PandoraPartyProject
生まれた意味は
――K-00カ……クレカ。
――君に、たった一つだけ願いがある。
――僕は屹度―――――だ。だから、君はサヨナラを――――
「クレカ?」
呼び掛けられてからクレカ(p3n000118)ははたと顔を上げた。
「あ。世界。グリーフ。……ぼんやりしてた」
回言 世界(p3p007315)は「どうした」と問い掛けながらも渋い表情を浮かべている。西方を眺めて居たグリーフ・ロス(p3p008615)も振り返った。
イレギュラーズは西を目指す。勇者は『魔王』を倒す冒険の旅に出るのが運命なのだという。
魔王城が存在した浮遊島サハイェルは地へと落ち、混沌世界の地図に照らし合わせればラサ西方から影の領域付近に変化を及ぼした。
プーレルジールにおいて、その周辺は『影海』と呼ばれており、滅びの気配が濃く漂っている。
浮遊島の破片が浮かび上がった滅びの海は黒くのっぺりとした影を落とし――その最奥に魔王城があるらしい。
その地を目指すことに決めたのはGuide05(ギーコ)と呼ばれたギャルリ・ド・プリエの案内人であるゼロ・クールの姉妹機『Guide01(ギイチ)』を救ったことに起因していた。
「体の調子は如何ですか」
「大丈夫。イレギュラーズは、凄いね。こうした戦いをずっと繰り広げてたんだ」
ギイチを救うが為にクレカは『死せる星のエイドス』を譲り受け、グリーフと共に奇跡を願った。
ただ、秘宝種である自らとルーツが似ていたからというだけではない。製造者(クリエイター)が同じ姉妹であると断定・認識したからだ。
「私は、寧ろ誇らしくなったかも」
「誇らしい、ですか?」
「私もイレギュラーズだ」
どこか自信ありげに告げるクレカにグリーフは頷いた。事が済んだからアイオンを追掛けて更に西へと向かう訳ではない。
確かめたいことが一つあったからだ。
――ごめんね、ちょっとだけ、可笑しな話をする。
あの時、アイオンと魔王イルドゼギアが出会ったとき……懐かしい気配がした。
クレカは魔王イルドゼギアに懐かしい気配を感じていた。それは物語を想起したからではない。
ただ、予感がしたのだ。己は彼を知っている、と。
(……イルドゼギアに対して懐かしい気配、これはあるんじゃねえのかヤツが父親説)
世界はふと、クレカを見ていてそんなことを考えて居た。
よく考えてみて欲しい。そもそも、プーレルジールの『四天王』は全員がその役割を与えられた思念であろう滅びのアークが寄生した存在だった。
ならば?
魔王イルドゼギア自身もそうでないと言い切れやしない。本人である確証もなければその人となりさえも謎に包まれているのだ。
(クレカの為を思うなら西を目指して魔王と相対しろ。魔王を倒すか、もしくは『魔王から滅びを引き離すか』だ。
いやいや、そんな勇者めいた事をしなくちゃならないなんて勘弁してくれ。ああ、勇者は勇者に任せておきたいんだが――)
世界は嘆息した。そうは上手くもいくまい。
勇者アイオンは鍛練を積みながら影海を目指したという。
魔法使いマナセはアルティオ=エルムから影海を目指し、彼と合流することをイレギュラーズに進められたと小耳に挟んだ。
彼等は何もアクションを起こさず挟まなければさっさと魔王イルドゼギアをこの世界悪として打ち払うか――ひょっとすれば返り討ちにされるかも知れない。
「クレカは……それにグリーフもだったか。製作者(クリエイター)に逢いたいか?」
「……うん。私はお父様に何か、お願いされていた気がする。
もし、イルドゼギアが私の製作者と関わりがあるなら……行かなきゃならないと思う。それに――」
クレカはちらりとグリーフを見た。秘宝種である彼女の製作者もクレカのマスターと関わりがあるらしい。
「友達も、おとうさんを探してるから」
「……クレカさん」
友達と、はっきりと言い切る秘宝種の娘は「だから、行きたい」と力強く行った。
「……行くしかないんだろうな」
世界はぼやいた。魔王イルドゼギアが何者であるとしても、先ずは話を聞いてみなくては何も分からない。
単純に腹が立ったからというシンプルな理由で相手を倒す伝承の勇者ほど、振り切れてはいないのだから。
「アイオンなら、何も言わずに殴りそう」
クレカはこの世界で出会った『勇者未満』の青年を思い浮かべてから小さく笑った。
そうされたって文句は言えない。正直、『お父様』の事はあんまりに覚えて居ない。
けれど何か約束したのだ。その人は優しい声音で何かを言っていた。
――この世界が滅びに面したとき、人は狂い、生をも蔑ろにするだろう。
だから、僕は世界を護る為にゼロ・クールを作ることを決めた。
それから、なんて言って居ただろう?
どうして、あの人はあの時悲しそうに笑ったんだろう。
――クレカ、大切な僕の娘。
忘れてしまったって構わない。……僕は今の僕の儘君に会うことは出来ないだろうから。
君に、たった一つだけ願いがある。
僕は屹度―――――だ。だから、君はサヨナラを――――
私は、そうだ。私は誰かにサヨナラをしなくちゃならないんだった。
※プーレルジールで暗躍する動きがあるようです――
※双竜宝冠事件が劇的に進展しています!
※プーレルジールで奇跡の可能性を引き上げるためのクエストが発生しました!
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