ギルドスレッド
鍛冶小屋スカーレット
(汗は流した。流石にまだ日の高いこの時間から酒はないな、と考え直しとりあえずお茶を淹れることにした。実家で飲んでいた物とは程遠い出来ではあるがこれでもこの世界に来て少しは上手くなったのだ)
約束の時間まではもう少しあるな……。迷うような場所でもないし時間通りに来るだろう
お茶菓子なんて洒落たものはないが果物くらいは切っておくか
(机に置かれた果物入れから取り出すのは梨。慣れた手つきで小剣を取り出すと皮をするする剥いていく)
約束の時間まではもう少しあるな……。迷うような場所でもないし時間通りに来るだろう
お茶菓子なんて洒落たものはないが果物くらいは切っておくか
(机に置かれた果物入れから取り出すのは梨。慣れた手つきで小剣を取り出すと皮をするする剥いていく)
(こんこんとノックをする。
彼女としてはこんこん、のつもりだが、腕の素材が素材なのでごぃんごぃんと妙な反響をしていた。
扉が開くのを待つ間、踵を揃え、両手で身体の前にバスケットを下げ、すんと澄まして待っていた。身長もあって丁稚の童女めいているが、見る人が見れば重心のバランスは例えば今後ろから襲われたとしても冷静に対処できるようなそれであると見抜くことができるだろう)
彼女としてはこんこん、のつもりだが、腕の素材が素材なのでごぃんごぃんと妙な反響をしていた。
扉が開くのを待つ間、踵を揃え、両手で身体の前にバスケットを下げ、すんと澄まして待っていた。身長もあって丁稚の童女めいているが、見る人が見れば重心のバランスは例えば今後ろから襲われたとしても冷静に対処できるようなそれであると見抜くことができるだろう)
むお?(ついつまみ食いをしていると扉をたたく音がする。音から察するに今日の待ち人だとすぐわかる。火にかけられたやかんもそろそろお湯が沸く。ちょうどいいタイミングだろう。口に放り込んだ梨を飲み込むそのまま玄関へと向かう)
―――ようこそ。人を招くのは随分と久しぶりだ
(いつ見ても奇麗な姿勢。武を嗜む者としての基本ではあるがここまではなかなか見ない。自分にとっては当たり前だったがこれ意外と難しいと知ったのはいつだったか)
っと、立ち話をすることもないな。どうぞ入ってくれ
―――ようこそ。人を招くのは随分と久しぶりだ
(いつ見ても奇麗な姿勢。武を嗜む者としての基本ではあるがここまではなかなか見ない。自分にとっては当たり前だったがこれ意外と難しいと知ったのはいつだったか)
っと、立ち話をすることもないな。どうぞ入ってくれ
お招き感謝致すであります。
(背筋を伸ばしてぺこっと一礼。
室内に入ってくると、手に持っていたバスケットを差し出した。
小柄な彼女には随分大振りに見えるが、ブレンダにはきっと丁度良いサイズだろう。中には、シュトーレンがずっしりと入っている。
今から少しずつ食べても、きっとクリスマスには余裕で食べられるだろう。併せて、何やら琥珀色の瓶もご愛敬のように入っていた)
手ぶらも恐縮でありますので、軽く手土産などお持ちしたであります。
……しかしなんとまあ、立派な小屋でありますね?
(そう申しつつも、ふーん、と言いながら部屋の中を見渡している。
いちいち最短距離で曲がったり振り向いたりするので、足元はきゅっ、ぎゅっと音を鳴らしていた)
(背筋を伸ばしてぺこっと一礼。
室内に入ってくると、手に持っていたバスケットを差し出した。
小柄な彼女には随分大振りに見えるが、ブレンダにはきっと丁度良いサイズだろう。中には、シュトーレンがずっしりと入っている。
今から少しずつ食べても、きっとクリスマスには余裕で食べられるだろう。併せて、何やら琥珀色の瓶もご愛敬のように入っていた)
手ぶらも恐縮でありますので、軽く手土産などお持ちしたであります。
……しかしなんとまあ、立派な小屋でありますね?
(そう申しつつも、ふーん、と言いながら部屋の中を見渡している。
いちいち最短距離で曲がったり振り向いたりするので、足元はきゅっ、ぎゅっと音を鳴らしていた)
これは申し訳ないな
(バスケットを受け取り中を拝見。なるほどこれはお茶請けにもいいかもしれない)
この小屋に関しては少々持て余し気味ではあるのだが……手持ちの宝石類を売って借りれる範囲で鍛冶場がある物件がここくらいしか無くてな。まぁ空き部屋は荷物置き場にすればいいだけではあるのだが
(実際既に1部屋は衣裳部屋として埋もれている。物に頓着しないくせに買い集めるのは昔からある悪癖でもあった)
ああ、そうだ。そこの椅子にでも座っていてくれ。私は今からお茶を淹れて来よう
(そう言って指示したのは何故か切られた梨が盛りつけられた皿の置いてあるテーブル。一応は来客用に準備をしていたのだ)
(バスケットを受け取り中を拝見。なるほどこれはお茶請けにもいいかもしれない)
この小屋に関しては少々持て余し気味ではあるのだが……手持ちの宝石類を売って借りれる範囲で鍛冶場がある物件がここくらいしか無くてな。まぁ空き部屋は荷物置き場にすればいいだけではあるのだが
(実際既に1部屋は衣裳部屋として埋もれている。物に頓着しないくせに買い集めるのは昔からある悪癖でもあった)
ああ、そうだ。そこの椅子にでも座っていてくれ。私は今からお茶を淹れて来よう
(そう言って指示したのは何故か切られた梨が盛りつけられた皿の置いてあるテーブル。一応は来客用に準備をしていたのだ)
お構いなく。
……
(言われるままに腰掛けて、腰掛けてから、周囲を見た。
嗅ぎ慣れたくろがねの匂いが自分の身を包んでいることにまず安堵感を覚えた。
往来の邪魔にならない程度にひそやかに。
しかし無碍にはしない程度には主張を持って置かれた様々な打ち物が、この小屋が未だ現役であることを示していた。
梨の皿に目を向ける。
梨の皿には小ぶりのナイフが添えつけられている。
秋の水分豊かな梨を切った刃はしとどに濡れていた。
それを手に取る。
指先でなぞる。
鋼鉄の指で、刃の感触をゆっくり楽しんでいた
……
(言われるままに腰掛けて、腰掛けてから、周囲を見た。
嗅ぎ慣れたくろがねの匂いが自分の身を包んでいることにまず安堵感を覚えた。
往来の邪魔にならない程度にひそやかに。
しかし無碍にはしない程度には主張を持って置かれた様々な打ち物が、この小屋が未だ現役であることを示していた。
梨の皿に目を向ける。
梨の皿には小ぶりのナイフが添えつけられている。
秋の水分豊かな梨を切った刃はしとどに濡れていた。
それを手に取る。
指先でなぞる。
鋼鉄の指で、刃の感触をゆっくり楽しんでいた
(紅茶とシュトーレンを持って戻ってくるとエッダがナイフを弄っている光景が目に入る)
おっと、ナイフが置きっぱなしだったな。片付けておこう
それと不味くはないと思うがあまり私の淹れたお茶に期待はしないでくれ
(常備していた茶葉はアールグレイ。そこそこの美味しく淹れられたと思うがこれに関しては自信がない。紅茶の入ったカップと皿に盛られたシュトーレンを机に置き自身も腰を下ろす)
まぁ今日はエッダ殿と話がしたくてな。来てくれてありがとう
何か珍しいものでもあったか?
おっと、ナイフが置きっぱなしだったな。片付けておこう
それと不味くはないと思うがあまり私の淹れたお茶に期待はしないでくれ
(常備していた茶葉はアールグレイ。そこそこの美味しく淹れられたと思うがこれに関しては自信がない。紅茶の入ったカップと皿に盛られたシュトーレンを机に置き自身も腰を下ろす)
まぁ今日はエッダ殿と話がしたくてな。来てくれてありがとう
何か珍しいものでもあったか?
いえ。存分に期待させて頂こうかと。
(背筋を伸ばして紅茶を口に含む。
巨大な右の手は、ティーカップを摘まむのに人差し指と親指だけで事足りるようだった)
良い刃物だなと、思って見ておりました。
鉄はどれほど手を入れているかで表情が変わるであります。
これも。そこらにあるものも。
ほら見て自分の鋼鉄の指にもうっすら筋がハッハッハ。
(背筋を伸ばして紅茶を口に含む。
巨大な右の手は、ティーカップを摘まむのに人差し指と親指だけで事足りるようだった)
良い刃物だなと、思って見ておりました。
鉄はどれほど手を入れているかで表情が変わるであります。
これも。そこらにあるものも。
ほら見て自分の鋼鉄の指にもうっすら筋がハッハッハ。
お褒めに預かり光栄だが笑い事ではないぞ……
それはまだ比較的普通に作ったからマシだが触ると危ないものもなくはないからな
その類は別で保管しているが紛れていてもおかしくはない
(とは言ったものの目の前の彼女ならばそうなっても自分で対処できるだろう。所詮は遣い手のいない武器。そんなものは真に脅威たり得ない)
筋といえば少し気になっていたのだがエッダ殿の様な鉄騎種は機械化している部位が破損した場合はどうなるのだ?通常の義手等の様に修理するしかないのか?
(元居た世界にも人造物系種族はいたが彼らは個々人によりけりだった。自身の育ての親であるメイド人形は修理をしなければならないタイプ。なんとなくそれを思い出し聞いてみた)
それはまだ比較的普通に作ったからマシだが触ると危ないものもなくはないからな
その類は別で保管しているが紛れていてもおかしくはない
(とは言ったものの目の前の彼女ならばそうなっても自分で対処できるだろう。所詮は遣い手のいない武器。そんなものは真に脅威たり得ない)
筋といえば少し気になっていたのだがエッダ殿の様な鉄騎種は機械化している部位が破損した場合はどうなるのだ?通常の義手等の様に修理するしかないのか?
(元居た世界にも人造物系種族はいたが彼らは個々人によりけりだった。自身の育ての親であるメイド人形は修理をしなければならないタイプ。なんとなくそれを思い出し聞いてみた)
……
場合によるでありますな。
(と言いながら、ナイフの刃を持ってブレンダに渡した。
きちんと刃ではなく腹の部分を持っているのは、通常なら当然だが彼女にとっては刃物に対しての敬意のようなものだ。仕様の無い研ぎでは彼女の指に傷なんて付かないのだから)
ある程度の自己修復機能はあるであります。
しかしそれは、自分がそういう機能を多少なり有しているからであり……
そして、大きな破損にはやはり修理は必要であります。
生身の怪我も部品の損耗も、治るのに時間がかかるという意味では変わらんということでありますな。
(そう言って指を見た。
多少の傷は確かに、周囲の金属が寄り集まって慣らされて、あっというまにわからなくなる)
……ああ、核に近い部分は自己修復できるでありますよ。
自分の場合は心臓の位置にある内燃機関などがそれであります。
場合によるでありますな。
(と言いながら、ナイフの刃を持ってブレンダに渡した。
きちんと刃ではなく腹の部分を持っているのは、通常なら当然だが彼女にとっては刃物に対しての敬意のようなものだ。仕様の無い研ぎでは彼女の指に傷なんて付かないのだから)
ある程度の自己修復機能はあるであります。
しかしそれは、自分がそういう機能を多少なり有しているからであり……
そして、大きな破損にはやはり修理は必要であります。
生身の怪我も部品の損耗も、治るのに時間がかかるという意味では変わらんということでありますな。
(そう言って指を見た。
多少の傷は確かに、周囲の金属が寄り集まって慣らされて、あっというまにわからなくなる)
……ああ、核に近い部分は自己修復できるでありますよ。
自分の場合は心臓の位置にある内燃機関などがそれであります。
(ナイフを受け取り手近にあった鞘に入れる。ぴったりとは嵌らないが今はこれでいいだろう)
ふむ、そういうものなのか……こう言ったら失礼かもしれないがやはり生身とそう変わらないのだな
私なども大けがをしたら手術をしなければならないし見様によってはそれも修理のようなものか
しかしその鉄の腕だと色々勝手が違いそうだな。まぁその辺りに興味があって今回は来てもらった、というのもあるが重心なども変わるだろうし身体の動かし方はだいぶ特殊になるだろう?
ふむ、そういうものなのか……こう言ったら失礼かもしれないがやはり生身とそう変わらないのだな
私なども大けがをしたら手術をしなければならないし見様によってはそれも修理のようなものか
しかしその鉄の腕だと色々勝手が違いそうだな。まぁその辺りに興味があって今回は来てもらった、というのもあるが重心なども変わるだろうし身体の動かし方はだいぶ特殊になるだろう?
そうでもないでありますよ。
大概の場合、身体の特徴には見合った身体能力、或いは体格というものが備わってくるものであります。
己の身体に振り回されることかど、そうはないでありますよ。
……普通は。
大概の場合、身体の特徴には見合った身体能力、或いは体格というものが備わってくるものであります。
己の身体に振り回されることかど、そうはないでありますよ。
……普通は。
あー……言われてみればそれもそうか。生まれた時からそうならそれが当人にとっての当たり前か
(その辺りは自分もよくわかる。結局のところ人の感覚など人それぞれなのだ。かつての自分が言った『思った通りに身体を動かせる』という感覚が人と違ったように)
この辺りの感覚の言語化は難しいものだ……
特に私は感覚派だから自分の感覚を人に伝えるのが得意ではないしな
(目の前の彼女が言い淀んだことに何の疑問も抱かずに話を続ける。ブレンダにとって己の身体に振り回されぬことなど当たり前すぎて疑問を挟む余地がない)
(その辺りは自分もよくわかる。結局のところ人の感覚など人それぞれなのだ。かつての自分が言った『思った通りに身体を動かせる』という感覚が人と違ったように)
この辺りの感覚の言語化は難しいものだ……
特に私は感覚派だから自分の感覚を人に伝えるのが得意ではないしな
(目の前の彼女が言い淀んだことに何の疑問も抱かずに話を続ける。ブレンダにとって己の身体に振り回されぬことなど当たり前すぎて疑問を挟む余地がない)
……どうやらそうらしいでありますな。
(先日のスライムジムの一件を思い出す。ウェイトトレーニングのコツを教わったが一向にわけがわからなかった)
多分、普通人の振り回されない、と貴女の言う振り回されないには天地程の開きがあるでありますよ。
虚領頂勁、沈肩墜肘。
それは普通、大変な訓練をして手に入れるものであります。
皆、貴女ほど上手く身体を扱えはしない。
(先日のスライムジムの一件を思い出す。ウェイトトレーニングのコツを教わったが一向にわけがわからなかった)
多分、普通人の振り回されない、と貴女の言う振り回されないには天地程の開きがあるでありますよ。
虚領頂勁、沈肩墜肘。
それは普通、大変な訓練をして手に入れるものであります。
皆、貴女ほど上手く身体を扱えはしない。
(しまった、と思ってももう遅い。この件に関しては解っているつもりだったが自分の感覚で話してしまう。考えなしに喋る悪い癖が出た)
……それについては理解はしているつもりなのだが……つい自分の感覚で喋ってしまうな
エッダ殿の言う通り私の感覚は生まれついてのモノ。私は生まれてこの方、身体に覚えこませるための反復練習の類をしたことがない
(身体の動かし方に関してはやろうと思えば大抵のことは難なくできた。それが人と違うということを自覚したのは少しばかり大人になってからだが)
―――つまりズルをしている様なものなのだ、私は
(できてしまうので悩んだことがない。自分の感覚は人と違う。普通がわからない。運よく両親からもらった才能だけでここまで来ている。その想いが心に少しばかりの影を落とす)
……それについては理解はしているつもりなのだが……つい自分の感覚で喋ってしまうな
エッダ殿の言う通り私の感覚は生まれついてのモノ。私は生まれてこの方、身体に覚えこませるための反復練習の類をしたことがない
(身体の動かし方に関してはやろうと思えば大抵のことは難なくできた。それが人と違うということを自覚したのは少しばかり大人になってからだが)
―――つまりズルをしている様なものなのだ、私は
(できてしまうので悩んだことがない。自分の感覚は人と違う。普通がわからない。運よく両親からもらった才能だけでここまで来ている。その想いが心に少しばかりの影を落とす)
ズルとは仰いますが、“それ”の模倣が“これ”であります。
誇って良いものと思いますが。
(そう言って改めて佇まいを直した。
座っているだけなのに、身体のどこにも余計な負荷がかかっていないことが彼女にならわかるかも知れないという期待を込めて)
……少々、自分の話をしてもようございますか?
誇って良いものと思いますが。
(そう言って改めて佇まいを直した。
座っているだけなのに、身体のどこにも余計な負荷がかかっていないことが彼女にならわかるかも知れないという期待を込めて)
……少々、自分の話をしてもようございますか?
(―――誇ってもいい。確かに両親からもメイドからもそう言われたことはある。しかし自身にとっては当たり前すぎて何を誇ればいいのかがわからないのだ)
……ああ、もちろん構わない。なんでも話してくれ
(とても綺麗な姿勢だ。きっと今すぐ奇襲が来ても即座に動けるだろう。そこに至るまでに前の前の彼女がどれだけの血と汗を捧げたのか。それがわからない。自分は普通ではないから)
……ああ、もちろん構わない。なんでも話してくれ
(とても綺麗な姿勢だ。きっと今すぐ奇襲が来ても即座に動けるだろう。そこに至るまでに前の前の彼女がどれだけの血と汗を捧げたのか。それがわからない。自分は普通ではないから)
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鍛冶小屋からは鎚の音がする
海の向こうで起きた戦いも終幕し、穏やかだが騒がしい日々が返ってきた
しかし小屋の主は少々浮かない顔をしている
その悩みを忘れるためなのかここ数日響き渡る音はいつにも増して大きい
……しかし出来上がるのは鉄くずの山ばかりで心の靄は一切晴れない
「ああ、そう言えば今日は人が来るんだったか……」
研磨の手をひとまず止め、鍛冶を切り上げ母屋へと向かいこれまでに掻いた汗を流す
「酒の貯蔵は何があった……シードルでいいか?」