PandoraPartyProject
剣を掲げ、勇気を胸に:FINAL PHASE
「黒陽も墜とされ、ガルボイも朽ち」
男は言う。
極大化し続ける、ワームホールの前に立ち。
赤い鎧。
巨大なる剣。
全剣王。
そう名乗るもの。
「下らんことを。ルナリア、貴様はまだ生きているようだが――」
「ええ、王」
一礼をして見せる。ドゥマは鼻で笑った。
「は――だが、死にかけか。
まぁ、いい。せめてここで華やかに散れ」
捨て置く、と意味だろう。もう、彼女の『足止め』など必要ないのだ。
「さて――無駄な努力をご苦労、イレギュラーズの諸君。
見事に下らん努力を続けたものだ。
貴様らが遊んでいる間に、我も暇だったのでな。ワームホールに少し仕掛けをしておいた」
「何を」
ニルが言う。
「したのですか?」
「このままワームホールは極大化を続ける。そうすれば、鉄帝の大半は影の国に飲み込まれるだろうよ。
下らん。我が、守る、だと?
確かに、我は最強であり、イノリからの信も厚い。
故にそうふるまっていたが――そもそも、守る必要ああるのか?
こういうものはな。攻撃に使うのだよ」
笑う。
「そんな」
セララが言った。
「そんな無茶苦茶なことを!」
「できる。
なぜなら我は最強であるからだ」
鼻を鳴らした。
「最強であるからこそ、すべてが許される。
逆を考えろ。弱者は何もできない。
何も選べない。誰にも選ばれない。
故に、強者こそがすべてを恣にできる!
それがこの世の摂理だ!
そしてそれができるのは、この、我だ!
王とは、この世に一人――我のみであるべきだ!」
「偽りの王め」
イーリンがうめく。
「それで勝ったつもり?」
「勝ったつもりなのではない。
勝ったのだ。
膨張するワームホールは、我を殺さなければ止められん。
それに、ワームホールからはこれまで以上の軍勢が湧いて出るだろうよ。
もはや貴様らに援軍は見込めまい。
ならば――」
「いいえ、いますよ」
そう。
静かな声が響いた。
空が暗くなる。
無数の、ワイバーンが。
飛来する――。
四つの影。
「貴様――」
ドゥマが、流石に驚愕のそれを見せた。
「竜、だと」
「ええ。
若輩なれど、バシレウスが一つ――ザビーネ=ザビアボロス」
「悪いな、遅れた!」
ムラデンが叫ぶ。
「ちょっと寝坊助のおっさんを連れてきたからな――」
ぬ、と、大男が頭を掻きながら現れる。
「じゃぁかしい、坊主!
こっちは初めての国外旅行じゃ、土産くらい買わせい!」
「シェーム、さん?」
ユーフォニーが声を上げる。
大樹の嘆き――シェームは笑った。
「おう! まぁ、今回は世界の危機っちゅうことで、特別に、少しだけ目が覚めた。
というか、次に会うときは、もっと静かな時が良かったんじゃが……こちらのザビーネに頼まれてはな!」
「私が人間と縁を紡ぐことになったのは、半分は貴方のおかげです。
責任をとってください」
「まぁ、ええ。儂は可能性を持つものは好きじゃ。
それがこんな阿呆に消されようとしているのではうかうか寝てもいられんな。
さて、ちびっこ、どうするんじゃ?」
「え、え、え、え、えっと」
おどおどとストイシャが言う。
「お、おねえさまと、私と、ムラデンと、お、おじさん……。
全員の力を合わせれば、ワームホールの拡大を食い止められるでしょ?
そ、その間に、皆があっちのおじさんをやっつける……」
「っちゅうことじゃ!」
シェームがいった。
「貴様(きさん)らの力はもう試すまでもないじゃろ!
全力でやれ! 手助けはする!」
「ええ、まさか深緑からも手助けが来るとは」
オリーブが言う。
「これは、情けないところは見せられませんね!」
妙見子が、笑った。
「いいわね。これでいい加減最後よ」
イーリンが、声を上げる。
「立ち向かうわ。
全群突撃!」
おう、と。
人が。
人の群れが、鬨を上げる。
「戯けが」
忌々しそうに、ドゥマが睨みつけた。
「その思い上がり。
この剣で消し飛ばしてやろう」
構える――。
「……やるぞ」
アルヴァが、言った。
さぁ、立ち上がれ。
決戦の時だ!
※最終決戦が進行中です!
※各国首脳が集結し、一時的に因縁と思惑を捨て、ローレットと共に決戦に臨む事で一致しました!
※Bad end 8首魁と見られるマリアベルとの戦いの報告が上がっています……!
※世界各国にて発生した戦いの、結果報告があがっています……!
※幻想各地にダンジョンが発見されたようです。
これまでの天義編|プーレルジール(境界編)|Bad End 8(終焉編)
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