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ギルドスレッド

Wiegenlied

【2】Atmen

【始祖の霊樹】

アルティオ=エルム。
木々に親しみ、大自然の生きとし生けるものを愛しむ緑の民が住まう大樹の麓。
入り組む枝葉を掻き分け、開けた其の先。

――其処には、数多の生命が息吹いていた。

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(朝焼けに彩られた雫を湛えた葉がフードを擦れば、闇色に更に昏い色が落ちる)
(耳を擽る鳥の囀り。木々を渡り歩く栗鼠が頭上を追い抜いていく)

……すごい。

(空中庭園で落ち合った仲間達との再会の余韻に浸る間も無く、一瞬で。瞬きひとつの間に変わり果てていた景色に唯々呆然とするばかり)
(此処が、深緑。自身の、ほんとうの”同胞”たちが住まうところ)
(人里までは未だ少し距離があるらしい。獣道を進み乍らも、影は忙しなく視線を彼方此方に向けていた)

(こわい。早く会いたい。こわい)

(相反する胸の内。高鳴り続ける鼓動を抑えるように、一度立ち止まると胸いっぱいに酸素を吸い込んだ)
(其れは今まで居たどの都市よりも澄んだ空気に満ちていた)
(転移が初めてなわけではないけれど、なんとはなくそうすることが礼儀な気がして瞳を閉じていた)
(ゆっくりと開いた視界に青々とした木々が映る)
……無事に到着したようですね。
(吸い込む空気は澄んでいて、胸に沁みる様だと思った)

さて…ここからは少し移動しなければならないようですが、ルートをご存知な方はいらっしゃいますか。
(落ち着きのない様子の影が気になってはいたが、深呼吸する姿に小さく頷いた)
やーっほーーー

(緑の世界に降り立ち開口一番、木々に向かってそう叫ぶ)
(もちろんその声は木霊することもなく、帰ってくるのは鳥たちが驚き羽ばたいていく羽音だけ)

わっはっは!
やっぱ自然は最高だぜ!

(よくわからない行動は大自然を前にして、妙にテンションが上がってしまった結果からなのかもしれない)

俺はいつも適当に歩いてたら着いてるからな~。
ルートって言われても困っちまうわ。
大樹ファルカウに行くんだろ?ラノール、あんたわかるか?

(ニコの問いかけに答えとも言えない答えを返し、なんとなしにラノールに話を振ってみる)
(少なくない傷を負った鎧を着こみ、左の腕には小さな盾を纏い)
(背中には以前と同じ巨大なマトックを。そして腰にはショートソードを)
(酒場の時とは違う、”仕事着”で佇む)

……やはりいい場所だな。緑が多いというのはそれだけで癒される。

(砂漠の焼けるような空気とは違う、潤いのある空気)
(いつまでも居たいとさえ思う)

なに、このうっすらと続く獣道を辿ればつくだろう。
そうでなくとも……ファルカウは目を見張るほど大きいからね。
木を登ってみれば、すぐに方角がわかると思うよ。

(ニコ殿とギリアス殿の問いには、笑いながら答え)
(護衛という名目もあり。先頭を進んで引き受け、歩く)
(流石に森だけあって木々は生い茂っている。本来なら歩くのに邪魔な枝葉は短剣で切り後衛の行軍を助けるのだが…)
(ここは自然を愛する幻想種の領域。手で軽く逸らすだけに留めておく)

………夜鷹殿は彼らに会ってどうするのだ?

(道すがら、質問を一つ)
(男の遠吠に飛び上がったのは鳥だけではない。影も人知れず、其の場で小さく跳ね上がった)

……。

(自然が最高で何故叫ぶのだ。何を呼んでいるのだ。熊か。狼か。声には出さず、物言いたげな視線を傷面の男に投げかける)
(誤魔化すようにマントの裾を直していたら、ちらりと此方を気にした体の女中と視線が重なって、気恥ずかしげに俯いた)
大丈夫。迷わない。

(砂狼が事も無げに笑う所作とはまた別の。確信を持った即答を返せば、はたと我に返っておろおろと視線を彷徨わせ)
(そう。普通ならば、彼等には”かれら”の声は聞こえないのだ)
(然れども、口に出してしまったものを飲み込み直す事は出来ない。逡巡の後、通り過ぎる樹木の幹に軽く触れて行き乍ら、恐る恐る口を開き)

……この子たちが、教えてくれる。
この子たちの、母なる大樹の御許まで。

(この地に降り立った瞬間から溢れる、”翠の聲”。かれらの声に耳傾ければ、自然と道は繋がるのだと。先頭を歩く砂狼を促し乍ら、影は囁くような声音で以って仲間達に語った)
(其れは、生まれ乍らに授かった”かみさまのおくりもの”なのだと)
(不意に落ちる問い掛けに、直ぐに答えを返す事は出来なかった)
(会って何かが変わる訳でも無い。無意味。無価値)

わからない。でも、

(大自然の中、胸を張って羽根を伸ばす彼等の姿を此の目で見る事が出来たなら)

しりたい。
……彼等が、”化け物”じゃないと。
此の目で、確かめたい。

(砂狼が枝葉を掻き分けた其の先。広がっていたのは、巨大な壁――否、)
(苔生した其れこそが、”始祖の霊樹”の根。そして幹の一部であったのだ)
(ギリアスの咆哮に少し驚いたらしく、ゆっくりとそちらへ視線を投げ掛けた)
それは、本来山岳地帯など声が反響する場所でやるものでは。
適当…
(あからさまに眉間が動いた気がする)

(賑やかな冒険者の問い掛けに即答する砂狼、先導する歩みにやっと胸を撫で下ろした)
ラノール様、以前いらっしゃった時は長く滞在されたのですか?
(使い込んだ様子のスーツケースを片手で持ってその歩みに続く)

(思わず、瞳がこちらを認めた。影の透き通る青が木陰の木漏れ日に光ったように思ったが)

(逸らされてしまった。何かしただろうか、と首を傾げていたが)
教えてくれる…?
(言葉に再び疑問が浮かんでいた時に、壁が視界へ現れた)
これは…随分と巨大ですね。
(二人の白い目に気づくこともなく、悠々と歩を進める)
(珍しい虫がいれば捕まえて眺め、綺麗な花があれば近寄って匂いを嗅ぐ…)

(そんなことを繰り返しているうち、目の前に姿を現す大樹)

…ヒュー♪
流石“始祖の霊樹”と言われるだけの巨木だぜ。
まるでデッカイ壁だな!

(そう言いながら大樹の壁に近づきパンパンッと二度、掌で叩く)

ニコは見るの初めてだろ?
スゲーだろ、これ!

(表情をあまり崩さないその旅人に、これならどうだ?と言わんばかりに得意気な表情で向き直る)
(歩く道すがら、夜鷹氏が言う)
(木々の声が聞こえるという事だろうか)

なるほど、それは中々面白そうな”贈り物”だな。
木々とはいったいどのようなことを話すのだろうか。
それぞれに個性があったりするのだろうか?

(興味深げに耳を動かし、軽く後ろを見ながら質問をする)
(そして、私の問いに、しばらくのちに返ってくる返答)
(”化け物ではない”など、本来は見ずともわかる話)
(それでもあえてそう表現するのは、そう表現せざるを得なかった彼女の境遇があるのか)
(それがどんな境遇なのか察することはできない。しかし、容易に踏み込んでいい領域でもないだろう)

うん、いいんじゃないか。あるいはそのフードすらも煩わしくなってしまうかもしれないな。
彼らの美しさを、目いっぱいみたくなってね。

(代わりに笑顔で肯定を返す。)
(あるいは、この旅が彼女と外界の隔てりを崩す一因になればいいのだが)
(次いで問いかけられる女中の言葉)

ん?あぁ、そんなに長くはないよ。一晩居た程度さ。
どうしても他種族とは壁のある地域でね。私がラサの者でなければもっと早く出立していたかもしれないな。
ここまで奥地に来たのは初めてだ。前も言った通り、首都には来たことがないものでね。

(噂には聞いていたが、フォルカウがこんなにもでかいとは。思わず見上げる)

…この中が新緑の首都だ。入口はこの幹を回ればすぐに見つかるだろう。
ここからはあまり離れず…そして騒がずにいたほうがいいだろうな。

(幻想種自体は決して争いを好む種族ではない)
(それでも、彼らの中の”ルール”に抵触すれば、一気に針の筵となるだろう)
(君子危うきに近寄らず。粛々といるに限る)

…あそこが入り口だな。
夜鷹殿、ここからは君が先頭に行くといい。

(おそらくは、彼女が一番、新緑に受け入れられるであろうから)
そう。草木のささやき。小鳥のさえずり。
私にとっては、それらがぜんぶ。
こうして交わし合うことのはと、おなじようなもの。

(首を傾ぐ女中へ、興味深げに此方へ視線を寄越す砂狼へ、小さな頷きを返し)
(どんな声が聞こえるのかと。問う声に応じようとした矢先のこと)
(傷面の男に捕らえられた瑠璃色の蜻蛉が視界の端に止まれば、すう、と息を吸い込んで)

『やいやい、お前!俺の自慢の翅が傷ついたら如何してくれるんだ!もうちょっと丁寧に扱えってんだ!』

(意訳である)
(実際は『やめろ!はねが!』位の単純なものなのだが。彼を驚かすには丁度良いだろう)

木々も、花も。それぞれ、思うことはちがうみたいで。
……木が大きすぎて影になるから、もっとおひさまがほしい、とか。
リスのかぞくが、自分の中にひっこしてきた、とか。

(それはもう、皆好きずきに喋り出すものだから)
(全ての声を聞き取るのはなかなかに大変なことなのだと添えつつに)

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