シナリオ詳細
<Phantom Night2019>Phantom Sheep
オープニング
●Trick or Treat!!
今年も来たる10月31日。収穫祭の日でもあり、同時に魔法のかかる夜でもある。
皆、なりたい姿は想像した?
それなら声を揃えてこう言おう──Trick or Treat!!
●赤き青年はいつも通り
「こうして見ると……誰だかすぐわかる者もいれば、全く面影のない姿になる者もいるのだな」
『焔の因子』フレイムタン(p3n000068)はイレギュラーズの姿を見て小さく笑った。そんな彼は普段と変わらぬ姿。聞けば、なりたい姿が思い浮かばなかったと言う。彼へ元気よく今宵の合言葉を告げると、ひとつ目を瞬かせた後に穏やかな笑みを浮かべた。
「嗚呼、その言葉は我も知っている。悪戯をされたくなければ、こういったものを渡すのだろう?」
その手に乗せられていたのは、ころんと丸い小粒キャンディ。残念ながら悪戯はさせてもらえないようだ。
「面影のない姿といえば、ブラウは見かけたか……いや、」
自ら問うて、ゆるりと首を振ったフレイムタン。テーブルに残されていた依頼書へ視線を送る彼に釣られれば、それは書きかけのものだった。
「完成させる前に、大事なことを調査していなかった、と。確か向かったのはもう少し南の草原だったはずだ」
すでに軽く目を通していたのだろう。頤に手を当てて、考え込むようなそぶりを見せた彼はイレギュラーズへ向き直った。
曰く──これは元々調査依頼なのだと。危険のないものであるし、イレギュラーズがふらりとその場を訪れても問題ない。ただ唯一気がかりなのはブラウのことなのだと。
「あの通り、災難に見舞われる体質だ。今回とて何かが起こっていても、おかしくはないだろう」
歩けば躓き、走ればこける。生傷の絶えない──ひよこ姿だとわからないが──姿は、イレギュラーズの脳裏にもしっかり刻まれていた。
仕方ない、行くか。危なくないって言うし。
イレギュラーズたちは何となく周りと顔を見合わせて、そんなことを思った。
●ニワトリが鳴いても朝じゃない
「こ、こ、こ、こここここぉけこっこぉー!!!」
ニワトリが大きな声で鳴く。だがしかし朝ではない。これは、悲鳴だ。
「待って待って、あの、僕埋もれたいわけじゃ、ぅぶっ」
紫と橙の2色に染まったモコモコひつじたちの中、白いニワトリがわたわたともがいている。そう、姿こそ違えどあればブラウ(p3n000090)であった。
依頼書作成のために事前調査をしに来たはずが、いつの間にやらひつじに囲まれモフモフに埋もれさせられている。残念ながらブラウに逃げる手段は残されていない。
(うう、こんな時に飛べれば……はっ、実は飛べるのでは? だって今はニワトリだし! ちびっ子ひよこじゃないし!)
ばさ、と翼を広げるブラウ。モフモフから抜け出しいざ大空へ行かんとそれをはためかせる。
ばさばさばさばさ……モフゥ。
(飛べ……ない……!?)
愕然としたブラウを容赦ないモフモフが包み込む。柔らかく暖かなそれが、睡魔をブラウへけしかけるのも時間の問題であった。
- <Phantom Night2019>Phantom Sheep完了
- GM名愁
- 種別イベント
- 難易度VERYEASY
- 冒険終了日時2019年11月19日 22時15分
- 参加人数27/50人
- 相談7日
- 参加費50RC
参加者 : 27 人
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参加者一覧(27人)
リプレイ
●もふもふ
羊をもふ、もふり。
(この毛は、刈れるのでしょうか?)
ほんの試し、と刃を入れようとした閠。しかし全く切れない毛におや、と小さく呟いて引っ込めた。
かくり、と首を傾げると鈴が鳴る。
──ちりん。
音の反響を確かめて、閠は羊の群れへと入っていった。本来の目的はここに埋もれているであろう、ブラウの捜索だ。
飴玉を口の中で転がしながら、ふわふわの毛をかきわけて。
「ご無事ですか、ブラウさ……んん?」
見つけた姿は、なんだか白かった。ちょんと乗っている赤はトサカだろうか。
(なるほど、なりたい姿で、大きくなることも、できるのです、ね)
「食べごろ……」
「こけぇっ!?」
「……いえ、冗談です、よ?」
ブラウの悲鳴を聞き、否定を口にする閠。その真偽は──本人のみぞ知る。
「お嬢様、おもむろに苛めようとしないでください」
「あら。ダメかしら?」
かくり、と傾げるは仮面に素顔を隠した青薔薇の君。う、とレジーナが言葉に詰まるも、つい先ほどまでの成果を見せて気を逸らせようと試みた。
「ほら、こちらにいっぱい集めましたよ」
そうねぇ、と呟いた青薔薇の君は──何故レジーナの方へ来るのか。
「あ、あの? お嬢様?」
「何かしら?」
さも当然と言わんばかりにレジーナの、魔法にかかった猫姿をもふる。彼女が思わず黙り込んでしまったのも致し方のないことで──その耳はほんのりと赤かった。
(ふわふわの羊と戯れる我が麗しの銀の君……! 絶対可愛い……可愛、)
あれ、なんかちがう、とヴォルペは思った。可愛いと美しいの組み合わせなのになぜだ。怪しく怖い。
──などと後ろで彼が思っているとは露知らず。
「布も多いから体温を感じにくいかもねぇ、申し訳ない」
武器商人は羊にそう声をかけると、おもむろにヴォルペを指さす。あちらの狐のほうが温かいと。
「あと見ていてめちゃくちゃ愉快──おっと早い」
「えっえっ何でおにーさんに集まってくるの!?」
普通じゃない配色の羊たちが一斉にヴォルペへ向かっていく。
「それにしてもキミ、本当に妖精に好かれるねぇ。……あ、そこのキミ」
声をかけられた羊は「めぇ?」と立ち止まる。許可を得てもふった武器商人はヴォルペに告げた。しっかり働いたら愛でる事は許容しよう、と。
「うう、後で麗しの銀の君を愛でてやる……」
膝にのせてネコチャーンしてすんすん吸ってやるんだ、というその願いは──叶えられるのだろうか。
(やっぱり気持ちが良いなぁ)
黒羽はごろんと羊の上に寝転がり、目を閉じる。
去年はこのふわふわ感が最高すぎて眠れなかったが、今年は違う。すでに夢見心地──スヤァ。
焔に出されたブラシを見て、フレイムタンは「これは?」と問うた。
「あのね、羊さんたちにブラッシングしてあげたくて。沢山いるから手伝ってくれないかな?」
「ああ、成程。我は構わない」
見渡せばこれでもかといる羊たち。手伝いは必須だ。それじゃあこれを、と焔が追加で出したのは大量のリボン。
「ブラッシングが終わった子にはリボンを付けて目印にしようかなって思って」
2人で手分けして、丁寧にブラッシングした後リボンをつける。ふとフレイムタンの視線が焔の手元へ向いた。
「む。その結び方はどのように?」
「これ? ええっとね──」
「あのね、ラノールはこわくないおおかみさんだよ」
もこもこ羊のしーちゃん──ではなく、エーリカが羊たちに語り掛ける。そのやや後ろでフランケンのラノールは様子見。動物は好きなのだが悲しいかな、怖がられやすいのだ。
「さ、触っても大丈夫そうかい?」
「ええ!」
もふ、と柔らかな感触を堪能するラノール。そんな彼をエーリカはちらりと見て。
──今ならラノールを一緒にぎゅってしても、変じゃないかしら。
そう思って恐る恐る伸ばした手。それより早く彼の腕が伸びてきて、彼の体温がぐっと近くなる。
目をまん丸にしたのは一瞬だ。
「ふふ、……あったかいね」
「あぁ、眠くなってしまうな」
2人で身を寄せ合って、くすりと笑って。うとうとしていたのは少しのはずなのに、気づけばころんと草の上へ投げ出されてしまう。
空を見れば、雲のように空を漂い始める羊。
目をぱちくりと瞬かせた2人は顔を見合わせて、……やはり小さく笑いあった。
「またその格好が見れて、嬉しいわ。可愛らし♪」
嬉しそうに蜻蛉はクラリーチェの包帯を頭で可愛らしくリボン結び。白いドレスは黒い魔女の衣装と対照的だ。そして本来、白いはずの羊は。
「羊さんまで仮装しているとは……」
「ほんに……こんな角まで生やして。こっちの子は尖がり帽子やし」
ちょん、とつつくと「めぅ?」と怪訝そうな声。くすりと笑って2人はその側に腰を下ろす。小さな羊へ手を伸ばすと、とことこ懐までやってきた。もふい。ぬくい。
「今日が終わると、冬ももうすぐですね。季節が巡るのは早いものです……」
(……用意がええねぇ)
差し出されたココアを有り難く受け取り、口に含めば甘さがほんのり広がって。ほう、と思わずため息をついてしまう。
「せやねぇ、あっという間やった」
目まぐるしい日々だったから──いや。そう思うのは、共に過ごしてくれる者がいたからだ。
来年も、再来年も、これからも。そんな日々が続くだろうか。
不意に小さくひと鳴きした手元の羊が羽を出す。
「……温まったんやろか?」
「ええ、きっと」
その後ろ姿を視線で追いながら、クラリーチェは思う。
願わくばこの先も穏やかに。こんな日々を共に過ごしたい、と。
ゲオルグは羊のジークを呼び出し、羊の群れをもふもふ。もふもふ。埋もれてしまえば頰にも暖かい毛が触れる。
(どれほどこの時を待ち焦がれていたことか)
ゲオルグは大きい。巨体だ。この体を包み込むほどのもふもふは中々お目にかかれない。
つまり、最高。もちろん傍らのジークがふわもこ可愛い事実はこの羊の前であれどゆるがない。
(そうだ。羊さんと戯れているジークの可愛さを目に焼き付けておかねばな)
横向きに転がって、羊をもふるジークを見つめる。──ああ、なんて可愛らしいのか。
「レッツ! もふもふー!」
もふもふ獣人シャルレィスは羊の群れへジャンピングダイブ!
羊のファントムナイト仕様は今宵かかった魔法のせいなのか。それとも自らの魔法であるかわからないが──心地よいもふもふは健在だ。
(しーちゃんも少しはあったまってくれるかな?)
シャルレィスもしーちゃんもぬくぬく。互いに温め合う関係はとても気持ちがよい。シャルレィスは落ちないように、と睡魔へ戦いを挑むが──。
(ホント可愛くて気持ち良いなぁ……すぅ)
──羊のもふもふが睡魔に味方をした。
揺れる羊の上。ソアが目を向ければ、エストレーリャはすでに目を瞑っていて。
(きっと疲れてるんだ)
それは先日の事件を思えば、無理もないことだった。砂の都では悲しい思いをした者が多くいて、その中でも幻想種である彼には殊更つらい事件であっただろうとソアは眠気に目を瞬かせながら空を見上げる。
羊の温もりも揺れも心地よくて、けれどすっきり眠りにつけそうな心地ではない。
エストレーリャは半分眠りに誘われながら、けれど心はソアに寄っていて。
砂の都は大変で、悲しくて。それでもソアが大怪我をしていなくてよかったと思う。それに今も、彼女の心が癒されるように、と。
彼女の囁きに目を開ければ、不安そうな顔。髪を撫でられたから手を広げて彼女を迎え入れ、甘やかすように彼女の頭を撫でる。
「今日は、いっぱいのんびりしようか」
その言葉に答えるように、ソアは顔を彼の胸に埋めた。
──ああ。なんだか、胸の中が温かく感じる。
「何ともなんと、愛らしいものですね」
無量はその群れに目を瞬かせる。一見奇抜な集団だが、よくよく見れば装飾品も今宵仕様。まるで愛玩される為に生きている、と言わんばかりの出で立ちである。
「斬って……はダメなんですよね。残念です」
ふわりと優しく触れると、同じだけの優しい手触りが返ってくる。
「……困りましたね」
嗚呼、斬りたくなってしまいそう。けれどそんなことをしたら本末転倒だ。
一体、どのように愛でるのが正しいのか。
「ふふふ、ふわふわ羊さんカワイイデスねぇ♪」
美弥妃はぽふん、と小さな羊の上へ転がる。……何も起きない。そう、起きないのだ。
(実験は成功デスねぇ!)
ふふふ。ふふふふふ。
今の美弥妃は幸運の青い鳥。っぽいハーピー。これならば常の不幸体質も改善されるのでは、と踏んだのだ。
(偶然動いた衝撃で落っこちたり、体の一部もぐもぐされたり、そんな心配もいりマセン♪)
ちなみに、人はそれをフラグという。
だから、そう。どうか気づいてくれ。一際大きな羊が君を見ていると。近づいて、その口をかぱりと開けて──。
●ふわふわ
「よーし美咲さん! 競争しよ競争!」
ヒィロの提案に、美咲は片眉をあげる。聞けばもふもふして多く羊を飛ばすだけのシンプルな戦いだ。
「「よーいどん!」」
異口同音にスタートし、各々羊の群れへ。
ヒィロは背負った炎のぬくもりてぃーで羊とぬくぬく。さらに尻尾でももふもふ。
「ザ・物量作戦! なんて、てへっ」
一方の美咲は──おっと見るからに良い質をした服だ。毛玉まみれにしてしまうのか?
「むしろ、ならばこそというやつよ!」
全力でGO! とダイブした美咲。勝つ策があるわけではないが、こういったことをすれば楽しくもなるもの。
ともあれ、勝負は五分五分の接戦を極めている。
「ふっふっふ、今からが本番だからね」
「ええ、まだ終わらない!」
睨み合った両者。ヒィロが狙いを定めて飛びかかる──美咲に。目を丸くした美咲も負けてなどいられない。
「受けて立つ、枢機卿マントをくらえー!」
「わーい!」
包まれ、抱きつき、もふられ、尻尾振り。
美咲はもふられてくったりとしたヒィロを尚もふる。
「んー、羊よりヒィロのほうがいいかも?」
「もふもふされるの気持ちいー……」
羊ももふもふだけれど、ヒィロも負けず劣らずもふもふで。美咲は暫しの間、ひたすら彼女をもふり続けていたのだった。
「えらい毒々しい色したはりますけど、やーらしか(可愛い)。お帽子や角もつけて」
ルフナの閉じ込められた鏡を抱え、羊をもふるブーケ。その頭には兎耳ではなく、犬の耳がぴょこり。旅人が持ち込んだ話の登場人物だそうだ。その人物のカッコいい所は……今度練達の友人に聞こうと思う。
(去年はガングロギャル、今年は鏡に軟禁……)
なりたい姿ってわからないもんだな、と一方のルフナは外の世界を見つめていた。ぼんやり眺めていれば羊と目がばっちり合う。
「何? あいにく今日の僕は無機質な鏡に移る虚像だからおまえを直接は温められないよ」
そもそも彼らは勝手に温もりを蓄えに来ているのだ、構わないだろう。なのでルフナも勝手に羊を観察するのだ。
だが。
「……わぷ、こら、鏡は舐めるな! ヒビ入ってんだから舌切ったらどうすんのさ!」
ルフナの怒り声も素知らぬ顔。ブーケはそんな光景に「一緒に遊びたかったんかな」とふんわり笑う。
そして一際もこもこ羊を見つけたブーケはもふもふして──不意に手を突っ込んでみた。それは勿論興味本位で。
もふ。もふもふ。もふもふもふ。
「待って……? どこまで埋まるん……?」
思わずブーケの顔が引きつった。だって──すでに肩まで突っ込んだのに、まだ体の感触に触れる様子がないのだから。
「……また、お会いしました、ね?」
今宵のメイメイは白鳥のプリンセス。カピブタのピピと共に羊の群れへ飛び乗り、ふわもこに包まれながら温め温められ。じっくりぬくぬくと温かさを感じていれば、ふと羊が身じろいだ。
「めぇ……?」
半身起こしたメイメイは気づく。その背に可愛らしい羽が生えたことに。
ああ、もう飛び立ってしまうのだ。
メイメイは最後にひともふしてその背を降りる。今宵のみの翼では一緒に飛べないから。
「あなた、にとっても、楽しい夜でした、か……?」
またね、と告げると羊が空へ浮かんでいく。それを見送って、ふと。
「あ、ブラウさまを忘れて、ました」
ブラウがピンチと聞いて駆けつけたことを思い出した。
蛍と珠緒は誰もいない群れの、殊更特徴的な仮装をした羊の前にいた。
「仮装しても羊のままではあるようで……望む姿はこのままということですかね」
ほう、と見上げる珠緒は蛍のような姿。きらきらと瞳を輝かせた蛍は珠緒のような姿だ。互いに似た姿というのは不思議な気持ちで、けれど気分も上がって。
「とっても特徴的な仮装で、ええ、相手にとって不足なしよ!」
では早速、と2人ともレッツもふもふ。もふもふもふもふもふもふもふ。
「……はっ! 謎の多幸感に浸らされたわ」
「なんとも、抗いがたし……」
くたりと正面から寄りかかる珠緒。蛍の誘いによって持ち上げられ、羊の上にちょこんと乗る。
「おぉ。雲の上のような……」
「ね。思った通りのふわふわ心地」
しゅるりと蜘蛛の糸を出した珠緒が落ちないようにと安定させる。あとはのんびりゆっくり眠るだけ。
(これでしばらく、ゆっ──)
(羊が1匹、羊が2匹……むにゃ……)
2人は身を寄せ合って、微睡みながら笑みを浮かべた。
「もふもふするのがお仕事とは……中々素晴らしいと思わないか、雪さんや」
汰磨羈の手が怪しく動く。ええ、と頷いた雪之丞は視線を巡らせ、大きなふわふわの群れを見つける。
見つけた今こそが好機。さあ──。
「羊モフるべし、慈悲は無いッ」
「そのモフモフ! 逃しません!」
もっふーーーー!!
もふもふを捕まえることに成功した2人。だが当然と言うべきか。もふもふより放たれる(?)睡魔には勝てるわけがない。
「ふふ、すまんな雪。私は、ここまでみたいdスヤァ」
「汰磨羈様も、すっかり骨抜きですね……」
うとうとスヤスヤ、ちょっと涎が垂れそうなまでに安眠極楽天国である。
だがそれも長くは続かない。
「んにゃ、待って飛んでいくな、あと5分……あと5分だけっ」
汰磨羈の願いも虚しく、べしゃり。続いて雪之丞もべしゃり。
「あぁ……行ってしまわれますか。無情です」
むくりと起き上がった彼女は空を見上げ、空飛ぶ羊たちを見送る。
「……なぁ、雪。寝直していかないか」
かけられた声に振り返れば、汰磨羈はまだまだ眠そうで。雪之丞は小さく笑い、頷いた。
「さあ、羊さんもメイをもふもふするのですよ!」
もふっと羊へ突撃したメイも、本日は羊。山を降りて久方ぶりの羊はなんだか懐かしい。
もふりもふられているとメイの体温が徐々に羊を温める。win-winの関係だ。
やがて。
「はぇ……!」
ぷかりと浮かんだ羊に慌てて飛び乗るメイ。
(やっぱり都会はすごいのですよ)
都会の羊は空を飛ぶ。今宵は本当に魔法の夜だ。
「すごい、すごいのです!」
あっという間に地上を離れた羊。そこへうまく乗った──はいいものの、ふと降りられないことに気づいて。そこにやってきたのは、
「だいじょーぶ? きゅーあちゃんが、はこんであげる!」
ふよふよと羊に紛れて飛んでいたQ.U.U.A.だった。元気いっぱい体温高めな彼女は、つい先ほど寒がり羊を空へ飛ばしたばかり。
一緒に空を飛ぶのは楽しいけれど、他の人が混ざればきっともっと楽しいに違いない。Q.U.U.A.はメイの手を取った。
「いくよー! レッツフライ!」
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
お疲れ様でした! お楽しみ頂けましたか?
とてももっふもふでしたね……また来年も、しーちゃんを皆様の元へご案内できたらと思っています。
またのご縁がございましたら、よろしくお願い致します。
GMコメント
●すること
ひつじをもふもふしよう
●状況
魔法のかかった夜。皆様はハロウィンSD2019に則った姿で参加が可能です。
幻想のやや南にある草原にひつじが大量発生しています。
●Phantom Sheep
Phantom Nightに出現したFlying Sheep(後述)であることから名付けられました。
通常と異なるのはカラーリングが紫やオレンジになっていること。何らかの理由で魔女の帽子や悪魔の角をつけているなど、仮装していることです。
●Flying Sheep
もこもこの羊。妖精の一種。近隣住民には『しーちゃん』とか『羊さん』とか呼ばれています。
温もりを一定時間貯めると移動し、また別の場所で温もりを求めて降り立ちます。
飛ぶときは魔法的な2対の羽を出してふんわり飛んでいきます。
重さを変えられるのか、それとも飛ぶ力が強いのかは不明ですが、降り立つとどれだけ屈強な男が持ち上げようとしても持ち上がりません。攻撃も効かず、ふわふわの毛が完全ガードします。
大きさは大小様々ですが、小さいと30cm程度のぬいぐるみサイズ。大きいと1m位。
5~6匹を平均に集まって降りたつ習性があります。
性格は温厚。……というよりは、鈍感。例え熱いお茶を零したとしても気づきはしないでしょう。
何人乗っても怒らないし潰れたりはしませんが、ふわふわなので乗る人間のバランス力が試されます。
『Flying Sheep』にて登場。過去作を読まなくとも支障はありません。
●NPC
私の所有するNPC、及び幻想に住まうNPCは登場する可能性があります。
●注意事項
本シナリオはイベントシナリオです。軽めの描写となりますこと、全員の描写をお約束できない事をご了承ください。
アドリブの可否に関して、プレイングにアドリブ不可と明記がなければアドリブが入るものと思ってください。
同行者、あるいはグループタグは忘れずにお願い致します。
●ご挨拶
愁です。しーちゃん(Phantom Night Ver.)が久々の登場です。
過去作はこんなことができる、という指標にされると良いかもしれません。人肌である程度温くなると飛んでいくので、お昼寝などは気をつけて。落ちます。
ブラウが調べてなかったのは『この依頼に何人程度必要か』で、完成する依頼のオーダーは『Phantom Sheepを退けること』です。ですので、皆様がこのイベシナを楽しめば必然と依頼自体が解決します。もふもふしたら飛んでいきますから。
ご縁がございましたら、よろしくお願い致します。
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