シナリオ詳細
再現性東京2010:始動! 希望ヶ浜学園ダンジョン部
オープニング
●持ち帰られた迷宮
希望ヶ浜学園には、大きな鏡が持ち込まれた。
別の学校で、夜な夜な生徒たちを鏡の中の迷宮に引き込んだという、いわくつきの代物であった。幸いなことに、引き込まれた者たちは希望ヶ浜学園の生徒たちによって救出され、事なきを得ている。
「そんな鏡、放置できないってことで、学園で引き取ったそうよ」
音呂木・ひよのはそのように説明した。
確かに、そのまま放置しておけば同じことが繰り返されるであろう。
しかし、再現性東京で起こる怪異に備える希望ヶ浜学園ならば、安置する場としても適している、そういう理屈である。
「内部はダンジョンになっているそうよ。探索した生徒たちが言うには、トラップも夜妖も出たらしいわ」
「ああ、中はどこまでも広がっているようだった。我々は、迷い込んだ生徒たちを救出するのが目的だったので、探索はまだまだされていないと言っていい」
付け加えて、『剣砕きの』ラダ・ジグリ(p3p000271)が言う。
彼女は、この鏡の中の迷宮に向かった者の一人だ。
「ラダさんによると、低層階には大した夜妖は出てこないみたい。奥へ進めば、どうなるかわからないし、構造も複雑になっていくかもしれないけど」
鏡の中の迷宮は、まだまだ広がっているらしい。
希望ヶ浜学園は夜妖と戦う生徒たちを養成する機関でもある。
となれば、戦闘や探索の訓練も行なわなければならない。
「校長はおっしゃったわ。このダンジョンを探索する部活動を行なったらどうかって」
●鏡合わせの迷宮と青春!
「そんなわけで、希望ヶ浜学園ダンジョン部が発足することになったわ。大いに青春しろって」
音呂木・ひよのは、集まった生徒たちに校長の意思を伝える。
相変わらず、何を考えているかわからないが正式な部活動として認められ、部費も出るらしい。
「まったく、今どき部活で青春って、アナクロよね」
ひよのも呆れているようだ。
そもそも、ダンジョン部とは何をするのか――。
「基本、探索して敵が出てきたら戦うだけよ。罠もあるかもしれないしね。でも、ダンジョン探索を部活で行えるっていうのは面白いかもしれないわ。パーティの組み方や事前準備、部員同士の協力も訓練の一環だそうよ」
とのことである。
ダンジョン探索を部活動で行なうには、一応の理由はあるらしい。
それでも、校長の意図というのはなかなか掴めない。
しかし、ダンジョン探索はスポーツであり、文化的活動と言えなくもない。
ワンダーフォーゲルや登山、キャンプといった冒険も部活動になるのだから、ダンジョンもそれに含まれる。
「どう? ダンジョン部の活動趣旨はわかってもらえたかしら? 入部者募集中よ」
![](https://img.rev1.reversion.jp/illust/scenario/scenario_icon/27114/8783118abe1d12ceacf48e74fe8f9550.png)
- 再現性東京2010:始動! 希望ヶ浜学園ダンジョン部完了
- GM名解谷アキラ
- 種別イベント
- 難易度VERYEASY
- 冒険終了日時2020年09月28日 22時15分
- 参加人数24/∞人
- 相談7日
- 参加費50RC
参加者 : 24 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(24人)
リプレイ
●ダンジョンに青春を求めるのは間違っているのだろうか?
部活動である、青春である。そしてダンジョンである。
ダンジョンには、ドラマがある。ストーリーもヒストリーもある。
人生はダンジョンである。
罠もあれば敵もいる。仲間とも出会いもある。
パーティで協力することも、時には反目することもある。
そうした障害を乗り越えて若人は成長するのだ。
「なるほど、こういう形になったか」
とはいえ、救出活動に向かった鏡の迷宮で部活動をするとはR.R.も思わなかった。
「入部の抱負か。そりゃあもう、俺にとっては『ダンジョンに潜むあらゆる破滅を滅ぼす』としか言いようがない」
見敵必殺、それこそがダンジョン攻略の心得である。
「学園にも少しは慣れてきたが、部活やサークルというのは初参加だ」
ラダ・ジグリもまた鏡の迷宮に挑んだ一員であった。
それがそのまま部活動になるとは意外であったが。
「今回もカピブタ目覚ましをセットして出発しよう」
こうすれば迷宮で迷っても、音をたどって入り口に戻れる。
前の探索で学んだ攻略法だ。
「今回はなるべく奥を目指してみたい。音呂木も来ないか?」
「私は……訓練になるならいいかもしれないわね」
音呂木ひよのもダンジョン部の活動に興味を持ったようである。
入部するかどうかは結論を出さないようだが、一緒に探索する仲間がいるのは嬉しいことだ。
「ダンジョン探索だー! ひよのちゃんも一緒にいこー」
セララはこのダンジョン攻略のため、冒険と直感のスキルを有している。
何より、ギフトの力によって漫画化すれば広報の冊子としても抜群だ。
「探索側で動くのも好ましい。我が身は暗澹だが、人型の脳髄も大切に抱かねば成らぬ。彼等が存在せねば我々は置物でしかないのだ」
オラボナ=ヒールド=テゴスは耐久力を活かして行ける限り進むつもりである。
狭い通路や隙間にもシェイプシフトで入り込める。
「ダンジョン部、いい響きだわ……ぜひ入部したい。図書館部との掛け持ちはできるのかしら」
イーリン・ジョーンズも入部届を持ってきている。
掛け持ちは問題ないであろう。
「おっと、部長の座は渡さないぜ?」
ともに入部するウィズィ ニャ ラァムは部長希望だ。
イーリンの差し出した拳に自身の拳をぶつけ、探索開始である。
「名付けて『美少女探索』! ……えっ、漢探索?」
ウィズィのいう男探索とは、罠に突入することで罠の存在を探知するという大変男らしい探知方法である。
ダンジョン探索の奥の手がいきなり炸裂した。美少女がこれを行なえば、美少女探索となる。
「パーティに関してはバランスが大事だ。役割もそうだがもちろん力量もな。まぁ口で言うよりも見せたほうが早いだろう」
ブレンダ・スカーレット・アレクサンデルも軽く準備運動をする。黒のパンツスーツという、ダンジョン攻略という感じがしない装いである。
しかし、一気に駆け出して壁を走り、障害物を破壊し、飛んできた矢はノールックで掴むという人間離れしたダンジョン攻略を披露した。
「こういう動きをする人間もいるから自分たちのペースで進むためにバランスは大事という訳だ」
ブレンダの攻略法や美少女探索では体が持たない。
やはり、ダンジョン攻略は自分のペースを守ることが重要なようだ。
「ダンジョン探索の、部活……。少し、いいえ、とても、ワクワクする響きです、ね。あの、その……入部希望、です……!
メイメイ・ルーも入部届けをもってやってきた。
青春を謳歌し、ワクワクを共有したい、それがメイメイの望みである。
ブレンダやウィズィの攻略法もワクワクするが、真似できるかどうかは別である。
「だんじょん部、おもしろそうね。コッチの“掃除屋”のおかげで商売上がったりだったから、退屈してたの」
ネリはダンジョンに迷い込んだ探索者のために安全な休憩所を確保しようとする。
ダンジョンでも、ビバークできる個所の確保は重要なのだ。
ウィズィとイーリンが探知した後を察しして行けば見つかるだろう。
もちろん、敵が近づいてきたらすぐに伝達するつもりだ。
「あの、ダンジョン部入部希望なのですけど……」
エルシア・クレンオータは恐る恐るといった感じで入部届を持ってきている。
自分の年齢が高すぎることを気にしているようだ。
付き添っているアト・サインはスーツに身を包んでいる。
大学部危機管理学部の講師というところだろうか?
「鏡の中ダンジョンと聞いたからね、内部はだいたい想像つく。こちら側の世界に似て非なる場所だろう」
伝説の3メートル(10フィート)の棒で罠を探索しつつ、エルシアの手を引いて探索を進めていく。
基本に忠実な、他の部員のお手本になりそうな攻略法だ。
「此方の世界に来てから、単独で迷宮探索をする事は無かったな」
アトとエルシアの後を追うように仙狸厄狩 汰磨羈も探索していく。
汰磨羈が特に慎重になるのは、曲がり角と扉である。
トラップもエネミーの待ち伏せも、だいたいその視界の向こうで待ち受けていることが多い。
「珠緒さん、ダンジョン探索――いいえ、青春探索に行きましょ!」
「青春というのは、何となく知ったような程度ですが……部活動≒青春、なるほど。『青春の1ページ』とは思い出を指すようですが、最終的に体験だけでなく、何か記念にできる物が見つかると、なおよいですね」
藤野 蛍と桜咲 珠緒は、ダンジョンの中で青春を探索するために入部した。
校長はああ見えてわかっているなと、蛍は思う。
タンク役の蛍、ヒーラー兼アタッカーの珠緒のペアなら灰と隣り合わせのダンジョンの中でも青春を探索できよう。
出る敵出る敵を葬りながら進んでいく。
「メイも興味があったので来てみたのですよ!」
迷宮に続く鏡を回収し、部活動に活用する。
思いもしなかった発想にメイ=ルゥは興味を惹かれてやってきた。
やはり、都会ではいろいろなことが起こる。
「はぇー……。これ、あの時の鏡ですか?」
入部届を出した後、まじまじと鏡を覗いて、思い切って飛び込むとそこはダンジョンである。
「や、探索と聞いて来たんだが合ってるかね?」
バイザーつきフルフェイスヘルメットを被った緒形も入部希望である。
鏡の迷宮に夜妖となれば、もう怪談の世界だ。
入り口周辺を調べ、部員たちとの情報共有に務める。
「怪異のことは耳にしていましたが、こういう“場所”としても存在しているのですね」
「ああ、罠も夜妖もいるようだ」
雨紅は、集まった情報を語る緒形からいろいろと聞き出している。
「本格的にとなると、時間がかかりそうですね。東京向けの装備も用意しなければ」
先発した攻略班は、美少女探索やら壁走りやらでしている。
これについていくのは大変だろうが、雨紅もなるべく前方での攻略を希望している。
部活動は、適材適所を巡るあれこれで青春を味わうのだ。前衛後衛、アタッカーやディフェンダー、トラップ担当などの役割分担は、他の運動部でいうポジション争いのようなものである。
「それでダンジョン入るのはまだっスか?」
ふらっとやってきたのはマルカであった。
メイド服にアサルトライフルという、ダンジョンをクリアリングするスイーパーなスタイルだ。
「あら、入部希望なの?」
「ん? ああウチは別に入部希望じゃないっス。どっちかっていうと美化委員からの回し者っスよ」
問いかけるひよのに、マルカは答える。
ダンジョン内も学校施設であり、清掃が行き届いているかをチェックしなければならない。
「なんでウチもダンジョン入るっスけど、探索とかしに行くわけじゃないんでお構いなくっス」
あくまでも、掃除が彼女の役目だ。
その掃除には、夜妖の掃討も含まれるが。
「ワタシはまだダンジョンの場数を踏んでいないけど……『あの人』に追いつけるように、がんばるから……」
ぐっと拳を握ってフラーゴラ・トラモントはダンジョン部に入部した。
ダンジョン部でダンジョン攻略を学び、目標とする人に並ぶために成長を志す――青春である。
「わぁ! トラバサミ、危ない……。落とし穴……!? わああん……」
「おっと危ない、こっちだ」
仕掛けが発動する前に、アトの3メートルの棒がトラバサミを払いのける。
こういうとき、長い棒は役立つ。
そのまま、アトは階層の奥へと進んでいく。
時間を自身で設定し、自主的にタイムアタックを行なっているのだ。
「助っ人として、あたし参上! スポーツの一種だって言うなら任せといて!」
元気よく相川 操もダンジョン部に参加した。
ダンジョン攻略はスポーツなのか文化なのか? 疑問は多い。
だが、ダンジョン部での答えは決まっている。
両方である――。
ダンジョン攻略はオリンピック種目として検討されているという噂も聞こえているほだ。
ダンジョンでのルールをすぐに把握し、壁を走ったりあえて罠に突入するという身体能力を発揮する攻略法も理解したのであった。
「ダンジョン探検か……みんなでワイワイやりながら動く学生時代が懐かしい」
クラーク・エアハルトには、ダンジョン攻略の経験があった。
ともに攻略する仲間を募る。
パーティを結成したい部員たちはかなりいるようなので、ぼっちの心配はなさそうだ。
「ふふ、ダンジョン部なんて面白いね。ちょっと興味出てきちゃった」
ダンジョンの奥には大抵囚われのお姫様がいるのだ。
その日に備え、ラクロス・サン・アントワーヌも入部届を出した。
さっそく受理されると、鏡の中に飛び込んでいく。
「味方に化ける敵がいるなら……交流0の私では味方に遭遇したら撃つしかない」
入部届を持ちつつも、白夜 希は鏡の前でひよのに相談している。
中には、誰かに化ける夜妖がいるという。
学園で友達や仲間がいない希としては、生徒に化けられたら打つ手がない。
ギフトによって存在を気づいてもらえず、忘れ去られてしまう彼女にとってそれは深刻だった。
「お手をどうぞ、プリンセスっ!」
そんな希に、鏡から表れたラクロスの手がすっと伸びる。
一瞬、aphoneに手が伸びかける。
アドレス交換なんかしても、どうせすぐ忘れられるから。
しかし、どこかダンジョンでの青春の始まりを予感させた。
「やあ、初めまして。僕はフィリーネ・デュルファー。イレギュラーズになってこの世界を回ってたら学園に来たんだ。よろしくね!」
ダンジョン部の新入部員として、フィリーネ・デュルファーが挨拶をする。
「ダンジョン探索の僕の抱負は、楽しく探検して無事帰るってことでいいかな?」
「ええ、大切なことよ」
フィリーネの言葉に、ひよのが頷いた。
無事帰ってくることが、この部活動では何より大切である。
武具の手入れや、お弁当もばっちりである。
フェリーネが鏡の迷宮に踏み出すと、入り口に置かれたカピブタ目覚ましが可愛く鳴いた――。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
ダンジョン部、最初の部活動が開始しました。
ダンジョンは灰と隣り合わせの青春な世代ですので、悲喜こもごもを楽しめたらと思います。
この部活、今後も依頼を出していって学園生活の一助となれば幸いです。
いろんな攻略法があり、ダイジェスト的になりましたがシナリオとして続けていけたらいいかな?
なんて考えています。
それではまたの依頼でお会いしましょう。
GMコメント
■解説
皆さんこんちわ、解谷アキラです。
鏡の中を利用したダンジョン探索を行なうダンジョン部が活動を開始しました。
今回は、入部希望と部活動の豊富などを語ってダンジョン探索をちょっとだけ行なうところまでです。
本格的な探索は、入部者が多かったら続編を出すかもしれません。
・ダンジョン部について
一緒のパーティーの編成については、プレイングに書いてあればなるべく採用するようにします。場合によっては、アドリブで音呂木・ひよのとのパーティを編成するかもしれません。
また、単独での探索を希望しても全然構いません。
部活の趣旨は、実戦に備えてダンジョン探索で訓練しようというものです。あと、ダンジョンは青春と隣り合わせですので、部活動を通じた青春を謳歌するのは全然アリです。
探索前の準備やダンジョン攻略での知識、雑談などのプレイングも歓迎です。
事前情報は以上となります。
それでは、どーんとダンジョンにいらしてください。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
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