PandoraPartyProject
内に秘めしクピディタース
幻想の国と海洋の国で、遂行者なる存在が動いている。
自らの望みを果たす為。自らの大望を正しいと信じて。
世界を塗りつぶさんと――動いている。
「ほっほ。今宵の月は美しいものよの――」
が。そんな激しき騒乱もなんのその。
西に存在する覇竜領域……ヘスペリデスは穏やかなものであった。
前人未踏と言われたピュニシオンの森。その境界線たるラドンの罪域を超えた場所にある地がヘスペリデスだ。どこまでも生い茂っているかのように木々が広がっていたピュニシオンとは異なり、開かれた大地が其処に在る――
そして。竜種が一角、エチェディは天を眺めていた。
彼は六竜、或いは天帝種と呼ばれる『薄明竜』クワルバルツに近しい竜が一体である。今宵はクワルバルツからは離れ、どうやら別の所にいるようだが……
――ああ絶景かな。空に浮かぶ至高の球体を眺めていれば、力が漲るようだ。
永き時を生きたこの老竜の身も、まだまだ捨てたものではない。
……あぁそれにしても美しい月だ。
思い起こす。月を大いなるものとし、好んでいた『月宮竜』を。美しく気高い竜であった。
そして輝かしき光に照らされるヘスペリデスも、また本当に美しい。
竜の瞳には眩いばかりだ――
「ベルゼー。お主が愛するだけの事はある」
竜種と、人の架け橋となるべく作られた地。
人の営みを真似して作った遺跡もあろうか――随分と、不格好だが。
石で見よう見まねで作り上げた、まるで子供の玩具のように見える。
……だがこの地に人が至るなど滅多にない。
そもそも前段階であるピュニシオンの森が前人未踏とすら言われる地なのだから。
最後に人が来たのはいつだった事か――?
今は、ピュニシオンの森を超えてきた人間達……あぁなんだったか。イレギュラーズとやらが時折、ヘスペリデスのあちこちで姿が見えているが……それ以前は……
「まぁ、よい」
だが、竜にとっては些事な事だ。
竜と人は共には生きれぬ。竜が瞬きをする時間で、人は朽ちてしまうのだから。
誰も共には在れぬのだよ、ベルゼー。
ましてや冠位として。生まれながらの魔種として生まれたお主は。
永遠の苦しみを抱えて生きていくより他はない。
それ以外の道はあり得ない。お主はそういう者なのだから。あぁ、或いは……
「数多のしがらみを。数多の感情を。全てを振り払って生きられれば良かったのにな」
例えば我の様に。気ままに己が『欲』に従えたなら――
……あぁ腹が空いてきた。
エチェディは思考する。前に食事をしたのはどれ程前だったか、と。
芳醇なるモノが欲しい。瞬く間に消えて腐り往くモノではなく。
とてもとても力強く育ち実った『モノ』が欲しい――
ソレがこの世で一番『食べ応え』があり若き力を思い起こさせるモノだと、エチェディは知っているから。
※覇竜領域のヘスペリデスでは調査が続いている様です――
※ヘスペリデスでの時が着実に過ぎていっています――
※海洋王国方面にも『帳』が降り始めたようです! 神の国に渡り対抗しましょう――!
※天義騎士団が『黒衣』を纏い、神の代理人として活動を開始するようです――!
(特設ページ内で騎士団制服が公開されました。イレギュラーズも『黒衣』を着用してみましょう!)