PandoraPartyProject

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伝説の偶像と、現実の現象

 本来、混沌世界の伝承によって語られるところによれば――。
 勇者アイオンは、マナセ、ハイペリオン、ポチトリ・ウィツィロをはじめとする仲間たちとパーティを組み、様々な冒険の果てに、魔王イルドゼギアを倒した、という――。
 だが、『境界世界』にて発見された、『限りなく混沌世界に近く、極めて異なった世界』においては、その伝説をなぞられていないことを、ローレット・イレギュラーズたちは目の当たりにすることとなる。
 『勇者』ではなく、ただの『冒険者』である『アイオン』。
 お姫様か魔法使いになりたい、『普通の少女』『マナセ』。
 終焉獣に襲われ弱体化した『太陽の翼』『ハイペリオン』と、傷を負った『戦士』『ポチトリ・ウィツィロ』。
 勇者が、勇者として立つことなく、一冒険者として過ごす世界。平行世界ともいえるその世界。そこに存在する人々の生活を保持する地を、『幻想国』ではなく『プーレルジール』と、その世界では呼んでいた。
 ローレット・イレギュラーズたちは、改めてプーレルジールのアイオンら、勇者のパーティと接触。
 その交流の果てに、共に『魔王イルドゼギア』の住まう地へと向かうこととなる。
 『冒険者』アイオンは語る。
「この世界が滅びに面しているのは誰だって分かる」
 この世界は、終焉獣が跋扈し、人々はその脅威と隣り合わせで暮らしていた。
 必然、人々は常に命を脅かされ、人口は減少の一途をたどっている。混沌世界の伝承に謳われた幻想の旧き民であるクラウディウス氏族やイミルの民も、その数を減らしているらしいというのだ。
 また、脅威は終焉獣のみではない。魔種、という存在は知られてはいないものの、狂気を孕んだものの存在は確認されており、それは奇妙な破滅の病として認識されていた。
 そして、『魔王イルドゼギア』の存在だ。魔王は世界を手中に収める野望のもと、多くの人々を襲い、虐殺していった。
 減少した人口を補うように、魔法使いと呼ばれる職人たちは『ゼロ・クール』を生み出した。人と、ゼロ・クールの世界。これが、この世界の成り立ちであるのだと。
 新たに遭遇した世界の現状を認識したローレット・イレギュラーズたちであったが、しかしそのタイミングを見計らったかのように、魔王イルドゼギアは全軍へと進撃を命じ、人類へと――否、ローレット・イレギュラーズたちへと宣戦布告する。
「我々はこの世界を滅ぼし、混沌世界へと渡航する事に決めた。
 選ばれた世界の住民達しか『混沌世界』に渡ることが出来ないのだ。滅びに抗えるお前達を捕え、混沌に渡る手助けをして貰おうか」
 と――。
 明確な、ローレットへの敵対。そして、ローレット・イレギュラーズたちをおびき寄せるために行われる、全軍の侵攻と虐殺。
 未だ異世界での物語はその全容を語らずとも、しかし今、ローレットは剣を持ち、戦わねばならなかったのだ――。

「というのが、現状までの確認で」
 華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)が、前線地に作られた陣幕の中で、仲間たちに語る。
 魔王イルドゼギア軍との戦いは、ローレット・イレギュラーズたちの優勢のまま決着を迎えようとしていた。
「ほとんどの戦場で、私たちは勝利をおさめたのだわ。
 私の方でも、勝利と言って問題なし。
 それから、ステラという女のコとであったのだけれど――」
「プーレルジールの人間なのか?」
 マカライト・ヴェンデッタ・カロメロス(p3p002007)が尋ねる。
「ゼロ・クールだとか」
「どうも、違うらしいのだわ。本人は、星界獣が現れる、って警告してくれているのだけれど――まだまだ謎だらけ。
 そちらは?」
「こちらの方も勝利だ。ル=アディンを退けることに成功している。
 それから、『ゼロ・クール達の墓場』と呼ばれる場所の情報も入手できた。
 これも、まだ謎だらけ、だがな」
 肩をすくめる。一つ謎を解き明かせば、新たな謎が現れる。積層する世界の謎は、そう簡単にその芯を見せてはくれないようだ。
「こちらも」
 グリーフ・ロス(p3p008615)がゆっくりと手を上げた。
「問題はありません。また、この世界のアイオンさん、マナセさんとも仲良くなれた……と、思います」
「あら、それは良かった」
 ゼファー(p3p007625)が笑う。
「味方は多い方がいいわ。こういう場所ならなおさらね。
 私たちの方も、ジュエリアのダリアたちを助けることに成功しました。
 でも、少し浮かない顔をしてるわね?」
「はい……もしかしたら、この世界のイルドゼギアとは、私たちの知る『イルドゼギア』ではないのか、という疑念が発生しています」
「どういうことだ?」
 回言 世界(p3p007315)が尋ねる。
「いや……そうか。そもそも、混沌世界のイルドゼギアは、『旅人(ウォーカー)』であったはずだ。
 なら、この世界に『旅人のイルドゼギア』は存在しない……。
 なるほど、なら、ヴェルギュラの様子がどこかおかしかったのも納得がいく」
「四天王の?」
 オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)が尋ねる。
「ああ。どうも……うまく言えないんだが……」
「ふむ……確かに、変といえば変よね。
 例えば、アーカーシュみたいな浮島があったでしょう?
 混沌世界だと超古代の遺跡で、おとぎ話みたいな扱いだったけど、この世界だとまるであって当然みたいに語られてる。
 それどころか、この時代にはいくつも落下していたはずなのに、『結構な数が現存している』みたいなの」
 オデットの言葉に、ゼファーが尋ねた。
「報告書、確認しているけれど……それ以外にも、歴史に差異が生じているのね。
 ・イミル氏族とクラウディウス氏族は、『どう見てもかなり友好的な関係を築いている』。
 ・諸氏族が友好的に結ばれたのは、おそらく混沌の史実より『早い』と思われる。
 ・ユリウス・マクシミリアヌス・クラウディウスという男が『なぜか存在しない』。
 ……この辺りも、何か関係しているのかしら?」
「そう言えば、幻想にはフィナリィがいるはずなんだろう?」
 マカライトが声を上げる。
「だが、プーレルジールには見当たらない……どういうことだ?」
 ふむん、と唸る。
「そうやって、違うものが多いのに、混沌とプーレルジールの終焉獣の差異は『発見できなかった』のでしょう?」
 華蓮の言葉に、グリーフはうなづく。
「同じもの。違うもの。違う世界。違う物語……パズルにピースは集まっても、まだ全体像を描くには早いのかもしれません……」
「けど、一歩一歩、やっていくしかない」
 世界がそういうのへ、仲間たちはうなづいた。
 未だ全体像は見えなくとも、確実に、ローレット・イレギュラーズたちはこの世界の核へと近づいているはずだ。
 それに、今は、ひとまずの戦いの勝利を喜ぶべきだろう。
 プーレルジールでの冒険は、まだ続きそうなのだから。

 ※プーレルジールでの戦いに、ひとまずの決着がもたらされました!


 ※希望ヶ浜で『マジ卍祭り』が開催されました!

これまでのシビュラの託宣(天義編)プーレルジール(境界編)

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