PandoraPartyProject

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侵食計画

 何処かの亜竜集落らしき場所に、光る無数の目がある。
 此処は……そう、イルナークだ。すでに滅びたはずの場所に、それらはいるのだ。
 居並ぶのは人だろうか?
 いや、違う。確かに人によく似ている。
 似ているが……その身体には、蟻の特徴が強く出ている。
 更によく見れば、その中には以前アダマンアントに攫われた人々によく似ている……いや、そっくりなのが分かる。
 まるで本人が蟻の形の防具を纏ったかのような、そんな印象すらある。
 そして彼等を前に立つのは、凄まじい力を秘めていると一目で分かる少女。
 あるいは彼女を黒鉄・奏音(p3n000248)が見たら「サンゴ」と呼ぶかもしれない。
 サンゴ・エイワース。そう呼ばれる少女にそっくりの姿、声を持つ少女は居並ぶ者達を前に朗々とした声をあげる。
「蟻帝種(アンティノア)よ、同胞たちよ。私達は今、この覇竜領域デザストルに産声をあげた。か弱い亜竜種でしかなかった私達は強靭な身体を得て、より強い生物として新生した」
 あげられる同意の声は、アンティノアを名乗る者達に本人としての記憶がある事を示していた。
「全ての始まりの地……このイルナークを私達の本拠地として、私達アンティノアの歴史の始まりを宣言する」
 響くのは歓声。感情の乗った、心からの歓声だ。
 そこに邪悪さらしきものはなく、人間的ですらある。
 ならば人間の味方であるのだろうか?
 亜竜種と、イレギュラーズと手を取り合うのだろうか?
「私達はもう人間を襲う必要なんてない。人を食わずとも栄養を摂取し、私達自身も自分の力で増えることが出来る」
 ああ、やはり争う必要はないのだ。
 ならば、戦いは……もう、これで。
「けれど、私はアンティノアクイーンとして予見する。私達が種として繁栄するには、今の数では足りない、生き残れない」
 覇竜領域に住む生き物はどれも獰猛だ。
 モンスターに亜竜、そしてアンティノアクイーンたるサンゴはそれ以上の何かの存在をも感じ取っていた。
 明確に言葉には出来ないが、このままでは種としての安定は望めないと、そう本能で感じていたのだ。
 だからこそ……アンティノアの女王としての権限をもって、サンゴは宣言する。
「同胞たちよ、私達は生き残らなければならない。その為には、強くあらねばならない」
 サンゴの言葉にアンティノアたちが同意の声をあげる。
 女王たるサンゴの不安がアンティノアたちに伝わったのかもしれない。
 だからこそ、女王の不安を感じ取ったからこそ、それをどうにかしなければならないと奮い立ったのだろう。
 アンティノアたちは、仲間を……女王を、その絆を正しく愛する。
 だからこそ、女王の不安は全員の不安であった。
「……ありがとう。なら私達のやるべきことは、可及的速やかに『一定以上の強さと知恵を持つ同胞』を生み出すこと。今この時だけ、亜竜種を攫い素体としようと思う」
 そう、その技術はすでに確立されている。
 アダマンアントクイーンが居ない状態からアダマンアントクイーンが巣の中に産まれるように、アンティノアもまた『帝化処置』を行うことで生み出すことが出来るのだ。
 それはアンティノアの理想とする増え方とは違うが……種の存続を前にしては、目を瞑るべきことだ。
「私は此処に『侵食計画』の発動を宣言する。各自、行動の開始を。それと……フリアノンのイレギュラーズにも連絡を。可能なら、争いたくはない」
 その数日後。
 イルナークからやってきたアダマンアントの咥えていた書状がフリアノンの前に置かれていく。
 信じられない事に誰にも危害を加えずに戻っていったというアダマンアントの「書状」の内容は……シンプルにして、恐ろしい内容だった。

 私達は蟻帝種(アンティノア)。
 生き残りの為、必要最低限の狩りを実施する。
 どうか、邪魔をしないでほしい。
 そうすればアンティノアクイーン・サンゴの名の下にイレギュラーズ、そしてデザストルの全ての亜竜種に対する無期限の中立を約束する。
 こちらの都合と合致するなら協力もしよう。
 だから、邪魔をしないでほしい。
 もし邪魔をするようなら、話し合いの余地はなくなると考えてほしい。
 どうか、賢明な判断を。

 要は亜竜種をまた攫うと、そう言っているのだ。
 許容できるはずもない。
 多少の犠牲などという言葉を許せるほど、冷徹になれるはずもないのだから……!

 ※覇竜領域にて蟻帝種(アンティノア)が誕生し、アンティノアクイーン・サンゴ率いる軍団が生まれました。至急討伐部隊が編成されています!

※リミテッドクエスト『<太陽と月の祝福>Recurring Nightmare』が公開されています!

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