねた。
「お前さんは最近どうよ?」
「オレ? オレは……幻想でドンパチやって、深緑でドンパチやって、海洋でドンパチやって、鉄帝でドンパチやってたかな」
「ドンパチばっかりだなぁオイ! 何か面白い事はあったか?」
「うん、S級闘士のビッツ・ビネガーと戦える機会があったんだけれどシュンサツだったよ。師兄より強かったかも」
「ほう、お前さんを瞬殺する奴がいるとは、世界は広いなぁ。折角だからその話の続きは湯に浸かりながら聞かせてくれよ。どうだ、久し振りに背中でも流し合うか?」
イグナートは二つ返事で立ち上がる。
「アツカンでもイッパイ付ける?」
「いやっ、俺にそれはマズイってもんよ」
(師兄のタイシツ、変わってないんだ……)
熱燗はお預けとなったが、二人は温泉で心身のみならず旧交も温め、楽しいひとときを過ごすのだった。
●
「ミーナ殿と旅行♪」
『展開式増加装甲』レイリ―=シュタイン(p3p007270)は宿の土産物コーナーで『ディザスター』天之空・ミーナ(p3p005003)を前にはしゃいでいる。
「浴衣なんて殆ど着たことないから新鮮。ミーナ殿、どうかな?」
紫の生地に白い花が良く映えるレイリーの浴衣。
くるりと回って見せると、花がまるで風にそよいでいるかのようだ。
「ああ、いいと思うぜレイリー。可愛い」
対するミーナの浴衣は、赤い布地に黄色の星。
「ありがとう!ミーナ殿は綺麗よ」
ミーナの赤に、ふっと紫がくっつく。
「何か見たいものある? ミーナ殿」
「見たいもの……んー……」
土産物コーナーには数多の特産品が並ぶが、ピンとくるものがミーナにはない。
「ほら、お前と一緒に、探そうぜ、それを」
「うん、そうだね」
笑顔で返しながらレイリーは思う。
土産物に限らず、生涯の中で夢中になれるものを二人で探していければ……そのきっかけがこの旅行であればいい、と。
土産物を見た後は食堂でビュッフェ。
「ほんっと好きだな、その組み合わせ」
レイリーの皿を背後から覗き、ミーナがくすりと笑う。
皿には肉とついで程度のサラダに炭水化物としてのポテト、片手に持つグラスには勿論お酒……レイリーのいつもの食事スタイルだ。
「折角だからミーナ殿、いつも食べてないようなやつでおすすめある?」
「ん、おすすめ? ……っつーても、私の知ってるのって大体混沌でもあるんだよなぁ……」
悩ましげに飯物コーナーを見ると、端に「ご飯のお供」が置いてあった。
「梅干し、懐かしいなぁ……」
「梅干し?」
「ああ……これ、結構酒や肉に合ったりするんだぜ?」
レイリーはすっかり興味津々で、
「食べてみる」
と、席に着いて早速梅干しを口に放り込む……が。
「す、酸っぱい……でも、確かにお肉には合いそう」
口をすぼませる彼女がまた可愛らしくて、ミーナは笑いながらグラスを差し出す。
夜も更け始めた頃、二人は温泉へ。
レイリーの視線は無意識にミーナの豊満な肉体に釘付けになる。
(どうしよう、見惚れちゃう……)
それに気付いてミーナが見つめ返すと、
「あっ、ミーナ殿って、出るとこ出ててほんといい身体だよねーって……」
とレイリーはぽーっとした顔のまま弁解した。
「ああ……まあ。そーいう事もやってきたからな。ただ、私にはレイリーだって十二分に魅力的に見えるぜ」
「『そーいう事』……?」
(……いけないいけないっ。温泉を堪能しないと! でも、ほんとミーナ殿って魅力的)
(暗殺者って、やな仕事なんだよな本当に……って、そんな事言ってる場合じゃないわな)
二人同時にそれぞれの思惑で首を振り、それが可笑しくてつい笑い声が漏れる。
軽く笑い合うと、レイリーは居住まいを正した。
「お疲れ様でした。鉄帝では一緒に戦えてよかった。あのねミーナ殿、私はデートも好きだけど、背中預けて戦うのも絆を深められて好きだよ」
「……ああ、そうだな。私としては少々複雑な気持ちでもあるが」
ミーナの顔から笑みが消える。
「その……不安にもなるんだよな」
(私一人なら……恐らく、まだ、死ねないんだろうけど)
ミーナの口から零れた「不安」の二文字に、レイリーは息を呑んだ。
互いへの想いはきっと同じと感じたから。
(私も不安だよ、だから傍で戦いたいってのもある……でも、二人だともっと色々出来てお互いもみんなももっと護れる筈だって信じてるよ……)
そんな期待に似た決意を秘めながら、レイリーは再び笑顔を浮かべる。
「ミーナ殿、色々あるだろうけどこれからもよろしく!」
この明るさにどれ程満たされているのだろう……ミーナの口角も自然と上がった。
「……これからも、色々と、よろしくな」
●
『妹弟子 』すずな(p3p005307)の頬は温泉の温もりと差し入れられた熱燗のせいでほんのり桜色になっていた。
「やっぱり温泉は良いですねえ!」
じっくり湯に浸かり、心身共にゆったり、ゆっくり。
この後純和風の和室で一晩過ごせるのかと思うと……。
「ふふ、最高ですねえ!」
秘湯の存在が気にならないと言えば嘘になる。
だが、今日の目的は疲れを癒す事。
体の芯まで温まり、湯上がりの彼女が求めるものと言えば……そう、珈琲牛乳。
脱衣所の隅には、すずなを待っていたかのように鎮座する冷蔵庫。
控え目に桜の花びら模様をあしらった落ち着いた雰囲気の浴衣に身を包み、すずなは豪快に一気飲みした。
その頃、『殴り系幻想種』ハンナ・シャロン(p3p007137)も温泉を出て宿の廊下を歩いていた。
「ふぅ……良いお湯でした。久しぶりにのんびり出来ましたね!」
(温泉は初めてではありませんが、ここはのんびりした雰囲気のせいか心が安らぎます)
心地よい湯で心身をほぐしたハンナは上機嫌だ。
「次はどうしましょう?」
(秘湯に行きましょうか。それとも少し早いですがご飯でも……)
などと考えていると、「コンコン」とリズミカルな音が聞こえてきた。
「あら?」
(プレイルームの方からですね……もしや、これが噂に聞く『卓球』の音でしょうか?)
覗いてみると、浴衣姿の宿泊客がキャッキャとラケットを振っている。
興味が湧いたハンナは、空いている台のラケットと球を手に見様見真似で壁打ちを始めた。
(……慣れって怖いね)
内心苦笑しながら、『特異運命座標』羽住・利一(p3p007934)は依頼詰めで疲れた心身を癒していた。
元の世界で神罰を食らい、混沌に来た時には女性に変わっていた利一。
暫くは興奮もしたが、それも今ではすっかり薄れ、然程の抵抗もなく女湯に入っている。
濡らしたタオルを頭に乗せ、時折湯船の縁に腰掛けるなどして、利一はゆっくりと温泉を楽しんだ。
火照った体で湯から上がり、脱衣所の冷蔵庫を開ける。
お目当ての牛乳が彼女を待っていた。
「風呂上がりはやっぱり牛乳だね」
無意識に腰に手が行くのは人の性。
一気飲みも、人の性。
「く~、美味い!」
脇腹の締まらない感触は……気にしない、気にしない。
すずなは夕食のビュッフェで和食を中心に食べ、日本さながらの温泉宿を堪能する。
そして、腹ごなしにとプレイルームに足を運んでみると、何と卓球台があるではないか。
ひとり壁打ちをしているハンナに気付くと、すずなは
「あの、良かったらご一緒しませんか?」
と思い切って声を掛けた。
「はいっ、喜んで!」
ハンナは笑顔で卓球台越しにすずなと対峙する。
その時、宿のお任せで借りたドット柄の浴衣の裾をヒラヒラさせながら利一はプレイルームをちらりと覗いていた。
「おや、卓球台まであるのか」
(……ここを作った人は相当日本文化に詳しいな)
卓球台の前にはすずなとハンナがおり、今にも試合を始めようとしている。
(一緒に遊びたいな)
「審判でもやろうか?」
利一は二人に歩み寄り声を掛けた。
「ありがとうございます! では、三人で交代しながら遊びましょう!」
ハンナの提案で三つ巴の戦いの火蓋が切って落とされる。
まずはすずなとハンナの勝負だ。
「私、そこそこ出来ますよ!」
そう嘯く自信満々なすずなのサーブは確かに安定した軌道で入る。
「どんな鋭い球だって、全力で食らいついてみせます!」
気合十分なれど不慣れなハンナはラケットを空振り、序盤はすずなリード。
しかし……。
「えいっ」
中盤に来て、ハンナの球は真っ直ぐ返したつもりがサイドへのドライブショットに。
ビギナーズラックであらぬ方向に入ったスマッシュにすずなは泡を食い、いよいよハンナは波に乗ってきた。
「たまに変な回転をすると面白いですね! こう、切る感じで……!」
ハンナは再びドライブを掛けようとするが、そこは経験が物を言うのかなかなか上手くいかない。
「……むむ、さっきは出来たのに難しいです。でも、ノッてきたので出来るだけ長く打ち返すように頑張ります!」
打ち返す度に腕を上げていくハンナの球筋にすずなは四苦八苦だ。
「諦めなければ大体何とかなるものです!」
ハンナは気合でスマッシュを打つ。
すずなはレシーブするが、オーソドックスな球筋であるが故に受け止められ、コーナーを突かれた。
「はうう……」
「やりました!」
項垂れるすずなと飛び跳ねるハンナ。
とはいえスコアはもうずっと1点差のままで推移していて、審判を続ける利一にも勝負の行方が全く見えない。
「一旦勝負はお預けにして交代しませんか?」
ハンナは利一とバトンタッチを申し出た。
「えっ、私連戦ですか!? ま、まあいいでしょう!」
利一がすずなにサーブを打つ。
球速は然程でもないが軌道が読みにくく、すずなのレシーブはネットに刺さった。
その後もラリーに入ればすずなは利一に利き腕の逆サイドを狙われ台の端から端まで走らされたかと思えば奥に高めの球を出され、返せば返したで高速でスマッシュを決められ……。
「き、鬼畜です……っ」
すずなはいっそ清々しいくらいの惨敗を喫した。
勝敗はさておき、三人は温泉卓球を全力で楽しんだ。
「仲間に入れてもらえたお陰でいい汗をかいたよ、ありがとう。私はもう一度温泉に浸かってこようかな」
卓球に興じた後、利一は二人に挨拶して再び浴場へ赴く。
「行ってらっしゃい! 私たちはもう少しここで遊びます!」
ハンナとすずなは共に利一を見送った後も、とことんまで卓球に興じるのであった。
●
『風のまにまに』ドゥー・ウーヤー(p3p007913)は温泉街をまったりと散策していた。
温泉にゆっくりと浸かった後、宿で目にした街の案内に心惹かれた彼は街道を気ままに歩く。
「本当に色々売ってるね……」
菓子屋には煎餅やひと口パイなどの土産が所狭しと並び、隣の民芸品店には細部まで作り込まれた小物が陳列されていた。
(綺麗なものや美味しそうなものが沢山……どれも何だかキラキラして見える)
ドゥーは、穏やかで可愛らしい顔をした小さな浴衣姿の人形を手に取る。
(可愛いなぁ……部屋に飾ろうか)
次に足が向いた饅頭屋で「秘湯饅頭」を何個か購入し、ドゥーは散策を続ける。
数軒先からは揚げ物の香ばしい匂い。
コロッケやフライドポテトなどが次々と揚げられていた。
「その『コロッケ』っていうのとか……美味しそう」
紙に包んでもらうと、店主が店裏のベンチを勧める。
座ると店主が温かい茶を淹れてくれた。
早速揚げたてのコロッケを齧るが……。
「あ、あつ……」
中身はまだ熱々で、ドゥーは少しずつ食べる。
口直しの茶も香り高く、
(お茶も、コロッケも、美味しい……)
と心が和んだ。
「いよいよ……」
ドゥーは秘湯饅頭を出した。
最初の餡は黄土色。
(とても美味しいけど、初めて食べる味……)
今度は紅色の餡を食べてみるが、やはり何味なのかは分からない。
「どれも美味しいけど……」
ドゥーはこのまま何の餡か分からないまま食べ続けるのは何だか勿体ない気がした。
(次に食べる時までに、餡の正体とか、勉強しておきたい)
そんな事を考えながら見上げる空は、どこまでも澄んでいて……
(温泉でゆっくりして、好きなものを買ったり食べたり……初めて経験する事ばかりで、忘れられない思い出になりそうだ……)
ドゥーの口元が仄かに緩む。
「イレギュラーズになれてよかった……」
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
「GO! ユーノ・ハマー!」にご参加頂き、ありがとうございました。
思い思いのひとときを過ごす事は出来ましたでしょうか?
皆様にとって、この一泊二日がイレギュラーズとして過ごす日々の思い出のひとつになれれば幸いです。
今度は秘湯に入りたい、今度は宿でまったりと過ごしたい、など、再訪のご希望が多いようでしたら第二、第三の特別感謝キャンペーンをユーノ・ハマーの会長が開催するかもしれません……需要があれば、ですが。
この度は皆様の大切なPC様を預けて下さり、ありがとうございました。
またのご縁に恵まれます事を心よりお祈りしております!
GMコメント
マスターの北織です。
この度はオープニングをご覧になって頂き、ありがとうございます。
本シナリオは、温泉街でのひとときを楽しむ事が目的となっておりますが、楽しみ方は様々ございます。
なお、皆様おひとりおひとりを可能な範囲でなるべく濃く描写したいので、行き先や行動はなるべく絞って頂ければと思います。
どうしても絞りきれない方は複数の場所で行動して頂いても構いませんが、その場合はどうしても各場所での描写が薄くなってしまいます。その点どうかご了承下さい。
皆様のプレイングを誤読しないよう北織も十分注意しますが、プレイング冒頭には必ず
・行き先(○○の湯、宿、断崖絶壁、など)
・目的(花火を見る、モフモフになる、まったりする、など)
を明記願います。
以下、ユーノ・ハマーの名所やお楽しみポイントを列挙いたしますので、プレイングの参考になさって下さい。
●秘湯
ユーノ・ハマーには以下の「秘湯」がございます。
秘湯はどれも混浴です。
水着着用、コレ、ゼッタイ!
どのような水着を着るかもプレイングに明記して下さい。
「水着なんて持ってない!」という方もご安心を。レンタル水着がございます。ご希望の方は、どのような水着を借りたいか教えて下さい。
秘湯とはいえ、混浴で公衆浴場ですので、他の方と鉢合わせる事はございます。恥ずかしいとか独りでゆっくり入りたいとか思われる方はプレイングにその旨を明記して下さい。なるべく他の方と被らない方向でリプレイを作成いたします。
なお、秘湯の効果はお湯から上がってから小一時間程度で切れてしまいますので、その点ご了承下さい。
・転換の湯
入ると性別が逆になってしまう不思議な湯です。
声色は変わりますが、口調や性格は変わりません。
性別が「unknown」の方はお好きな性別を選べます。
※unknownのままでいる事は出来ません。
・もっふもふの湯
入るとケモ耳や尻尾が生える湯です。
本人が思い描く毛並みや色、形となります。
強く望めば、耳や尻尾に留まらず完全に動物の姿にもなれますし、体の大きさもその動物の一般的な大きさくらいに変える事が出来ます。(例:犬であれば、ラグビーボール大の仔犬からセントバーナードの成犬クラス辺りまで可能です)
※ただし、もっふもふな哺乳動物限定です。
・バッサバサの湯
入ると翼が生えます。
本人が思い描く形状となりますが、基本「鳥類」やコウモリなど「一部の哺乳類」となります。
小一時間程度ではありますが、空も飛べます。
※ただし、スピードはあまり出ず、慣れて安定して飛べるようになるまでは多少時間が掛かるでしょう。
・憧憬の湯
入ると子供になったり年を取ったりする湯です。
年齢が「unknown」の方は、子供っぽく小さくなるか年を重ねた風貌に変わるか、とお考え下さい。
中身の知能や性格は変わらず、純粋に見た目だけが変化します。
声も変わりません。
どれくらい子供に戻るか或いはどれくらい年を取るかは本人の望み次第で、思い描いた年齢像に姿が変わります。
ちなみに、本来未成年の方がこの湯で成人に変わっても、飲酒喫煙などはダメ、ゼッタイ!
●温泉宿
秘湯ではない普通の温泉を楽しみ、宿でまったり過ごしたい方向けです。
こちらは秘湯と異なり男湯と女湯に別れています。性別がunknownの方は自己申告でどちらかを選んで下さい。
通常の洋室から畳敷きの和室、フローリングの部屋など各種用意しております。
希望すれば、軽食と飲料のルームサービスを無料で利用出来ます。
夕食及び朝食は宿の食堂でお召し上がり下さい。
夕食及び朝食はビュッフェ形式となっており、皆様が食べたいと思うものは大抵揃います。
浴衣は無料レンタルです。
色も柄も様々ございますので、ご希望をお申し付け下さい。
なお、帰りの際にきちんと返却するという条件で、浴衣での外出も許可しております。
小規模ですがプレイルームがあり、卓球台が完備されています。
●街道沿い
小さな土産物屋が並んでいます。
名産は「秘湯饅頭」で、中の餡が様々な色と味で好評です。
ちょっとした工芸品や民芸品もよく売れます。
揚げ物など、食べ歩き出来る軽食もところどころに売られています。
●レンタルコスプレショップ(プレイング記載の際は「レンコス」と省略可能です)
大正時代の袴や学ラン、戦国時代の甲冑、中世のドレス、西洋の甲冑、中華系の衣装、ゴスロリ系など、そこそこ揃っています。
レンタル自体は会長の厚意で無料ですが、お持ち帰りは当然厳禁です。
専属画家がおりますので、コスプレした姿を描いてもらっても良いでしょう。
※メタな話になりますが、イラスト無料プレゼントでは断じてございません。現実にイラストとして手元に残したい方はご本人様負担でイラスト発注をお願いします。
●断崖絶壁
打ち上げ花火を見物するにはもってこいのスポットです。
揚げ物や甘味、飲料などの露店もございます。
打ち上げ花火は小一時間程度しか実施されませんが、まあまあの迫力があって楽しめると思います。
●禁止事項
・未成年PC様の飲酒及び喫煙
・温泉街の破壊行為及び商業活動を妨害する行為
・他の方に迷惑を掛けたり不快な思いをさせたりする行為(双方で了解した上での事であればこの限りではありませんが、その場合は必ず双方のプレイングにその旨を明記して下さい)
・その他公序良俗に著しく反する行為
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は起こりません。
ただし、故意に禁止行為に及んだ場合は会長から容赦ない正義の鉄槌が下りますので、くれぐれもご注意下さい。
それでは、皆様のご参加心よりお待ち申し上げております。
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