シナリオ詳細
<グラオ・クローネ2019>深緑のチョコレイト
オープニング
●小さな村の伝統行事
深緑――大樹ファルカウの内部にあって、その外縁に位置するミシュマ村。
小さな村には古くから伝わるグラオ・クローネの伝統行事があった。
「今年の”少女役”はイーナ。お前さんに決定じゃ」
「はい、誠心誠意務めさせて頂きます」
”少女役”を拝命した少女は、村の習わしに従って、一週間の時間をかけてチョコレイト作りを行う。
御伽噺の”灰色の王冠”とは違い、深い緑に色づいた甘いチョコ。
大樹の恵みを存分に含んだ『深緑のチョコレイト』を膨大な数一人で作り上げる。
そしてグラオ・クローネ当日、辺境の村であるミシュマへと訪れた者へ親愛を込めて少女役が配り歩くのである。
受け取ったチョコレイトは夜まで大事に取っておき、月と星の輝きが満ちる日付が変わる直前に、村の中心の祭壇に集まった者達で一斉に口にする。
そうして少女役を労い褒め称え、祭壇に名を刻むこととなる。
そこには御伽噺に倣った絆と愛情、そして自然への感謝と、それを広く伝える意味がある。
一年に一回、小さな村で行われる大きなイベントは、変わる事無く続けられてきた。
そんな伝統行事に、今年は異国の参加者(イレギュラーズ)が足を運ぶのだった。
●
「ファルカウ辺境のミシュマ村へと行ってみませんか?」
『星翡翠』ラーシア・フェリル(p3n000012)がローレットへと顔を見せるとそう口にした。
「ミシュマ村ってアレよね、グラオ・クローネのその日に大量のチョコを配るって言う」
「”ちよこれいと”が沢山!? タダなのか!?」
『黒耀の夢』リリィ=クロハネ(p3n000023)の言葉に『はらぺこ王女さま』ルーニャ・エルテーシア(p3n000050)が驚きの声を上げ目を見開いた。
「沢山貰えるかはわかりませんけど、配られる深緑のチョコレイトはとっても甘くて美味しいんです。
子供の頃に一度連れて行って貰った事があるんですけど、もう一度食べて見たいなぁと思って」
ラーシアは顔を緩ませながら頬を押さえる。幼き頃の思い出は今も変わらず残っているようだ。
「例年通りディオーネ図書館からも誘いは受けているし、今年のグラコロは忙しそうね」
「私は両方とも行くぞ! ”ちよこれいと”は幾つ食べても飽きないからな! 物理的に無理でも喰う!!」
日帰りはしご計画を立てるルーニャに苦笑しつつ、リリィとラーシアの二人は久しき深緑への里帰りを思う。
「まあたまには帰ってみるのも悪くないかしらね」
「ふふ、楽しみですね。
――皆さんも一緒にどうですか?」
ラーシアは微笑みながら側に居た貴方達(イレギュラーズ)へと言葉を投げかけた。
シャイネン・ナハトを経て、深緑への立ち入りが可能になった経緯もある。
辺境の村とはいえ、ファルカウ内部を見学する絶好の機会ともなろう。
深緑への誘いを受けるか否か、しばし考えると、答えを得るのだった――
- <グラオ・クローネ2019>深緑のチョコレイト完了
- GM名澤見夜行
- 種別イベント
- 難易度VERYEASY
- 冒険終了日時2019年03月05日 21時40分
- 参加人数30/50人
- 相談7日
- 参加費50RC
参加者 : 30 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(30人)
リプレイ
●伝統の村
深緑――アルティオ=エルムはファルカウ内部のさらに外縁部。
目立たない位置にある辺境の村ミシュマ村は、しかしこの日ばかりはと多くのハーモニアが足を運んでいた。
「おぉーここが”ちょこ”を貰える村かっ!」
「それが大目的と言えばそうだけれど……少しは自重なさいな王女さま?」
ルーニャを嗜めるように言いつつも、楽しい行事を前にリリィも身体がウズウズとしているようだった。
「それでは、行きましょうか。入口はあっちですよ」
ラーシアの先導で、一行は村へと足を踏み入れる。
伝統の行事が行われるミシュマ村。
訪れた者は配られるチョコと共に、同行者ときっと絆を深める事が出来るはずだ。
●全ての者に灰色王冠を
ハーモニアであるリディアは、少女役イーナの手伝いに立候補した。
「このチョコレート、全部イーナさんが一人で作られたのですよね。大変だったことと思います」
手伝いの申し出にイーナは大層喜んだ。
「ようこそいらっしゃいました」
深緑とグラオ・クローネを好きになって貰えるように、笑顔でチョコを渡していく。
これがきっかけで他のイレギュラーズと仲良くなれたなら、それはきっと素敵な絆になるに違いなかった。
「まあ! クローネ先輩すてきですわー! 様になってますわよ!」
「そんなにはしゃがない……こっちが恥ずかしくなってしまう……」
はしゃぐタントにクローネが苦笑した。
少女役に立候補したクローネ。同行するタントは裏方に回るようだった。
それは良いが『グラオ・クローネの申し子』なんて売り文句はやめてほしい。
「結構大変そうっスね、これ……」
「お待ちになって! 先輩から最初にチョコを貰うのはわたくしですわっ!
あっ、チョコはお二つくださいな!」
タントは手を差し出しおねだりする。
「……はいはい、タント用のチョコは言われなくても残しておくつもりでしたよ……ところでなんで二つ?」
「もちろん、お仕事が終わった後に先輩と一緒に食べるのですから!」
満面の笑顔で言う後輩に、少し照れを交えてクローネはチョコを手渡した。
「……はい、どうぞ……私のくすんだ世界に色付けしてくれた貴女へ」
「シフォリィさん、こっちの作業をお願いします!」
少女役であるイーナが、手伝うシフォリィに願い出る。シフォリィは元気に返事して作業を行った。
伝統を守る助けをしたいとシフォリィは、演奏と歌に乗せてチョコを配り歩いた。
歴史の紡ぎ手。その一役を買って出たことをシフォリィは誇りに思うのだった。
「ねぇ、ミニュ。
お菓子たべさせあいっこする? ほら、あーんして?
なーんて、ね!」
巫山戯るように自身の口にチョコを放り込んだレジーナが笑った。ミニュイも仕方の無い人だ、と苦笑した。
静かな湖畔に穏やかな風が流れる。
やがて睡魔が現れると、レジーナは約束を思い出して膝枕を催促した。
ミニュイの膝に頭を乗せたレジーナが目を細める。
「ふふ、ありがとう。
ミニュの膝枕、とっても気持ちいのだわ」
そうして細めた瞳はやがて閉じていき――
「……寝ちゃった。
読書でも、と思ったけど腕が翼だと頁が捲れないや」
しょうがない、とミニュイは穏やかに寝息を立てる”レナ”の寝顔を、ゆっくりと瞳を開くその時まで静かにジックリと眺め続けるのだった。
「お菓子作りなら力になれるよ!」
そうして少女役に立候補するノースポールが、イーナを手伝い幾つもの深緑チョコを完成させていった。
「ルーク、資材の搬入お疲れ様!」
「中々力仕事も多くて大変だったよ。でもこれからが本番だね」
着飾ったノースポールがにっこり笑顔と共に感謝を込めてチョコを配り歩く。時には高所へと飛行したりもして。
「受け取る人達がなんだか羨ましくなってくるね……」
なんて荷物持ちをするルチアーノが嫉妬したりもしつつ、配布は無事に終了した。
仕事が終わればノースポールがルチアーノの元へと駆けていく。ルチアーノはそれをしかkり抱き留めた。
「お疲れ様! よく頑張ったね!」
笑顔で労うルチアーノにノースポールがチョコを手渡す。
「ルークもお疲れ様! はい、ルークの分もあるよ♪」
今すぐ食べたくなるけど、食べるのはもう少し後だ。二人はぎゅっと抱きしめ合いながらその時を今しばらく待つのだった。
「絆と愛情、そして自然への感謝……だったっけ?」
「自然への感謝っていうのが入るのは深緑っぽくて面白いよね」
ルアナと焔は一緒に何かが出来るというのが楽しみで仕方なかった。
二人は連れ添って説明を加えながらチョコを配り歩く。幸せそうな人々はチョコだけではない、お祭りそのものを楽しんでいるようだった。
「焔ちゃん、あっちの人たちにも配ってみよっか」
「うん、配りながら村をぐるっと探検しちゃおう!」
不意にルアナが思い出す。
「これ。ちゃんと教えて貰って作ったから美味しい筈なの!」
友チョコを手渡せば、
「わぁい、ありがとう!
ふふふっ、ボクもちゃんと用意してきてるよ」
焔からもお返しのチョコだ。
「ありがとうー!!」
「これからもよろしくね、ルアナちゃん! あとで一緒に食べよ!」
手伝いはまだしばらく掛かりそうだが、二人で一緒なら大変な手伝いも楽しくて仕方がなかった。
死聖、聖奈、由奈の三人は静かな時の流れを楽しんでいた。
ニコリと笑顔を向ける死聖に、二人はドキドキしてしまう。
「……折角聖地に来たのですから……師匠!」
声を上げた聖奈に、死聖は期待のままに目を閉じ笑顔で小首を傾げた。
『――貴方に幸福を。灰色の王冠(グラオ・クローネ)を』
恥じらいながらハートのチョコを手渡す聖奈。死聖は心の底から喜んで、
「ありがとう、聖奈。
君は本当に女の子らしくて、可愛いよ♪」
と聖奈を抱きしめ頭を撫でた。
さて、いつもであればここで由奈が暴れそうなものだが、実のところ隠し球を持つ由奈にとって聖奈のチョコなど踏み台に過ぎないのだと、我慢を重ねていたのだ。
「さぁ、由奈は一体―――」
「さあ、お兄ちゃん! 私のチョコを……私を受け取って!」
フードを脱ぎ捨てれば、そこには身体中にチョコを塗りたくり、リボンを巻き付けた由奈が居た。
これには流石の死聖も固まって。
「――ごめん、ちょっと予測を越えていてフリーズしたよ」
そう言って由奈を側に呼び抱きしめると上着を羽織らせた。
「全く……今日だけ、特別だからね?」
その勇気に応えて、首筋に唇を当てればキスマークを付けた。
「あああ! お兄ちゃんがデレた! ……幸せ……」
「えっと……由奈ちゃん? とりあえず落ち着こう、ね?」
暴走する由奈を嗜める聖奈。三角関係は進展したようで……この世界よりも混迷を極めているようだった。
ポテトの髪を結い上げ、服装を整えるとリゲル(アークライト)は満足そうに頷いた。
「あ、有難う。
でもリゲルは裏方に徹する気か……」
残念そうに言うポテトは、後で裏方も名前を刻んで貰えるように交渉しようと思った。
そうして数日掛けて深緑チョコを完成させれば、当日はチョコを配り歩るく役目だ。
リゲルは、当日頑張るポテトの目を離れた所から焼き付けていた。
「うん、いい笑顔だ」
出会った頃よりも豊かになったポテトの笑顔。今日もきっと笑顔でいられるはずだ。
夜――役目を終えたポテトは真っ先にリゲルの元へと駆けつけた。
「リゲルにはまだ渡してなかったからな……」
そう言ってチョコを渡そうと思ったら、微笑むリゲルから贈り物だとチョコの小箱を渡された。
予想外のことに驚きながら「有難う」と、感謝する。疲労が消し飛んだ。
チョコの交換をした二人は、そっと湖畔で寄り添って頬と額に優しい愛を贈り合うのだった。
そんなリゲル(アークライト)とは違い、もう一人のリゲル(葛城)は、一人気晴らしに散策していた。自然の中を歩けば幾許か気持ちは楽になったようだ。
(……心に余裕がでてくると、急に一人ってのが寂しくなっちまうな)
と、そこに大量のチョコをもぐもぐ中の『はらぺこ王女』が現れた。
これも何かの縁か。気まぐれ次いでにチョコの交換を申し出て見ようと、近づき声を掛けた。
……ルーニャが差引ゼロの”交換”に微妙な顔を見せたのは言うまでもない(でもして貰えました)。
【深緑大事件】。その事件の発端は「ハーモニアの美女は頂きだぜ(意訳)」と妄想していた死神クロバにあると言えるだろう。
この男、見かける美女に声を掛けては「俺のチョコで地獄よりも深い場所に堕としてやるよ(意訳)」とナンパを繰り返していたのだ。
そんな最中、同行者ニルとはぐれ困っていた弱視の小夜が、気配を感じて話しかけた。
「クロバさん? その……ちょっと困ってるんだけれど――」
そうして、成り行きままにエスコートする事になるが、しかしクロバの邪なる欲望はある女性を見つけると膨れあがった。コイツは口説ける。本能が猛った。
この男、小夜を連れながらナンパを開始したのである。
「突然で悪いね、この良き日の良い出逢いを祝してチョコでもどうかな?(そのまま)」
え、この状況でナンパするの? 小夜がぷく~っと頬を膨らませた。
「……ねえ私は(迷子で困るんだけど)どうなるの?」
縋るようにクロバの腕を取り、骨を砕くように握った。
事態は展開する。ナンパされた女性が本性を見せた。そう彼女はニルがギフトで変化した姿だったのだ。
「――ん? え? ってニルじゃねぇか!
そして小夜? 声が怖いんだけど? っていうか腕も痛い……おいニルも!!」
「ねぇ、どうして? さっきの言葉は嘘だったの? 私だけを見てくれなきゃ嫌……」
「ちょっとまっておちつ――」
ヤンデレなニルがクロバを突き刺した。惨劇だ。
ミシュマ村で、確かにとパンドラが輝くのが観測された。
――輝きを残した男の行方は、杳として知れない……。
『深緑のチョコレイト』片手に村を探検するシャルレィス。
「うわぁ、湖、すごく綺麗……! あっちには何があるかな?」
深緑の世界は目に付く物全てが新鮮だ。
不意に「く~」とお腹がなった。
「……我慢しないと駄目……かなぁ?」
手にしたチョコレイトを食べようか。悩みに悩んで、その欲望を振り切った!
出店を周りながら、夜、チョコを食べるその時を、シャルレィスは楽しみに待ち続けたのだった。
「さあ、このチョコを受け取っておくれ。僕謹製のぼくチョコさ!」
クリスティアンはばっちり少女になりきってみせるよ! と自分の顔を模したチョコを配り歩く。
「どうだい? 美味しいだろう? 美味しいに決まってるのさ! なあ!
……おや、なんだか人が増えてきたような?」
不審者気味だが、害はないと思われたか、はたまた変な奴がいると噂になったか。
集まる人々に結構ぼくチョコ配れたようです。
「ふむふむ。
陽当たり良くて立地が最高。ふふ、植物たちには絶好のロケーションというわけだ」
津々流は一人ミシュマ村を散策していた。
【植物疎通】を便利に利用して、ミシュマ村で一人観光ツアーだ。
手にした深緑チョコレイト。味は夜のその時のお楽しみ。
陽はゆっくりと落ちていく。
「さて、今しばらく自然と触れあっていようか」
和やかに微笑んで、津々流は湖へと足を向けた。
ジルーシャは御伽噺の生まれた国に来たら、一つやりたいと決めていた事があった。
大樹ファルカウに触れながら目を閉じて、感じ取る灰色で透明な世界。
木々の精霊の語りかけを受け止めながら、静かに『ストラディバリウス』の弦を響かせた。
(綺麗事を言う気はないの。これはただの、アタシの我儘)
誰かの寂しさを埋める方法を、一つでも多く知っておきたい――
込めた心の旋律が、大樹が見せる空へと響き渡った。
二人のハーモニアは少女役の手伝いを楽しんでいた。
可愛い服に身を包んだフランがハニカミながら笑顔でチョコを配る。
少し緊張気味のシリルも、一緒になって手伝った。
役目の合間、二人は言葉を交わす。
「――シリルはもう外に慣れた?
あたしはまだ人の多さに酔うことがあるよ……ううう」
スーハーと、草木に鼻を突っ込むフラン。
「僕も外にはまだあんまり慣れないかな……あはは」
召喚されてからの日々を驚き、楽しんで、二人は笑顔の華を咲かせた。
役目が終わる。
「それじゃこれは手伝ってくれたお礼! ありがと、シリル!」
「わっ……チョコ、ありがとう……! 嬉しいなぁ……!
それじゃ僕からもお返しにチョコ……!」
「えーどうしたのこれ!?」
「お菓子作り好きだから作ってたんだ……えへへ」
照れて笑うシリルに、「うっ、美味しそう……」と悔しさを滲ませるフラン。
チョコを味わう時間は――もうすぐそこまで迫っていた。
「この耳どうですかぁ?」
ハーモニアな装いの彼女を出迎えて、ニーナは「ん……」と親指を立てた。
一緒に歌えば、煌めく笑顔にニーナは改めて彼女のファンであることを認識した。
夜、星形の本命チョコをすぴかちゃんへと手渡した。
「我が親愛なるすぴかちゃん……貴方のファンであれる事に感謝を。貴方に幸福を」
「こういうのアイドル失格ですけど……でも、こうして出来た絆、すぴかはとっても嬉しいです!」
ハニカムすぴかちゃんからも、氷の結晶を模したチョコが贈られて――
変化のない表情は、しかしすぴかちゃんの瞳には、女神が宿す厚い氷塊が静かに溶けていくように見えたのだった。
シキとティミは流動する人の流れの中で、其の力に分かたれないようにと優しく、しかし確りと手を握った。
「……次は……あっちを、見てみませんか?」
指さした先には服屋が一軒。
春色のワンピースに目が行って、ティミは思わず身体に合わせて尋ねてみた。
「どうでしょうか?」
「綺麗な色、ですね。……キミに、にあうと……思います」
お洒落はあまり分からないけれど、そうして笑うティミを見るのが楽しかった。
夜。祭壇に集まった人々の中、二人もそこに居た。
「……どうぞ、ティミさん」
口元に寄せたチョコ。少し照れながらティミが頬張った。
「ふふ、美味しいです。じゃあ私も……」
お返しとばかりに差し出されたチョコを、シキが頬張る。もぐもぐと味わっているとティミがほど近いシキを顔を見つめて言葉を紡いだ。
「やっぱり、すごく綺麗ですね」
言って紅潮するティミ。それを見つめながらシキは言葉を返す。
「……ティミさんの方が……綺麗だと、思いますけど」
甘い甘い、二人の言葉のやりとり。
その甘さはきっと、口の中に残るチョコの甘さが生み出した物だと、そう思う事にした。
「ん、これは根野菜の揚げ物かぁ……! 美味しいぞぉ……!」
「こっちは野菜のサンドイッチだね。新鮮な野菜とソースが美味しい」
特産の野菜料理に舌鼓を打ちながら、ヨルムンガンドとマルベートが連れ添って出店を巡る。
いくつかの出店で、揃いのアクセサリーを併せて見たりして、二人は十分に楽しんだようだ。
夜。
その時が訪れると、二人はチョコを交換した。友チョコと言う奴だ。
「ふふっ、何なら『あーん』もしてあげるよ?」
「む、言うじゃないか……! それなら――」
自分の分を食べきったヨルムンガンドが、さらにマルベートの手にするチョコへと齧り付いた。端っこが綺麗に割れて口の中へと消えて行く。
「ふふー……チョコ作りの時のお返しだ! ……なんてな」
「これはしてやられたね」
しかしマルベートは嬉しそうに端の割れたチョコを頬張った。
「私達の末永い友情を願いつつ……」
お祭りは、クライマックスへと向かっていた。
●深緑のチョコレイト
「お祭りも終りね。
はい、ラーシアちゃん。これが食べたかったのでしょう?」
リリィの差し出した深緑のチョコレイトをラーシアは嬉しそうに受け取った。
「ふふ、それじゃ私からも。リリィさんにはお世話になっていますからね」
返すチョコレイトをリリィも「あら、嬉しい」と少女のようにハニカんで受け取った。
夜が更けていく。
一日だけの記念日。けれどそこで結ばれた絆はきっと一生のものとなるはずだ。
「ルーニャちゃんには……もう十分みたいね」
「ふふ、食べ過ぎで寝ちゃってますね」
奇妙な縁で繋がる三人は輪になって。どこからか煌めく星の歌声が響いていた。
絆と愛情を結ぶ、甘く自然の香りのチョコレイト。
ミシュマ村の伝統行事は、こうして終わりを告げるのだった。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
澤見夜行です。
深緑の外縁部で行われた小さいながら盛大な伝統行事は無事に終わったようです。
皆様の育んだ絆と愛情が、いつまでも途切れない強固な物であると確信するに至りました。
これからも、それを大切に生きていってもらえればと思います。
依頼お疲れ様でした。
深緑での活動も始まります、これまで以上の活躍を期待しています!
GMコメント
こんにちは。澤見夜行(さわみ・やこう)です。
今年もグラコロの季節がやってきました!
御伽噺の聖地、ファルカウへと向かってみましょう。
●ミシュマ村について
ファルカウ内部、外縁に位置する辺境の村。
自然豊かな深緑の光景は勿論、水源となる湖がある湖畔の村です。
村の中央には祭壇があり、これまでに拝命された少女役の名前が刻まれています。
深緑内の街から訪れる者も多く、グラオ・クローネの一日はお祭りのようでもあります。
小さいながら出店なども出ているので、観光には良い村と言えるでしょう。
●出来る事
ミシュマ村の観光や、伝統行事に参加することができます。
今年は特別に女性の方は少女役をやってみることもできます(男性はお手伝いです)。
一人で参加される方も、二人以上で参加される方も以下のシチュエーションを選択してください。
【1】ミシュマ村を観光
深緑チョコを受け取り村を観光できます。
出店を巡るも良し、湖畔で静かに過ごすも良し。
時間を潰したあとは、夜に祭壇前でチョコを食べましょう。友人知人恋人とチョコを交換して一緒に食べれば、親密度が上がるかも知れません。
【2】少女役に立候補
伝統行事の少女役イーナを手伝い、少女役として村に訪れる人々にチョコを渡せます。
基本的に女性限定ではありますが、男性でもお手伝いはできます。
少女役を見事こなした方は、祭壇に名前が刻まれるでしょう。
【3】その他
村で出来る事は何でも出来ます。
迷惑にならないように気をつけましょう。
●書式
書式運用しています。
出来るだけ沿うようにプレイングを記載ください。
一行目:上記出来ることから【番号】または内容
二行目:同行PCやグループタグを記載ください。NPCにご用命ならばこちらに。完全単独もこちらに記載ください。
三行目以降:自由記載
●NPC
リリィ=クロハネ、ラーシア・フェリル、ルーニャ・エルテーシアの他、ステータスシートのあるNPCは『ざんげ』以外、呼べば出てくる可能性があります。
リリィとラーシアは久々の深緑を楽しんでいるようです。ルーニャはチョコレイトをもぐもぐ食べます。
幻想アイドルすぴかちゃんは呼べばハーモニア変装して出てくるかもしれません。
●その他
・可能な限り描写はがんばりますが描写量が少ない場合もあります。その点ご了承ください。
・同行者がいる場合、書式に従ってグループ名の記載をして頂く事で迷子防止に繋がります。
・単独参加の場合、他の方との掛け合いが発生する場合があります。
・白紙やオープニングに沿わないプレイング、他の参加者に迷惑をかけたり不快にさせる行動等、問題がある場合は描写致しません。
・アドリブNGという方はその旨プレイングに記載して頂けると助かります。
皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしています。
宜しくお願いいたします。
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