PandoraPartyProject

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『もう、迷わない』

「お父様……ありがとうございました。地獄で先に待っていてください。
　何れ私がそちらに向かうその日まで、精々高みの見物でもしていてください。

　メイヤ……お姉ちゃんらしい事出来なくてごめんね？
　本当は一緒にやり直したかったけど……貴女を裏切って貴女に『断罪の聖女』を押し付けた責任は取らなきゃね。
　だからメイヤ……『断罪の聖女』と『ナイトメア』の呪縛が私が引き受けるから……どうか幸せな夢を見つけて生きて。それがお姉ちゃんの最後の願い。

　そして、ローレットのみんな……私を討つのはもう少しだけ待ってください。そして体の良い願いである事は解っていますが、どうか私の夢を応援してください。
　私はナイトメア家が最後の一人、『断罪の聖女』にして『中華系アイドル』、ミリヤ・ナイトメア。
　妹が過去なんて忘れて幸せになって、私も親友と見た『チャイナ系アイドルがいる料理屋』の夢が叶ったら、その時はきっと思い残す事はありませんから……」



　かつて娘ミリヤを不正義と断じ、命を奪わんとしたモーリス・ナイトメアは、影の兵（汚泥の兵）らを引き連れて殉教者の森へと進軍し、そこでイレギュラーズの迎撃を受けた。
　モーリスは自らの信じる正義に異を唱える者を全て排除する苛烈な異端審問官であったし、当然、良き父親であった筈もない……けれどもその時、人生で初めて、娘と誠意を以って向き合う一人の父親になったのだ。

　……否。
　誠意に見せかけた傲慢を以って、お前と妹が救われたいと思うなら、我の原罪の呼び声に応え、得た力で我の首を刎ねよと強いたのである。

　強烈な保守思想のためにあわや天義を二分しかねない内戦を引き起こしかけ、また娘を誑かした任桃華こと『廉貞のアリオト』の行方を探るため不倶戴天の独立都市アドラステイアの運営母体『新世界』とさえ取引をしたモーリスの命の灯火は、かくして殉教者の森へと消える。
　きっと、彼を生かしておくよりは良かったのだろう。
　だが、誰一人として欠けずに戻ると誓った未来は、永遠に訪れなくなってしまった。
　得たもの。そして失ったもの。
　どちらがより大きかったのか……今は、答えはまだ判るまい。

※『＜獣のしるし＞リコール・オヴ・ナイトメア』でイレギュラーズが反転した様です……！
※アーベントロート動乱『Paradise Lost』が終結しました！
※＜大乱のヴィルベルヴィント＞二つの期間限定クエストが開始されています。


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