PandoraPartyProject

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王宮のスーパースタア

「やあ、見ただろう! 私の雄姿を!!!
 うんうん、それにしてもやればやれるではないか、捨てたものではないな! 私も!」
 その玉座が当代の内に武勇伝を語る日が来るなんて――誰も思っていなかったに違いない。
 フォルデルマン三世は目の前でドーナツをもぐもぐやるセララ(p3p000273)に実に楽しそうに先日の出来事を語っていた。
「うむ。中々癖になりそうな感じだった。
 伝承歌で見た勇者のようではないか。きっとアイオンもこんな風であったに違いない!
 この調子ならば冠位色欲だろうと何だろうと大いに攻めてこいというものだな。
 覇気を纏った私と忠臣、それに友人達の力を合わせればきっと何とかなるに違いない!」
 些かどころか派手に調子に乗っている。何処からどう見ても調子に乗っている。
「まあ、その、はい」と実に歯切れの悪いガブリエル・ロウ・バルツァーレクが苦笑している。
「大変素晴らしい初陣だったとは思いますが、陛下。今回の件は余り再現性のある話では……」
 フォルデルマンを誰よりも知っている親衛隊長のシャルロッテはもう彼の気持ちが手に取るように分かるのか、更なる苦慮を隠せなかった。
「まあ、でも実際頑張ったよね」
 調子に乗るフォルデルマンを嗜めるでもなくセララはそう言った。
「王様じゃなきゃ絶対止められなかったと思うし。フォルデルマンが自分で戦場に出る事を決めたんだしね」
 変に忖度をしないし、窘める心算も無い。セララの発言は実に子供らしく、同時に正鵠を射抜いていた。
「まぁ、それは……」
「そうなんですよね……」
 大人二人はやはり余り調子に乗り過ぎて欲しくないという気持ちが先に立つ。
 だからこそ、今回の話に関してはセララの言葉が一番『素直』だった。

 ――事実だけを見れば、フォルデルマンが示した王威により今回の戦争は回避されたのだ。

 これは国を統べる王の振る舞いとして100点を付けられる。
 お膳立てをしたのが一生懸命励ましたセララであり、兵を貸したのはガブリエルであるが、セララは「人を使え」とも言っていた。
 成る程。凡才、無能と謗られながらもフォルデルマンは殆ど他人に嫌われる事がない。
(……まぁ、はい。いや、確かに随分と成長はなされている)
 ガブリエルはフォルデルマンをじっと見た。
「ん? どうしたガブリエル。サインでも欲しいのか?」
 調子に乗っている。乗ってはいるが……
 ……最大限好意的に考えれば先代二世とはまた違う王の形を作り出せるのかも知れなかった。
「兎に角!」
 シャルロッテが一つ咳払いをした。
「陛下やご友人――セララ殿等のお陰もあって、事件が無事に解決したのは確かです。
 今回の事はお礼を言っても足りない話ですが……今日セララ殿を呼んだのは一つ報告をする為なのです」
 緩みに緩んだ空気を引き締める声色だった。
「そう言えばそうだ。はしゃいでいる場合では無かったな」
 フォルデルマンは頷く。
 彼が促せば「はい」と神妙な顔をしたガブリエルはセララに『それ』を話し始める。
「『双竜宝冠』事件はあの後、レイガルテ公が目を覚ました事で概ね解決しました。
 レイガルテ公はフィゾルテ侯爵に蟄居謹慎を命じ、息子達の全ての争いを差し止めました。
 ざわつく麾下貴族達を一喝し、我々を含めた他派との折衝を済ませ、急激にこの国の統制を回復している。
 流石は黄金双竜と言った所ですが、恐らくそんな公にも予定外の事件が起きました」
「……予定外?」
 ドーナツを頬張っていたセララの表情がほんの少し引き締まった。
 ガブリエルの語り口は先程までの楽し気な調子ではない。
 まるで事件がまだ終わっていないかのような、そんな。或る種の重さを滲ませていた。
「それって、何かあったの? 悪い事?」
「はい」と頷いたガブリエルの表情はしかし複雑なものだった。
「朗報、と言う事は出来ません。公よりの沙汰を受け領地に戻られたフィゾルテ侯がこの程――」

 双竜宝冠事件が一定の結末を迎えたようです!
 クリスマスピンナップ2023の募集が始まりました!
 ※テュリム大神殿の先の階層に進むことが出来そうです……。


 ※プーレルジールで合流したマナセとアイオンの前に魔王イルドゼギアが現れました――!
 双竜宝冠事件が劇的に進展しています!


 ※プーレルジールで奇跡の可能性を引き上げるためのクエストが発生しました!

これまでの天義編プーレルジール(境界編)終焉の兆し(??編)

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