PandoraPartyProject

PandoraPartyProject

影を貫く

4page

「……何が起きた……?」
『それ』を目の当たりにした刻見 雲雀(p3p010272)の声は知らない間に乾いていた。
 状況を正しく説明する事は困難だ。強いて見たままを言うならば……
「何かすごいのが飛んできて魔種の軍を吹っ飛ばした、にゃ!?」
 ……祝音・猫乃見・来探(p3p009413)の表現は非常に胡乱だったが、実際の所そうであるとしか言いようがない。
「いや、だが今のは――正体は知れないが本命じゃないかも知れねぇな」
 ヤツェク・ブルーフラワー(p3p009093)が少し冷静にそう分析した。
 突然に、唐突に、彼方から飛来した『何かの力』の余波が軍勢を削り取ったに過ぎない。
 魔種の圧力に敗れかけ、全滅さえも過ぎった状況をそれは僅かばかり押し返してくれたのだが。
「だって、そりゃあそうだろう――」
 酷く直線的な力が彼方に奔るその時を、ヤツェクのみならず、恋屍・愛無(p3p007296)の眼も捉えていた。
「――あの力でこの位の影響じゃ全然勘定が合わないし――」
『それ』はより細く収束し、真っ直ぐに影の城を目指していた。
 愛無の言う勘定を合わせるのなら、もっともっと力が要る。
 例えばそう、この場が目的だったらイレギュラーズごと全てを消し飛ばしてしまうような甚大な結果が――
「シュペルちゃんでしょ」
 メリーノ・アリテンシア(p3p010217)は当然の事のようにそう言った。
 気のせいか何処か誇らしげな調子でそう言った。
「訳が分からない凄い事は大体シュペルちゃんって決まってるから。
 て言うか、口で何を言ったって最後には動かずに居られない辺りがすごい信憑性あるじゃない?」



「――マリアベル!」
「――――ッ!?」
 影の城の戦闘、これまで十分過ぎる程の余裕を湛えていたイノリの表情が初めてと言っていいレベルで引き攣った。
 警告の声を受けたマリアベルは刹那、彼の意図を理解する事が出来なかった。
「……っ……!」
 マリアベルを庇うように動いたイノリと『細い線』が影の城を貫くのは同時だった。
「……く、ぁっ……!」
 炸裂した威力がイノリの発した初めての本気と喰らい合う。
 原罪を冠する大魔種を苦しめる『何か』は驚くべきか、その場で乱戦を展開するイレギュラーズに何ら悪影響を及ぼす事がない程の『精密さ』で城主のみを叩いていた。
「……イノリ!?」
「滅海竜の精密射撃か。
 次元まで消し飛ばしてやってくれる。
 顔を見せないと思ったら、こんな切り札を。流石に塔の神って所か」
 イノリはその暴力を押し止めるも、大きなダメージを受け、その右腕は無惨に消し飛んでいる。
「良く分かんないけど、あの弟を褒めてやりゃあいいのね?」
「ご愁傷様なのだわ」
 リア・クォーツ(p3p004937)がそう言えば善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)が肩を竦める。
「こりゃあ――クライマックスって事でいいんだよな?」
「シンプルでいい感じだな!」
 仕掛けたクロバ・フユツキ(p3p000145)郷田 貴道(p3p000401)にこれまでとは血相を変えたマリアベルが応戦する。
「悪いけど、弱点を狙うのって結構狙撃手らしいでしょ?」
 ジェック・アーロン(p3p004755)の正確な一撃がイノリに向けばマリアベルはこれを守らざるを得ない。
 甲高い金属音を連続させ、必死の応戦をする彼女の表情には先程までの余裕がなく、傷付いた彼女が怒りに目を血走らせる。
「ええ、ええ! もう遊んでいる場合ではないでしょう!」

 おおおおおおおおおお……!

 爛々と目を輝かせたマリアベルの周囲に殺気が満ちて、必殺を思わせる禍々しい空気が辺りを包む。
 だが彼女のその大仕掛けが実を為すよりも早く。

 ――じっくりと観察させて貰ったからねェ?

 性質の悪そうな声が耳障りな笑いを零していた。

 ――特異運命座標諸君!
   取り敢えず抑えられる限りは僕が抑えておくカラ、とっととこの戦いを終わらせたまえ!
   言っておくけど、君達のお陰で僕は本調子じゃなイ。そう長くもつとは思ってくれるなヨ!

「やっぱり幻想は見捨てられなかったんだね!」
 セララ(p3p000273)の言葉にそれ(パウル)は答えなかったが、是非も無い。
 最終決戦に人は全ての術を尽くし、細く掠れて消えそうなハッピーエンドへの道をここまで何とか手繰り寄せてきたのだ。
「……マリアベル。僕を気にするな」
「でも……」
「『僕の望みは神託の成就だ』」
「……ええ、分かっている。分かっていますとも」
 マリアベルはイノリの言葉にその動揺を何とか呑み込んでいた。
「状況は多少悪くなったが、まだ別に負けてない。
 むしろ彼等にはこの状況でも1%さ。それが分からない君じゃないだろ?」
 イノリの言葉にルカ・ガンビーノ(p3p007268)が笑った。
「そりゃあ朗報だな、お義兄さん」
「……?」
「さっきまでのアンタなら0%って言っただろ。
 こちとら、1%からこじ開けるのはお家芸でね――」

 ――お願いでごぜーます――

 幻聴なのだろう。
 幻視なのだろう。
 だが、ルカには空中神殿で祈りを捧げるざんげの姿が見えたようだった。
(ああ、心配するな。そんな顔すんなよ。ちゃんと俺が――お前も、兄貴も)
「確かに今のは失言だったな」
 ルカの言葉にイノリは僅かな苦笑を浮かべている。
「ドラマ」
「……はい」
 レオンの言葉にドラマ・ゲツク(p3p000172)は頷いた。
 最早、多くを語るべくもない。
「世界を――混沌を、救いましょう。この物語に最後のページを記しましょう」



 <終焉のクロニクル>Pandora Party Projectが進行しています!

 ※最終決戦が進行中です!
 ※各国首脳が集結し、一時的に因縁と思惑を捨て、ローレットと共に決戦に臨む事で一致しました!


 ※幻想各地にダンジョンが発見されたようです。


 これはそう、全て終わりから始まる物語――

 Re:version第二作『Lost Arcadia』、開幕!

これまでの天義編プーレルジール(境界編)Bad End 8(終焉編)

トピックス

PAGETOPPAGEBOTTOM