PandoraPartyProject

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アズガルドの凱旋

 練達ではかねてより進められていた一大プロジェクト『Rapid Origin Onlinea』がイレギュラーズ達に開放され、その世界に対する調査が進んでいる中で――幻想では新たな勇者を称える声に反目するかの如く、魔物達の波が押し寄せていた。
 それはさながらパレードの如く。豊穣風に言うなら百鬼夜行とでも言おうか。
 奴らの目的地は王都ネフ・ネフィートであると推測された……無論、それを黙ってみている幻想王国ではない。かつてジーニアス・ゲイムという事件では数多の思惑が重なり、砂蠍という盗賊団があわや王都にまで迫ったが――あの時とは状況が異なるのだ。
 国軍は分断されておらず迎撃は容易く、その上に。

「はっはっは! 君たちのおかげで魔物共は離散したらしいじゃないか!
 うんうん流石は私の親愛なる友にして勇者たるイレギュラーズ達だ――!
 改めて礼を言わせてもらうぞ!」

 領地を所有しているイレギュラーズ達からの助力も今はあるのだから。
 特にその中でも優れた活躍を示したのは華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)か。彼女の所有地は幻想ではなく海洋だが――遠く離れた海の者からも支援があるとは実に心強い事だった。『放蕩王』フォルデルマン三世も――いや彼にとってはいつも通りとも言える調子だが――とにかく彼女の助力を心から褒め称え感謝して。
「お褒め頂き光栄なのだわ。でも、魔物の群れが王都に向かうだなんて……
 これもリーグルの唄から連なっている事態なのだわ?」
「――今の所は『そう』であると見ています。水面下で動く悪意の影の仕業でしょう」
「巨人とかなにやら色々いましたしねーまず間違いないでしょう!」
 華蓮の問いに答えるのは近衛たる『花の騎士』シャルロッテ・ド・レーヌ(p3n000072)と、同じくアスガルドの戦いに助力した雨宮 利香(p3p001254)だ。
 大奴隷市。リーグルの唄。そして先日のフィンブルの春……
 それらの裏で暗躍するフレイス・ネフィラという存在。
 ――奴らの仕業に違いあるまい。そもそも此度の事件で確認されていた魔物どもは古廟スラン・ロウや神翼庭園ウィツィロから這いずり出てきた者らの姿であったというのだから。
「……ずーと、出てきてるよね。なんだっけ、フレイス・ネフィラ……とかいう人だっけ?」
「イミルの民の一族。その姿は見えなかったけれど……きっと今回の件の裏にいるに違いないね」
 同時。コゼット(p3p002755)ティア・マヤ・ラグレン(p3p000593)も敵の存在に心当たりを。
 幻想王国に恨みを抱いているかのような魔物達……
 奴らが王都に到着すればどうなっていたか。国軍の防御態勢も合わされば撃退は叶っただろうが、民に被害が出ていたかもしれない。その事に思考を傾ければイレギュラーズ達に早期に援軍を頼んでいたのは王の慧眼であったと言えるかもしれない――まぁその報酬にと王が出した諸々の費用の事に関してはこの際目を瞑るとして。
「他にも――やや! 凄いじゃあないか! こんなに多くのイレギュラーズが力を貸してくれたのか!」
「そうだよ王様! だって友達だもん――当然だよ!」
 うんうん、本当に私は良い友を持ったものだ――! と、フォルデルマンの言葉に賛同する様に言葉を紡いだのはセララ(p3p000273)だ。
 そう。何も力を貸してくれたのは華蓮達だけではないのだ。あらゆるイレギュラーズからの協力を得てこの撃退はなされている――海洋からはエイヴァン=フルブス=グラキオール(p3p000072)クーア・ミューゼル(p3p003529)からの支援もあり。先日、勇者として称えられたシラス(p3p004421)マルベート・トゥールーズ(p3p000736)シャルロット・D・アヴァローナ(p3p002897)もその力を大いに振るったことが記録されている。
 それらの圧倒的な結束が魔物達の進軍を打ち破ったのだ。
 奴らは離散し、もはや王都に脅威なく。
「はっはっは! 勇者たちの活躍は留まるところを知らないな!
 これならやがて魔物達を倒しきる日も近いんじゃあないかい?」
「……まぁ、それはきっと間違いではないと思うなのだわ」
 楽観的に物事を捉えているフォルデルマン――だが、その言も間違いではないのだろうと華蓮も思考はしている。敵の軍勢は多いものの、決して無限である筈はないのだ。
 フィンブルの春における攻防と、領地単位での争いを経て。
 奴らの戦力は減少の一途を辿っているのは間違いない。
 ――奴らの余裕は確実に削れているのだ。
 もしも『このまま』であれば奴らはいずれまともな戦力もいなくなるだろう。
 だから王の言もあながち間違いではない――奴らの動きが『このまま』ならば。
「とにかくよくやってくれたなイレギュラーズ諸君! ここに君たちの栄誉を称えて――褒章を領地に送っているから、力を貸してくれた者達は後で確認してみると良い! ん? もう送ってあるのだよなシャルロッテ?」
「…………はい。へいか」
 参戦した者は王国の守護者と称えられ、特に今名が紡がれた者には王家由来の貴重なフォルデルマンメダリオンが送られたと言う。以前のメダリオンと同じく秘伝とも言える貴重物をバラまくのは…………懐が非常に大きい流石国王陛下であると言っておこう。
 ともあれ王都に向かっていた脅威は彼らの手により弾かれた。
 水面下で蠢く悪意の影共にとっては痛手となった事であろう――
 メフ・メフィートは、昨日の新勇者を称えるパレードにも劣らぬ賞賛の声で――満ち溢れていた。

これまでのリーグルの唄(幻想編) / 再現性東京 / R.O.O

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