PandoraPartyProject
絶対未帰還領域
絶対未帰還領域
「『華蓮さん、無事ですよね』」
蒼褪めた軌跡が虚空に瞬く。
言葉面だけを見たならば胡乱にも聞こえるドラマ・ゲツク(p3p000172)の問い掛けは、実際の所止むを得ないものであった。
最早、傍ら――背中を預ける華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)の様子に視線をやる余裕もない。
「あたぼうなのだわ!」
「……まぁ、『お互い』諦めは悪い方だと思いますしね」
頼り甲斐のある言葉に安堵をするも一瞬、ドラマの赤い双眸は正面に現れた新手の方をねめつけていた。
ワーム・ホールに飛び込み、影の領域に到った二人を待ち受けていたものは当然というべき魔種の本拠の洗礼であった。マリアベルがそう口にした通り『誰も生きて帰った者の無い場所』は歴戦を積み重ねた彼女達にとっても極めて困難な場所であると言わざるを得ない。
有象無象からそれなりに強力な個体まで――魔種であったり終焉獣であったり、正体も分からぬ成りそこないであったり。影の領域に踏み込んでからひっきりなしに続く襲撃は二人に本来の目的を果たす余裕を与えてはくれなかった。
(レオン君……)
(……レオンさん)
『ここまで』来れば焦れに焦れ、勝負の時と気力ばかりは漲るが肩で息をする消耗ばかりは隠せない。
二人に知る由は無かったが、影の領域は特別であり、人間は或る種の『力』を出しやすい。
気付けばドラマも華蓮も『普段の彼女達とはまた別種の力と戦いを生じていた』し、華蓮より生じたパンドラの加護はまだ生きているようにも思えたが……
影の領域の悪影響を防ぎ、恐るべきマリアベルの目を眩ませた加護も万能ではない。
特別な力と加護の前提を置くにせよ、たった二人の乙女が戦いを続けるにこの場所は余りにも辛辣過ぎた。
かくて余裕を失ったドラマは背後に問い、問われた華蓮は殊更に力強く言葉を返したという訳だった。
(……パンドラの導きで来た以上、『ここまで』は正解の筈なのだわ!)
果たして華蓮の判断は正しかろう。
『神託』とは全ての経緯を無視して正解を引き当てるものだ。
しかして、華蓮の望んだのは『レオン・ドナーツ・バルトロメイに到る道』である。
その道のりが親切な舗装をされているかどうかを運命はまるで保証していない。
(上等ですよ――)
歯を食いしばったドラマは剣のみならぬ魔術を紡いで目前に迫った影を灼いた。
どれだけ邪魔をされようともそんなものは関係ない。
運命が、神がこの先を否定するのだとしても――そんなものは障壁にすらなりはしない。
『全て薙ぎ倒してでも大馬鹿野郎を連れ帰るとドラマ・ゲツクが決めたのだからそれだけが絶対である』。
「相変わらずに、アンタ達はいい女だなア」
お互い以外の人語は余り聞かないが、それを零した軽薄そうな魔種に華蓮が「ふん」と鼻を鳴らした。
ローレットの報告書で見た記憶がある――その場の上役らしきその顔(ナルキス)はやはりイレギュラーズに感心しているように見えた。
「ドラマさん、へばってないのだわよね……?」
「元気が有り余ってますよ。レオン君にも一発入れてやらないといけないので」
口の減らない二人が背中合わせに目前の敵に構えを取る。
二人は奇しくも似たような顔をしていて。その口元には嘘か本当か薄い微笑みが乗っていた。
「それ、いいアイデアなのだわ。今回だけは乗ってもいいかなって……」
※ドラマ・ゲツク(p3p000172)さんと華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)さんの二人に特殊判定を送信しています!
※Bad end 8首魁と見られるマリアベルとの戦いの報告が上がっています……!
※世界各国にて発生した戦いの、結果報告があがっています……!
※ファルカウ西の森メーデイアにてアトロポスが出現したようです。
※幻想各地にダンジョンが発見されたようです。
これまでの天義編|プーレルジール(境界編)|Bad End 8(??編)
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