PandoraPartyProject
未来へ
未来へ
「いやいや、大変だったね」
Я・E・D(p3p009532)が大きく息を吐き出す。
『終焉』への途が割れた時、無明の戦いを続けてきた誰もがそれを知っていた。
「……………」
ムサシ・セルブライト(p3p010126)は彼方をじっと見つめた。
何か、とてつもなく大切なものが失われてしまったそんな予感がして。
でも、『ヒーローらしからず』そんな事は確かめたくもなくて。
「遅いぞ、全く」
「あら、いいじゃない。劇的(ドラマティック)で」
安堵したルナール・グリムゲルデ(p3p002562)に傍らのルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)が笑う。
何れにせよ。
「勝った……んだよな? やり切ってくれたんだよな」
モカ・ビアンキーニ(p3p007999)の言葉は目前から消え失せた魔種の軍勢が肯定していた。
それは明らかにこれまでとは違う変化で。影の領域を包み込んでいた重く苦しい気配は既に霧散していたのだから。
嗚呼、何と言う晴れやかさだろうか。
「改めて言う。結婚してくれ」
「な、何度目よ。というかここを何処だと思っていて!?」
すっかり覚醒したベルナルド=ヴァレンティーノ(p3p002941)にアネモネが鼻白む。
「……それに分かっているの? そう一筋縄で行く話でもないのよ。好きだ、嫌いだとかで」
『好き』は否定しない――出来なくなったアネモネにベルナルドは「影の領域よりは手強くないさ」と胸を張った。
「今後は商売(うた)の種には困らねぇなあ――」
戦いも恋も。そんな有様を眺めたヤツェク・ブルーフラワー(p3p009093)が軽く揶揄をした。
(……まったく、見せつけてくれたじゃないか)
ふ、と目を細めた天目 錬(p3p008364)はここに到らせる一助となった目標(シュペル)の御業を思い出し一層燃えて。
同じ人物を脳裏に描いたメリーノ・アリテンシア(p3p010217)は対照的に「やったわね、シュペルちゃん!」とここに居ない彼と空のハイタッチをした。
まあ、眺めている彼は苦虫でも噛み潰した顔をしているのだろうが彼女にそんな事は関係ない。
「……大丈夫か」
「はい」
義兄(アベルト)から差し出された手にリースリット・エウリア・F=フィッツバルディ(p3p001984)は淡く微笑んだ。
「まあ色々あったが――感謝はしている。弟も無事のようだしな」
ちらりと視線を向けたアベルトとリースリットのもとに「リースリット!」とフェリクスが駆け寄ってくる。
彼が近くに居なかったからこその言葉だったのだろうが、リースリットはそれが少しおかしかった。
「正直、滅茶苦茶疲れたよ」
アルヴィ=ド=ラフス(p3p007360)が思わず膝に手を当てて零した。
「世は全て事もなし、ってね」
傷付き疲れ果てても涼やかな美貌はそのままにゼファー(p3p007625)が言った。
「天下泰平というやつじゃな!」
「これでアトさんと結婚式だもんね!」
此方もマイペースは変わらずに一条 夢心地(p3p008344)もフラーゴラ・トラモント(p3p008825)も笑っていた。
「凱旋よ」
騎兵隊の首領たるイーリン・ジョーンズ(p3p000854)が短く高らかに告げれば、
「ま、当然の結果だな」
「面白い物語だったねえ」
エレンシア=ウォルハリア=レスティーユ(p3p004881)は嘯き、武器商人(p3p001107)が特徴的な笑みを零した。
「……ああ……」
レイリー=シュタイン(p3p007270)は一瞬だけ瞑目して友を想い、
「誇ろうぜ、俺達は。自分を、あいつらを」
「最高にカッコ良かったってやつじゃねぇか」
ミヅハ・ソレイユ(p3p008648)とカイト(p3p007128)はそんな白壁(かのじょ)を慮るように肩にそっと手を置いた。
――混沌の戦いが、物語が閉じていく。
(ああ――)
混沌が安定していくのが大樹の精霊に通じたアレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)には良く分かっていた。
『有体に言って世界は救われた』のだ。
残るのは、いや次のページにあるのは彼女自身も含めた『それぞれの物語』だ。
「……………」
アレクシアの脳裏にシラスの顔が過ぎったのはきっと偶然ではないのだろうが――
「帰るのだわ」
「ええ。華蓮さん。一緒に――」
「――皆で、だわ!」
華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)の言葉に手を繋いだココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)が応じた。
「ぱぱにも結構褒めて貰わないとだ」
エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)が頷く。
帰るのだ。
あの大切なローレットに、愛しき混沌に。或いは本来自分が居た世界に。
万感を超えて、数限りない痛みと苦しみを乗り越えて。定められた運命を捻じ伏せて。
今、彼等は確かにここに残っているのだから!
……だから。
「結局生き残ったわね。スティア、おまえ頑丈だから」
「勿論! 世界の危機にやり切れなかったら聖女が廃るからね!」
相変わらずの悪態を吐くカロルが視線を明後日に逸らして「やる」とばかりに揃いの指輪を押し付けてきたのは確かに奇跡の残り香だったのだろう。
「……え?」
「一言でも聞いたら撤回するわよ」
スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)は目を丸くする。
生き残ったらそうしようと思っていた、なんて。この天邪鬼にはとても言えない。
動かない山が動いたのはカロルだけではない。
「趣味じゃなかったんだけどなア――」
何にも縛られず、奔放の塊のような男(ディルク)は頭を掻いて小さく漏らす。
「あんの根性無しが『ああ』だと調子が狂うぜ。当てられるぜ」
残り香は『ここ』にも最後に僅かばかりの変化を添えている。
「帰るぞ、エルス。ここに居て滅多な事を言っちまったらレオンに『やらされた』みたいになる」
「え、あ、はい……?」
「そういうのは自分で決めるモンだ。俺が十割自分の意志で――まあ、ラサに帰ったら言ってやるよ」
エルス・ティーネ(p3p007325)は一瞬戸惑ってディルクの発言を反駁して――それから合点して白い肌を赤く染めた。
※本エピローグはもう少しだけ続きます。
Bad End 8(終焉編)
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