PandoraPartyProject

シナリオ詳細

Happy BirthDay To Me!

完了

参加者 : 30 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ステラchang→クラリスchang
「ステラちゃんに続いてクラリスちゃんにも振られてしまった訳だよ」
「知らねぇよ。いや、本当に心の底から」
 ローレットに顔を出したイレギュラーズに『蒼剣』レオン・ドナーツ・バルトロメイ(p3n000002)――つまり、我等がギルドマスターはやぶからぼうに絡んできた。
「アンタ、仕事は」
「ん、自主休業。こういう日はサボるに限る」
「……ああ、まぁ『こういう日』ね。確かに今日はご愁傷様」
「つれねぇなぁ」
「喜ぶようなタマじゃないだろ。まぁ、それでも一応はおめでとう」
 九月二十四日はこのレオンの三十八回目の誕生日である。誕生日を迎えて嬉しい歳なんてものはとうに過ぎているだろうが、恐らくは彼の代弁をするならば『何もこんな日に振られなくても』といった所か。
 もっとも酷く、非常に嘘が上手い彼の事。
 少なくとも片側――特に彼の主張を安直に真実と捉えるのは上手くない。
『そのクラリスちゃんとの本当のやり取りも含めて、実際どうだったかは定かではない』。
 インタビューの一つもしてみたい所だ、と皮肉に考えたイレギュラーズは小さく首を振る。
 ……そんな事はさて置き、だ。
「如何にも待ち構えてたって風だな?」
「勘がいいねぇ」
「……おかげさまで。色々疑ってかかるようにしてる」
「一流の冒険者の条件だ。流石ローレットの一員。鼻が高いね」
「言ってろ」
 丁々発止とやり取りをしながらイレギュラーズはレオンの様子を伺っていた。
 多忙なギルドマスターが一階のカウンター、スツールで時間を潰している事は多くは無い。つまる所、彼は何らかの意図をもってここにあり、恐らくその意図とは――
「パーティしようぜ、パーティ。公私混同で盛大に自分を祝うのさ。
 たとえそこにステラちゃんや、クラリスちゃんが居なくても――まぁ、オマエ達で我慢しとくよ」
 ――まぁ、そんな事だろうと思った……な当然の帰結である。
 憎まれ口を叩くレオンには呆れる他は無いが、恐らくは『自分の為に』と主張する彼の言はそれだけに留まらず、イレギュラーズの慰労の意味も持っていよう。
 こき使うのは彼の仕事だ。
 てこでも動かない連中を動かすのは骨だが、逆に回遊魚のように冒険を繰り返す連中を休ませるのは多少強引でも機会が無ければ難しい。
「お前こそ有り難く思えよ」
「はいはい」
「……今回は何処で?」
「たまにはローレットで。
 普通に飲み食いして歓談して、最近の事聞いてね。
 いいんじゃねぇか、そういうのも」
「ふぅん?」
「突発開催だから――そうね、来れる奴だけ。そんなに数も居ないかな」
 派手好きなレオンにしては珍しい、とイレギュラーズは考えた。
「それもいい。付き合えそうなら付き合うよ。……あと、そうだ」
「あん?」
「お前、空中神殿とか行かないの?
 それか呼ぶとか。ざんげも大概長い付き合いだろうに」
「――――」
 一瞬の間が何処か不自然だった。
「オマエはねぇ――」
 しかし、レオンは刹那の後には心底呆れたように深い溜息を吐き出すばかり。
「――アレが誕生日を一緒に過ごして楽しい女だと思うかい?」

 ……何処か温い口調で彼は云う。

GMコメント

 YAMIDEITEIっす。
 遅れましたがレオンの誕生日。時系列は9/24の出来事とします。
 以下詳細。

●依頼達成条件
・9/24を適当に過ごす

●シチュエーション
 9/24の夕刻、会場はローレット。
 ローレットを舞台に飲めや歌えやのパーティをします。
 会場には十分な量の食べ物、酒、ジュース等が用意されています。
 飲み食いと歓談がメインですが、趣旨に無理のない範囲ならお好きに。
 単なる誕生パーティ(という名の飲み会、懇親会)で良いでしょう。

●出来る事
 一行目に下記のタグの何れかを記載して下さい。

【余興】:何かします
【パーティ参加】:普通に飲み食い歓談します
【その他】:月を見ながら散歩したりそんなん含めて色々

 具体的行動は出来そうな範囲ならご自由に。
 別にレオンを祝わなくてもカップルでいちゃついていようと、全力で飲み食いしてようとOKです。本人もそれでいいと思っています。
 同行者が居る場合、必ず一行目に記載して下さい。
 又、現場に居そうなNPCは指定してくれれば居る事にして措置します。指名されない場合、無理目な場合は特に扱いません。
 幻想(ローレット)に居る事が不自然なNPCは出ません。
 また重要な情報としてざんげ『は』絶対に来ません。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

 人数制限に味をしめたわたし。楽なんだもん。
 宜しければ御参加下さいませませ。

  • Happy BirthDay To Me!完了
  • GM名YAMIDEITEI
  • 種別イベントシナリオ
  • 難易度VERYEASY
  • 冒険終了日時2019年10月15日 23時35分
  • 参加人数30/30人
  • 相談7日
  • 参加費50RC

参加者 : 30 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(30人)

クロバ=ザ=ホロウメア(p3p000145)
真実穿つ銀弾
ヘイゼル・ゴルトブーツ(p3p000149)
旅人自称者
ドラマ・ゲツク(p3p000172)
蒼剣の弟子
ポテト=アークライト(p3p000294)
優心の恩寵
サイズ(p3p000319)
カースド妖精鎌
リゲル=アークライト(p3p000442)
死力の聖剣
暁蕾(p3p000647)
超弩級お節介
カイト・シャルラハ(p3p000684)
鳥種勇者
マルク・シリング(p3p001309)
咲花・百合子(p3p001385)
白百合清楚殺戮拳
リースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984)
終焉語り
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク
ジルーシャ・グレイ(p3p002246)
調香師
鬼桜 雪之丞(p3p002312)
玲瓏の壁
ブーケ ガルニ(p3p002361)
兎身創痍
イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)
無影拳
ラルフ・ザン・ネセサリー(p3p004095)
パンドラの匣を開けし者
錫蘭 ルフナ(p3p004350)
猫派
アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯
シラス(p3p004421)
ラド・バウD級闘士
アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)
希望の蒼穹
華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)
お節介焼き
リア・クォーツ(p3p004937)
旋律を知る者
新田 寛治(p3p005073)
ファンドマネージャ
村昌 美弥妃(p3p005148)
不運な幸運
プラック・クラケーン(p3p006804)
蛸髭 Jr.
カイト・C・ロストレイン(p3p007200)
六枚羽の騎士
ルカ・ガンビーノ(p3p007268)
黒狼
雪村 沙月(p3p007273)
百錬成鋼之華
メイ=ルゥ(p3p007582)
シティーガール!

リプレイ

●三十路過ぎても
 一年三百六十五日、実際の所、記念日で無い日は有り得ない。
 この世には星の数程の人間が居て、人間である以上、今生に産まれ落ちた日は必ず存在する訳だ。
 誰かの誕生日は最もシンプルな記念日であり、それが親しい相手ならば最も味わい深い一日となる。
 果たして九月二十四日も――ローレットに属するイレギュラーズにとってはそれなりに重要な一日であると言えたのかも知れない。
「ま、堅くならず。諸君一同、全力で祝ってくれればいいからね」
 それが三十路とうに過ぎ去り、四十路が見えてきた男の台詞であるべきかはさて置いて。今日がローレットを率いるギルドマスター、レオン・ドナーツ・バルトロメイの誕生日である事は確かだった。
 時と場合に応じて実に嬉々として公私混同を見せる彼は、たまたま暇をしていたイレギュラーズに言ったものだ。「これからパーティをやるから付き合え」と。
 かくて彼の目論見通り、準備はトントン拍子で進み今に到る。
 臨時のパーティ会場に姿を変えた酒場(ローレット)は俄かに賑やかであり、小料理やら酒やらソフトドリンクやら所狭しと並べられた店内はこれから始まる馬鹿騒ぎを約束しているようである。
 その中でも特筆するべきは一角に自身の板場を設えたゴリョウだろうか。
「ぶはははっ、今日の俺は和食料理長! というわけで寿司を握るぜ!
 俺が苗から育てた『混沌米(コシヒカリ)』。それから精密無比な握りっぷり!
 一手見せてやりやしょう、小手返し! ぶはははははは! 寿司食いねえ!」
「あー、リサーチ出来てるねぇ。最近どうも脂ものは胃に悪くてさ」
 蛇の道は蛇――何処から仕入れたかレオンの好みを綺麗に打ち抜いたゴリョウは俄然腕をぶしている。
 余興の代わりにと特設のシェフを買って出た彼は頼もしい。
「それじゃあ、アタシも――そうね、乾杯の前に」
 いよいよ始まるパーティにジルーシャが淡く笑んだ。
「改めて、Happy Birthday レオン。
 頑張り屋のアンタが倒れちゃわないよう、アタシからはリラックスできる曲を贈るわね」
 言葉と共にストラディバリウスを傾けたジルーシャは精霊さえ騒がせる見事な弾き手である。
 柔らかく室内を包む弦の調べは、成る程、パーティを彩る『らしい』室内楽。
「ありがと。じゃ、乾杯!」
 仕切り屋の主役、愉しげな一声にグラスが次々と涼やかな音を立てた。
 それを切っ掛けにどんちゃん騒ぎは始まった。
「これは、レオン様の奢り、でいいのでしょうか?」
「いいのです! お財布をないないしてやるのですよ!」
 一人よりは誰かと食事する方が楽しいのは当然である。
 問い掛けた雪之丞にユリーカは小さな胸を張り、「ふむ」と頷いた雪之丞は小さく笑う。
「ユリーカ様は、好きな物はありますか?」
「ぴざ! なのです!」
「美味しければ特に問わないのですが、拙も『ぴざ』はおすすめです」
 明快な答えに雪之丞はまた微笑む。
 箸で少し食べにくそうにする彼女をドヤ顔のユリーカが「こうなのです」と教えていた。
(都会の族長さんのお祝いをするのですよ!)
 一方で張り切るメイは小さな体を精一杯に使って食べ物の、飲み物の配膳に忙しく立ち回る。
「レオン殿お誕生日おめでとうである!
 再びこうしてお祝いできることのなんと喜ばしい事か!」
 大きな瞳をキラキラと輝かせ、まるで尻尾があれば揺れていそうな百合子(ドーベルマン)である。
「普段お世話になってる分、美少女力を滾らせてお祝いしちゃうのであるよ!
 というわけで、道場から酒樽持ってきたのである。
 これをレオン殿に景気よく鏡開きしてもらって皆に振舞おうぞ!」
 いちいち豪快な百合子は酷くらしく、レオンは良く出来ましたと頭を撫でる。彼にしては全く珍しくそんな構う姿は『美しい少女に相対するというより、可愛いマスコットに対してのそれ』を思わせる。
「クラリスちゃんやらステラちゃんとか!
 混沌美女には今だ劣るがそのうち追い越す吾の酌であるぞ。
 くはっ、それが得られるのであればフラれて帰ってくるのもそう悪いものでもあるまい!」
「そうだな、『オマエは何時も前より可愛くなるから』」
「うむ!
 ……来年は今よりもーっと美少女になっている故、素直にお祝いさせてくれてもよいのであるよ?」
 それは真理である。百合子が『美少女』である故か、はたまた『美少女』な百合子である為か。
 かくて酒樽は鏡開かれ、一気に酒を傾けたレオンの下へポテトとリゲルの二人がやって来た。
「誕生日おめでとうレオン。また一年、レオンにとって良きに一年になることを願う」
「新たなる一年、更なる幸が訪れんことを! 俺達もこれからも頑張りますね!」
 何時もと同じく――最近は何時もに増して仲睦まじく。『いつもイレギュラーズの為に暗躍……じゃない、裏で飛び回る』レオンの為にと二人は共同作業で特製のケーキを準備していた。
 大きなホールケーキの上には可愛くデフォルメされたSDのレオンが載っている。
「これは特にリゲルの力作なんだ」
「こりゃ驚いた。いい嫁さんになるな、いや――もうなってるっけ」
「……わざとですよね、間違いなく!」
 頬をポッと染めたポテトに代わり、リゲルが辛うじて突っ込みを入れた。レオンの言葉は二人の結婚をからかうそれであり、『リゲルがいい嫁さんになる』というからかい文句でもある。
 一石で二鳥を落とす意地悪はクリームをすくって舐め「ああ、美味い美味い。大したもんだ」と些か意地の悪い顔を見せていた。
 主役の所の顔を出したのはアークライトな二人だけではない。
「やあ、レオン。お誕生日おめでとう。
 そろそろケーキに刺す蝋燭がたくさんだね、ケーキ燃えそうだね。
 火、吹き消すかい? あはははは!」
 いい感じに『らしい』。余計な一言と共に登場したのはカイトと、
「こんにちわ、レオンさん。お誕生日おめでとうございます。
 三十八歳……お歳を初めて知ったのですけど、レオンさんは父と同年代だったのですね」
「カイトはともかく、今の結構効いたわ……」
「……Σ」
 ……折り目正しく打撃を加えるリースリットの二人もこのお祝いに口を出す。
「そうだ、リースリット。
 そういえばキミの誕生日を僕は知らなかったな、いつなんだい?」
「誕生日……私ですか?
 ええ、今年は過ぎてしまいました。七月です、七月の二十三日――」
「いやほら、なんかこうやって誕生日にプレゼントを贈るのも大事かなって思ってね!」
「オマエ達、大概だな、今日!」
 レオンがカイトの頭をぐりぐりとやり、閑話休題。
「ハッピーバースデー、オーナー!」
「お誕生日おめでとー!」
 二人揃って元気の良い屈託ない声でお祝いの声をかけたのはこちらも負けず仲が良い――但し、ハンドリングはまだ難しそうだが――シラスとアレクシアである。
「お祝い早々で悪いんだけどさ、ずーっと気になってる事があって!」
「そう、レオンさんの冒険の話!
 一度直接聞いてみたかったの! 特に覇竜に行ったときのこととか!」
 空のグラスに一杯注ぐも、お祝いもそこそこに瞳に星を瞬かせた二人にレオンは「何? 自慢話が聞きたいの?」とやり返す。
「酔っぱらって入ったなんて噂だけどさ、本当は何かあったんだろ?
 絶対に冒険の予感がするじゃん、言っとくけど! 俺らは誤魔化せないから!」
「そうそう、凄い冒険者だったんでしょ!  逃げ帰っただけ、なんてあるわけないじゃない!」
 興味津々な少年と少女は何時かそんな場所を冒険してみたいという野望を隠していない。
 シラスは『蒼剣』と『赤犬』のように。アレクシアは「シラス君と一緒に!」。
 それが似て非なるものなのか、完全な一致なのかは知れないが――
「まあ、前線退いて、あまり戦わないレオンにはあんまり必要ないかも知れないけど……
 そうだな、その剣にメンテナンスが要るなら、是非使ってくれ」
 少年少女に強請られて、のらりくらりとかわし始めたレオンにサイズが『実に鍛冶屋らしく』プレゼント(?)の優待券を差し出せば、
「飲んで――呑めないけど! 騒いで賑やかし担当。鳥だけにな!
 俺も後一年ちょっとで飲めるぜ! そしたらレオンと飲み比べするんだ!」
「勝てると思ってんの? ま、ちゃんと潰してやるから楽しみにしてな!」
 カイトが勢いよく場に参戦し、レオンが応じる。
「レオンさん、お誕生日おめでとうございます!
 美味しそうなお酒を見つけたので、ささやかながら誕生日の贈り物です。
 えーと、銘は『美少女殺し』……何だかこっちが殺されそうな名前だなあ」
「フフフ、丁度いいデス。御祝い事は大好きデスよぉ♪
 ただパーティを楽しむのもなんデスしぃ……何ならお酌をしながら過ごしましょうかぁ♪」
 更には銘酒を一本差し出したマルクに美弥妃が応じた。
「そりゃあいい。じゃ、オマエも殺されてけよな」と応えたレオンにマルクは「お手柔らかに」と極々僅かに苦笑する。彼の脳裏を過ぎった『殺しそうな美少女』と言えば――
「レオンの旦那! 誕生日おめっとさんっす!
 そういや今日ってリーゼロッテサンは来てないんすかね?
 あのザーバと引き分けたっつー女性にゃ興味深々で――何たって、幻想で一番強い女でしょ?
 そりゃあ俺にとっちゃ幻想で一番良いオンナってのと同義っすからね!
 きっと出る所出て締まる所締まったたまらん美女なんでしょうなあ!
 いや、そうに決まってる! 貧相極まりない体で暗殺令嬢は無理があ――んが!?」
 ――後頭部にフォークの生えたルカが何の悪気も無く口にした彼女である。
 噂をすれば影が差したのか、余計な事言ったからなのか、何らかの天変地異なのかは知らないが「あちゃあ」と顔を覆ったマルクの一方でレオンはくくっと笑ってまた一杯を呑み干した。
「はぴばー、やね、ギルドマスターはん。
 なんなん……もぉ三十八やったっけ。立派なアラフォーやんなあ」
「ありがと。言うなよ、思い出すだろ」
「そりゃ失敬やね。
 まぁでも言うてまだ三十代やし、一線を退くにはまだまだまだ早いよね。
 これからも胸とか名前とか顔とかこれからもいっぱい貸してもらわんといかんしねぇ」
「ソウソウ!」
 早々と――少し酔った顔のイグナートがそこに絡む。
「レオン、誕生日オメデトウ!
 ……って事で、ではここで一発芸をオネガイします!」
「人使いが荒いね、オマエ達も」
「お互い様やん」
「違いない」
 レオンはブーケと、イグナートと。グラスを次々ガチンと当てる。そして一気でもう一杯。
「あら、いい呑みっぷりデス♪」
 開いたグラスにはすぐに美弥妃が酌をする。
「ふふ、人の誕生日にかこつけてタダ酒! ばんざぁい!
 はぁい、本日の主役さん! お誕生日おめでとぉ。振られた憂さ晴らしはできてる?」
 そこに早速『へべれけ』なアーリアまでもが加われば実に、実に盤石だ。
「慰めてくれる訳?」←さいあく
「……えー? 今夜で足りなければ、いつでも付き合うわよぉ? ……お酒」←彼氏持ち
 ブランデーの香りを乗せて艶やかなアーリアの唇がレオンの耳元をくすぐれば……
「!?」←あおい
「……!?」←目がぐるぐる
 あっちの方で面白い顔をした二名が居た。
 ……君らもうちょっとしたらな。待っててな?
 歓談の空気は驚くべきスピードで暖まっていた。
 名目上はレオンの誕生日だが、実際の所はイレギュラーズの交流会のようでもある。
 そして、それは当のレオンが望んだ事でもあるのだろう。
 本人の狙い通り、宴はたけなわ更なる盛り上がりを見せていく。
「良かったわね、マスター。
 クロバさんがこの前の勝負の約束守ってくれるってさ。
 じゃ、クロバさん? 全員分の焼肉、頑張ってね?」
「最近焼肉絡みの話多くないか……いやまぁ半分自分で蒔いた種なんだけども。
 まぁ、誕生日祝いと言う事で派手にやりますか――」
「へぇ、いいの持ち込んだのか」
 情け無くリアは追い込み、そうだ。クロバが肉を奢る事――それは『蒼剣教導』で決まった一幕である。
「そうそう。これは……そう、何の他意も無いんだけど。
 はい、これあげるわマスター。いつか、伯爵に贈ろうと思ってクッキーの練習をしてたんだけど……これ、その練習した物。こんなに可愛い子に貰ったんだし、光栄に思ってよね?」
「なんだ照れ隠す事はないだろリア。
 前日まで俺を散々付き合わせて誕生日だからと頑張って教えながらクッキー焼いて……」
「ふぁっきゅー! 兄さん!」
 やいのやいのと騒がしい二人にレオンはくくっと何時もの笑いを見せる。
 敢えてクロバに言われなくても『そこそこ』不器用なリアから様々を読み取るのは難しくない。
 とは言っても恋に恋する乙女(リア)の特等席はきっと一人に決まっている。
 むしろだからこそ気楽にレオンは「ありがと」と軽く笑う。
 ……実際の所、気が気では無い娘はその辺に居る。
「!? ……! !!?」
 甲斐甲斐しくパーティの世話を焼きながら、時折ハッとした顔を見せ、赤くなったり青くなったり忙しい――何とも可愛らしいぽんこつが。持ち前の家事技能、メイドさんスキルをフル回転して、近くに行きたいような、それでも気後れしているような、何とも言えない乙女がそこに居る。
「で、オマエねぇ……」
「……は、はい、なのだわ?」
 当のレオンの視線が自分に向けば――酷く嬉しいのだけど同時に――罰が悪そうな顔をして、少しだけびくつく華蓮である。
(れ、レオンさん……御機嫌斜め?)
 彼は声を荒げたり、怒ったりはしないが、何か粗相をしてしまっただろうかと考えた。
 お皿は割っていないし、一通り上手くやった筈だけれど。
 ちょい、ちょいと自分を手招きするレオンに華蓮はとてとてと従った。
 そんでもって。
「――!?」
 グイ、と強く腕を引っ張られ、脚の間に座らされる。
 後ろから圧し掛かるような姿勢になったレオンの顔がすぐ横にある。
 太い腕はと言えば華蓮の肩から回されて、手の上に乗っていた。
「何で、仕事ばっかりしてるかなぁ」
 意地悪く――逆に優しいのかも知れないそんな声が華蓮をくすぐった。
「う、あ、はい。ごめんなさい……」
 声は掠れて消えそうで。
 四十手前の男のちょっとくたびれた匂いも、きっと乙女には特別なのだろう。

 ――お誕生日おめでとうなのだわ、レオンさん。
 また次の一年が、素晴らしい物でありますように。
 ……あとその隅っこで良いから、願わくば私の存在がありますように――

●余計なお世話
 ジルーシャの奏でる弦楽の調べに流麗が舞う。
 息を呑む位に美しい所作は全ての謙遜が馬鹿馬鹿しい練達の技である。
「今宵の余興に」と一時の色彩を買って出たのは沙月であり、彼女の踊りはこんな夜にも良く映えた。
「お粗末様で」
「いやいや、大したもんだ」
「一杯どうぞ」とグラスを差し出したレオンに沙月は如才なく応じる。
 舞踏の立ち居振る舞いはそんな所にも出るのか、和装の彼女は歳以上に艶っぽい。
「いやはや、私もやっと今年で此方でお酒を飲める年齢になったのですよね。
 ですので、ここ最近は此方のお酒を試して見て回っているのですよ。
 ……と云う訳で、これが私のお勧めのお酒なのです」
 ヘイゼルが差し出したのは『見た事も無い地ビールの瓶』である。
「進呈致しませう。御誕生日おめでとう御座いますね、レオンさん」
「意外と律儀だね、オマエ。何、案外俺の事気に入ってる?」
「興味はありますよ(彼女の観測的に考えて)
 いえ、まぁ、これで(表向きの)用は済んだという事で――」
 酔っ払いの戯言を如才なく、そして生温く受け流す事等ヘイゼルさんには児戯である。
「いい日だね、愉快な連中に沢山の美人がお祝いしてくれる」
 盛り上がりに任せたパーティはすっかり『グダグダ』だったが、ほろ酔いのレオンは柄にもなく素直に機嫌が良さそうだった。本人が自信たっぷりな通り、普段は酔った顔さえ見せないからそれはそれで珍しい。
(……い、今がきっとチャンス、です――)
 だから――だからと言う訳ではないのだが。
 ドラマはヘイゼルの望みの通り――深く幾つか深呼吸をして、主役の人だかりに滑り込んだ。
「こんばんは! レオン君、お誕生日おめでとうございます!」
 努めて冷静に、大丈夫声は上擦っていない。多少頬は引きつっているかも知れないが、多分笑顔は作れている。多分、だけれども。
 レオンの青い目が自身に向けば途端にドラマの頬は熱くなる。
「プレゼントは期待していい訳?」
「誕生日プレゼントは私……」
「乗った」
「……だなんて、冗談ですよ! 信じないで下さい!」
 酔っ払いが大笑いして、ドラマはと言えば用意してきた冗句も上手く使えずに必死で否定する他無い。
 彼女が彼に選んだのは珍しい深緑の酒。
 物珍しげにボトルを手に取って眺めるレオンを横目にドラマは内心穏やかではない。
 ……自覚して、恐らく病状は悪化の一途を辿っていた。
(……自分をプレゼント、だなんて全然プレゼントになっていないのです
 レオン君に喜んで欲しい、よりも私を見て欲しい、構って欲しい、何かして、欲しい……
 なんて。そんなの私がそうなりたいだけじゃないですか……)
「……ろ」
 レオンが何かを言ったがドラマの気持ちは幾分か上の空のまま。
「御歓談中失礼しますよ。おっと、ドラマさんには恨まれてしまうかも知れませんけど」
「オマエって本当にいい性格してるよね」
「良く言われます!」
 無暗に爽やかな笑顔を見せたのは言わずと知れたローレットの不審人物、何処ぞのお嬢様曰く特A級の翌朝冷見こと新田寛治その人である。
「いや、実はこの日の為にプレゼントと言いますか――メッセージをですね、集めてきまして」
「何だそれ」
「まずはこれを」
「……………オマエねぇ」
 寛治が差し出したのはあろう事か空中神殿で水浴びに興じるざんげの姿。
 そこには如何にも書かされた調子の「たんじょーびおめでとーごぜーます」の文字。
「オマエねぇ……」
 どっと疲れた顔をしたレオンに、
「他にも沢山! レオンさん誕生日おめでとうっす!
 へへ、俺達だけで祝うのもなんですからね――!」
 プラックが追撃を仕掛けた。彼の持ってきたのは元相棒(ディルク)やら困ったお嬢様やら誰やらによる多種多様なるバースデーカード達である。当然と言うべきか、四十手前の男にそれは余りにもあんまりでくすぐったく居心地が悪く、レオンは珍しい苦笑を禁じ得ない。
「……しかし」
「はい?」
「良く書いたな、あいつが」
 ぽつりと零したレオンの調子は何時もと少し違う。
「……レオン君?」「レオンさん……?」
 良く彼を見ているドラマと華蓮の二人は、だからこそ――ほんの少しの違和感を感じていた。
 そんな些細なさざ波をかき消すようにレオンは何時もと同じく意地悪な顔をして小さく笑った。
「オマエ達、好きな奴って居る?」
「!?」
「!!!!!?????」
 乙女への特攻を発揮する一撃は場に混乱をもたらした。
 目がぐるぐるになるドラマ、青くなる華蓮が真っ当な返事をすぐに返すのは難しかろう。
 寛治は「お人が悪い」と楽しそうにグラスを傾け、プラックは「見習っちゃダメな奴っすね」と真顔で頷き、ヘイゼルは愉快そうに予定通りの観測を果たしている。
「俺はね――まぁ、居たよ。昔に」
 ステラちゃんとか、クラリスちゃんとか。



「誕生日おめでとう……私から云われても欠片も嬉しくは無かろうが。
 ま、中年の誕生日など元々か」
 夜道を一人行くレオンに声をかけた者がいた。
「いい加減酒は飽きただろう? 持って行くといい」
 ラルフが放り投げたのはトマトジュースの入ったスキットルだ。
「オマエ達って本当に余計なお世話が好きだよねぇ」
 いざローレットから表に出れば、何やかんやとそちらでも祝福を受けたレオンである。
 それは「フン、でもさ、バッカみたい。三十八なんて、お誕生日おめでとうで喜ぶ歳でもあるまいし、小さな子供みたいにパーティなんて開いちゃってさ」何て悪態を吐きながら、方々にレオンの誕生日を周知していたルフナの何とも言えない仕掛けによるものである。
 夜風に吹かれた彼がパーティ会場を後にしたのはお節介な連中に「行けば?」と促されたからである。『絶対に来ない相手』に顔を見せたらと押し出されたからである。
「お前みたいな面倒な男は――まぁ、一筋縄ではいくまいなあ」
「お互い様だろ」
「違いない。だが――」
 すれ違う時、ラルフは苦笑を消して真顔で言った。
「想いとは呪いに似ている――持たん方が楽だぞ、そんな物は」
 ラルフはレオンの心持等、事情等知らない。
 だがラルフがレオンから感じ取るものは自身にも似た何かである。
 妻を失った時、無明の復讐を誓った自分に似た――呪いの如き強い情念。
「そんなキャラかよ」
 鼻で笑ったレオンは言った。
「暁蕾が神殿に居るらしい。俺はその迎えとエスコートさ。
 夏も終われば風邪を引く。お仕置きしてやりたい所だが、そりゃあ次にとっとくか」
 レオンは月を見上げて、その横に佇む遠き神殿を眺めていた。
 恐らくはざんげも、暁蕾も同じように月を眺めているのだろう。
 青い月を、冴え冴えとした月を。

 ――たまには、いいじゃない? こんな出来事があったって。

 暁蕾は言いそうだ。
 頭を振ったレオンは、やはりお仕置きしておくかと頭を掻いた。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 YAMIDEITEIっす。
 何だか思ったよりシリアスになりました。

 書き過ぎた。全員描写した(筈)
 抜けていたらお知らせ下さい。

 シナリオ、お疲れ様でした。

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