PandoraPartyProject

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天牢雪獄

 フローズヴィトニルの欠片を手に入れた。
 鉄帝を襲う大寒波。その根源。
 新皇帝派に奪われたモノもある、が。それ以外の多数はイレギュラーズの手に渡り、やがて『時』が来れば……その威を、鉄帝の民を苦しめたその威を。今度は此方のモノとして振るう事が出来るだろう――
 新皇帝バルナバスの即位より続く鉄帝の動乱は、着実に事態を進めつつあった。
 六つの天はそれぞれ勢力を拡大し。『切り札』と言える存在を入手している所も既にある。
 それはいずれ至る『時』の為。

 この国を真に取り戻す――その『時』の為。

 アルマスク方面を奪還した独立島アーカーシュでも、また一つの動きがあった。
 それはラジオの稼働だ。
 鉄帝国では古代文明の遺産も利用したラジオ放送が定期的に流れ――ていた。新皇帝派が跋扈し、鉄帝各地の情勢が混迷としてからは途絶えてもいたのだが……しかし、それを奪回した流れが、かつて行われたアルマスク攻勢である。
 ラジオは各地に情報を届ける役割を担っている。よって、勢力としての喧伝も可能――なのだが。
 しかし、独立島アーカーシュは勢力としての求心力には些か欠けていた。
「悔しいことですが、我々は『安全な空にいるいけ好かない人々』と考えられているふしもあります。
 とはいえ我々の最大の武器は古代の遺物(技術力)です。
 いまさら広報活動(求心力上昇)などに力を割くというのも、得策とは思えません」
 言うは『歯車卿』エフィム・ネストロヴィチ・ベルヴェノフ(p3n000290)である。
 それは嘆きの類ではなく正確な現状を述べた、といった所だろう。
 アーカーシュは空を飛行し、ベデクト解放作戦を実行し、それを成した。
 続けてはアルマスク方面にも作戦を展開――武勇の誉も高いだろう。
 しかしそれはアーカーシュという勢力に、というよりアーカーシュに属する個人の英雄性を視られているらしい。
 ……が。別にそれはそれでも良いのではないか、とする視方もあった。
 なぜならばアーカーシュ最大の武器はエフィムが唱えた様に技術力にある。
 特に――アーカーシュが保有する切り札――ラトラナジュの火。
 アレの効果は今もってしても強大無比なのだから。
 勿論。弾数は限られているが故に『いつ』『どこで』使うかは慎重な扱いが求められる。
 ……だが、きっと『その時』は遠くない。ならば技術力の保持に務めた方が良いのではないか、と。
 何はともあれ。アーカーシュはアルマスクに復活したラジオの音声を、自ら達の戦果を耳で実感しながら。
 最終決戦の準備を――進めんとしていた。


 ……一方。銀の森ではエリス・マスカレイド(p3n000293)クレカ(p3n000118)がイレギュラーズ達を待っていた。
 それは空に浮かぶ『二つの太陽』にまつわる事でもあった――
 いつからか、気付いた時に『其処』にあったソレは、少なくとも吉兆だとは思わせぬ。
 かといって天に浮かぶ代物を調べる事も出来なかった。
 なにせ天空に浮かぶアーカーシュより遥か彼方だ。手を伸ばしても届きはしない――が。
「しかし――方法がない訳でもありません」
 語るはエリスだ。彼女が言うには銀の森に存在する『雪泪』という湖に、手立てがあるらしい。
 より厳密にはその湖に沈んでいる……古代兵器が、だ。
 知っている者は知っているかもしれない。古代兵器の残骸とされ、一種のオブジェのように親しまれているものだ、が。

「このこの名前は『ヴェルザンディ』です。
 古代兵器、と呼ばれていますが、嘗ての遺骸。『アーカーシャ』にも似た機能を有していました」

 アーカーシャ。浮遊するアーカーシュと名前が似てはいるが別物だ。
 アーカーシャは境界図書館に存在する時代遡行装置の事である。きっとクレカの方が詳しいだろう。
 其れにも類似した機能、というのは――つまり――
「過去を調べる事が出来る、と言う事だよね」
「はい。もう旧く使われておりません――これは炉に精霊の力を焼べて稼働するものですから。
 その力に関しては、わたしの氷の力をお貸しします。それで……本題ですが。
 『あの太陽が何か』を調べてきてはくれませんか。過去を演算し、そして得難い情報を入手するのです」
 ヴェルザンディにエリスが力を焼べて、過去の演算をする。
 そこまでするのは『あの太陽』がとても――宜しくないものであると推測出来るからだ。
 ……放置してはおけない。
 数多の作戦によって新皇帝派の勢力も縮まっている今だからこそ出来る狙いでもある。
 天衝種ぐらいは来るかもしれないし、ヴェルザンディの機能が稼働中に何か敵性存在が出現する可能性ぐらいはあるが……しかし例えば精鋭の人間が介入する事は、恐らくないだろう。
 ヴェルザンディに最後の仕事を与えよう。信頼しうるイレギュラーズ達に、力を託して――
 あぁ。空からは、未だ雪が降っていた。
 この国を埋め尽くすかの如く……

 あぁこれはまるで『天牢雪獄』

 天の齎した牢獄を打破できるか――その瀬戸際に、この国はあった。

 ※各勢力で帝都決戦の為の準備が進められている様です!
 ※幾人かのイレギュラーズ達がフローズヴィトニルの欠片を手にした様です!

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