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Wiegenlied

【2】Atmen

【始祖の霊樹】

アルティオ=エルム。
木々に親しみ、大自然の生きとし生けるものを愛しむ緑の民が住まう大樹の麓。
入り組む枝葉を掻き分け、開けた其の先。

――其処には、数多の生命が息吹いていた。

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(朝焼けに彩られた雫を湛えた葉がフードを擦れば、闇色に更に昏い色が落ちる)
(耳を擽る鳥の囀り。木々を渡り歩く栗鼠が頭上を追い抜いていく)

……すごい。

(空中庭園で落ち合った仲間達との再会の余韻に浸る間も無く、一瞬で。瞬きひとつの間に変わり果てていた景色に唯々呆然とするばかり)
(此処が、深緑。自身の、ほんとうの”同胞”たちが住まうところ)
(人里までは未だ少し距離があるらしい。獣道を進み乍らも、影は忙しなく視線を彼方此方に向けていた)

(こわい。早く会いたい。こわい)

(相反する胸の内。高鳴り続ける鼓動を抑えるように、一度立ち止まると胸いっぱいに酸素を吸い込んだ)
(其れは今まで居たどの都市よりも澄んだ空気に満ちていた)

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