PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<シトリンクォーツ2019>来たれ星、映えよ戦舞

完了

参加者 : 18 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


「シトリンクォーツを知っていますか?」
 『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)は春先のある日、イレギュラーズにそう問いかけてきた。
 混沌に長らく滞在している、生まれ育っている者達であれば聞いたことがあろう。混沌に咲く黄色い花を宝石の名前になぞらえ、豊穣と幸福を祈って勤労に感謝する期間である。
 旅人の中には「ゴールデンウィーク」と「勤労感謝の日」を足したような期間だと口にする者もいた。つまりは、そういうことである。
「ローレットに来て皆さんはたっくさんお仕事をして下さってますから、その働きに感謝して旅行に行ってみてはいかがでしょうか?」
 ユリーカからの進言を受け、イレギュラーズは各国に分かれ、おのおのの休日を過ごすこととなる。


 混沌世界の北方、『幻想』、『天義』と隣接する武装国家・鉄帝。
 厳しい環境に晒されるかの国は、春先といえど雪化粧が残り、いまだ肌寒さを感じさせる。
 大闘技場ラド・バウはシトリンクォーツの期間も盛況を極め、昨年ならば、かのアイドル『パルス・パッション』直々にライブの誘いがあったのだが……今回は趣が異なる。
「よくぞいらっしゃいました皆さん! ご活躍は常々聞いております!」
 シルクハットを被った、飄々とした風貌の男はラド・バウに訪れたイレギュラーズに仰々しく頭を下げた。
 昨年から今日に至るまで、イレギュラーズは幻想と海洋で大規模な魔種の襲撃を退け、他国でもたびたび魔種絡みの事件に対峙している。強者を求める鉄帝からの注目も当然うなぎのぼり。なれば、流星群が華やかなりし夜に彼らの力――戦いぶりでもいい、戦を模して舞うのもかまわない、純然たる『アイドル』としての華やかさでもいい、おのれの持てる『力』の形を、鉄帝に知らしめてほしい。
 当然ながら、ラド・バウ周辺には昨年同様に夜遅くまでレストランやバーなどが開いており、昨年の評判を聞いた者達が多くの出店を構えているという。物珍しい食事も楽しめるのではなかろうか。
 そこかしこからパカダクラの声も……なぜか老婆のような声も聞こえるが、幻想の隣国なのであり得る話だ。

 当然ながら。
 イレギュラーズといえど、闘技場を盛り上げなければならぬという義務はない。客としてめいっぱい楽しんで貰ってかまわない。
 或いは、流星群に夢を願ってもいいだろう。なにせ、せっかくの休暇だ。迷惑にならない程度に好き放題、楽しむのがよいだろう。

GMコメント

 ふみのです。鉄帝のシトリンクォーツを担当させていただきます。
 諸事情とか諸事情がありますが、期待に添えれば幸いです。

●鉄帝(ゼシュテル鉄帝国)
 無辜なる混沌の『大陸』の北部に位置する軍事帝国です。国土の大半が厳しい気候に晒されています。
 大闘技場ラド・バウを有する武力を愛好する国民性が特徴的な国家となります。
 本シナリオは楽しい旅行シナリオとなりますので有力者(皇帝等)と出会う事は出来ません。

●大闘技場ラド・バウ
 闘技大会は夜のため終了していますが、催しとして闘技場で出し物・ライブ・イレギュラーズ同士でのエキシビジョンマッチ、戦闘技術の披露etcは可能です。
 催しをするご友人を囃し立てたりするのもまた一興でしょう。

●闘技場周辺市街地
 スチームパンク風の外観に、季節柄うっすらと雪が積もっています。やや肌寒いので暖かい恰好をお勧めします。
 レストランやバーが並んでおり、鉄帝の料理が味わえます。やや味付けが濃かったり肉肉しいかもしれません(GM個人の感想です)。
 酒に関しては基本的に強いものが好まれます。
(料理はプレイングに準拠します。『こういうもの』としてかなりの暴投もキャッチしていく覚悟です)

●流星群
 毎年春先に見られる流星群です(夏あかねGM『<シトリンクォーツ>星空と謳う鉄乙女』参照)。
 星に願いを告げる風習は鉄帝ではなさそうですが、旅人や幻想の民がする分には割と普通に受け入れられるでしょう。

●NPC
 原則として登場しません。
 その辺をパカダクラが歩いていたり、どこから流れてきたのか子ロリババアとかその類縁が歩いていたりするかもしれません。

 それでは、よい休日を。

  • <シトリンクォーツ2019>来たれ星、映えよ戦舞完了
  • GM名ふみの
  • 種別イベント
  • 難易度VERYEASY
  • 冒険終了日時2019年05月06日 23時20分
  • 参加人数18/∞人
  • 相談7日
  • 参加費50RC

参加者 : 18 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(18人)

セララ(p3p000273)
魔法騎士
リュカシス・ドーグドーグ・サリーシュガー(p3p000371)
無敵鉄板暴牛
イーリン・ジョーンズ(p3p000854)
流星の少女
ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)
願いの星
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク
イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)
黒撃
アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯
シラス(p3p004421)
超える者
ミルヴィ=カーソン(p3p005047)
剣閃飛鳥
新田 寛治(p3p005073)
ファンドマネージャ
クリスティアン=リクセト=エードルンド(p3p005082)
煌めきの王子
ロク(p3p005176)
クソ犬
アオイ=アークライト(p3p005658)
機工技師
ハッピー・クラッカー(p3p006706)
爆音クイックシルバー
ヨシト・エイツ(p3p006813)
救い手
イーハトーヴ・アーケイディアン(p3p006934)
キラキラを守って
ソア(p3p007025)
無尽虎爪
ベンジャミン・ナカガワ(p3p007108)
 

リプレイ

●戦いは敵意のみならず
「愛と正義の使者、魔法騎士セララ参上!」
「俺はシラス、S級に上がる男だ、覚えとけよテメーら!」
 夜闇に落ちたラド・バウに光が灯ると、セララとシラス、2人のD級闘士がそれぞれの方向から姿を現す。突然のエキシビジョンと聞いて押しかけた好事家達は、両者の間に馴れ合いの気配が薄い事に気づいただろう。
「シラス君、模擬戦だけど負けないからね。勝負だー!」
 言うや否や、ライトブリンガーとラグナロク、2本の聖剣が舞うような流麗さでシラスに襲いかかる。シラスは鋭い剣閃を捌き、返す刀で連続した拳を繰り出していく。攻撃精度はシラスがやや上、されど両者とも回避の技倆は高く、刃と拳が互いを掠めるが決定打はなかなか出ない。
 周囲の歓声も相まって、興奮度は否応無しに高まり。『セララスペシャル』の直撃を前に、唐突に突き出された両の掌。シラスの身に十字の傷、セララの目は突然の猫騙しに目を瞬かせる。
「悪いね、我慢できなくなってきたぜ」
「さあ、ここからは真剣勝負だよ。目指すは最強!」
 間合いをとった両者の動きが明らかに変わったのを見て、観客の興奮も高まっていく。何より、刃と拳のぶつかり合いは、特に映える……結果は、『髪』一重ほどの小さな差でシラスが勝ち名乗りを上げた、と残しておこう。

「さあとくとご照覧あれ! 剣の舞は果てなき研鑽。その垣間見は祭りにこそ相応しい!」
 戦旗と戦装束を纏ったイーリンは、対峙するミルヴィをちらりと見やりながら高らかに宣言する。生き生きとした彼女の姿に笑みを深めたミルヴィは、すれ違いざまにイーリンに小さく耳打ちする。
「どーせなら魅せちゃお?ここにいるみんなをアタシ達でさ!」
 それを聞いたイーリンの笑みを同意と見てか、ミルヴィは振り返りざまにイシュラークを抜き放つ。皮一枚の差で躱したイーリンは戦旗を振り上げ、剣を弾いて間合いを取ろうとする。
 追い縋るミルヴィを前に、旗での目眩ましから鋭い突きを交え、全身を駆使した戦いでイーリンは舞い踊る。勝手知ったる互いの手の内。されど両者の戦舞は一時として同じ型を踏襲することはない。
 空には流星。両者の動きも地上を流れる星の如くにて、髪の色を、増して燐光を曳いて振り下ろしたイーリンの姿は派手の一言に尽きる。
 星が流れるなか、ミルヴィは高らかに歌を唄う。英雄ではない、と自分に言い聞かせるように口ずさむ友人を鼓舞するように。
「もう、恥ずかしいこと言ってくれるわね……でも、ありがとう」
 星の下で舞う両者の瞳に、星のような煌めきがあったのは偽りではあるまい。

「……そういえば、幻想には流星に願いを告げる風習があるのでしたわね」
 その頃、テラスにいたヴァレーリヤは樽から頭を引っ張りあげると星空を見上げ、流星をぼんやりとした目で見ていた。休日に押しかけてきた信徒達は喜ばしいのだが、纏まって来るものだから対処も並の苦労ではない。畢竟、彼女は樽で酒をかっ食らうほどに疲労が溜まっていたらしい。
「主よ、我が願いをお聞き届け下さい。どうか少しでもお仕事が楽になって、私も連休を謳歌できますように! 少しだけ、数日間だけでもいいの。海洋でのバカンスをお恵み下さいまし!」
 切実な願いが叶うかどうかは……それこそ、神のみぞ知る。

「エキシビジョンをやるって聞いてたから来てみりゃ、随分派手にやってるじゃねぇか」
 ヨシトは、2組のエキシビジョン参加者を治療しながら小さくため息を漏らす。重症化まではしてないものの、放置しておける傷でもない。……彼には彼なりの挟持があるので、鉄帝でトラブルは避けたいというのも、ある。
 今ここに居るのは『イレギュラーズのヨシト』であり、家門を背負う者ではない。されど、彼に意識するなというのも無理な話だ。
「キミも、軽い運動をする気はないかな?」
 そんなヨシトに声をかけたのは、イグナートだ。演舞を披露するために相手を探していたところ、だったらしい。
「いいのか? 治す方であってやりあう方じゃないんだが」
「モチロン! お客さんが楽しんでくれる様な戦いをするのがケントウシのウデの見せどころさ!」
 ぐいっとヨシトの手を引っ張っていくイグナートは、闘技場に出た途端に闘士の表情へと変化する。荒々しさの中に僅かに垣間見える享楽の気配に押され、ヨシトは治癒術士なりに彼の動きに合わせていく。
 歪なようで噛み合った2人の動きは、観客にも喝采で迎え入れられるのだった。

●酒飲み共の挽歌・1
「闘技場にはあまり参加したくはありませんが、こういう場所なら喜んで参加します」
「ラド・バウも気になるけどやっぱりお酒よねぇ……はっ、これはパカダクラ印のラベルで有名なウィスキー!」
 寛治はアーリアと仲間達と連れ立って、飲み屋街に繰り出していた。道中、イーハトーヴの姿を見て取ったリュカシスが合流し、一際大きな酒屋へと雪崩れ込む。
「なあ、ここに書いてあるもの、上から順にゼンブ出してくれ」
「串焼きと焼肉大盛り追加でお願いします、あと強炭酸ジュース!」
「では私は火酒の飲み比べセットを」
「じゃあ、ミントビアで!」
「ええと、ロリババアのスパイスソテーくださぁい」
 ソア、リュカシス、寛治、イーハトーヴが続けざまに頼み、アーリアがグラスにウィスキーを注ぐと、一気にキッチンの忙しさが加速する。……ロリババアって食べられるの? ロバだからOK? なるほど。
「ぶはははッ、俺も手伝わせてもらいますかねぇ!」
 ゴリョウはというと、おもむろにキッチンへ向かうと調理を手伝い始め、次々と料理を作り上げていく。幻想では使うことの少ない食材、鉄帝の肉、ロリババア肉を強い酒に合うアレンジを加えて作っていく。
 ひとしきり調理を終えると、大ジョッキに入ったエールを手に仲間達のもとへ。傍らでは同族の肉ソテーを運ぶメカロリババア。豚肉を咀嚼しているのでセーフ……なのか?
「では、日頃の労働と今日の祝日に、乾杯」
 寛治の音頭にあわせて一同が祝杯を掲げると、日頃の依頼や休日への喜びを以て話に花が咲く。
 ソアは運ばれてくる料理を酒で流し込み(これでも彼女なりに味わっている)、喉を灼く火酒の感触に笑みを深める。酒に酔うことは滅多にないが、雰囲気に酔うこともあろう。顔の熱が一層、意識できる。
「このお酒も、爽やかで飲みやすいな! 翡翠のような緑色も美しい!」
「ローストビーフ美味しい! ロバ肉も美味しい!」
 イーハトーヴとリュカシスは料理を少しずつ口に運び、酒や炭酸とのマリアージュに舌鼓を打つ。嫌味な食べ合わせにならないのは、ゴリョウの腕あってのことだ。
 ロバ肉も多分、臭みとか……ちゃんと抜いてるからだと思う。
「香りは複雑玄妙で奥行きが素晴らしいですね。枯れ草やバニラのような香りの向こうに……モルトの加熱に泥炭を使うのでしょうか。ピート香が広がっていきます」
 寛治は、アーリアが持ち込んだアルパカ印のウィスキーをじっくりと味わう。味の複雑さは、翻って熟成にかけた年月を思わせる。鉄帝らしい火酒の無骨さの向こうに感じる職人魂、ということか。
 他方、アーリアは寛治から勧められた『辛口』やそれぞれの火酒に手を付け、じっくり味わうように飲んでいた。琥珀色にも色合いが異なるそれらは、彼女の髪を飴色に染め上げる。複雑に染まった髪色は、彼女の満足度を表すようだ。
「いい飲みっぷりで食いっぷりだ! 見てるだけで腹いっぱいになっちまうぜ!」
 ゴリョウにとってみれば、一同がめいっぱい楽しんでいるこの雰囲気は、この上なく幸せなものであろう。……間違いなく。
 なお、彼の活躍で食費はめっちゃ浮きました。

●えきしびじょん(棒読み)
「生みの親と育ての親……。どちらがより子ロリババアと通じ合っているかが勝負だ!」
「今のわたしはいわばS級ロリババアブリーダー……。さあ、王子はわたしに勝てるかな?」
 ……いきなり何言ってんだこいつら、と思った人がいたら申し訳ない。クリスティアンとロク、ロリババアのブリーダーとしてブイブイ(死語)言わせている2人はラド・バウのエキシビジョンにかこつけてロリババア合戦、通称『闘ロバ』を始めるに至ったのだ。
 『アンジェ』『ガーネット』『ツバキ』『エリヤ』『木霊』の5体を擁するクリスティアン。メカ型2体と邪ロリババア、そして狂気の源たる『ロリババア』を擁するロク。
 こころなしか闘技場の観客がヒ……いやドン引きな空気を見せているが両者には知ったことではない。
「ロク君はなんて強力そうな子ロリババア達を連れているんだ……! しかし、僕たちの絆だって負けやしないさ!」
「わたしはいろんな依頼に連れて行って……それはもう一杯鍛え上げたよ!あと強そうなロリババアももらった! ゆけっ邪ロリババア!!王子のロリババアを蹴散らせ!!」
 アンジェとガーネットが邪ロリババアを! 木霊はロリババアに蹴り飛ばされる! ツバキとエリヤはメカといい勝負を! アーッ……!
 勝敗? あ、伏せておきます。ごめんなさい。

「天体観測も良いですがただ眺めてるだけというのも面白味に欠けるかもしれませんな!」
 ベンジャミンはハッピーとアオイにちらりと視線を向け、腕を組んでふふんと笑う。「ならば!」と告げた彼に一同がのっかり。
「俺 た ち が 流 星 に な る ん で す ぞ !」
「我々! こそが! 流星<ステラ>だ!!!!!!!! ミ☆ミ☆」
「面白そうじゃねえか!」
 いや、いきなり何いってんですかこのヒトタチ。でも割と本気だ。既に動き出して止められない。ハッピーが馬達を馬車から解くと、前蹴りで横倒しにして5基のロケットをアオイにわたす。
 ベンジャミンが手にした「なんかすごい(かっこいい)パーツ」群を次から次へと取り付けていく。アオイは普段ならあんまり手にできないパーツと改造の妙に大喜びでガンガン接続していく。手際だけは大真面目なんだけどなあ。
「3、2、1……発射ーー!!」
「私達がナンバーワンだぁああああぅぇーい!!!!ミ☆★」
「ヒャッハー! 俺たちこそが流星ですぞ! あの夜空へ向かってウィーキャンフラーイ! ですぞー!」
 アオイの合図に合わせてハッピーとベンジャミンが叫ぶ。夜空にドカンと打ち上がった逆しまの流星は高く飛び……飛び……そして爆ぜた。
「こんな時こそ私のしぶとさが火を……今の手持ちじゃそこまでしぶとくないやんけミ★」
「ハッピー殿、どこに落ちたいでありますか?」
 慌てるハッピーになんか格好良く問いかけるベンジャミン。だが騙されるな、そいつはギャグ――。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 お疲れ様でした。起きてから大体特撮4話分の時間で書き上がりました。勢いってすごい。
 ロリババアが食料になったり戦ったりかと思えば馬車が飛んだりすげえ格好いい戦いがあったり髪が琥珀グラデーションしたり濃い! 内容が濃い!

流石に全員とはいきませんが、一部称号とか付与してます。ご確認下さい。

PAGETOPPAGEBOTTOM