シナリオ詳細
湯けむり☆縁結び
オープニング
●ご縁が無いなら結べばいいのだ
オレンジ色の髪をポニーテールに結わえた少女らしき者が、情報屋の男に詰め寄っている。少女と思った者は、よく見れば『性別に偽りなし』暁月・ほむら(p3n000145)であった。今日も普通に女装ルックだ。
ここはローレット内。今は彼の喧騒が注目を浴びているからか、周りの音量がやや小さめになっている。
ギルドに立ち寄ったイレギュラーズは、ほむらが情報屋の男に何を言っているのか耳をそばだてる。
「だーかーらっ! 合コンみたいなのをやりたいの! どこかいい場所無い!?」
「そう言われてもね……。こっちも良さそうな場所をすぐには見つけられないんだけど」
「建物じゃなくてもいいんだよ! 野外でも! バーベキューとかする手もあるでしょ!」
「それ、合コンかなぁ……」
やや疲れた顔をしてこめかみを押さえている男は、空いた手で紙をぺらぺらと捲っていく。
そんな男を気遣う様子も見せず、ほむらはポニーテールを左右に揺らしながら身を乗り出してなおも言葉を募る。
「そうだよっ! 例えば温泉とかどう? 裸の付き合いでもすれば距離も近くなって一石二鳥!」
「仕切りのある男湯と女湯がいい? それとも混浴の方がいい? どっちにしろ水着必須なんだけど」
「混浴で! 場所はどこ!?」
「はい、この場所だね」
渡された紙を受け取ったほむらに、男が手を差し出す。
怪訝そうな顔をして、男のにこやかな顔と手を交互に見やるほむら。
「……何、これ」
「情報料」
しばらくの沈黙の後、彼が出した硬貨が男の掌を強く叩く音がした。
●そんな訳で、温泉に行きましょう!
ギルド内に張り出されたのは行事のお知らせ。
行事といっても個人主催のものだが、それはさておき。
内容は、かいつまんで言うと次の通りだ。
「湯けむり☆縁結び 開催!」
もう少しタイトルをひねろ。
頭を抱える者も居るが、読み進めていく。
「出会いが無い、新たな友人が欲しい、来たばかりで知り合いが居ない……エトセトラ。
そんなあなたに向けて温泉での水着合コンを開催します! 水着を着て温泉で親睦を深めよう!
場所は幻想領の山奥にある秘境の温泉! 仕切りとかのない混浴だよ!
飲み物もあるよ! 飲み物だけなら持ち込みOK!
裸の付き合いで、是非出会いを掴みましょう! 当然だけど、水着必須でお願いします!
ペットは連れてきちゃダメだよ!」
基本的にはそういう事らしい。
「場所はここ!」と示された地図と共に張り出されている紙を見て、イレギュラーズの何人かが足を運ぶことにしたのだった。
●温泉! 湯けむり! 縁結び!
地図の通りに向かうと、山に登るようだった。
さほど急では無い斜面を登っていくと、山小屋のようなものが見えてきた。その向こうからは湯気のような煙も見える。
近づいてみると、大きめの山小屋が二つ並んでいた。それぞれの玄関にかけられた暖簾には、「男」「女」を示す模様が描かれている。脱衣場だとの事で、該当する性別に入るようだ。性別不明の者についてはどちらでも好きに入ると良いだろう。
男の暖簾の先ではほむらが急かす声がする。彼が言うには、着替えた後に出た場所は大きな温泉が広がっており、混浴にふさわしい大きさだとか。隣の女性用脱衣場からも同じ場所に出られるそうだ。
親交を深める為の場として、イレギュラーズは暖簾をくぐる。
はたして、どんな場になるのやら。
- 湯けむり☆縁結び完了
- GM名古里兎 握
- 種別イベント
- 難易度VERYEASY
- 冒険終了日時2020年12月13日 22時50分
- 参加人数30/30人
- 相談7日
- 参加費50RC
参加者 : 30 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(30人)
リプレイ
●本音と建前の違いを持つ二人
水着に着替えたシラス(p3p004421)が「おーい」と声をかけたのは、『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)。
折角だという事でシラスが風呂での談笑を希望し、それに付き合う事になった。
大きなアイスを浮かべたクリームソーダを食べながら彼は世界に問う。
「世界は何か聞きたい事あるのか?」
その質問に対し、世界は少し考え込んだ後、言葉を口にした。
「何故そこまで強さを求めるんだ」
闘技場にも顔を出すほどの彼の意欲がどこから来るものなのか、という事を世界は知りたかった。
「俺が何で強さを求めるかって?」
クリームソーダを一口食べて飲み込んでから、シラスは胸を張って笑顔で答える。
「簡単な話だよ、一言で言ってしまえば目立ちたいからだね」
そう答えて、もう一口を口に運ぶ。
「……そうなのか?」
「そりゃそうでしょうよ、俺達の仕事は戦ってばかりだ。認められたいなら強くなるのが一番だと思ってるぜ。
回言、俺はね、召喚を受けたときに決めたんだ。誰にも無視できない人間に成りあがるって。その為に必要なら強さの他も何だって手に入れるよ」
彼の瞳には真剣さが宿っていた。そんな自分に気付いてか、シラスは笑って誤魔化す。
「で、そっちはどうなんだよ」
「俺は……別に何も考えてないさ。ただ暇だから遊びに行く、それだけだよ」
肩をすくめながら答えると、シラスは「ふーん……?」と首を傾げてみせた。
彼の様子を見て、世界は密やかな本音を胸の奥にしまう。
(だって言えないだろ)
この世界に受け入れられないモノ達だからこそ、少なくとも俺だけは受け入れてやろうと考えてるなんて。
●流し合う背中は友情を深めるお手伝い
白ビキニの水着に身を包んだ『流麗花月』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)は折角の合コンを楽しもうと意気込んでいた。
そんな彼女の視界に入ったのは、『氷翼』冰宮 椿(p3p009245)の姿だ。
水着を着て意気込んだものの、人数の多さに尻込みしてしまっていた彼女にとって、既知である汰磨羈の存在は助けであった。
背中の流し合いを汰磨羈から提案され、椿は即座に承諾する。
まずは汰磨羈が椿の背中を流し始める事になった。
前後に並んで椅子に座る二人。
泡立つボディソープがついたタオルで背中や翼を洗っていく。彼女の予想通りに綺麗な背中に、つい悪戯心が芽生えてしまう。猫のような好奇心が覗くのも仕方ない。
翼をくすぐるように洗えば、驚くような声が上がる。それに思わず笑ってしまうと、膨れた顔が彼女を睨んだ。
謝罪をして、お湯を流す。次は彼女の番だとタオルを差し出す。
仕返しをしてやろうかと思ったが、彼女の引き締まった肉体を見て、その気も失せてしまった。
「引き締まってて、それでいて綺麗……見惚れちゃいます」
「……うむ、流石にそこまで褒められると照れくさいものがあるな?」
こそばゆい思いを抱えつつ、お湯をかけてもらう。
「よし、この後は牛乳一気飲みといくか!」
「はい!」
その後、汰磨羈に教えられ、腰に手を当てて牛乳を飲む椿の姿があったそうな。
仲を深めるのに背中を流し合うのもまた一興というものだ。
●思い思われ、その姿はきっと
水着を着た美女二人が、温泉に降り立つ。
『血雨斬り』すずな(p3p005307)は『倶利伽羅剣』夜式・十七号(p3p008363)に誘われた事に喜びの表情を見せていた。
この場が混浴である事に困惑したものの、隅に移動する事で解決する。
「ふぅ、気持ちいい」
「んん! やはり温泉は良いもの!」
変化でつかれた事に安堵した十七号は、すずなへ質問をぶつけ始めた。
刀や剣技についての質問に、すずなは淀みなく答えていく。
そして、彼女の少し踏み込んだ質問が彼女の懐へと切り込んだ。
「死牡丹の話も、是非聞きたい」
その言葉に彼女の顔が一瞬だけ渋面になった。
が、すぐに表情を戻した彼女の口は軽く、そして経緯を語る。姉弟子も含めた邂逅や馴れ初めを語る彼女の複雑な胸中を、十七号が推し量ったかは不明だ。
彼女の語りを聞いた上で、十七号は今伝えたい言葉を彼女へ贈った。
「私の知らないものを沢山知っている先輩が少し羨ましくて、眩しい。
だから私もいつかそう在りたい。そう思った」
一方的な勝手な想い。それをぶつけられてすずなは困ったように笑う。
「何か物凄い過剰な評価を貰っている気がしますが、たまたまですよ?
ほんの少し私が先に喚ばれた、それだけです」
謙遜を見せつつ、彼女は胸中でポツリと呟く。
(かなぎさんも、すぐに私みたいになりますよ――)
その言葉を本人に言うのは、なんだかはばかられて。
「お背中流しましょうか?」
「お願いします」
二人だけのスキンシップへと話題はそれていくのだった。
●仲良しの証に約束を一つ
お風呂の椅子にちょこん、と座った『雷虎』ソア(p3p007025)。彼女の後ろには『賦活』エストレーリャ=セルバ(p3p007114)の姿がある。どうやらソアの頭を洗うらしい。
手を濡らし、準備をする彼に振り向く事無く、ソアは言葉を投げかける。
「ねえ、知ってる? 合コンは仲良しになるためにするの。
ボクとエストは大の仲良しだからこれ以上どうしよう!」
「そうしたら、隣からもっと離れたくなくなっちゃうね」
ソアの緩みかけた頬が更に緩む。このままでは緩みすぎてほっぺたが落ちるのではないかという程に。
シャンプーをソアの髪の上で泡立たせて洗っていくエストレーリャ。
「痒かったり、痛かったら言ってね。うまく出来てるか不安だけど」
「んんーっ、もっと耳のあたり……気持ちいいよ、ありがとう!」
リクエストに応えてくれる彼に、彼女は感謝の言葉を述べる。
お湯をかけてシャンプーを流す。
プルプルと頭を振る様は動物が頭を振って乾かそうとする仕草そのもので、ソアの本来の姿を彷彿とさせた。
「ソアは髪を伸ばさないのは洗いづらいから、かな?」
「んー、どうだろう。……髪を伸ばしたらいつもエストが洗ってくれるの?」
「フフッ。そうだね。約束するよ」
「わぁい、約束ね!」
笑顔でエストレーリャに抱きついてくるソアに、彼も自然と顔が綻んだ。
彼女の笑顔が彼にある答えを出す切欠になったのだと、彼女が知るのはいつになるだろう。
この日に交わされた一つの約束が、叶う日まで、笑顔がどうか続きますように。
●体にお湯を、牛乳で乾杯を
二人組で動くのがちらほらと見受けられる中で、それとは関係なしに動いた結果、自然と集まる形になった者達も居る。
ヨゾラは、温泉に浸かる事を楽しみとしていた。丁寧に体を洗い、そしてお湯に浸かる。
浴槽には他にも客が居た。
マカライトはゆっくりと足を伸ばし、腕を上に伸ばした。体を気持ちよくほぐせるのが温泉の醍醐味とも言える。
その横の縁には、白のスクール水着を着ている少女が腰掛けていた。リディアである。彼女はお湯に浸かる時間を調整しつつ水分も摂取していた。お湯を足で掬えば、太腿から水滴が滴り落ちていく。
「温泉大好き魔法少女のリディアです」
自己紹介をした彼女に続くように、他の者達も口を開いた。
「僕はヨゾラです」
「マカライトだ。……合コンじゃなく懇親会なら良かったんだがなあ」
「……合コン? 何それおいしいの? 後、貼り紙に縁結びってあった気もするけど縁結びの場所ってどこー?」
「おいちょっと誰かこいつに説明を頼む」
ヨゾラの発言が天然なのかわざとなのか判断がつかない。
「はっはっは! 面白い奴だな。私が説明しよう」
浴室の椅子に腰掛けていたベルフラウが豪快に笑い、ヨゾラにこの場所の説明を始める。
彼女がお湯に浸からないのは、オールドワンという理由による。しかし、それでも楽しませてもらおうという気概が実に彼女らしいとも言おうか。
説明する者される者、温泉の縁に腰掛ける少女と会話する傭兵。その様子の穏やかさを見つつ、響子は腕を思いっきり上に伸ばした。
「まさか幻想領にこんな秘湯があるなんて……ふふっ、気持ちいい。年末に近付くにつれて仕事も忙しくなってきたから英気を養うために今日は参加して良かったです!」
少し離れた場所からの喧噪など気にしておらず、響子はお湯を堪能する。
彼女の視界に飛び込んできた、浴室を歩くほむらの姿。彼は腰から下を隠すフリル付きのワンピースタイプの水着だった。
「あっ、ほむらくん。今日は招待してくれてありがとう、美肌効果もあって最高だよ!」
彼に向けて放った言葉は無事に届いたようで、彼が振り向いてこちらにやってきた。
「良かった! 喜んでもらえて何よりだよ!」
どこか安堵したような顔を浮かべるほむらに、響子は更に言葉を重ねる。
「ほむらくんって綺麗なオレンジの髪だね、やっぱりお手入れ大変?」
「維持するのは大変だけど、お手入れを大変とは思った事は無いかな。ヨゾラ君のお手入れも大変そうだよね」
「呼んだかい?」
突然話を振られて混ざる事になったヨゾラ。マカライトと話していたリディアも興味を持ったのか、会話に耳をそば立てている。
談笑が始まった彼らの様子を見ながら腕を組んで頷いているベルフラウ。
「さて、かけ湯程度だけでも楽しませてもらおう」
独り言を呟いて、彼女はお湯をかける場所へ移動を開始した。
そんな思い思いの様子を見ながら、マカライトは少し離れた所の喧噪を見やる。
「風呂場で彼処まで騒ぐのか……」
あまりに騒がしくなりすぎるようなら止めよう、と思いつつ、彼もまたこの場の談笑の輪に入っていったのだった。
お風呂上がりにこのメンバーで牛乳を飲んで乾杯する事になるのだが、それはもうちょっと後の話。
●運の結果や如何に。天よ、我に運を与え給え。
喧噪の正体――それは、約十七名による、とあるゲームの開催。
『それ』を提案したのはクレマァダ。男女の機微を学ぶ為にやってきた彼女が皆にした提案とは、そう、『王様ゲーム』!
ノリノリで参加表明をする者、説得されて気付けば参加する事になった者、くじだけ作ってあとは参加しないぞという意気込みを見せる者、など様々な反応を見せている。
そんな中で、ヤツェクはサーフパンツの水着にウクレレを持って椅子に座っていた。「BGMは任せておけ!」と張り切る男。まあ、そんな人も居て良いよね。
「酒場は既に予約済みだ」
果たしてそれは慰める為のものなのか、相手と大人の雰囲気を共有する為のものなのか。それは合コンの結果次第だ。
「くじを作るぞ。手に持つのも俺な」
双弥が率先して籤を作りにかかる。
その肩を掴み、和弥が問う。
「それ、アンタの分もあるんだよな?」
「俺の分? ねェよそんなもん。お前等で王様決めてお前等がゲームしろよ」
「あ? 籤作るだけで参加しねェなんて認める訳ねェだろうが。関わったからにゃァ一本引いてけよなァ?」
「……六十すぎの奴に期待すんなよ?」
和弥の圧に負けて、双弥は溜息を零す。
サラッと暴露された年齢に驚く者が何人か。
さておき、双弥が作った籤を引いていく面々。
双弥によると、先端に黒い印をつけたやつが王様になるらしいが、さて、最初の王様はいかに。
「王様おーれだ!」
籤を高く掲げたのはラルス。彼はニヤリと口の端を上げると、命令を下した。
「三番は、後日六番をデートに誘う事!」
該当の番号に当たる者を探すと、困惑したような顔をするクレマァダの姿があった。
「三番なのじゃが、六番は誰じゃ?」
手を上げたのは、フランだった。
二人の組み合わせにラルスはやったぜ、と顔を綻ばせて拍手する。
「よし、命令はちゃんと実行してくれよな!」
内心、おぞましい組み合わせにならなくて良かったと彼が思っているのは内緒である。必ず男と女の組み合わせが来る訳ではないと気付いたらしい。
「う、うむ! では、フラン。後日どこかでランチでもどうじゃ!」
「はい、あたしで良ければ!」
一発目から和やかな雰囲気になった事にホッとしつつ、次の王様を決めていく。
籤についた印を持ったのは、ルカであった。
少し考えた後、少年は柔らかく微笑んで命令を口にする。
「そうですね、では……六番は一番のお背中を流しましょう、綺麗にしてあげてくださいね」
さぁ、誰だと見てみれば、フェルディンが手を上げた。「六番です」と告げて。
では、一番は誰か? 視線の先に居たのは至東であった。
至東はフェルディンの腕をとると、上目遣いでウインクを一つする。
「それではお願いするでござる、フェルディン殿」
「は、はい……!」
視線を逸らす青年。無理もない。彼女の水着は青年にとっては大変刺激が強いタンキニである。せめて男としての反応を見せないように努めるしか出来なかった。
離れた所でフェルディンが至東の背中をおそるおそる流している間に、次の王様を決める籤が始まった。
次なる王は誰なのか。
勢いよく手を上げたのは、ジョーイ。
「ぬふふ、吾輩が王様になったあかつきには、皆さまにせくすぃーポーズをビシッと決めてもらうのですぞ! いわゆる女豹のポーズというやつですな! ぐふふ!」
女豹のポーズ……セクシーなポーズとしては割と有名なものである。
はてさて、それをするのは一体誰か。
「やるのは二番と四番ですぞ!」
楽しみに心を躍らせるジョーイの言葉を受けて、手を上げたのは……。
「面白そうだねぇ。ところで、女豹のポーズはどういうのかなぁ?」
「えぇ……本気か?」
二番の籤を持った斑鳩の言葉に対し、双弥が困惑した言葉を発する。双弥の発言は斑鳩に向けてか、命令に対してか。
湯から上がり、床の上で四つん這いになって腰を上げる双弥。その姿を見て理解し、真似をする斑鳩。
「六十過ぎのおっさんにするやつではないよなコレ」
「これはいいストレッチになりそうですねぇ」
「本気かあんた?」
双弥が思わずツッコミを入れる横では、ジョーイのメットバイザー部分に「(T_T)」が表示される。ついでにバックからヤツェクが悲しそうな音楽を奏でた。
なんか知らんが落ち込んでいるジョーイをよそに、戻ってきた至東とフェルディンが合流する。
次の王様は自分だろうか、という期待を胸に皆が籤を引く。
迅が印のついた籤を掲げる。
「では、三番が六番の頬っぺたを摘まんで引っ張ってください。痛くない程度にお願いします!」
挙手したのは花琳と彩華である。それぞれ三と六が書かれた籤を持っている。
「お手柔らかにね!」
黒のツーピースを着ている彩華が、少し頬を染めて花琳に顔を差し出す。スキンシップの命令がちょっとだけ恥ずかしいお年頃なのだ。
スカジャンを羽織った黒ビキニの花琳が、「失礼して……」と前置きし、彩華の両頬を摘まんでゆっくりと引っ張っていく。
数秒だけ手を止めて、パッと手を離す。頬に赤みはあるが、そこまで強くはなく、すぐに引いていく。
満足げな迅が籤を戻し、次の王様を待つ。
次は誰だと見守る中で、印の籤を掲げた者は、和弥だった。
「んー、そうだなぁ、俺の両隣、連絡先交換する事」
その命令に、「おぉ」という声が上がる。一番最初に下された命令に次ぐ、縁が続く計らいではなかろうか。
さて、彼の両隣は誰かと言えば、ノワールとトストであった。
「私でよろしければ、よろしくお願いします」
「やーハハハハ、なんか照れるね!?」
冷静に笑みを浮かべるノワールに対し、トストは照れたような顔を見せる。
具体的に連絡先を交換するのは風呂から上がった後に、という約束を交わす事になった二人。
長時間風呂に浸かっている者も居るため、そろそろこれで最後にしようという事で、最後の王を引く籤が始まった。
印のついた籤。それを引いてみせたのは、フランである。
「王様あーたし! 指令は、一番の人を四番の人が思いっきりくすぐる! 一番の人は十秒間、笑わないように我慢だよー!」
一番として手を上げたのはラルス。そして、四番はプラックであった。
「え、俺がくすぐるの?!」
「まさか俺がされる側とは……いいだろう、受けて立とう」
驚くラルスと対照的に、プラックは冷静に受け止めていた。
フランは何故か目を輝かせながら二人に号令をかける。
「さあ、やっちゃって! さーん、にー、いーちっ!」
合図に合わせてラルスがプラックの脇腹をくすぐりにかかる。人間の最も弱い部分の一つである所をくすぐられて、プラックの顔が耐えようと歪む。
ラルスの指が忙しなく動きながら、脇腹を上へ下へと往復していく。
命令したフランはゆっくりと十秒数えている。爛々と目を輝かせているのが並々ならぬ意欲を感じさせた。
数え終わった時、プラックが盛大に息を吐き出して脱力した。流石に心配になってラルスからも声をかけ、プラックが「大丈夫だ……」と返す。
ちょうどその時、ほむらが時間が来た事を告げる。
一部ぐったりしている者を元気な者が担いだりして、浴場を後にする全員。
上がった後に、一部の者達が牛乳を飲んでいるのを見て、自分もと続いた者達が増え、結果的に全員で牛乳で乾杯をする事になったのは微笑ましい事だろう。
これにて、温泉合コンは終わりを迎えた。縁を結んだ者達も居る事だろう。
帰路につきながら、クレマァダが呟いた。
「次回もこういう催しがあれば、またやってみたいものじゃのう」
王様ゲームを、という事だろうか。
今回はほのぼのした結果で終わったけれど、もし次があったら……。
などと、一部が考えたとかそうでないとか。
何はともあれ、合コンは成功に終わったのだった。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
合コンへのご参加ありがとうございました!
アゲアゲな曲が執筆のお供になりました。
ダイス面が荒ぶった結果がこんな事になろうとは……(困惑)
GMコメント
「いい風呂の日」と聞きました。
となると、やっぱりこれでしょ! という事で、湯けむりイベシナです。
●成功条件
・温泉で水着合コンして親睦を深める
●親睦を深める例
・背中を流す
・おしゃべりする
●飲み物について
・温泉なので、のぼせ防止の為アルコールが禁止されています。
・未成年の参加者を考慮し、全てソフトドリンクとなります。お茶、牛乳、ジュースの三種があります。
●禁止事項
・公序良俗に反する事(マスタリングの対象になります)
・ペットを連れてくる事
●その他
・体毛がある動物種の方については、人型をとれる方は人型を推奨します。難しい場合は浴室内に設置された椅子に座って談義するのも良いでしょう。
・有翼種についてですが、羽をつけずに足湯とかをしてみるのも有りです。お湯が苦手ならば椅子に座るのも良いです。
・機械の体の場合、椅子に座っての談義を推奨します。
●温泉の効果
・美容効果
・美肌効果
・疲れ軽減
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
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